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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

フレーム問題 ~サイコパス・コミュ障は治るのか

最近、『サイコパス』とか『コミュ障』について、悶々と考えていました。
『そもそも思考の仕方が違うんだろうな』と漠然と思っていたのですが、そこに随分昔に読んだ事がある『フレーム問題』を当てはめると、何となく説明がつきやすくなったので、今回はサイコパスやコミュ障をフレーム問題から考えてみます。

私は専門家ではないので、『フレーム問題』についての詳しい説明は出来ませんが、簡単に説明すると、『人が行動できているのは認知できている範囲(フレーム)があるから』というもので、人工知能を適切に動かすには、フレーム問題を解決しなければならないというもの。
フレーム問題 - Wikipedia

例えば、人工知能搭載のロボットが有ったとして、そのロボットにあるもの(A)を取ってくるように命令する。
その(A)にはセンサーが付けられており、動かすと爆弾が起動して爆発してしまうとします。

ロボットに何の条件もつけずに、ただ『取ってくること』だけを命令した場合、ロボットは何も考えずに(A)を取り、センサーが反応して爆発してしまいます。
これでは困るので、対策としてロボットに、『(A)を正常な状態で持ち帰ってくること』という条件を付けたとします。
するとロボットは、(A)に取り付けられている爆弾は勿論のこと、それ以外のあらゆる出来事にも反応してしまう。
例えば、爆弾のセンサーを取り外そうとした際に発動するトラップはないか、(A)がある場所までに落とし穴はないか…など、考えうる全てこの事に反応してしまい、結果として命令を実行できずに動けなくなってしまう。

この問題を解消する為に、ロボットに『必要最低限の警戒をしろ』という命令を書き込んだとしても、今度は『何が必要最低限なのか』を計算してしまうため、これまた動けなくなってしまう。
人工知能の場合は、可能性の視野が無限にある為、何が重要なのかを理解することも絞り込むことも難しいというのが、フレーム問題。
人間の場合にはフレームが有り、可能性の視野が限定されている為、細かい可能性を無意識で無視するために動けるということ。

この考え方って、人間にもそのまま当てはまると思うんですよね。
結論から書くと、サイコパスとコミュ障の違いは、人が持つフレームの大きさに関係しているのではないでしょうか。

具体的には、サイコパスの人間は元々のフレームが小さい。
視野が極端に狭いため、目の前に自分の利益を確認した場合は、それしか認知できず、その利益を手に収めた場合やそれまでの過程で『周りの人が困る可能性』については全く見えていない。
その為、自分の利益に最短距離で全力疾走で進むことが出来る。こんな人が経営者になった場合、我先にと利益に飛びつく行動を取る。
資本主義の世界は、誰も行動していない時に行動できるかどうかが成功出来るかどうかに繋がる事が多い。
経営者にはサイコパスが多いなんて話も有りますが、こう考えると納得もしやすい。
president.jp
ただ、フレームが小さいということは、先程も説明したとおり認知できている『可能性』が殆ど無い状態。
その為、『この職場環境で従業員は満足だろうか』『こんな真似をして、迷惑がかかる人はいないだろうか。』といった視点は全く抜けている、というか見えていない為、ブラック経営者になりがち。
この他に、自分の考え出したものでもないのに、話題になったり有名なワードで商標登録を出願して、利益を得ようと思うような人も同類だったりする。
全てのベクトルが『自分の利益』に向いていて、それ以外が見えていない状態なので、自分の行動で人が傷つこうが嫌な思いをしようが、それが『見えていない』ので躊躇なく行動を起こせるし継続することが出来る。

これが悪い方向に転び、『人が死ぬ姿を見たい!』と思ってしまった場合も、その行為に伴う被害・損害などは見えてないので、躊躇なく行動を起こすことが出来てしまう。

コミュ障はこれとは逆で、フレームが大きすぎる為に行動を起こせない人たちのことでしょう。
私も自覚できる程のコミュ障なのですが、よく他人から『考えすぎだ』と言われます。
他の人からすると考える必要もなく、普通に行動すれば問題は起こらないと思われることも、私の場合は考えてしまう。
その結果、いざという時に行動が起こせなかったり、テンポが明らかに遅れたりしてしまう。

例えば人と約束があるときなどは、どんな話題を話そうかを考える。
それもただ考えるだけでなく、自分が話した事で相手がどんな返答をするか、その場合はどのように返答するかなんてことを綿密にシュミレーションしたりする。
この時点で結構なストレスになっているので、他人から誘われて『行く』と返答している場合は、その約束を破るということはしないのですが、自分から『誘おうかな?』と考えている場合などは、シュミレーションをしている内に面倒くさくなって結果的に誘わないなんてこともしばしば起こる。
他人に誘われて行った場合も、シュミレーション通りに会話が進むことなどはなく、その場その場で臨機応変に対応を求められるわけですが、いざ家に帰って会話内容を反芻すると、『あのときの返答はあれでよかったのだろうか。』『あの伝え方では誤解をされてないだろうか』なんて事を考えてしまい。悶絶してしまう。

人と会いに行こうが行くまいが、結果的に物凄くストレスが貯まってしまう為、そういう機会からは遠ざかってしまう。
これがコミュ障なのでしょう。

もっと視野を狭くし、『他人が何を考え感じたとしても、自分には関係ない。』『自分が楽しければ、それで良い。』と考えれば、ストレスも軽減されるし、もっと人と会う行動その物を楽しむことも出来るのでしょう。
純粋に人と合うことが楽しめれば、その雰囲気は相手にも伝わるため、相手も『この人と一緒にいると楽しい』と感じることが多く、結果的に人と会える回数も増えていく。
リア充と呼ばれる人は、『今の社会に適応した丁度良い大きさのフレーム』を持っているため、その様な行動を取れるのだろう。

このように考えると、世の中でうまく生きていく為に必要なのは、適切なフレームを見極め、自分のフレームを最適化することなんだと思います。
極端にサイコパスだったりコミュ障だったりする場合は、矯正するのは難しいようにも思えますが、サイコパス気味・コミュ障気味程度であれば、自分の認識を変えてパラダイムシフトを起こすことで、改善も可能の様に思えます。
この様な矯正に必要なのは、自分の起こした行動とその結果を真摯に見つめ直すことです。

人間の認識とは結構適当なもので、人は見たいものを見て聴きたいように聴いています。
同じ事実を見たとしても、捉え方は自分が捉えたいように捉えるということです。
コミュ障の人は、自分は他人から見ると対して面白くないと自分を捉えますし、サイコパスの人は自分の都合の用意ように解釈してしまいます。
これはつまり、世の中を見ている人ごとに事実があることになるわけですが、その事実を主観から客観的なものに変えていく作業が必要なのでしょう。

客観的に物事を見つめ直した結果、自分が考える事実と客観的に観た事実との間に差を見つけ出すことが出来れば、その時点でパラダイムシフトが起こり、考え方や行動が根本的に変えることが可能になってくるでしょう。
ただ、自分以外の視点を持つというのは自分ひとりではかなり難しいため、コミュ障を解決するために他人と積極的にコミュニケーションを取らなければならないという矛盾したことも起こってくるわけですが。
まぁ、性格を変えるなんてことは簡単に行えるものではないので、地道に少しづつ、焦らずに視点の差を埋めていくことが継続して出来るかどうかが重要になってくるんでしょうね。

トランプ氏の指摘通り 日本は為替操作国なのだろうか

先日トランプ氏が、『日本と中国は為替操作国だ!』って感じのことを発言したようですね。
トランプ氏の様々な言動には同意できない部分も多いですが、今回の『日本は為替操作国』という点については、個人的には『そう思われても仕方がないよね。』と思ってしまいます。
という事で今回は、日本は為替操作国なのかについて考えていきます。

この話を理解するために、先ず知っておくことは、貿易と通貨の関係です。
貿易や通貨は、本当に正しく理解をしようと思うともの凄い細かいところまで勉強する必要が有るので、今回は全体的なイメージを掴むため、簡単に表層的な部分についてだけ書いていきます。

貿易というのは、通貨とモノ・サービスの交換のことです。
例えばA国とB国が、それぞれ100の通貨を発行していると仮定します。A国・B国が発行する通貨は、それぞれ別の通貨とします。
1年間でA国は、B国に対して70通貨分のものを輸出して、50通過分のものを輸入した場合、A国は差し引き20通貨分の輸出超過となり、この20通貨分が貿易黒字になります。
逆にB国は、20通貨分の貿易赤字となります。

1年経過後のお互いの通貨の状態は、A国が120通貨を所有しているのに対し、B国は80の通貨しか保有できていない状態になる。
翌年も、そのまた翌年も同じような取引をした場合、B国の通貨は毎年20通貨分減少していき、単純計算で5年で底が尽きてしまいます。
では実際の経済の場合も5年でB国の通貨はゼロになるのかというと、実はそうでも無い。
というのも、A国の通貨とB国の通貨が違う場合、両者はそれぞれの価値が変化します。

A国の輸出業者からすれば、輸出品と交換でB国の通貨を貰ったとしても、B国が破綻してしまえば、B国の通貨は使えなくなってしまうかもしれない。
また輸出品を作るためにA国の従業員を雇ったりA国の業者から仕入れを行っているのであれば、人件費等の支払いはA国の通貨で支払わなければならない為、B国通貨をA国通貨に交換しなければならない。
どちらの場合も結果として起こるのは、B国通貨を売ってA国通貨を買うという為替取引が起こります。

通貨に限らず、不動産・株式・債権等どんな市場でも、価格は需要と供給で決まります。
A国通貨が欲しいという人(需要)が増えるが、A国通貨を売りたい人(供給)が増え無い状態だと、A国通貨の価値は上昇しやすくなる。
逆に、B国通貨を売りたい人(供給)が増えて、B国通貨を欲しいという人(需要)が現れない状態では、B国通貨は下落しやすくなる。
結果として起こるのは、B国通貨が下落するのに対してA国通貨が高騰する現象です。

しかしここで面白いのが、『市場』というシステム。
A国通貨が上昇してB国通貨が下落すると、B国の人からするとA国製品は値上げされているのと同じになる為、買い辛くなる。
例えば、元々は1:1の交換比率だったものが、A国通貨が値上がりし、『これからは1A国通貨に対して2B国通貨払ってもらわないと交換できないよ。』という1:2の交換比率になったとする。
そうすると、B国通貨の人に取ってみるとA国の商品は2倍に値上がりすることになるので、コスパが悪くなる。
逆に、A国通貨の人から見るとB国の商品は半額に値下げされたのと同じなので、少々品質が悪くても買おうというインセンティブが働く。
また企業からすると、A国で人を雇うよりもB国で人を雇ったほうが人件費を半分に節約できる為、設備投資をB国で行いやすくなる。

結果、B国の輸出は伸びるので、貿易赤字の関係が逆転する。
このような流れを『神の見えざる手』なんて呼んだりして、これを盲信している人が『人が手を加えずに市場に全てを任せよう!』なんて主張したりします。
『神の見えざる手』が万能かどうかは今回は置いていて、本題に戻りましょう。

先程の例の場合は、A・B国共に、通貨は最初に発行した100通貨ずつしか持っていないという設定でした。
しかし、最初に貿易黒字を出していたA国が、通貨を新たに発行し続けたらどうでしょう。
先ほど説明した通り、貿易黒字を出すと、回り回って黒字国の通貨の需要が高まり、市場で供給量を上回る状態が続く為、結果として黒自国は通貨高になりやすいわけですが、A国が印刷機を回して紙とインクが原材料のお札を供給しまくったとしたら?
当然、通貨高は需要と供給で決まるため、供給が増えて需要と釣り合いがとれてしまえば、価格変動はなくなる。
供給量が更に増えれば、価格が下がるという現象が起こります。

この、『紙とインクでお札を供給している』のが、今の日本です。
日本の中央銀行である日銀は、年間80兆円レベルで日本国債を購入しています。
日本国債というのは、簡単に表現すると政府の借金。国が、手持ちのお金が無いけど金を使いたい場合、国債という名の借用書を印刷して販売することで、使いたいお金を手に入れ事が出来る代物。

日銀は、その借用書である国債保有高を年間80兆円ペースで増やしていく政策をとっている。
では、国債を買う財源はどこからくるのかというと、紙とインクでお金を刷っている。
つまり今の日本が行っていることは、政府が紙とインクで借用書を刷って、その子会社の日銀がが紙とインクで刷ったお金で購入している。
それで金を得た政府が、日本円をバラ撒いている状態。

物凄く簡単にいえば、紙とインクを使って国がお金を毎年80兆円分刷ってバラ撒いてるってことです。
問題は、そんな事をして市場に影響を与えないのかということ。

通貨というのは、先ほど説明した需給関係以外にも、別の要因で価値が上下します。その別の要因は何かというと『信用』です。
『信用が高い』通貨は高い価値を保てますし、『信用が無い』通貨に価値はない。

通貨を発行している日本が、毎年80兆円分の信用力を何かしらの方法で得ているのであれば、通貨の信用力は保たれるでしょう。
しかし、特に信用力を高めていないのであれば、水増しされた通貨はその分だけ価値を下げてしまいます。
現在の日本の場合はどうなのかというと、特に信用力を高めることなく、数値目標で通貨を供給し続けているだけす。

何故こんな政策を行っているのかというと、単純に『円安にしてインフレにする為』です。
単純な話で書くと、今までアメリカから1ドル(100円)で仕入れていたものが、2倍の円安になれば、同じ商品が200円と2倍の価格に跳ね上がります。
日本は資源の多くを輸入している為、円安に誘導する事で輸入品の価格を引き上げることが出来、結果的に物価を上げることが可能です。
日銀は年率2%のインフレ目標を掲げていますが、これを達成するのに一番簡単な方法は、毎年2%ずつ通貨を下落させれば良い。
この毎年80兆円ずつ通貨を増やすという量的金融緩和により、信用不安による通貨の価値の希薄化。つまりは、水増しと、需給関係の両方の面から通貨安に誘導することが出来る。

こんなことを何年にもわたって行い続けているわけですから、『日本は為替操作国だ!』と言われても仕方のないことなんですよね。
確かにトランプ氏は、問題のある行動や発言を行う人物かもしれませんが、だからといって、全ての発言が間違っていると決めつけると、何も見えなくなるような気がします。

インフレに出来ない日銀

数年前に黒田日銀総裁に変わり、『インフレ率を2年で2%!』を掲げた日銀ですが、それから2年以上経過したのにもかかわらず、全くといって良い程、日本のインフレ率は2%に上がっていません。
そもそも、物の溢れている供給過多の状態ではインフレは起こりにくいということが大前提としてあるわけですが、それとは別に、日本独自にインフレには出来ない要因がある様に思えます。

その理由とは、『インフレになると日本が破綻する』
この様な少々極端なことを書くと、終末論者とか反日とかDisれられそうですが、前回に紹介したマネーショートを観ると、どうしてもそんな不安がよぎってしまうんです。
http://kimniy8.hatenablog.com/entry/2017/01/24/121710
http://kimniy8.hatenablog.com/entry/2017/01/27/124514

マネーショートといえば、不動産バブルの崩壊によって全世界が経済危機に巻き込まれた『サブプライム問題』『リーマンショック』を解説した映画なのですが、その映画の中で銀行家がとっている行動が、今の日本の銀行がとっている行動と変わらないんですよね。
日本はリーマンショック以前にも、バブル景気とその崩壊を体験しているわけですが、また似たような行動をとっているところに、非常に不安を覚えるんです。
似ているといっても、その前提条件は若干異なるんですけどね。
アメリカのサブプライム問題が生まれる根底に有ったのは、不動産価格が下がらないという不動産神話。その一方で、日本の現状の問題の根底にあるのは、『低金利が将来にわたってずっと続く』という予測ですが。
根本的な原因こそ違えど、起こる結果は似たようになると思われるので、少し不安なんですよね。

具体的な例で見てみましょう。
今日本中で巻き起こっている、マンション・アパートの建築ラッシュ。
私の住む地域は、京都の中でも中心地からは少し外れ、比較的落ち着いた感じの地域。閑静な高級住宅街というわけでもなく、土地価格も比較的安くて安定していた地域でした。
しかしここ1~2年で、物凄い数のマンションが乱立し始めました。
徒歩5分圏内だけでも6棟のマンションが建ち、建設予定の空き地がまだ控えている状態。
はっきり言って、異常。

私の知り合いが銀行の融資部門に配属されたそうなのですが、どう考えても供給過剰の地域に、まだ『マンションを建てたい!』と融資の客が頻繁に訪れる程。
配属されたばかりで良心的であった私の知り合いは、その地域がいかに供給過剰かということを親切丁寧に説明したようですが、客はそれでも『建てたい!』と訴えかけてくるようです。

不動産業者に聴いた話によると私の知り合いの様な人間は稀で、大抵は、不動産業者と銀行の融資部門はズブズブの関係で、そんな助言は一切せず、何なら、土地を持ってる顧客には営業をかける事もあるそうです。
当然審査も結構ゆるい。CMなどを見ても、『土地がなくてもアパート経営できます』なんてものが頻繁に流れています。

何故こんな状況になっているのかというと、日銀が採用している低金利政策が原因です。
需要喚起の為にゼロ金利政策を行い、日銀当座預金の利息も新規分はマイナス金利適応までしたことで、その思惑通りに不動産市場で需要は喚起されて建築ラッシュが起こったわけです。

マネーショートで描かれたサブプライム問題は、『住宅市場は未来永劫上昇し続ける』という思い込みで、返済不可能な人にまで貸出を行ってしまった事が原因で起こった悲劇。
何故、不動産神話が誕生してしまったのかというと、アメリカは基本的に移民で作られた国だから。年間200万人レベルの移民を受け入れ、人口も上昇傾向。
家を少々建て過ぎたとしても、後に流入してくる移民が購入してくれる為、いずれ需給は安定する。
この背景を素に活況を呈していた不動産市況ですが、悲劇に繋がる直接的な切っ掛けは、金利引き上げ。
サブプライムローンの借り手は金利が4%の場合だとギリギリ返済可能だけれど、8%に上昇すると途端に返済できなくなり、ローンが焦げ付き始める。
これを合図に不動産価格の上昇が止まり、止まる事によって不動産神話が崩壊。結果として、大火傷を負う羽目になってしまった。

日本の場合は、少子化で且つ閉鎖的な為、基本的に人口は減少傾向。現時点で首都圏で空室率が30%なので、当然、将来の不動産市場も暗い見通し。
にも関わらず銀行が緩い審査で融資をしている背景は、アメリカの様な将来的な不動産市場の上昇ではなく、超長期的に続くと予想している『ゼロ金利政策』です。

日本は世界的に見ても独特で、新築の不動産に目がありません。
木造建築が基本で、40年経過すると無価値になってしまうのが原因なのでしょう。
その為、賃貸物件でも新築の場合は空室率を低い状態で保つことが可能。
これを利用し、最初の3~4年の収益分を銀行に返済させれば、その後は、不動産オーナーが破綻しても担保にした物件を差し押さえれば損失は免れるという計算なのでしょう。
3~4年分の期間だけ回収できればリスクは下げられるので、審査が多少緩くても問題ない。

しかし、何らかの原因で金利が上昇したらどうでしょう。
そもそも、首都圏で空室率30%の不動産市場というのは、完全な借り手相場の状態です。
新築だからといって高い家賃を設定できるような、甘い世界ではないでしょう。当然のことながら、上昇した金利分を稼ぐために家賃を上げるなんて選択肢は選べません。
家賃を上げても、その分空室率が上昇すれば損益としてはマイナスですからね。

金利は賃貸業にとっては経費みたいなものですが、経費の増大を価格に転嫁できないのであれば、事業としての旨味は薄れます。
金利の上昇幅にもよっては、下手をすれば不動産オーナーの利益が初年度から吹っ飛ぶという事態も考えられます。
『固定金利だから大丈夫。』と思われている方もいらっしゃるでしょう。しかしこの場合は、損失分は実質的に金融機関が背負うことになります。
国全体で観ると、危ないことには変わりがありません。

また、金利上昇によって賃貸業に旨味がなくなった場合、当然、新規の不動産需要は落ち込むことになり、不動産相場も下落すると予測されます。
不動産市況の悪化は、『転売できない。出来たとしても、価格が低い』という点において、事業として不動産を持ってるオーナーにとってはマイナス。
この不動産を担保として押さえている金融機関も、担保に対して貸し出しが多い状態となる為、賃貸向けのローンが焦げ付く可能性が出てくる。
バブル崩壊以降の、銀行の不良債権問題の再来というわけです。

アメリカ・日本。銀行が融資基準を緩める理由こそ違えど、結果的に金利の上昇によって破綻することは同じです。

この様な現状になっている現在、日本は危機を回避するため、金利を低い状態で保ち続けなければなりません。
金利を低い状態で保ち続ける為には、日本はデフレの状態を維持し続けなければならない。
デフレ解消のための長期的な低金利政策が、結果として、インフレに弱い現状を招いてしまったことになります。

金融政策というのは、導入するのは簡単ですが、その政策を止める方法。出口戦略を考えていなければなりません。
そういった意味では、『何もやらなかった』と罵声を浴びせらている、前日銀総裁の白川氏は、量的金融緩和に意味が無いことも、一度行ってしまったら止めることができなくなるのも分かっていたから行動に移していなかっただけなんでしょう。
日銀は既に打つ手なしの詰んでいる状態ともいえますが、今後、どの様な政策で現状を打破するのか、注意深く観ていく必要がありそうですね。

【映画紹介】 マネーショート 後編

前回は用語説明だけで終わってしまい、映画のことが殆どかけてない状態だったので、今回は映画の話中心で書いていきます。
前編を読まれていない方は、そちらからお読みください。
kimniy8.hatenablog.com


      


という事で物語です。

不動産市場の異常性に気がついたマイケル・バリーが、銀行にCDSを用意させるところから物語は始まります。
ここからはじまるので、『この人が主人公?』なんて思いがちですが、そうではありません。
この映画は誰かを主人公に据えた話ではなく、不動産市場の異常性に気がついた人達と、気がつかない呑気な人達との戦争です。

呑気な人達は、不動産市場は未来永劫続くと思っていますし、それを元にしたCDOも絶対的なものだと思っています。
だって銀行は、ギャンブルの種銭を貸しているのではなく、住宅ローンを貸しているわけですから。ローンの返済が遅れれば家は取り上げられるわけで、それを望む人なんていない。
皆が一生懸命になってローンの返済を行うので、信用不安なんて起こるはずがないと思い込んでいる。

その為、不動産担保証券が破綻する方に賭けるCDSなんて、銀行にとっては美味しすぎる話。
例えるなら、『200歳まで行きた時、経済的に不安なので、200歳になったら毎月生活費が貰える保険を掛け捨てで入りたい』と客の方から持ちかけてくれているようなもの。
人間が200歳まで生きることなんて無いから保険料支払いの心配なんて無いのに、掛け捨てで保険料をくれるなんて、タダでお金をくれますよと言っているようなもの。
銀行は『カモが来た!』とばかりにCDSを発行して売りまくります。

次にスポットライトが当たるのが、CDSを作った人。ジャレド・ベネット。
この人物はCDSを作る過程で、不動産市場を一度洗い直してみると、市場は既に崩壊し始めていることに気が付きます。
そこで、とある投資家にセールスに行くことになります。その投資家が、マーク・バウム。

ジャレドはマークのオフィスに行き、CDOの元になっている不動産市場が如何にボロボロかということを力説します。
内容は、現在金利4%の状態でも既に延滞や利息支払いが滞るといった起こっており、これが金利8%になると拍車がかかって手がつけられなくなる状態に陥る。
この危なそうな不動産ローンを担保にしたCDOの内訳を見てみると、CDOの格付けはAAAになっているが、その資産内容は大半がBBB以下の、本来なら投資できないような劣化した資産で構築されている。




ジェンガに例えると、土台部分の殆どはB・BB等のリスクの高い商品で構成されていて、上辺部分にだけA・AAといった安心できる資産が積み上がっている。
しかしCDOは債権をバラ売りしているのではなく、1つのパッケージとして売り出す商品。土台部分が脆いと、構造的に全てが崩れる仕組みになっている。
そして既に、土台は腐り始めている。
『今はまだ、気づいているものはいない!CDSの価格も安い!今後、不動産バブルは崩壊する!買うなら今だ!』

あの手この手でセールストークを行うジャレドだが、投資家チームはいっこうに信じない。
何故なら、不動産神話はそれほとまでに深く浸透し、日常化していたからです。
しかしチームリーダーのマークだけは違っていました。何故なら彼は、あらゆるものを疑い、徹底的に調べずにはいられない性分だったからです。
そんな性格である為、ジャレドの言葉も疑っていましたが、それ以上に盤石と皆が疑っていなかった不動産市場に疑念を抱き、調査することになります。

そこでマークの投資家チームは、信じられない光景を目にすることになります。
このあたりは、実際に映画を観てご自身で感じ取ってもらいたいのですが、本当に酷い状態が不動産市場を蝕んでいます。
この映画だけを観ると、アメリカの銀行や投資家の余りのマヌケっぷりに唖然としますが、日本のバブル絶頂期も、こんな感じの事が起こっていたのでしょうね。
歴史は繰り返すというかなんというか。欲に目が眩んだ人間って、学習しないもんですね。

しかしその後、不動産市場が下落する方に賭けた人達が窮地に立たされることになります。
何故って、不動産市場は破綻の方向に一直線に進んでいるにもかかわらず、CDOの価格は下がらずにCDSの価格も上昇しなかったからです。
このあたりの展開が非常に面白い。

市場というのは、本来であれば価格は適切な値段で落ち着こうとします。『神の見えざる手』とも呼ぶ現象で、供給が増え続ければ価格は下落しますし、需要が強ければ価格は上昇する。
にも関わらず市場が機能していない。

何故こんな事が起こっているのか。疑問に思ったマークは、CDOを作った人間にインタビューをします。
そこで分かったことが、またまた面白い。
前編で、CDOは不動産ローンを担保にした証券だと解説しましたが、実際の金融市場で流通しているCDOは、それよりも更に歪な状態で出回っていました。
具体的には、不動産ローンをベースにしてCDO『A』を生成、しかしこれが売れ残った場合などは、次に生成するCDO『B』に組み込む。その次に生成するCDO『C』には、CDO『B』が組み込まれている。
つまり、最後のCDO『C』には、CDO『A』と『B』が組み込まれている。
この状態をそのまま書くと、CDO『C』には、不動産ローンを担保にして作られたCDO『A』を担保にした証券であるCDO『B』を担保にした商品ということになる。
A・B・C全てのCDOの担保は、元を辿れば同じ不動産ローンにたどり着く。別の言い方をすれば、元の不動産は3つの別々の金融商品の担保になっている。

映画の中では、カジノでブラックジャックを楽しむ夫妻を例にして説明されています。
妻の方が馬鹿ヅキで、ディーラー相手に勝ちまくっていたとします。余りに調子が良いので、妻は今まで買った金を使って大きな勝負に出ました。
それを観ていた周りの観客が、『次も、あの夫妻の妻がディーラーに勝つかどうか』で賭けをはじめます。
そのかけを見ていた他の人が、『妻に勝つ方に賭けた人間が勝つかどうか』について賭けはじめ、それを見ていた人が『妻が勝つ方に賭けた人が勝つと賭けた人が勝つ方に…』という感じで賭けを行い続けます。
最終的には、実際に夫妻の妻がディーラーとの勝負で賭けた金額の20倍が、それを周りで見ていただけの人によって賭けられていた。

話を元に戻すと、仮に5000億円の住宅ローン市場が証券化されてCDOになった場合、CDO市場が5000億円なら計算は合います。
しかし、CDOにCDOを組み込むという無茶を推し進めた結果、5000億の不動産ローンを元にしたCDO市場は、20倍の額の10兆にまで膨らんでしまっている。

先程のブラックジャックの例でいえば、『妻が勝つ方に賭けた人が勝つ方に賭けた人が…』とどこまでも続け、最終の掛け金が大きくなってしまったとしても、実際の賭けの相手も予測がハズレた場合の損失額も理解できている為、まだ、損害は限定的といえます。
しかし現実のサブプライムローンの場合、保険商品のCDSを売却していた金融機関は、皆、『不動産市場は絶対的なもの』だと信じて疑ってはいませんでした。
その為、保険料は激安で、手厚い保証を確約してしまっていたのです。
こんな状態で、不動産市場で誰もが予測していなかったクラッシュが起こったとしたら?
売った保険に対しての保証を支払えない金融機関は、破綻待ったなし!の状態にまで追い込まれます。

にも関わらず、実際に市場に何の影響も無かったのは、その市場参加者の大半が、自分たちが購入している商品の内容を全く理解していなかったから。
内容が全く理解できていないわけですから、当然のことながら、危険性なんて認識できるはずがありません。
危険性に気づいている人も少なからず存在はするのですが、その人達は不動産ローン市場が大きくなり過ぎていて、仮に破綻した際には大勢が不幸になるので、気づかないふりをしている。
危険性が認識出来ておらず、認識ができている数少ない人達も、市場崩壊を恐れて見て見ぬふりをしている。こんな状態では市場参加者はCDOを売らないので、需給関係は悪化せずに値崩れは起こさない…

圧倒的な馬鹿達に窮地に立たされるショート側! 彼らは一体どうなってしまうのか!
結末は作品を見て確認してください。

映画紹介と言いつつ、経済の小難しい話を2回にわたって書いてきましたが、この作品のメインテーマは、実際に起こった金融危機の裏側が如何に馬鹿げていたのかというのを説明する為の映画なので、経済用語の解説が内容の大半を占めていたりします。
では、難しい話で理解に苦しむのかといえば、そんなことはありません。デットプールよろしく、メインキャラクターのほぼ全員が、第四の壁をぶち破ってカメラに向かって丁寧に説明してくれます。
経済用語が映画内の解説だけでは理解できなかったとしても、問題ありません。というか、サブプライム問題に関与した殆どの人が仕組みを理解していなかったので、専門外の視聴者が理解できなかったとしても当然でしょう。
先程も書きましたが、この映画は金融市場で大きな金を動かしていた人達が如何に馬鹿で、自分の尻も自分で拭けない人達というのを理解するための映画です。
そういった目線でみると、店舗も良く、程よく笑えるコメディータッチで描かれているので、幅広い方々に見てもらいたい作品となっています。

お薦めです。

【映画紹介】 マネーショート 前編

今回紹介する映画は、『マネー・ショート 華麗なる大逆転
公開された時に興味津々で観に行きたかったのですが、何となく機会を逃してしまっていたところ、Netflixで公開されたので、ここぞとばかりに観てみたので、感想と共に紹介をしてみようと思います。





題名にマネーとついているところから想像できる通り、経済系の話題をテーマにした映画です。
原題は『The Big Short』で、Shortは空売りという意味があります。つまり『The Big Short』は巨額の空売りという意味で、何を空売りするのかというと、サブプライムローンです。
邦題は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』で、こちらのショートは、電気回路などがショートするという意味合のショートを使い、金融市場がショートするという表現で付けられているのでしょうか。ショートの意味が変わっているようにも感じますが、相場を張った事がない人に『ショート』なんて言葉を説明するほうが面倒くさそうですし、イメージとしてはマネーショートの方が日本人には伝わりやすそうで、良いタイトルになっていますね。

今回のこの映画の紹介なのですが、今更ですがネタバレ有りで書いていきます。
原題が巨額の空売りの『The Big Short』で、邦題が『マネー・ショート 華麗なる大逆転』。普通に考えると、巨額な空売りをして劣勢に立たされた人が華麗に大逆転する映画なんだなと想像できると思いますが、ネタバレを一切受け付けない人は、読まないように注意してくださいね。

簡単なストーリーとしては、日本にも余波がきて大きな損害を受けたリーマンショックを映画を通して解説するという、実話ベースの映画。
数年前に実際に起こったリーマンショックをテーマにし、その元凶となったサブプライムローン空売りした人達の視点から語られる物語で、一見すると難しそうなテーマを扱ったとっつきにくい映画のようにも思えますが、実際には然程知識がなくても見れる構造になっています。
というのも、この映画はそもそも金融危機が何故起こったのかを一般レベルの人にも分かりやすく説明するために作られているような映画で、リーマンショックやそれにまつわる専門用語の解説に多くの時間が割かれています。

映画の冒頭部分で、この様な名言が語られます
『やっかいなのは、何も知らないことではない。
実際は知らないのに、知っていると思い込んでいることだ。』
数年前、テレビのニュースで『リーマンショック』という言葉が頻繁に放送されましたが、おそらく殆どの人が何が起こっているのかを知ることなく、『何となく酷い金融危機が起こったんだろう』と分かった気になっていた。
いつしか、『サブプライムローン』や『リーマンショック』という言葉が独り歩きし、深く意味を知らないのに『リーマンショックの影響で…』なんてわかった気になって喋ってた人も多いと思います。
そんな人達に対する警鐘という意味合いも込めて作られている映画だと思いますので、むしろ知らない人にこそ観て欲しい映画ですね。

物語は、一人のメタル音楽好きの投資家が、不動産市場の異常性に気がつくところから始まります。
バブルが起こり、それが崩壊して金融危機が起こる際には、様々なサインが合図を送る。不動産市場と不動産関連詐欺の相関関係も、そんな合図の一つ。
これを切っ掛けに、アメリカで起こっている不動産神話に基づいた経済システムの崩壊を読んだマイケル・バリーは、マイケル・バリーは、不動産市場の空売りを思いつく。
しかし、不動産ローンの空売りなんて事は行うことが出来ない。そこで思いついた手が、CDS

CDSクレジット・デフォルト・スワップ)は、一種の保険商品。
例えば1億円の不動産があり、そのまま売れば1億円で売れるが、仮に火事になって建物が燃えてしまえば、価値は不動産価値だけになってしまう。
場合によっては、燃えた不動産の撤去費用などもかかる為、大きな損害を被ってしまう。
しかし、火災保険に入っていればどうでしょう。家事になっても燃えた資産は保険料という形で戻ってくるので、損失は限定的になる。

CDSは、これをCDOという資産に適応しようという話。
ここでまた、新たな言葉が出てきましたね。CDOとは日本語で『債務担保証券』の略。

わかりやすくする為、私が100万円をAさん・Bさん・・・って感じで、100人に対して変動金利年4%で貸したとします。
100万円を100人に貸すので、合計額は1億円になり、変動金利ではありますが、契約時は年4%の利息が手に入ります。
私は借金の回収と金利受取でもでも一定額の利益を得られますが、更に設ける方法が有ります。それは、この100人に対して1億円の貸出を担保にして、新たに年利3%程度のの証券を作ることです。
適当に格好の良い名前をつけて綺麗にラッピングし直し、『最新の金融工学を利用して生み出した、資産運用方!』って感じで宣伝して、格付け会社にAAAの格付けをつけてもらい、1%程度の販売手数料で売り出します。
格付け会社がAAAの格付けを付けるのを断ったら? その時は、『こちらの格付け会社でAAAを付けてくれないなら、ライバル会社に持ち込んで付けてもらうよ。そうなった場合は、オタクとの取引は今後一切しないけど。』って圧力をかければ大丈夫。
投資家は格付け会社が付ける評価を盲信している為、AAAで3%も貰えるのであれば簡単に飛びつきます。
これが、簡単に言えばCDO。

このCDOの価格に対して保険をかけるのがCDS
これを詳しく知る為には、オプション市場を理解したほうが良いかもしれません、オプションは権利の売買を行う金融派生商品です。
具体的には、【売る権利】と【買う権利】のそれぞれを、特定の値段で売買します。

例えば、資産価格が変動する1万円の証券が有ったとします。
この証券を1万円で【買う権利】と【売る権利】を販売するのが、スワップ市場です。
仮に資産価格1万円の状態で同じ価格の1万円で【買う権利】と【売る権利】が100円で販売されていて購入した場合、資産価格が5000円に減少したとしても、スワップの1万円で【売る権利】を行使すれば1万円で売ることが出来ます。市場で5000円で取引されている証券を100円のスワップ料金で売る事が出来るわけですから、4900円の利益になります。
逆に1万円で【売る権利】を売ってしまった側は、1万円で売らなければならない義務が発生します。では1万円で【買う権利】の方はどうなってしまうのか、市場で5000円で販売されているものを1万円で買わなければならないのかというと、そうではない。【買う権利】を購入した側は、権利を放棄することで、損失をスワップ料金の100円に抑えることが出来ます。
つまり【権利】の売買は、買った側は権利を得ることが出来ますが、権利を売った側は、相手が権利行使をした場合には取引に応じなければならない義務が発生するというわけです。
この仕組みを上手く使うと、スワップの元となる証券を時価である1万円で購入し、購入金額と同じ市場価格で売却できる『売る権利』を購入すると、オプション料金という保険料はかかりますが、元本は保証されることになります。

この仕組を応用したのが、CDSクレジット・デフォルト・スワップ)です。
クレジットは『信用』で、デフォルトが『破綻』。
CDSとは、CDOの信用が破綻して価格が下落した時に、CDSの売り手が元本の値段で買い取ってくれる。つまりは信用破綻が起こった時に利益が得ることが出来る商品の事です。
元になっているCDOと同時に購入すれば、価格下落リスクに対応できる保険商品になりますが、CDOを買わずにCDS呑みを購入する事で、実質的にCDOの空売りを行うことが出来ます。


最初の例でまとめてみましょう。私は100人に対して100万円づつ、合計で1億円を4%で貸し付けていますが、その貸出を担保にして新たに作ったAAA格付けのCDOは、別の投資家が買ってくれます。
これによって私の手元にはCDOの売上金である1億円が戻ってきて、且つ、販売手数料の100万円を手に入れている状態になります。
この1億円を元に更に私が貸出をする。そして、その貸出を元にCDOを更に作り…って感じで繰り返せば、理論上、私からお金を借りたいという人全てに貸出を行うことが出来、それをCDOとして販売する度に、販売手数料が手に入ることになります。
ちなみにCDOは証券なので、株式のように市場というものが有って売買されており、需要と供給のバランスをとるために値段が変動しています。
つまり、CDOに需要があって値段がついて安定・上昇している限り、私もそれに合わせてCDOを発行して、無限ループを繰り返せるという仕組みです。

ただこの仕組は、私が100万円の貸出をした100人が、全てお金を返してくれるという前提のシステムです。
仮に、利息支払いが滞ったり返済が行われないことになると、CDOの信用も傷つくことになり、最悪の場合は信用が破綻して証券に値がつかない状態になります。
この保険となるのが、CDSという保険商品です。
CDSはオプションの仕組みを利用し、保険料を支払うことでCDOの元本を保証するという商品ですが、CDOを持っていない状態でCDSだけ保有すると、CDOを空売りしているのと同じ状態になります。
この状態で、CDOの信用不安が起こると、CDSだけを持っている人が大儲けできるということ。

この例の、『私』を『銀行』に。『100人に100万円づつ貸した1億円』を『不動産ローン』に置き換えると、サブプライム問題が何となく見えてくると思います。

【続く】

Amazon Go と ローソン無人レジ

ここ最近のAmazonの行動が凄いですね。動きが早いというか先手を打っているというか。
その中でも、最近発表された『Amazon GO』という試みが、個人的には、かなりびっくりしていたりします。

Amazon Go』は、簡単にいえば無人スーパー。
利用者は、入口に入る際にIDチェックを要求され、Amazon IDをチェックされます。
客が行う手間はこれだけ。後は、店内にある商品を自分が持ってきた袋に詰めて出口から出るだけという優れもの。
レジでの精算もなく、購入したものはAmazonの購入リストに記載され、登録してあるクレジットカードから自動で引き落とされます。

では、商品のチェックはどのようにして行っているのかというと、店のアチラコチラにあるカメラやGPS機能を使い、店内では人物とAmazon IDを絶えず紐付けしておいて、その人物が棚から商品を取ったことが確認できたら、AmazonIDの買い物かごに商品が入った状態になり、そのまま店を出たら生産されるという仕組み。
『商品を一度手にとって、その後棚に戻した場合はどうなるの?』と思う方もいらっしゃるとは思いますが、その際もカメラが自動的に認識して、元の棚に返した場合は買い物かごから出る仕組みになっているようです。

この仕組がどれぐらい凄いのかというと、同時期に導入が検討された日本のコンビニ『ローソン』と比べてみればわかります。

パナソニックと共同で開発したらしい『無人レジ システム』だそうですが、このシステムは、客が店内にあるバーコードリーダーがついている専用カゴを持ち、1商品毎に自分で商品バーコードを客が読み取り、それを無人レジに自分でもって行って料金を生産するというシステム。
現代のようなネットの時代では、『1クリック多い』というだけで操作が煩雑と叩かれて使われなくなり、姿を消すサービスが非常に多いのですが、このローソンの無人レジシステムの場合は、客がやらなければならない事が非常に多い。
Amazon Goの話を聴いた後だと、何世代前のシステムなんだろうと思ってしまう程に古臭いシステムに感じます。




私は昔、株式投資にハマっていた時期があり、その時にラジオ日経等の経済ニュースを頻繁に聞いていた時期があるのですが、5年以上前に報道されていたシステムでも、もっと先を進んでいたのですけどね。
ちなみにそのシステムというのは、商品の全てにICタグを入れるという仕組み。
ICタグはバーコードリーダのように1個づつ赤外線で読み取らなければならないという事がないようで、客は商品を適当にかごに入れた後、指定の場所に置くだけで全ての精算ができるという代物でした。

このICタグは商品の精算だけでなく、在庫管理にも使えます。
商品棚にICタグの読取機を付けておくことで、どの商品がどれだけ並んでいるのかということが、いつでもどこでも確認が出来る。
自分の在庫がリアルタイムで確認できるということは、どの時間帯にどの商品が売れているのか、また、どのような傾向の商品が好まれているのかが簡単に把握できる為、発注作業が楽にもなる。というか、契約によっては自動化も可能。
これらのデータは端末さえあれば手軽に入手できて扱えるため、複数店舗を持つ会社などは、リアルタイムデータを本社に集約させることも出来るし、データを上手く使うことで地域の消費傾向を予測し、その地域のニーズに合った商品を取り揃えると行った地域ごとのローカライズも可能となります。

数年前に、IT技術生産現場に取り入れた会社(多分、靴下メーカーのタビオ)が取材されていましたが、その時は、更に進んでいました。
この会社の場合は、全国の店舗の在庫とレジ売上のリアルタイムデータを工場に集約し、商品在庫が少なくなったものを自動で生産するシステムを確立していました。
見込み生産ではなく、実際に売れて在庫が少なくなった商品を補充する形で商品を製造するこの方式は、品切れによる機会損失や見込みが外れることによる過剰在庫のリスクを減らせます。

今回あげたICタグによる精算や在庫管理技術は、数年後にこんな事が出来たら良いなという未来の話ではなく、既に開発されたり導入されているシステムです。
マスコミを使って大々的に発表するのであれば、ローソンにはこれらの既存技術を超えるシステムを発表してほしかったところですが、実際に発表されたシステムは、先程も書いた通り自分でバーコードを読み取ってレジに持っていくという、地方の大型スーパーで既に導入されているような旧式のシステム。
従来の部分と違う部分があるとすれば、半自動で袋に詰めしてくれる部分だけでしょうか。

省略される作業はバーコード読み取りの手間だけで、代わりに袋詰の時間を待たなければならない。
混雑時には結局レジに並ぶことになりそうです。

更に付け加えるなら、この方式だと万引きが手軽にできそうですよね。
今まではバーコード読み取りは店員が行う為、万引きするには商品を何処かに隠すという作業が必要だったわけですが、このシステムの場合はバーコードを読み取らせない事で、堂々とカゴに入れた状態で万引きできそうです。
この万引き防止の為に監視員を雇うと、コンビニオーナー的には経費削減につながらない、というかむしろ、人件費の増大にも繋がる可能性が有りますね。
まぁ、日本のコンビニの場合は、オーナーからどれだけ搾取するかが利益を伸ばすポイントですから、自動レジの導入によって設備投資を強制し、さらにフランチャイズオーナーから搾取出来るシステムを作りたかっただけと考えれば、旧型のシステムでも何でも良かったのかもしれませんが。
その点、Amazon Goの方は、入店の時点でIDと人物を紐付けて、商品を棚から取ったかどうかで判断する為、棚から取った商品をどこに隠そうが、料金自体は徴収できるために万引きが起こりにくい。本屋などの場合は倒産理由に万引きが挙げられる程に深刻な問題なので、これを防止できるというのはかなり凄いですね。

当然のことながらレジがない為、そもそもレジの混雑なんてことにはならない。
そして全ての決済がクレジット決済なので、店に現金が貯まらないというオマケ付き。
店に常にお金が無い状態を作れるということは、現金目的の強盗などがやってこないことを意味します。
レジの混雑がない上に万引き防止が出来、強盗まで寄せ付けない上に見た目がスマートと、かなり先進的な印象を受けますね。

また、Amazon Goの入店時にアカウントを提示させられるというシステムも、地味に凄い。
接客業にとって頭を悩ます要因の一つが、自身のことを『お客様』と名乗る、自称神様の暴君です。
事ある毎にクレームを付ける客は、利益を生まない一方で人員を割かれる為、迷惑でしかない。
しかし、入り口でIDチェックがあるという事は、迷惑な客はアカウントを剥奪してしまえば、入店拒否が出来てしまう。

これにより、クレーマー対応という売上につながらない無駄な作業が、最小限まで減らせることが出来ます。
また、店側にアカウント剥奪というカードがあるとわかれば、客側は『変なクレームや嫌がらせをすると、入店できなくなる』と思い、そもそも迷惑行為を行わなくなるでしょう。

こうして見比べてみると、同時期に発表されたニュースであるにも関わらず、まぁAmazonの進んでいる事。
そもそも人が要らずに最低限の人員で営業できるとなれば、バイトのやりくりや本部への支払いで悪戦苦闘しているフランチャイズ契約のコンビニオーナーは、Amazon Goが正式に稼働しだしてフランチャイズ募集をしだすと乗り換えるかもしれませんね。
大半のフランチャイズオーナーがAmazon Goに乗り換えて、街のあちこちにAmazon店が出来る様になると、この店舗をアマゾン倉庫としても活用できるでしょうし、本業とのシナジー効果なんかも期待できそう。
こう考えると、数年先のコンビニ業界は、Amazonに喰われている可能性も有りますね。

まぁ、Amazon帝国の住人である私としては、それで便利になるのであれば歓迎すべきことなんですが、日本のオワコン化がドンドン進んでいきそうで、少し寂しさを感じたりもしますね。

【ゲーム紹介】 GRAVITY DAZE (グラビティデイズ)

今回紹介するゲームは、『GRAVITY DAZE (グラビティデイズ)』。
タイトルに含まれるのかサブタイトルなのかは分かりませんが、正式名はGRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動という、非常に長く小難しいものになっております。



      

この投稿の日付近辺では、続編である『GRAVITY DAZE 2 (グラビティデイズ2)』が発売されているので勘違いされる方もいらっしゃるかもしれないので念を押しておきますが、今回紹介するゲームは『グラビティデイズ』の方です。

      

『2』が出るにも関わらず、何故いまさら無印の方である『1』の紹介を書いているのかというと、私自身が今になってようやくプレイ&クリアーしたからです。

この作品ですが、元々はPSVitaで発売後にPS4に移植。その後、去年の9月の半ば~10月のはじめにかけて、PS plus のフリープレイ対象になっていた為、その期間にダウンロードして無料で手に入れていました。
その後、すぐにプレイをしたのですが、チュートリアルが終わったぐらいで飽きてしまい、プレイしないままに今年の初めまで放置していた状態でした。

理由としては、最初の段階では主人公は世界に放り出される感じで情報不足な為、世界観に入り込みづらい印象だったのと、周りを取り囲むキャラクターが結構身勝手。

一番最初に重力嵐と呼ばれる災害っぽいことが起こり、巻き込まれた少年の親に頼まれて子供を助けることになるのですが、子供を助けた際にアクシデントが起こって、その子供と親が住んでいるコンテナが無くなってしまったんです。
当然、家がなくなるような災害ですから、主人公も結構危ない目にあっている状態で、何とか少年を助けるのですが、助けた後、親と子供は礼を言う事もなく、『家を弁償しろ!』と罵詈雑言を浴びせかけるんです。
こちらとしては、見知らぬ場所で突然目覚めて、右も左も分からない状態で知らない人間から『息子を助けてくれ!』と無理難題を吹っかけられ、命からがら助けたら罵詈雑言の嵐。
その後の話も、家の修理代を稼ぐ為に金持ちの家にメイドとして売られるような状態になり、メイドとして働くが、雇い主の婦人の性格が結構キツく、何人ものメイドが辛くて逃げ出しているという結構な職場。
そんな雰囲気にプレイしているこちら側も、落ち込んだりムカついた気持ちになり、放置状態になってしまったんですよね。

そんなゲームを何故、再プレイしたかというと、今年の正月休みが異常に長かった上に何もやることがなかった為というネガティブな理由。
しかし再プレイをしてみたら、途中まで勧めた辺りから非常に面白くなり、一気にクリアーしてしまったんです。

ジャンルとしては、プレイヤーは重力姫であるキトゥンを操作し、敵を倒したり問題を解決するアクションゲームなんですが、移動手段が他のゲームと変わっています。
他のゲームの場合、街を移動する為には単純に歩いたり走ったり、他には車を使ったりワイヤーを出してスパイダーマンぽく動くと言った感じですが、このゲームでは基本的には落下することで移動します。
主人公であるキトゥンは、別名『重力姫』という異名を持ち、その名の通り、重力操作の能力を持っています。

ボタンを押す事で無重力状態になり、もう一度ボタンをおす事で、画面中央に向かって落下していきます。
一度落下し始めると、カメラアングルを変えても落下方向は変わらないので、カメラの向きによっては空を自由自在に飛んでいるようにも見えます。
方向転換の際には再度、無重力→落下ポイント設定を行います。
つまり、無重力状態でカメラアングルを真上に向けて落下ポイントを設定すれば、真上に向かって落ちていくという現象が起こります。

他人から見ると飛んでいるようにも見えるんですが、実際には重力の方向を操作しているだけなので、上方向に重力を設定すると、今まで見上げていた天井が床になりますし、横方向に設定をすると壁が地面になる。
頻繁に重力設定を変える事で頭が混乱し、自分が今どちら側に向いているのかすら分からなくなったりするという、不思議な体験ができたりします。
この他にも、重力設定を敵にする事で強力な蹴りを放つ重力キックや、重力設定を自身の斜めしたに設定することで平地でも滑りながら進む事が出来る重力スライダー等、重力を操ることによる移動が楽しさの全てと表現しても過言ではない作品となっています。

ゲーム内のMAPの方も、重力操作による移動を前提として作られており、飛び回るのが楽しい設計になっています。
このゲームでの街は空に浮いている形なので、現実の街だと土の中に埋まっているような基礎部分の裏側などを見れたりもします。
また、重力操作ができると空を移動しがちなのですが、地面を歩いていないと見つけられないような通路やトンネルなども作られていて、街自体は洋ゲーオープンワールドなどに比べるとかなりコンパクトには作られていますが、限られた空間内での作り込みが凄いといえば良いでしょうか。
当然、先程から書いているとおり重力操作が出来る為、いつも観ている町並みでも横方向に重力設定をして壁に立つと、いつもとは違った見え方がします。
少々ネタバレになりますが、メインストーリーで重力荒らしによって千切れて飛んでいった街の区画を取り戻すことになる為、一番最初はマップが非常に狭いですが、後に4倍程広くなったりもします。

街の雰囲気ですが、一番最初にプレイした時は『色が少なくて地味なマップだな』なんて思ったのですが、ストーリーを進めたり他の街を取り戻したりしていると、描写が変わるわけではないのですが、印象が少々変わったりしてきます。
というのもこのゲーム、ストーリーや会話部分がコミック雑誌を読んでいるような感じで進んでいきます。
最初にページが映し出されて、その後に一コマづつのアップになってセリフが吹き出しで出てくる感じです。
私の場合は、これを頻繁に見せつけられることで、『この世界はコミックや絵本の中の世界なんだ』と思えるようになり、色の少ない町並みも『そういう個性』と捉えることが出来るようになってきました。
そして、絵本やコミックの世界という認識が出来ると、次の興味が『この世界』の世界観に移ってきて、自然とゲームに没入することが出来ました。

最初に、『ある程度までストーリーを進めないと良さがわからなかった』と書いたのは、この様な理由ですね。
こんな感じで世界観に興味をもってゲームを進めると、MAP自体も、移動して楽しいというだけではなく、世界観を表現する為にも気を使って作り込まれていることに気がつくようになります。
『都市の上層部に住んでいる人は比較的裕福そうなのに、下層で住んでいる人は貧困っぽいなぁ』等々

その他にも、各マップに『時空の旅人』という2人のNPCが配置されているのですが、この夫妻から聴ける話によって、この世界の謎や成り立ちを想像できたりもするのですが、それが結構興味深い。
このゲームのメインテーマは重力なのですが、実際の科学で重力と時間についての関係なんてことが議論されたりしますよね。
重力を自由自在に操れる人物が存在するこの世界では、時空の歪みもあるっぽいんですよね。
この存在によって、単なる『そういう世界があるんだよ』というS(少し)F(不思議)ではなく、サイエンス・フィクションになってたりするのも興味深い。

ゲームのヴィジュアルやストーリー、主人公の性格なんかをみると『低年齢層向け?』なんて思いがちですが、大人でもガッツリ楽しめる作りになっています。
この作品は2012年 日本ゲーム大賞を受賞したようですが、ゲームの雰囲気や操作感、体験を踏まえると納得ですね。

近日発売になる『2』はこの作品の続編に当たるため、『2』に興味をもっていて、まだ無印をプレイしていない方は、プレイしてみては如何でしょうか。

労働時間は4時間ぐらいが丁度良いのではないだろうか

最近、結構な頻度で思うことが有ります。

人間は働きすぎなんじゃないか。

労働時間としては、4時間ぐらいがちょうどいいのではないかと。
という事で今回は、労働時間について考えていきます。

最近のニュースを見聞きしていると、企業のブラック化やサービス残業による過労死の話をよく聴きます。
では、世の中にはそんなに沢山やらなければならないことがあるのかというと、そうでもない様子。
多くの企業や業種では仕事がない状態が続いていますし、どう控えめに見ても供給が有り余っている供給過多の状態にしか見えない。
需要の量よりも圧倒的に供給量が勝っているので、実際に物の値段も上がってないですし、当然のことながら、商品として売り出されるものを製造している人の給料も上がってない。

世界に目をやると、アメリカ大統領に就任するトランプさんは、『世界からアメリカ人の手に、仕事を取り戻す!』なんて言い出してます。
いつの間にか仕事は『他人から奪ってでもやるもの』になっていて、仕事の奪い合いなんて現象まで起こってきている。
『ニュースでは人不足が深刻だ』なんて反論する人もいらっしゃるかもしれませんが、ニュースに流されず、冷静になってご自身の頭で考えてみてください。

『人不足なのであれば、何故、人件費が上がらないのか。』

例えば、ネット通販の拡大によって運送業の需要は飛躍的の伸び、それに伴ってドライバーの人員不足が叫ばれていますが、この人員不足を解消する為に最も効果的な手段は、賃金を上げることです。
しかし実際に給料は上昇しているのでしょうか?
私が社会に出だした20年ほど前は、佐川急便で3年働けば、自分で店を開くための開業資金ぐらいは余裕で貯まるという話を普通に聴きました。
しかし今現在は、流通といえばブラックと言う話しか聞かない。仕事が激務になっているにも関わらず給料は下がっていて労働環境は悪化している。
全業種と比べると所得額は53万円低いが、労働時間は516時間も長いそうです。

日本の流通網が崩壊? 過酷勤務による深刻な“トラックドライバー2015年問題”で年末にも大混乱!(週プレNEWS) 赤かぶ

何故こんな事になっているのかは、貨物自動車運送事業社数を見れば、何となく想像は出来ます。

全国紙への広告掲載について | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association

昭和50年には31,146しか無かった運送業者は、平成22年には62,988事業者と倍増している。
事業者が倍増してことによって給料が下がって労働時間が伸びているというのは、複雑なことが起こっているわけではなく、単純な供給過多と考えるほうが自然です。

機械による生産の自動化や、IT・流通の進歩によって、商品はどこで生産しても一定品質のものが安価で出来るようになった。
人が今まで手間暇かけて行っていた仕事を更に効率よく行ってくれるシステムが出来たことによって、人が行うべき仕事が減り、残された仕事を奪い合うように『人手が必要な業界』に新規参入者が増え、過当競争が起こってしまった。
過当競争が起こっている業界では給料は上昇せず、むしろ下落するにも関わらず業務内容は厳しさを増すため、人材は集まらない状態になる。
今起こっていることは人手不足ではなく、『最低賃金で働く奴隷』が慢性的に足りない『奴隷不足』が起こっているだけです。

でも、おかしな話ですよね。
一昔までの労働は、自分たちではやりたくないので、外国から奴隷を狩ってさせていたものだったのが、労働は確保する為に他国や企業に圧力をかけて奪うものになっている。

では、実際に他人から奪ってまで仕事をしている人が幸せになっているのかというと、そうでも無い。
手に入れた仕事を手放さない為に、『自分たちに任せたほうがリーズナブルですよ。』と言わんばかりに無償でサービス残業をし、結果として日常生活が犠牲になって、生きるために働くのではなく働くために生きてい状態に。
酷い場合には、働きすぎて死ぬなんて本末転倒な事も起こっている。

今の世の中では、仕事を奪われた人は対価としての金銭を受け取れずに貧しい生活を強いられるが、仕事を奪った人も仕事に押しつぶされて悲惨な生活を送っている。

ここで思うわけですよ。
『仕事を奪い合う』のではなく、『皆で分担』すれば、丸く収まるんじゃないかと。
一人の人がサービス残業込みで12時間働く事で2人の人が失業しているのであれば、それを3人で分割して4時間づつ働く方が楽ですし、精神衛生上も良いのではないかと。
また、労働時間を4時間にすることによって様々な問題も解決することが出来ます。

例えば、都市部では待機児童問題が叫ばれていますよね。
この問題は、少子化で将来子供の数が減る傾向にある日本では、保育所を大量に作ればよいという単純な方法では解決が難しい。
というのも、今の子供の数に合わせて施設を作ると、将来、確実に施設が余ることになるからです。

しかし、労働時間が1日4時間の場合ではどうでしょう。
例えば、父親が午前中8時~12時、母親が午後の13時~17時の4時間づつ働くとした場合、父母のどちらかが常に家にいる状態が確保できる為、育児において保育所が必須ではなくなります。これは介護問題にも当てはまります。
その他の細かい例でいうと、先程例に出した運送業の業務が激務になっている理由の一つに、再配達があります。
夫婦共働きで家を開ける時間が多い場合、荷物を届けても不在で受け取ってもらえず、再配達されるケースが増えます。
しかし誰かが常に家にいれば、その手間はかなり減少することでしょう。

また、労働時間が減少すると、今まで働いていた時間を他のことに消費することが出来ます。
そもそも、消費社会は人が消費しなければ循環しないシステムですが、今の様に全産業が過当競争を行っている世の中では、消費に回す時間そのものが無い状態です。
今現在起こっている事は、過当競争によって労働者の時間や賃金が削られることによって、映画・ゲーム・雑誌・レジャー等に時間と金を割くことが出来なくなり、消費が落ち込むことで更に過当競争が激しくなるという悪循環です。

生活に必要な最低限の出費以外の消費は『余暇』に行われるわけですが、朝起きて働いて、家に寝に帰るだけの生活に『余暇』なんて存在しませんから、消費が行われなくて当然。
しかし、労働時間が4時間に短縮すれば、『余暇』を持て余した人達が色んな発想のもとに創造したり消費したりする為、より面白い世界になる。

これから先、より発展した技術は更に多くの仕事を奪っていくでしょう。
その際、残った仕事を奪い合うために更に苛烈な過当競争を行って自身を追い込むのは、かなりバカバカしいことだと思います。
機械が仕事をやってくれるというのなら喜んで任せればよいし、誰かが仕事がしたいというのであれば仕事を分け合い、一人当たりの仕事量を減らして余暇を楽しむ方が、世の中楽しいと思うんですけどね。

モノが溢れて仕事が無い環境なのに、仕事をしなければ生活できないというのは、そもそものシステムの方が時代に合わなくなってきているのではないでしょうか。

保守主義・右傾化は何故起こるのだろうか

最近テレビを見ていると、トランプ大統領の話題がかなり多いですね。
それにともなって、『今、世界では何故、保護主義に傾いているのか。』みたいな事も話されていますね。
専門家の方々は、様々な理由を考えたり絞り出したりして、『世界では、今まででは考えられないような事が起こっている!』なんて大層なことを発言していたりします。

しかし冷静になって世の中を見てみると、別に不思議な事が起こっているわけでもないですし、今起こっている事は過去に起こってきたことの繰り返しに過ぎなかったりします。
専門家は自分の存在価値を高める為に、さも複雑なことが起こっているかのように演出しますが、実際の切っ掛けは物凄く単純で、誰でも理解できることだったりします。
という事で今回は、今世界で起こっている保護主義や右傾化について考えていきます。

保護主義ナショナリズムが高まっている原因は、何も複雑怪奇なことが起こっているわけではなく、理由はものすごく簡単なことだったりします。
答えは、『お金』です。

昔、イギリスで産業革命が起こったときのことを考えてみましょう。
産業革命によって多くの手工業職人的な労働は、人の手から産業機械に取って代わられました。
職人の価値は大きく下がり多くの失業者を産み、当然のように人々の手取りの給料も下がりました。

この流れに反発するように起こったのが、『ラダイト運動』や『機械打ち壊し運動』と呼ばれるものです。
『機械が自分たちから仕事を奪った!機械の手から自分たちの色を取り戻そう!』と、労働運動が起こったのです。

今起こっていることは、これが『機械』から『移民』に変わっているだけで、本質的なことは全く同じことです。
IT技術の進歩や運送システムの進化によって、労働力が安い国に工場が集中し、先進国から職がなくなった。
また先進国国内も、物価水準が低い国からの移民や難民によって、賃金が引き下げられることになってしまった。

例えば日本国内でコンビニのように、時給は最低賃金だが覚える事と仕事が大量にある様な仕事は、日本人なら『この賃金でこの労働はやってられない』と職につきたがらない。
通常であれば、この状態が長く続くとコンビニ側は人を集められないので、人件費を上げることで何とか人手を確保しようとするのですが、物価水準が低い国から来ている人にとっては日本の最低時給は良い条件に見えるので、求人に応募してしまう。
これによって求人の需給バランスが整ってしまうと、給料が上がることはなくなってしまう。
最低時給の場合はこれ以上下がりようがないが、最低時給以上で求人をしている業界等の場合、給料の押し下げ要因にもなりうる。

こうなってくると今までその業界で働いていた人たちは、『移民が自分達から仕事を奪う!』と考えてしまいがち。
その考えが発展すると『あいつらを追い出せ!』なんて考えにも至ってしまう。
今起こっているのは、まさしくこの状態と言えるのではないでしょうか。
これは先程も書きましたが、『機械が仕事を奪う!』と機械を壊す運動と基本的な考え方は全く同じ。
ただ、対象が機械から外国人に変わっただけです。

外国人排斥の考えが更に発展すると、ナショナリズムの強化にも繋がります。
外国人を批判して追い出すためには、その反対側である自国民を褒め称えなければなりませんしね。
これらの流れは、トランプを選んだアメリカやEUから脱退を決めたイギリスだけで起こっていることではありません。
雇用を奪わている先進国では、多かれ少なかれ起こっていることです。

例えば日本。
ここ数年のテレビを見ていると、『流石日本に技術!』『日本人の心遣いは凄い!』『日本の文化は素晴らしい!』なんて聴いてるだけで恥ずかしくなってくるような事をテーマにした番組が非常に多いです。
その一方で、製品のシェアや労働を奪われている対象の中国や韓国に対する報道は敵対意識丸出しのものだったりします。
巨大掲示板や、まとめサイトを読んでみても、『あなたは中国人や韓国人に親を殺されたんですか?』と聞きたくなる程にヘイトを撒き散らしている人の多いこと。
そんな人達が揃って『トランプ選んだアメリカ人てw』なんて言ってても、余り説得力が無かったりします。

この様に、既に日本でもナショナリズムは高まってる状態。ただ、政治的に目立ってないだけともいえます。
今の雰囲気では、仮に日本の政治団体の1つが、『中国人や韓国人から仕事を取り戻そう! そして誇り高い日本を取り戻そう!』なんて意見を全面に押し出せば、与党になる可能性をはらんでいる。
日本がもし大統領制で、そんな人間が立候補したた、当選する可能性も十分考えられる状態に感じられます。

まとめると、IT技術や輸送システムの進化によって、低い労働賃金を提供できる国や人に仕事が流れてしまった。
資本主義で消費社会の世の中では、仕事をしてお金を得なければ行きていけない為、仕事を奪われた人達は、それを奪った国や人達を憎むようになってしまった。
その反動として、逆に自国の人や文化を持ち上げるようになったというところでしょう

新たな技術が生まれる度に昔から繰り返されてきた事で、特に『今始まったことではない』現象が、今の保護主義や右傾化でしょう。

ただ、この状況になって一つ心配なのは、保護主義になってナショナリズムが高まった時って、戦争になるケースが多いんですよね。
個人的には『仕事』というのは日常生活を行う上で『仕方なく行わなければならないこと』であって、技術の進歩で仕事の量がドンドン減っているのなら、少ない仕事を皆でシェアして、一人一人が働く時間を減らしても回るようなシステムを作るほうが良いように思うんですよね。
少ない仕事を奪い合うために殺し合いをするとか、かなり非合理的だと思うのは、私だけなんでしょうか。

私が今(2017年)に大型テレビを購入した理由

年が明けてまだ10日程しか経っていませんが、新年1発目の大きな買い物はテレビでした。
購入した切っ掛けは、家電量販店で実物を観てしまったからです。

私は年明け早々に運転免許の更新をしなければならなかったのですが、いつもの更新なら羽束師という結構遠い所まで出かけなければならなかったのが、去年の9月ぐらいから、ゴールド免許保持者は京都駅前に開設された免許更新センターでも更新が出来るということで、京都駅まで行ってきたんです。
免許更新はゴールド免許の人しかいないという事で非常にスムーズで、待ち時間もなく、14時に入って14時45分には終了して施設を出たほどでした。
思っていたよりも短時間で終わったのと、久しぶりに京都駅まで来たということで、すぐには帰らずに探索しようと思ったら、丁度、更新センターの隣がヨドバシカメラという事で、『最近の家電を見てやろう』と入店したんです。

去年末にPS PROが発売し、少し4kテレビに関心があった私は、とりあえずテレビコーナーへ。
グルッと一周してみたんですが、まぁ、画面がデカイこと。そして、お値段の高いこと!
普通に20~30万円の値段が付き、60インチを超えるものは更に高い状態。
『これは、手が出ないわ…』と思って去ろうと思った所、目立たないところに『LG電子』のテレビが置かれていて、国内メーカーの半額近くである10万前後の破格の値段で販売されていました。

この値段を見て俄然、買う気が出てきたので、早速、家に帰って4kテレビの事を調べてみることにしました。

今更ですが、4kはフルHDの4倍の画質のテレビです。
そしてフルHDとは、1920×1080ピクセルピクセルは、マス目の数で、この場合は横に1920マス、縦に1080マスの2,073,600マスで画像を表示)
ちなみに、私が持っているテレビ(37c2000)は、1366x768(1,049,088)とフルHDにすら届いていないという代物。
買おうと予定している4kの3840×2160ピクセル(8,294,400)と比べると、8分の1の性能。
逆にいえば、現状のテレビを4kに買い換えると、ピクセル数が8倍という事に。

次にメーカー。この時点での私の知識は、『LG』が韓国メーカーという知識しかありませんでした。
『安かろう悪かろう』という言葉もありますし、テレビは大きな金額が出ていく上に長く使う代物。安くても粗悪品だったら元も子もありません。
という事で早速ネットで調べてみた所…
出てきた答えは、『コスパ最強!』という文字。
性能面では国内メーカーに若干劣っている部分もあるそうなのですが、そこを我慢するだけで値段が半額になるというのが凄すぎる。
しかも安い理由が、部品に粗悪品を使っているとか性能が悪いからではなく、『前に一度、日本の市場に参加したが惨敗し、再度シェアを握る為に価格で勝負に出た』という理由。
消費者としては、これほど嬉しい理由はない。
元々、国内メーカーの信者というわけでもなく、なんなら、日本メーカーのゴチャゴチャとしたリモコンに嫌気がさしていた私にとっては、この時点でLG一択に。
kimniy8.hatenablog.com
では残るのは、LGの何を買うのかという問題。

ネットでざっと調べてみた所、LGで今現在販売されている商品は、UH8500 UH7500 UH6500。
後は、アマゾン限定?でUH6100という4商品のようでした。
   

この中でも、UH8500は価格が他の商品の約2倍と飛び抜けて高いので、コスパ重視の私にとっては論外。
価格面で一番安いのはUH6100ですが、インチ数は43型と49型の2つのみ。
UH7500は43~60インチと幅広い大きさをカバー。UH6500は最大サイズが55インチまでですが、UH7500に比べて2割ほど安い。

こうなると先ず決めなければならないことが、『何インチを買うのか』という事。
そこで推奨サイズを調べてみると、テレビは『視聴位置とテレビ』の関係で大きさを決める方が良いとのこと。
具体的には、【テレビの高さ】×3=【テレビまでの距離】の方程式で考えると良いようです。
逆算すると、自分が普段テレビを見ている距離の3分の1の高さのインチ数が推奨されているって事。
私が普段いている位置は、テレビから2~2.5m程が多い為、これを3で割る66~80センチ程度。
49インチの高さが65.2cmで55インチが72.1cm。60インチは78.8cmなので、この方程式から見てみると60インチは若干大き過ぎる感じで、55か49が私の生活にはあっている様子。

サイズが2つに絞られてきて、『さぁ、どちらを買うのか!』という感じになってきたのですが、ここから非常に悩みました。
価格が天と地ほどの差があるならまだしも、49と55は販売価格で1万ちょっとしか差がない(6100がセール時。セール無しだと差はない。)。
数字で見ると画面サイズが49が110.2×64.0に対して、55が124.0×78.7と、14cmづつの差。
14cmってそんなに差がなさそうだし、家のレイアウトを考えると49の方が扱いやすいかな?なんて思ったのですが、4k画質を体感しようと思うと50インチ以上は欲しいらしい。実際に紙とセロテープで画面サイズを再現してみると、観た感じがぜんぜん違う!ってことで、悩んだ挙句に55型に決定。
この時点で、UH6100は選択肢から外れました。

最後のに残る問題は、UH7500かUH6500のどちらにするのかという問題。実売価格で約2万の差が有ります。
2万で雲泥の性能差があるのであればUH7500の一択なのでしょうが、差が微妙であれば、2万の差は大きい。
という事でLGの公式サイトで使用を見比べたのですが…
www.lg.com
差が全くわからない。
強いていうなら、テレビのスタンドの形と付属のリモコンが違う程度で、パネル部分の性能差が殆どない。
しかもそのリモコン(マジックリモコン)は、別売りで5千円で買える代物。
   
パネルに差がないのであれば、別売りリモコンを別途購入すれば差額の15,000円が浮くということで、やっとのことでUH6500の55型に決定しました。
   
今世間では、『オリンピックに向けて8k放送が始まるので、4kは通過点で買うだけ無駄。しかも放送始まっても写せるチューナーがない』なんて事も言われていたりします。
しかし個人的には、4kはそこまで捨てたもんじゃないんじゃないかと思っています。

最初にも書きましたが、PS4 PROは既に4kに対応していますし、ネット動画のNetflixyoutubeAmazonビデオも4K対応動画を出してきています。
仮に地上波放送が4kを飛ばして8kになったとしても、8k動画を4kにダウンコンバートすれば放送自体は普通に見れると思われますし、チューナーも数千円で外付けのものが出るでしょう。
また、4kの時点で50インチ以下だと恩恵が受けにくいという事は、8kの場合には何インチ以上必要なのかと考えると、大抵の家庭では4kでも支障がないかもしれません。
そして当然のように、オリンピック前に売り出される8kは価格が非常に高いと思われます。
テレビのコモディティー化のスピードを考えると、今、4kを購入して10年間粘ると、10年後に8kに乗り換える際にはお手頃価格まで下がっていて、今回の出費と同じぐらいで8kが帰るのではないでしょうか。

様々な事を考慮すると、オリンピック前まで買うのを粘るより、個人的にはコスト的にも今ぐらいに購入してオリンピック前はスルーが、お財布的には一番良いように思いますが、どうでしょうか。

【ゲーム紹介】 Watch Dogs2 (ウォッチドックス2)

今回紹介する作品は、2016年の12月1日に発売された『Watch Dogs 2 (ウォッチドックス2)』です。





発売日がFF15や龍が如く6と近いため、日本での注目は結構低めという事で、ノーチェックの方も結構いらっしゃるかもしれませんね。
そんな私も、実はノーチェックだったりしました。
というのも、私の知り合いに前作の『Watch Dogs』をプレイした方がいらっしゃるのですが、その方が『そんなに面白いと感じなかった』と仰ってたので、この続編にも期待をしてなかったんですよね。

ただ、発売から1ヶ月近く経った年末に評価を見てみると、かなりの高評価。
前作の舞台は寒いシカゴで、主人公も比較的暗い人物でストーリーが復讐劇と、ダークな雰囲気を漂わせていたのに対し、今作は明るい雰囲気のサンフランシスコが舞台で主人公は今風の若者たち。
ノリも良く、主人公たちの目的も個人的な復讐というよりは、現体制へのカウンター。
物語を通して、現在の世の中の問題点等も観える仕組みになっていると、かなり興味をそそる内容となっている様子。

という事で早速購入してプレイしてみました。

簡単なストーリーとしては、主人公のマーカスが、街中に張り巡らされている監視システム ctOS2.0 に誤検知されて潜在的犯罪者にされてしまい、常に監視される対象にされてしまいます。
この一件でCtOSの開発会社ブルームに不信感を抱き、その対抗組織である『DedSec』に加入するところから始まります。
『DedSec』加入のための審査はブルームのサーバーに忍び込み、自身の濡れ衣である犯罪履歴を抹消すること。
このテストに見事に成功したマーカスが、ブルーム社に対抗する為に、様々なサブ・メインクエストをこなして不正を暴き、真実を公表する事がゲーム本編の流れとなっています。

何故、いきなりブルーム社に赴いて攻撃するわけではなく、コツコツと不正を暴く必要があるのか。
それは、ブルーム社に対抗する為の力を蓄えるためです。

ブルーム社は、街中の監視システムから得られる個人情報をまとめ、特定の企業に売却して多額の利益を得ています。
例えば、毎日の様にピザを注文して食べている人は、バランスの良い食事を摂っている人に比べて成人病などにかかる可能性が高いと推測されます。
この様な人たちを1つに纏めたデータは、生命保険会社にとっては喉から手が出る程、欲しい情報。
何故なら、病気のリスクが高い人たちの保険加入を拒否、既に加入している人に対しては保険料を大幅に値上げする事で、保険金支払いリスクをかなり低減させることが可能だからです。

この様な情報売買によって多額の利益を得たブルーム社は、更に自身のシステムを増強させ、非常に大きな力を持っています。
その一方で『DedSec』は優秀なプログラマーはいますが、大掛かりな設備があるわけではない。
そこで対抗手段として、アプリを開発。アプリを導入したデバイスは『DedSec』にデバイスの処理能力を提供する様な仕組みになっています。
能力の低いPCでも、大量に用意して並列処理すればスパコン並の能力が得られます。
町の人々が持つスマフォ等のデバイスは、処理能力としては微々たるものですが、それが数万、数十万と集まると、ブルームに対抗するのに十分な力となりえます。

『DedSec』は、より多くの人たちにアプリをインストールして貰う為、体制が行っている不正を暴いて真実を告げ、大衆を味方に引き入れてフォロワーを増やす必要があるんです。
フォロワーが増えれば増える程に主人公の端末の処理能力は増え、より多くのハッキングができるようになります。
これは言ってしまえばRPGにありがちな経験値とレベルアップなのですが、この部分にも細かい設定を加えてくれているおかげで、より物語に没入しやすくなりますね。

経験値ではなく『フォロワーを増やす』事が目的なので、手段はクエストクリアーだけでなく、Instagramの様な写真投稿アプリで写真を投稿したり、自動車レースに出て名前を売るなど、様々な方法で稼ぐことが出来ます。
使える手段はなんでも使う、情報戦やイメージ戦略でも強く成れる設定というのが面白いですね。


こんなに細かい部分の設定に気を使ってくれている事からも想像できるかもしれませんが、ストーリーも結構面白い。
メインストーリーが興味深くて面白いというんもありますが、主要キャラクターの作り込みもすごく、人物が持つ個性などがヒシヒシと伝わってくる。
ストーリー・キャラクター・世界観が作り込まれているお陰で、没入感が凄い。

肝心のクエスト攻略ですが、基本的には同じような潜入ミッションの繰り返しなのですが、選択肢が多数用意されていて飽きさせません。
というのも、このゲームではラジコンカーと空中を翔ぶドローンの2種類を操作する事が出来、敵地に入らずにラジコンのみで目的を達成する事が可能だったりします。
小さくて目立ちにくいラジコンを使った制圧は潜入ルートさえ見つければ簡単に占拠可能なのですが、それを敢えて、自分自身の体ごと敵地に潜入するという方法でも攻略可能です。

自身が潜入する場合も、見つからずに潜入するステルスや、武装を整えてから敵を倒しながら潜入する、または、現地の電子機器をハッキングしまくって敵を翻弄してスキを作る等、色々。
敵を倒す場合も、実弾で敵を殺すのかスタンガンで気絶させて不殺を貫くのかなど、独自のスタンスで攻略できる上、攻略の仕方によって難易度が変化する為、色んな縛りプレイができて楽しい。

マップもGTA5に比べると狭いですが、街の描写クオリティーが上昇しているため、散策しているだけで楽しい。
車を使わずに徒歩で歩きたくなる程で、移動しているだけで楽しく飽きさせません。


長々と書いてきましたが、PS4を持っている方であれば、是非、体験してもらいたい作品となっています。
オススメです!!

【ゲーム紹介】 ソフィーのアトリエ

今回紹介するゲームは、アトリエシリーズの『ソフィーのアトリエ』です。




アトリエシリーズの第一作は、確か『マリーのアトリエ
初代プレイステーションで1999年に発売された作品ですが、私がアトリエシリーズをプレイするのはこれ以来。
つまり、17年ぶりにアトリエシリーズをプレイしたという事になります。

17年も昔のことなので、私の記憶も結構おぼろげなわけですが、私の記憶が確かなら、アトリエシリーズは期限までに『賢者の石』を作ってテストに合格する事を最終目標に、様々な素材を集めてアイテムを制作する。
素材はアトリエ外の色んな所に落ちているのですが、一部のアイテムは危険なモンスターが生息するような地域にしか存在しない為、錬金術で敵を倒す為のアイテムを作ったり、街で一緒に外に出てくれる用心棒的な存在を雇ったり…って感じの、RPG要素も含むゲームだったと記憶しています。



ちなみにこのアトリエシリーズですが、17年ぶりに新作が発売した!というわけではなく、ほぼ毎年のように新作が発売されており、今回紹介する作品はA17と表記されているので、17作目なのでしょう。
アトリエシリーズ - Wikipedia
そんな毎年のように発売しているアトリエシリーズですが、何故、初代のマリー以降一切プレイしていなかった私がプレイしたかといいますと、PSPlusのフリーソフトの対象になったからです。

フリーソフトというのは、PSNの課金サービスに加入している人は、月に何本かのソフトが無料でプレイできるようになるサービス。
アトリエシリーズがどの様に進化しているのかも気になってましたし、無料でプレイできるとなれば当然プレイしたくなりますよね。
という事で、年末年始で暇も十分ありますし、とりあえずDownloadしておこうかな?ぐらいの軽い気持ちではじめてみました。

実際にプレイした感想ですが、好き嫌いも当然あるとは思いますが、非常に面白い作品でした。
これが無料プレイとか太っ腹すぎますね。

という事で、プレイした感想がてら紹介していきます。

先ずは、ゲームを始めると真っ先に目に入るグラフィックから見てみますと、キャラクター、それも女子の作り込みが結構凄いです。
そのわりには、背景部分はPS2レベル?と思ってしまう程のシンプルな作り。
このバランス、どこかで見た事あるなと思ったら…
以前紹介した『よるのないくに』と同じ作り方。よく見ると作ってる会社も同じということで、妙に納得。

ストーリーは、師であるおばあちゃんを亡くし、独り立ちしたばかりの錬金術士ソフィーが、薬を調合したレシピを遺品の本にメモ書きした所、その本が急に浮き上がって話し始めるというところから始まります。
その本は記憶をなくしており、記憶を取り戻すための手段が、本にレシピを書き加え続けること。
本(プラフタ)の記憶を取り戻すため、錬金術のレシピを考えて実践していくという物語。
ストーリーに凝ったところは特に泣く、かわいいキャラクターが可愛い仕草を交えながらの会話劇形式で進んでいき、ストーリー自体は特に面白いと思わせるようなものもなく、意外性もない感じ。
あえていうなら、良い歳した男がやるには恥ずかしすぎる雰囲気とテンポで進んでいく。

グラフィックもストーリーも力が入っているとは思えない作品ですが、何がここまで面白いのかというと、このゲームの基本であるアイテム製作です。

アイテム製作は、主人公のソフィーが様々な行動を取ることでレシピを思いつき、各地に点在する採集ポイントで材料を集めて合成するという方法で行います。
この、一見単調に観える作業が、かなり面白い。
逆にいえば、一番面白いと思える部分が単調作業になりがちなので、この『作業感』が耐えられなかったり生理的に受け付けない人は、このゲームには向いてないと思います。

では具体的な、アイテム合成の話にう散りましょう。
各素材アイテムには、品質・カテゴリー・4色の色属性・特性などが存在します。

品質は単純に製品の質の良さを表していて、良ければよいほど良い製品ということになります。
カテゴリーは、そのアイテムがどのカテゴリーに属しているのかというもの。
例えば、『水』『火薬』『魔法の道具』『神秘の力』『紙』『燃料』等のカテゴリーがあり、製品ごとに特定のカテゴリーの製品・素材が求められます。

4色の色属性については、説明が結構面倒くさいので割愛。
簡単に言うと、アイテム固有の能力を高めるために必要なもの。

特性は、それぞれのアイテムを強化させる能力を付けることが出来ます。
付ける方法は引き継ぎのみで、『攻撃力増加』という特性を持つ素材などを利用して製品を作ると、完成後にその製品を引き継ぐかどうかの選択を求められます。
特性の中には、装備キャラクターの全ての能力値を大幅に増大させる『全能の力』といった強力なものもあり、最大3個まで付けれます。
この特性ですが、中には組み合わせることでランクアップする属性なんかも存在します。
例えば『攻撃強化』と『防御強化』を持つ素材を組み合わせると『攻防強化』にランクアップといった感じ。

これらの基本を理解しつつ合成するのですが、これがかなり面白い。


例えば、自分が武器に付けたい特性が薬草に宿っている場合、この『植物』から特性を引き継ぎつつ、カテゴリーを『金属』等の武器素材に変える必要が出てくる。
これが、結構頭を使う。
なれてくれば、単純に、最強レベルの特性を引き継いだだけの高レベル装備を作るのは難しくなかったりするのですが、これに加えて品質を999にしようなんて思うと、下準備の段階でいろんなものを調合しなければならないため、本当にアトリエで実験をやっているような気にすらなってくる。
ストーリー自体が重くなく、キャラクターも可愛く作られていて、それでいて程よく頭をつかう作品のため、小さいお子さんがいらっしゃる方は、子供にプレイさせてると教育的にも良いんじゃないかと思うほど。

現在フリープレイ配信中なので、PSプラスに加入されていて少しでも興味をもたれているかたは、ダウンロードしてみても良いんじゃないでしょうか。
お勧めです。

『空気を読む』という文化は必要なのだろうか

日本には、『空気を読む』なんて言葉がありますね。
何年か前には、空気が読めない事を略して『KY』なんて言葉も流行りました。

しかし、そもそも空気を読むって何なんでしょう。
wikiなどを調べてみると、結構詳しく書いてあるのですが…
場の空気 - Wikipedia

私の頭が悪すぎるのか、読んでも分かったような分からないような…
そもそも、主観でしか物事を理解できない人間に、空気を読むなんてことは出来るのでしょうか。
という事で今回は、『空気を読む』について考えていきます。

普通に暮らしていると、『空気を読む』って言葉を結構な割合で聴きます。結構耳にするということは、幅広い人達に認知されている行動のはずです。
他の人がどの様な意味合いでこの言葉を認識して使っているのかは分かりませんが、私個人の考えとしては、他人の迷惑にならない様に、または、他の人が過ごしやすいように気を使うことだと思います。
皆が他人のことを思って、空気を読んで行動しているのであれば、世の中は非常に暮らしやすい状態になっているはずだと思います。
しかし実際には、そんな状態にはなっていない。
なんなら、この『空気を読まなければならない空気』のせいで、世の中が暮らしにくくなっているような気がします。

例えば、呑み会の席などにいった場合のケースで考えてみましょう。
私はビールを注文する場合が多いのですが、これが瓶で出てきた場合は、量を呑むことを強要されるケースが結構多い。
正直な話、お酒は自分の好きなペースで好きな量を呑みたいのですが、大抵の場合はコッブのビールがわずかでも減っていると酌をするという名目で注いでくる。
酷い時には、こちらのお酒が全く減っていないのに、別の人の酌をする為にビール瓶を持ったからという理由で、『あんたも呑んで注ぐスペースを開けろ』と言わんばかりに圧力をかけてくる。

向こうは気を使っての行動なんだろうけれども、こちらからすれば迷惑行為以外の何物でもない。
そんな迷惑行為をされたのにもかかわらず、こちらは空気を読んで、『注いで貰ってありがとう』と、笑顔で伝えなければならない。

この様なことは、カラオケなどでも存在する。
私は個人的に、歌うという行為がそこまで好きではありません。
その為、積極的にはカラオケには行きたくないわけですが、空気的に行った方が良い場合などもあり、行くときも有ります。
私は歌うのは好きではないのですが、人が楽しそうに歌っているのを見聞きするのは嫌いではない為、カラオケに行ったからと言って不機嫌な顔をするわけでもなく、一応、楽しそうな雰囲気を出すようにはしています。
しかし、ここでも登場するのが『空気読んでますよアピール』の人。

このタイプの人は、『自分は楽しい雰囲気作りをする為に、絶えず、周りの人のことを観察してますよ』と言わんばかりに、『貴方、さっきから聴いてるばっかりで歌ってないじゃない。歌って!』等と言ってきます。
ただ私は気を使って歌いたい気持ちを我慢して歌ってないのではなく、本当に歌いたくないから歌ってないだけなので、この手の行動は迷惑でしかありません。
ですが、『空気を読む』という行動の存在の所為で、私は本気で嫌がっているにも関わらず、この人の目には『遠慮して歌ってないだけ』としか映らない。
その後、散々『歌って!貴方の歌を聞いてみた!』なんて事をいわれ、こちらも空気を読んで渋しぶ選曲して歌い出すと、『歌って!』とせがんでいた当の本人は、『仕事が終わりました』とばかりに選曲すべく端末を見て、こちらの方を見もしない…
別に良いんですよ。 私は歌が上手い方ではないですし、人が集中して聞く程のものではない事は熟知してますから。
でもね、こっちは歌いたくないのに空気を読んで、そちらの都合に合わせて行動を起こしたんですよ。それでその仕打ちですか。
おそらく歌うように促した人の中では、『この人は歌いたいのを我慢してたけど、私が頑張って歌わせてあげた。 私って偉い!』ぐらいに思っているのでしょう。

もう一度言いますが、この行動は一定割合の人たちにとっては、迷惑以外の何者でもありません。

では何故、こんな迷惑な余計なお世話が一般に浸透してしまったのでしょうか。
私が思うに発祥したルーツとしては、クレーマー対応なのでしょう。
クラブやキャバクラといった所は私は行ったことが有りませんが、テレビ等で、酒が減れば注ぎ足し、タバコを取る仕草をすればライターをつけて待機するなんてシーンを観ます。
世の中に一定数存在すると思われるそんな風に偉ぶりたい人たちは、会社の呑み会などで部下に対してその様な『気の使った行動』を暗黙の内に強要する。
暗黙のプレッシャーが分からない鈍感な人に対しては、『教育』という名の罵声が飛んで来る。
部下からすれば、会社の上司の誰がそんな行為を必要としているかが分からない為、全員に対して『気の使った行動』を行わなければならない。
こんな行動を望んでいない心優しい上司は、『部下が気を使って取ってくれた行動』に対して気を使って応えてしまう。

結局のところ、声のでかい他人の事を考えない人間の要求が通り、その状態に普通の人が合わせなければならない状態になってしまっている。

これは、コンビニで不良ぶった未成年が煙草や酒を買い、それが見つかると、法律を犯した本人ではなく売ったコンビニ側が叩かれてしまう。
コンビニ側はクレーマー対策として、レジ前に『年齢確認ボタン』を表示させて押させ、全く関係ない法律を守っている人たちが割を食う。
迷惑な客やクレーマー対策をした事によって、一般客が被害を受ける状態に似ているのかもしれない。

他人の事を考えない声のでかい、サイコパス気質の人間は企業トップに多いようで、この人達が『デキる人間』と認識する人の多くは『空気を読める』とされる行動を多用するため、サラリーマンの間でこれが一般常識化してしまった。
president.jp
toyokeizai.net

これが一般人が行う普通の呑み会でも導入され、結果として、空気を読める行動を押し付け合うという状況になってしまったのでしょう。

こうして冷静に見てみると、日本人が大切にしている『空気を読む』って行動は、『空気を読んだ行動をとっている私って凄いでしょ!』という間接的な自己承認欲求を押し付けているようにもみえる。
そしてそれに付き合わされる方は、相手が気を悪くしないように行動を心がけないといけない為、結構精神を消耗してしまう。
考えれば考える程、要らない文化なんじゃないかと思ってしまう。

こんな文化は、いっそ捨ててしまった方が、世の中生き易くなるのではないでしょうか。

【おすすめPodcast紹介】 境目線引

私の独断と偏見のPodcast紹介コーナー。
第120回。

過去に書いた投稿
タイトル紹介はこちら
エピソード紹介はこちら

今回は、【境目線引】

境目線引

境目線引

  • 境目鶴丸と線引屋コレキヨ
  • レジャー
  • ¥0
です。


今回紹介するwebラジオは、僕と◯◯の境界線。【境目線引】
このPodcastは、世の中にあふれている線引かれていない事、『どこからが浮気なの?』『女湯に入ってよいのは何歳まで?』みたいな曖昧な物に、境目鶴丸さんと線引屋コレキヨさん のラインマン2人がビシッ!と線を引く、線引Podcastです。

番組の簡単な説明としては、メインテーマは『世の中の曖昧なもの』について、独自の目線で線引をする内容ですが、それとは別に特別企画のような感じで、『ドラマ太郎』『東京太郎』『SNSポリス』といった、特定のジャンルを掘り下げる企画も行われています。
タイトルで差別化されているので、聞き手にとっては非常に分かりやすく、『線引を期待して聴いていたのにドラマの話しかしてない!』なんて事故が起こりにくい作りになっています。
この辺りは、Podcastに対して一家言も二家言も持っている、独自のPodcast論を持つ方々の配信という事で、しっかりしていて良いですね。

放送時間は30分前後と、気軽に聞くには丁度よい時間。
更新間隔は基本的には週1の日曜日更新で、たまに平日にも更新されています。


個人的な感想を書きつつ、紹介していきましょう。

パーソナリティーの1人、線引屋コレキヨさん は、名前や相方を変えつつ様々なPodcastを配信されています。
世の中から消されたコンテンツを探る番組とか、犯罪者の生い立ちを辿る番組とか…
それらを全て聞いている私の感想としては、この番組が一番、気軽に楽しめる番組ですね。

他の番組はテーマが重く、面白いけど聞く前に軽い覚悟が必要だったりするのですが、それに対しこの番組は、テーマや話題がより日常的で、とっつきやすいからかもしれません。
その他の理由としては、私は配信している方々に直にあったことがないので全くの憶測ですが、仲が良さそうな雰囲気が音声を通して伝わってくる感じが、聞きやすく心地よい耳障りに繋がっているのかもしれません。

これだけを読むと、テーマが身近で配信者2人の仲が良いだけの番組なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは結構凄い事だと個人的には思うんですね。

というのも『テーマが身近』『配信者の仲が良い』という条件を満たす番組の場合、大抵は底が浅く内輪ノリになってしまうからです。
内輪ノリにならず、配信者の存在を絶えず意識しつつ、その上で仲の良い雰囲気を演出して流れるように会話をしていくというのは、前提となる知識も持ち合わせていなければなりませんし、それをタイミング良く会話に織り交ぜる為には、相当、頭の回転も早くないと無理だと思うんですよね。
それを平然とやってのけるところは、シビれ、憧れてしまいます。

これを書いている段階での最新回『サブカルの境界線』では、「いとうせいこう」さんと「みうらじゅん」には足を向けて寝られないと仰っていましたが、あの二人に影響を受けたなら、あのトーク力にも納得といった感じ。
私は、Podcastでも配信されている『いとうせいこう×みうらじゅん ザツダン!』という番組を聴いているのですが、この2人のフリートークも、良い意味で『頭がオカシイんじゃないか』と思うぐらい凄い。
ちょっとした話題や言葉尻から別のテーマに流れるように変化し、話が二転三転して『何でこんな話になってるの?』って思うようなところに着地しているのに、面白い。
しかも一連の話を聞き終わった後、ちょっとした勉強をした気にすらなれるぐらいの雑学が手に入ったりする。
ちょっとした勉強が出来る程のしっかりをした話をしているのに、決して堅苦しくはなく、終始笑って聴けるコメディー番組っぽい仕上がりになっています。

この番組と同じ様な雰囲気を、【境目線引】からも感じるんですよね。

一見すると一つのテーマについて『線引』してるだけの様にも聴こえるんですが、よくよく聴いてみると、会話の至る所に、映画やドラマ、音楽や漫画などの情報が散りばめられていたり。
他には、昔、社会現象になったことや時事ネタ等の話題も入り、これを聴いているだけでかなりの雑談力が身につくんじゃないかと思う程です。
じゃぁ、『文科系トークラジオ Life』みたいな堅苦しいお勉強ラジオになってるのかというと、そんな事は決して無い。
肩肘張らずに終始笑って30分過ごせるのに、そこそこの情報が詰まってるといった感じ。
このクオリティーで、本当に素人なのかと疑ってしまう程。

後、これは個人的な事なのですが、お二人が興味をもって時間を割いている事が、私と少しズレている点も良い感じ。
例えば私は、海外テレビドラマはネット動画サービスを使って観るのですが、その一方で、日本のドラマは範囲外だったりします。
その為、日本ドラマの情報には疎いんですが、この番組のお二人は結構な数のドラマを追いかけてられて、話の端々に織り交ぜて楽しそうに話してくれて、今まで興味のなかった私にも興味を持たせてくれます。
また、『ドラマ太郎』という専門の企画でも話してくれるので、そこまで興味のないドラマでも教養として抑えておく、興味がある場合は観てみるなんて行動も取れる点が、非常に良いです。

何気に、日本の現在放送中のドラマをテーマにしたPodcastネットラジオが少ないので、その意味でも貴重な番組かもしれません。

長々と書いてきましたが、まとめると、メインとなるテーマの線引は、普通の人が生活していれば一度は疑問に思ったり、理解できる内容となっていて、前提知識な無くても誰でも楽しめるようになっているので、人を選ばずに楽しめることが出来るでしょう。
また、日本の放送中のドラマが好きな人や興味がある人にとっては、貴重な日本ドラマをテーマにした企画がある番組となっています。
番組の雰囲気も良く、番組で出しのテンションの高い境目鶴丸さんの挨拶を聴くだけでも疲れが吹っ飛ぶ明るく元気な番組となっていますので、幅広い方に聴いて貰いたい番組ですね。

オススメです!!

合法的詐欺に気をつけろ

ここ最近ずっと続いている不景気・デフレのせいか、情弱の人から資産を搾り取るという手口の話が目立ってきているようなきがする。
オレオレ詐欺やなりすまし詐欺など、定期的にテレビなどで警告されていますよね。
ただ、これらの詐欺は頻繁に警告されていますし、認知も結構進んできています。
注意していれば大丈夫でしょうし、犯罪なので警察も相談にのってくれるでしょう。

ですが、個人的に特に悪質だと思うのは、不動産やコンビニのフランチャイズ等の、合法的で且つ、関わっている人達が犯罪とも思ってないようなケースの場合。
これらのケースは、テレビ業界のスポンサーになっているせいか、警告どころかCMを流しまくって、むしろ推奨していたりするしまつ。
当然、引っかかる人も多いと思うので、今回は警告の意味も込めて書いていきます。

先ず不動産ですが、これは少し前に記事を投稿したので、興味の有る方は読んでみてください。
kimniy8.hatenablog.com
kimniy8.hatenablog.com

不動産投資についてですが、現在は銀行の貸出先がないせいか、非常に低金利で簡単に融資が出来る状態に有ります。
その為か、私の住む京都でも至る所でマンション建設が始まっています。
しかし、冷静になって考えてみましょう。日本は現在少子高齢化で、人口が減ることが確実となっています。
この状況を言い換えれば、不動産市場は将来、確実に需要が減少する市場ともいえます。
普通に考えて、需要が減少すると家賃相場は下がるので、不動産投資をする上では厳しい局面に立たされます。
そんな環境の中でバカスカ建物を立てて供給を増やせば、相場は更に崩れて事業としては成り立ちません。

ちなみに、今現在の不動産の状態が今年半ばぐらいに報道されましたが、その内容は衝撃的なもので、東京23区でも空室率は30%超。
事業として成り立つレベルではありませんし、当然、参入すべき事業でもありません。
今現在建築中の建物は、近日中に次々と完成していくわけですが、これから先の日本は毎年の様に人口が減っていきます。
空室率が50%なんて事になったら、不動産投資で儲けるどころか、マンション建築と土地取得に関わる借金も返済できずに破産する人たちが増えてくると思われます。
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では何故、不動産屋・ゼネコン・銀行は、こんな斜陽事業をテレビ広告を使ってまで推し進めるのかというと、自分たちだけは儲かるからです。
不動産屋は土地を売却した時点で手数料が手に入りますし、ゼネコンはマンションを立てた時点でお金を貰えます。
銀行はというと、土地とマンションを担保にお金を貸しているので、金利と不動産の値下がり分のお金さえ回収が出来れば良い。
不動産は、新築は新しくて綺麗なので空室が埋まりやすく、家賃も高い状態を維持できます。しかし、時間が建てば集客出来ないようになり、資産価値も下がっていきます。
その為、最初の数年でマンション価値の値下がり分と金利をマンションオーナーに稼がせておいて、空室が出始めて家賃が下がり始め、事業として成り立たなくなり、返済が滞りはじめた所で銀行が担保として預かっていた土地をオーナーから奪い取り転売。
これで、不動産屋・ゼネコン・銀行の3者は見事に、不動産投資という甘い罠に引っかかった投資家から資産を搾り取ることが出来る。

『家賃保証が有るでしょ!CMで10年保証とか言ってるし!』と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、契約書の目立たないところに小さな文字で『家賃保証契約は、管理会社とオーナー、双方の合意が有ったときのみ』って一文が書かれていたりするんです。
そしてある日、不動産管理会社の営業が家に尋ねてきて、『1室あたり10万円を保証するって契約でしたが、空室出てきたので5万に下げますね。』って言ってくるんです。
これを聴いて、『え?そんな急に困るよ。家賃が半額になったら赤字になるから、条件を飲めないよ。』と反論すると、『え?オーナーさんは合意できないんですか?じゃぁ、双方の合意が無理ということで、契約は打ち切りにさせて頂きま~す』っていわれて終了ですよ。
その後の管理業務は自分がやるか、代行してくれる他の管理会社を探すしか無い。新築でもない物件で家賃保証なんてしてくれる業者は見つけにくいでしょうし、見つけたとしても足元を見られ、物件オーナーは厳しい局面に立たされます。

この段階になってオーナー側は、自分がお金を儲けるつもりだったのが、自分が食い物にされていることに気がつくんですよね。
自分が儲けつるつもりだったのに、自分が搾取対象になるケースは、結構、色んな所に転がっています。
その中でも酷いと有名なのが、コンビニのフランチャイズでしょう。

google検索で『コンビニ フランチャイズ 詐欺』等で検索すると、オーナーの悲痛な叫びや、足を踏み入れないように警告するサイトが結構出てきます。
コンビニというと、飲食物や日用品の販売だけでなく、振込や銀行引き出し・チケット販売・通販の荷物受け取り・荷物の発送など、様々な事が出来て生活の一部になっている人も多いと思います。
テレビでも頻繁に広告を見かけますし、認知度も高くて信用できそうな気がしてきます。
しかしコンビニは、客で利用している分には便利で良いですが、オーナーとして自分が店をするとなると、地獄となってしまいます。
『コンビニオーナーは現代の奴隷』と表現しているサイトは、1つや2つではありません。

何故こんな事になってしまうのかというと、儲けが出ない仕組みになっているから。
先程書いた不動産投資の件と同様で、コンビニ本社はフランチャイズ契約をしたコンビニオーナーから搾取するシステムを採用しています。
これは、客にとっては便利だが、オーナーにとっては地獄というわけです。

例えば仕入れ。スーパーの場合は売れ残った分を割引して売り切ってしまうといった工夫を行いますが、コンビニではこの様なことは基本的にありません。
売れ残ったものは基本的に廃棄です。何故こんな勿体無いことをするのかというと、商品はフランチャイズ店オーナーが本社から買い取る仕組みになっている。
廃棄による損失の殆どをフランチャイズ店側が負担するので、本社からしてみれば、発注時点で利益が確定するので売れようが売れまいが関係ない。損失を補填するのはフランチャイズのオーナー。
値下げして売られるよりも捨ててもらった方が次の注文が入る為、好都合という状態になる。

その他は、定期的な店内改装の義務。
コンビニは、何年か毎に改装することが義務付けられています。その改装費用はオーナー負担ですが、工事を請け負うのはコンビニ本社の子会社だったりするので、本社はここでも利益があげられる。

この2つを聴いただけでも利益が出ないであろう事は容易に想像できるわけですが、オーナーはそれ以外にもリスクを負います。
それは、固定費支払い。個人で雑貨屋を営むのであれば、開業時間は自分で勝手に決めればよいのですが、コンビニとなると話は別で、24時間営業しなければなりません。
常時2人勤務の場合、時給900円としても一時間辺り1800円の人件費が発生する。これに加え、水道光熱費。そして土地が自分のものではなく借り物の場合は、テナント料も発生する。
これらを全て計算に含めると、一日で最低限売らなければならない売上が出てくるわけですが…
その売上を達成することが非常に困難であることは、容易に想像できます。
売上が減ることは収入が減ることを意味するので、それを防ぐ為には道は一つ。バイトを雇わずに自分たちが長時間、店に立ち続けるしかありません。
その上、大手コンビニ本店のマニュアルでは、1店舗の月の売上がある一定以上を上回ると、その近所に同じコンビニを建てる事が決められています。
つまり、必死になって好立地のところを探し営業努力をして売上を伸ばしても、実際に売上が上がれば隣や正面に同じコンビニが建つということ。
これで儲けろという方が、無理な相談です。

ネット検索で『コンビニオーナー 自殺』で検索をかけてもらえればわかりますが、オーナーの自殺者は増えているようです。
何故こんな状態になるのかというと、先程も書きましたが、コンビニのフランチャイズというのは、そもそもがコンビニオーナー志願者から、資産を削り取る為に生み出されたシステムだからです。
一般消費者は、デフレや不景気の影響を受けて動向が変化してしまうため、安定して搾り取ることが難しい。そこで白羽の矢が立ったのが、コンビニ開業が出来る程の資産を持ったオーナー志願者です。
ここから全財産を搾り取る方が安定的だし、簡単というわけでしょう。

正直な話、コンビニオーナーになるぐらいなら、コンビニでバイトしてた方がマシといえるかもしれません。


今回、問題として挙げたものは詐欺同然ともいえる行為ですが、これらの業者がマスコミの標的になることはありません。
何故なら、彼らはマスコミの大手スポンサー。大切なパトロンの悪口を吹聴するメディアなんてありません。

では、こういったことから自身の身を守る為にはどうすればよいのか。
これは簡単なことで、『儲け話をわざわざ自分のもとまで持ってきてくれる人間は居ない』ときっちり認識することです。
マンションもコンビニの経営も、本当に設けることが出来る楽な仕事であれば、わざわざ人を募集したりしません。
情報を持ってる人たちだけで、甘い汁を啜ろうとします。
それを敢えて赤の他人である貴方の耳に届くようにお金を使って宣伝するのは、『自分たちではリスクが高すぎてやりたくないから』です。
高リスクな事は、欲の皮の突っ張った他人に丸投げし、自分たちは安全な所で欲の突っ張った馬鹿から搾取すれば良い。

やってることは、『裕福な老人からならお金をとっても良い』と犯行におよぶ、オレオレ詐欺の若者と同じレベル。
リスクを投資家に丸投げし、自分たちだけは確実に利益を確保する手法なので、安易に美味しい話に飛びつかず、投資の際は一度立ち止まって、もう一度ゆっくりと考える事が重要ではないでしょうか。