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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第85回 金利(2)

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目次

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。

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前回はこちら

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金利の決まり方


前回に引き続き今回も、金利について考えていきます。
金利というのは経済状態を反映したり、経済に直接影響を及ぼしたりするものですが、それがどのようにして決まるのかというのを前回は話していきました。
どのようにして決まるのかを結果から言えば、需要と供給によって決定します。

需要と供給というと分かりにくいかもしれませんが、要は借りたい気持ちと貸したい気持ちが合致したところで金利が決まるということです。
これを聞かれている方の中には『借り手の信用なんかも関係してくるでしょ?』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで言っているのはそれも踏まえた上での需要と供給です。
例えば、ものすごく信用の低い人間がいるとします。 貯金もなく約束も守らずに、過去に自己破産までしてしまっているような信用力が低い人というのは、高い金利を支払わないとかしてくれそうな気がしますし、実際にそうです。

これを見ると、人の信用力というのも金利に影響を与えていそうな気もしますが、これは信用が低いから高金利になるわけではなく、信用が低く貸し手がおらず、供給が無いから金利が釣り上がっているだけです。
前回も言いましたが、この現象は物の売買で考えてみれば分かりやすいと思います。 生産数が少ない割に人気が高い商品というのは、転売ヤーなどが間に入ることで値段がつり上がったりします。
これは、その商品が欲しい人が多いにも関わらず供給能力が低いために価格の方が引き上がっているというだけです。

金利の需要と供給


この説明は、信用力が高い人が低金利でお金を借りられる理屈にもそのまま当てはまります。
年収が高く貯金も豊富な人が住宅ローンを組む場合は、サラ金よりも遥かに低い金利で銀行がお金を貸してくれますが、これは何故かというと、この人に貸した場合は確実に金利と元金が返済されるからです。
先ほど例に上げた信用が低い人の場合は、貸した金が戻ってくるかどうかが分かりません。 最悪の場合、金利どころか元金の返済すらされない可能性があります。

そうなれば、貸し手側からすれば損失が出てしまうわけですから、そんな人に対して低金利でお金を稼げるはずが有りません。
仮にお金を貸す場合は、高金利で貸さなければ割に合いません。
ここで、『信用がない人間に高金利で貸しても、貸し倒れリスクが増えるだけじゃないのか?』と思われる方もいらっしゃると思います

信用がない人というのは貯金もない場合が多いですから、そんな人に高金利で貸したとしても返ってこない可能性があります。
ただ、ここで重要なのが可能性がどれほどなのかという事です。

仮に、10%の確率で借金を踏み倒す人がいたとしましょう。金融機関がこの様な人1にお金を貸す場合、1人にだけ貸すということは有りません。大抵は同じ様な条件に当てはまる人達、複数人に貸します。
10%ということは、大雑把に考えると10人に貸して1人が返済しないことで、銀行側が資金回収ができなくなるということですので、そのリスクを含めて10%程度の金利を付けて貸し出すとします。
返済が1回も行われずに資金回収ができなくなると考えた場合、この貸付は丸々損失となるわけですが、他の9人が納める利息でその損失分が回収できるのであれば、この貸付はトータルで見れば損失が無いことになります。

この様に、10人の内1人が支払いを行わずに飛んだとしても、他の9人が利息も含めて返済をした場合は、1年ほどで損失がほぼ無くなります
借金を踏み倒す確率が20%に増えても同じです。 20%の人間が返済を行わない前提で金利を上げてそのグループに貸し出せば、全体で見れば利益を出すことが可能となります。
この場合、踏み倒す確率が上昇した分だけ貸付金利を上昇させる必要が出てくるので、結果としては、踏み倒す確率が上昇すればするほど、貸付金利は高くなるということになります。

この様に、お金を貸し出す際には貸し倒れリスクを踏まえた上でお金を貸すため、信用力が低くて貸し倒れリスクが高くなれば高くなるほど、金利も高くなります。
この様な流れを見ると信用力と金利がリンクしているようにも見えます。 それは確かにそうなのですが…

ただ繰り返しになりますが、借り手がそんなに高い金利でお金を借りなければならない理由は、単純に供給元である貸し手が借り手の信用力の低下に伴って減っていくからです。
供給元がいないにも関わらず、借り手がどうしてもお金を借りたいと思えば、供給が少なくて需要が高いわけですから、金利は高いところで決まってしまいます。

ちなみにですが、信用力の低い人に高金利でお金を貸した上で、本来なら貸倒れるような人からも資金や金利を回収できた場合、通常以上に儲けることができることになります。
高利貸しと呼ばれる人達が行っているのがこれです。 本来なら回収率が低い人達の回収率を上げることで儲けを得ようとしているわけです。
話が少しそれたので戻すと、この様に、金利とは基本的に需要と供給で決まります。

国の借金と金利


そしてこれは、国といった大きなレベルになったとしても同じです。
需要と供給という面で見るのなら、国の発行している債権である国債金利を見るほうが分かりやすいかもしれません。
ということで次は、国債金利の決まり方に付いて見ていきます。

国債金利というのは、国債が売買される国債市場で売買されることによって決まります。
もう少し身近なもので例えれば、会社の株式が売買されている証券市場と同じようなものだと考えると分かりやすいかもしれません。
株式市場というのは、上場している会社の株を売買する市場のことです。 株を買いたい人が買い注文を出し、売りたい人が売り注文を出し、値段が合致したところで売買が成立して株の価格が決定します。

株を買いたい人が多ければ多いほど買い注文が増え、その一方で株を売りたい人がいなければ、株価は上昇していきます。
これは普通の物の売買と同じです。 生産量が少ないのに買いたい人が多いものは価格が高く、買いたい人がいないのに大量に売れ残っている商品は安売りされます。
それと同様の事が株式市場でも起こるということです。

好業績が見込まれていて成長が続くと多くの人が予想している株は、買いたいと思う人が多い一方で、その株を手放す人が少ないため、株価は上昇していきます。
逆に、業績が思ったほど伸びなかったり業績悪化が予測されている株は、みんなが『今のうちに売っておきたい』と思うわけですから、その株の売り注文が増える一方で買いたい人がいないわけですから価格が下がります。
つまり株式市場とは正に、需要と供給によって価格が決定しているわけです。

これと全く同じことが債券市場でも起こります。
債券市場で長期金利の基準とされているのは10年もの国債と言われていますが、この10年もの国債金利も債券市場を通じて需要と供給によって決まります。
どのようにして決まるのかというと、国債そのものに価格をつけて売買することによって決定します。 この流れを簡単に説明していこうと思います。

国債価格と利率の関係


仮に10年もの国債金利が6%だとします。 金利というのは1年で貰える利率のことを指すため、基準価格100円で販売されている国債は1年後には106円の価値を持つことになります。
10年もの国債は10年満期であるため10年後に元金が返ってくるわけですが、この時には10年分の金利が加算されるため、160円受け取ることができます。
これはつまり、100円で買ったものが10年後に160円になって戻ってくる商品ということです。 この10年後に貰える160円という価格を基準として考えていきます。

この商品を、基準価格である100円で購入することができれば、金利は6%つくこととなります。
今の日本はゼロ金利政策下でお金を預けても金利がもらえないわけですから、もしこの様な商品があればみんな喜んでこの商品を購入するでしょう。
みんなが喜んで購入する様な商品ですから、この商品を持っている人は手放したいと思わないでしょう。

ということは、需要が増す一方で供給が減ることを意味します。
こうなると売買価格は上昇していきます。 仮にもともと100円で販売されていたこの国債価格が20円値上がりして120円になったとしましょう。
元値が120円になったとしてもすでに発行されている国債の利率が変わるわけでは有りませんので、10年後に受け取るのは160円で変わりはありません。

そうなると、120円の投資に対して160円のリターンなので、10年での儲けは差額の40円になってしまいます。
これはもともと100円で販売されていて10年後に160円で受け取れていた商品が、販売価格が120円になったのに10年後に160円しか受け取れない商品に変わったということです。
120円の投資に対して10年で利益が40円ということは1年あたりの受取利息は4円となるので、前は6%もらえていた金利が減少することになります。

実際に年間で貰える4円の金利国債購入価格である120円で割ってみればわかりますが、金利が3.3%程度にまで減ってしまっています。
これは国債価格が上昇すれば上昇するほど、金利が減少することを意味します。
逆に、国債価格が下落すればするほど金利は上昇することになります。これは実際に見てみれば分かりやすいと思います。

仮に国債価格が80円にまで下落してしまったとしましょう。
国債価格が80円にまで下がったとしても、10年後に戻ってくるお金は160円で変わらないわけですから、10年で儲かる額は80円にまで増えます。
この80円は10年分の合計金利ですから、1年分に換算すると8円となり、80円の投資に対して8円の利息がつくことになるため、金利は10%にまで上昇します。

この様に金利の上下は国際市場で売買されている国際価格に連動する形で変化します。
これが金利の基本的な動きとなります。

次回は、金利にまつわる