【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第69回【財務・経済】固定比率
広告
目次
- 目次
- 注意
- ▼▼Apple Podcast▼▼
- ▼▼Spotify▼▼
- note
- ▼▼youtubeチャンネル登録はこちら▼▼
- 前回はこちら
- 短期の財務分析
- 固定比率
- 純資産とは
- 固定比率とは
- 固定資産の性質
- 事業における土地とは
- 固定比率まとめ
注意
この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
▼▼Apple Podcast▼▼
podcasts.apple.com▼▼Spotify▼▼
open.spotify.comnote
noteにて、番組のサポートを受け付けています。応援してくださる方は、よろしくお願いします。note.com
▼▼youtubeチャンネル登録はこちら▼▼
https://www.youtube.com/channel/UCqx0z_3n3tBH450v8CtNoUg前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com短期の財務分析
これまでの3回で、短期の財務分析について紹介して行きました。
どのようなものがあったのかを簡単に振り返ると、流動資産を流動負債で割った流動比率、流動資産から流動負債を差し引いた正味運転資本
流動資産から商品在庫である棚卸し商品を差し引いたものを流動負債で割った当座比率、現預金に売買目的有価証券を足したものを年間売上の12分の1で割った手元流動性比率などがありました。
これらの財務分析についてのより詳しい説明については、第67回~68回をお聞きください。
先ほど紹介した財務分析は、冒頭でも言いましたが短期の財務分析で、主に企業の短期の安全性について見ていくものでした。
それぞれの指標の共通点としては、数値が高いほどに安全性は高くなるけれども、高すぎると資産を有効活用できていないということを示していて、一定範囲内にとどまっていることが推奨されているものです。
これらの分析では、主に1年以内に変動する数値を用いて計算をするため、出てくる数字も1年以内といった短期的なことしかわかりませんでした。
しかし企業の活動は1年といった短い期間で行われるわけではありません。 もっと長期的なスパンで行われます。
以前にゴーイング・コンサーンという考えを紹介しましたが、期間限定のイベントに関連する事業でもない限り、永続的な活動を目指すのが企業です。
その為、財務分析としても長期的な目線でも見ていくことが重要となります。 そこで重要となってくるのが、今回から紹介していく長期的な分析です。
固定比率
まず最初に紹介するのが『固定比率』です。 この固定費率は、固定資産を純資産で割ってだします。 この数字は小さければ小さいほどよく、100%を下回る数字になれば固定資産は全額が純資産で賄われていることになるため、安全といえます。
固定資産というのは、機械や設備、土地建物や、この先1年以上売る予定のない有価証券のことだと考えてもらえばよいです。
純資産というのは、資産から負債を差し引いた差額のことで、経営者の持ち分となります。 株式会社の場合は、この部分が株主から調達したお金と考えることも出来ます。
純資産とは
この純資産は返済義務がないお金です。 義務がないため『返済しろ!』と催促されることはありません。
この純資産で固定資産を割ると言うことは、固定資産がどれぐらい返済義務のない資金で賄われているのかを測るという事になります。
固定資産というのは先程も言いましたが、土地建物や機械などの設備、売るつもりのない有価証券のことです。 これらの資産というのは、大きな金額になることが多く、会社の持つ現預金のみで購入できることなんてほぼありません。
土地を買うにしても工場を建てるにしても、そこに搬入する機械を導入するにしても、大抵は借金をすることで資金を調達して購入します。
これは個人で考えてもわかりますが、マイホームを購入する時に全額現金で購入することは稀で、大抵はローンを組んで購入しますよね。
会社も同じで、大きな固定資産投資というのは銀行でローンを組んで購入することが大半です。
借金をしてローンを組むというのは、簿記的に見れば有利子負債で固定資産を購入しているということになるわけですが、この有利子負債というのは名前が示す通り利子がつくことはもちろんですが、それに加えて返済義務のある借金です。
銀行からお金を借りてお金を返さなくて良いなんてことはありませんので、これは当然のことです。
返済義務があるということは、定期的に訪れる返済期限以内に一定の売上を上げ続けなければならないことを意味します。
固定比率とは
この返済の負担がどれぐらいあるのかというのを分析するのが、この固定費率というわけです。
仮に全くお金がない人間が3000万円のお金を10年で返済するという約束で銀行から借金をして、工場を建てたとしましょう。
わかり易さを優先するために利子を入れずに計算に入れると、3000万円を10年で返済するわけですから、1年で返済しなければならない義務のあるお金は300万円ということになります。
自己資金ゼロで全額借金をして事業をしている場合は、この会社は最低限300万以上の利益を出し続けなければ回していけないことになります。
実際には300万円の利益を上げると、それに応じた税金が徴収するため、それ以上の利益を出さなければなりません。
もし利益がその水準を下回ってしまえば、その会社は返済が困難になってしまいますし、借金を返すために新たに借金をするなんてこともしなければならない状態に追い込まれてしまったりします。
その一方で、自己資金が1000万円あればどうでしょうか。 仮に売上が下がって年間利益が300万円を下回ったとしても、1000万円の自己資金があるわけですから、それを取り崩せば借金が返済できないなんて事にはなりません。
つまり自己資金の額の多さというのは、長期的な安全性につながっているというわけです。
ここで、『返済義務のある借金額と自己資金を比べるのであれば、固定資産ではなく有利子負債額と自己資金とを比較すればよいのでは?』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは別の分析方法として存在しています。
固定資産の性質
では何故、わざわざ固定資産と比べて固定費率なんてものを出すのかといえば、固定資産という資産の属性に関係していると思われます。
固定資産というのは、新たに固定資産を買わない限りは基本的には毎年減っていく資産です。 これは前にも減価償却の項目で説明しましたが、固定資産というのは減価償却の額だけ毎年減少していきます。
先程の例で言えば、3000万円を出資して工場を建てて、それを20年の定額法で償却すると仮定すると、毎年150万円ずつ減価償却費という経費が計上されて、その代わりに同じ額の固定資産が減少していきます。
つまり、毎年返済額以上の利益を出すことができれば、固定資産の減少分だけ固定費率は改善していくこととなります。
先程の例で言えば、もし仮に工場が20年を経過してもまだ買い替えることなく使い続けられている場合、この工場の固定資産としての価値は備忘価額の1円になっているため、会社が債務超過になっていない限りは固定比率は確実に100%を下回ります。
これは別の見方をすれば、固定資産というのは前もって一括で支払われた経費と考えることが出来ますから、それ自体は利益を生まない資産と考えることが出来たりもします。
これに加えて固定資産の中には、減価償却が行われない資産もあります。
土地などの資産は価値が動かない不動産であるため、減価償却が行われることはありません。 そしてこの土地というのは、他人に貸し出すか転売するしか利益を得ることは出来ません。
つまり、土地を購入するということは、資金を何の収益も産まない資産に固定してしまうということを意味します。
事業における土地とは
何の収益も産まないものに資産を固定していて、その資産を購入するために借金している状態というのは、基本的には良くない状態なので、この資産は経営者の資産である純資産で賄われていることが望ましいという考え方もあります。
これに対して『土地を持っていなければ、営業のために土地を借りる必要があり、出費が生まれてしまう。 土地の所有はその出費を防いでいるのだから、実質的に収益なのでは?』という反論もあると思います。
ただ、会社経営ではその様な考えはしません。 仮に土地を購入して出費が抑えられるとしても、そこで得するお金というのは家賃分に限定されます。
2022年現在の不動産賃貸の利回りは5%前後で、この値は時代が変わってもそこまで大きく変わることはありません。仮に3000万円で不動産を購入した場合、年間で得をするお金というのは150万円前後だと考えられます。
もし仮に、その3000万円を新規事業に投資することで150万円以上の利益を得ることが出来るのであれば、会社としては土地なんて買わずに新規事業に投資をした方が良いことになります。
つまり、他人の持っている土地を借りて商売をして、年間で150万円以上の利益を出せるのであれば、土地は買うよりも借りた方が得だということです。
こうして考えると、無駄な固定資産を持つことは経営効率上も良くないことを意味します。
その効率の悪い資産は、返済義務のある借金ではなく自己資金で間に合わせたほうが良いというのも、固定比率を考える上で重要なことだったりするようです。
ここ最近では、会社が自社ビルを売却した上で、その元自社ビルを借りて居座り続けるなんて会社もありますが、あれも、無駄な固定資産を売却して固定費率を改善させていると見ることも出来ます。
会社側としては、自社ビル売却によって一時的に多額の現金を手に入れることができるので、それをそのまま別の事業に投資をして家賃以上のお金を稼ぐことが出来るのであれば、そちらの方が利益が得られることになります。
またこの先、技術の進歩によってリモートが進んで広いオフィスが必要ないとなれば、借りているフロア数を減らすという事もできるため、柔軟性が増します。
好景気になって金利が上がり、5%以上の投資商品が沢山出てくれば、それを購入する事で、ビルを所有している時よりも多くの利益を得る事ができる可能性も出てきます。
固定比率まとめ
以上をまとめると、固定資産というのは既に支払いが済んでしまっている経費を資産扱いしているだけなので、その固定資産は一定期間でなくなるため、純資産で賄われていなければならないという理由が一つ。
もう一つは、土地などの持っているだけでは何の収益も産まないものに資産が固定されている場合、その固定資産は借金ではなく純資産で賄われているべきだという理由です。
この固定費率は冒頭でも言いましたが、固定資産を純資産で割って計算されるため、基本的には小さければ小さいほど良いということになります。
しかし小さすぎる場合は、投資に対して消極的だという見方も出来ます。 当然これも、業種によって変わってきます。 製造設備が必要な製造業と、それが必要ないサービス業とで同じ数値で良いなんてことにはなりませんので。
その為これも、業種ごとに比べる必要が出てくる数値ですが、基本的には100%以下であれば安全だと言われています。
ということで固定費率の説明はここまでにして、次回は固定長期適合率について見ていきます。