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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第39回【経営】製品ライフサイクル

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目次

注意

この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。

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前回はこちら

kimniy8.hatenablog.com

製品ライフサイクル

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前回、プロダクトポートフォリオマネジメントというツールについての話をしましたが、その説明の中で製品や事業のライフサイクルの話をしました。
その際にも少し説明したのですが、今回は、それだけを説明する回を行っていきたいと思います。
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製品や事業や市場の伸びをグラフにしてみてみると、アルファベットのSを横に寝かせたようなS字カーブを描きます。
これは、取り扱う製品や事業の質などによっても変わってくるため、全ての事業や製品がこれに当てはまるのかといえば、そんな事はありません。
しかし、多くの場合はS字カーブになります。

市場の最初期

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では何故、この様なカーブを描くのか。たとえ話をしながら観ていきたいと思います。
まず前提として、事業者が全く新しい市場を発見するとします。 つまり、元々市場がなかったところに、ある事業者が新たな製品を持ち込むことで、全く新しい市場を開拓したと仮定します。
つまり、製品も市場も生まれたばかりで、これから成長していく状態だと考えてください。

この様な市場で製品を売る場合は、もともと市場がなかったわけですから、そもそもその製品の需要はありません。
企業としては、その市場に参入するからには潜在的な需要があると思うから参入するわけですが、もともとなかった市場に製品を投入したところで、誰もその製品の存在を知らないわけですから、消費者側は買おうとする意識すら働きません。
しかし、その製品が画期的で、人が抱える何らかの悩みや不便な思いを解消してくれるようなものであれば、雑誌などのメディアに取り上げられるでしょうから、アンテナが高い敏感な人は知ることになります。

市場拡大の第一段階

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市場や製品が生まれたての頃は、この様な情報に敏感で、尚且、新しい物好きの人だけが買うため、販売数もそれほど伸びず、売上も伸びません。
ちなみに、この様な情報に敏感で新しい物好きの人のことを、イノベーターといったりします。
この人達は情報に敏感であるだけでなく、情報発信力がある場合も多いため、この層に気に入られる製品を作ることが第一段階となります。

どの様な人がイノベーターなのかというと、自身で雑誌やメディアなどを出していたり、そこまでいかなくとも、ブログやTwitterなどで情報発信をしているような方だと思ってください。
普通の人は、海のものとも山のものともわからない、初めて見るようなものにお金を投じるなんて度胸はない場合が多いからです。その為、誰かが買ってレビューをかいてくれるのを待っていたりします。
マーケティングで口コミが重要だと言われているのも、一般層のこの様な行動が理由になっていると思われます。

しかしイノベーターは、誰に頼まれるわけでもなく自ら進んで人柱になっていくような人たちです。 単に自分自身の好奇心だけでそこまでの行動を取れる人は少ないため、人柱になるにはそれなりの理由が必要となります。
その理由となるのが、人柱になった経験をネタにしようと思う心です。雑誌やブログのネタになって、そのブログにある程度の読者が付けば、それだけで一定の収益が手に入るため、爆死しても『記事を書くための投資だ』と割り切れます。
その為、イノベーター層の多くは、単に商品を嗅ぎつけて買うのが早いだけでなく、その人の持つメディアで紹介までしてくれるため、重要となります。

成長期前半に移行

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このイノベーターが行う紹介は、企業側から見れば宣伝となり、広告費をかけなくてもできる宣伝活動となり、マーケティングでもパブリシティとして名前がついていて、積極的に活用していくべきだとされています。
しかし気をつけなければならないのは、パブリシティは無料で行える宣伝活動ではありますが、それ故に、書き手がどの様な書き方をするのかを操作することは出来ません。
つまり、商品やサービスの出来が悪ければ、容赦なく低評価をつけられてしまう可能性があるということです。このあたりが普通の広告とは全く違うため、注意が必要です。

このイノベーター層の割合ですが、先程も言ったように市場によっても変わるのですが、だいたい3%前後ぐらいだとされています。

イノベーター層に製品が受け入れられて話題いなると、そのイノベーター層が発信する情報を参考にしているアーリーアダプターが、製品を購入し始めます。
アーリーアダプターとは、世間一般で言われているところのアンテナが高くて情報に敏感だとされている層です。
Twitterやインスタグラムでインフルエンサーと言われているような層や、その業界での有名人などがこれにあたります。

このインフルエンサー層に受け入れられて、好意的な評価を受けることが出来れば、そのインフルエンサーは積極的に商品を宣伝してくれるために一気に火がついて、次の顧客層であるアーリーマジョリティの購買に繋がります。
このアーリーマジョリティとアーリーアダプターとの間にキャズムと呼ばれる境界線があり、そのキャズムを超えるか超えないかで、市場や製品が一般に認知されるかされないかが変わってくるとされています。
キャズムを無事に乗り越えることが出来れば、俗に言う一般層の中でも少し情報感度が高いアーリーマジョリティが市場に押し寄せてきます。

パブリシティ

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客数が増えると、客同士の口コミによって商品の知名度が飛躍的に上昇するため、それに伴って製品の売上も飛躍的に上昇します。
何故、口コミによって飛躍的に上昇するのかというと、人というのは、知人からのお勧めというのを信用しやすいからです。
テレビや雑誌などで広告を出した場合、知名度の上昇にはつながるかも知れませんが、それよりも、身近な友達がそのサービスを使ったことがあるとか製品を持っているといった方が、人の心は動きやすいです。

というのも消費者側から見れば、広告というのはサービス提供者が一方的に自社製品の良いところを羅列しているだけのものです。
金をかけて宣伝広告をするわけですから、敢えて商品の欠点を大々的にいうなんてことはしませんし、他社製品と比べてどこが劣っているのか、どこが足りないのかなんてことは絶対に言いません。
その為、テレビなどで流れている広告を100%信用して購買行動につなげるという人は少ないと思います。

一方で、商品を実際に購入したことがある消費者の感想というのは、実際に購入した際の使用感などを率直に言っている場合が多いので、信用しやすいです。
これが単なる知り合いではなくて、自分の信頼している人の話であれば、尚更です。
これを聞かれているみなさんも、Amazonなどで購入する際は、星の数を見たりだとか、レビューを読んだりした経験はないでしょうか。

口コミ効果

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どのショッピングサイトであっても、メーカー側が発信する製品情報は一番目立つところに書かれていて、レビューというのは操作しないと見ずらいようになっていると思いますが、多くの方がレビューを読んで検討すると思います。
Amazonのレビューなどは、全く知らない人のネットの書き込みであるため、信頼関係もなにもないわけですが、それでも、参考になる意見はないかと探したりします。
これが数万を超えるような高い商品であれば尚更です。

全くの赤の他人のレビューですら気になるわけですから、身近な人であったり信頼できる人、親族などのレビューであれば、人は信じやすいでしょうし、購買行動に繋げやすいと考えられます。
ちなみに、この心理を利用したのがマルチ商法であったり、ステマと略されているステルスマーケティングと呼ばれるものです。
これらは、『人の口コミは信頼できる』という現状にフリーライドして行うため、個人的には非常に罪深い行動だと思います。

フリーライドというのはタダ乗りのことで、他の人達がコツコツと積み重ねてきた信用などの資産を何のコストもかけずに自分の利益のためだけに使う行為のことです。
これを行うと、単にフリーライドした人が利益を上げられるだけでなく、マルチやステマをしていない、純粋に商品を購入して良かったから知人に勧めている人まで同一視されて、その人の信用を失わせます。
マルチやステマをした人が信用を失うのは勝手ですが、そんなことをしていない人たちの信用させなくさせるという行動は非常に罪深い行動であると思います。

話がかなりそれてしまいましたが、キャズムを超えてアーリーマジョリティに商品が浸透しだすと、本格的に成長期に突入していきます。
この次の層はレイトマジョリティになるのですが、その話はまた次回にしていきます。