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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第54回【経営】ブランド5

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目次

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。

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前回はこちら

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ファミリーブランド


今回も引き続き、ブランドについて話していきます。
前回と前々回で、ファミリーブランドとダブルブランドについて話していきました。
ファミリーブランドは、同じ様な系統の製品を同じ様な顧客層に向けて販売するブランドで、ダブルブランドは、同じ様な顧客層に対してこれまでと違ったイメージを打ち出していく際に使われるものです。

ブランド・プラス・グレード


次に紹介するのはブランド・プラス・グレードで、同じ様な製品ラインのイメージでその市場での競争地位も同じ商品を、をこれまでと違う顧客層に対して販売していく場合のブランドです。
ブランド・プラス・グレードという言葉の響き通り、既存ブランドのイメージをそのままに、グレードを変えた製品を作ることで違う層を取り込んでいこうとする考え方です。
具体例をあげるのであれば、ベンツが自社製品をクラス別で分けているような感じです。

クラスごとに価格帯などが変わるわけですが、ではクラスによってイメージが大きく変わるのかといえばそうではありません。
ベンツという大きなブランドによってイメージ付けが行われているので、実際にはシリーズごとに外観は変わっていますが、その外観の変化よりもベンツのロゴのイメージのほうが強いため、製品ラインのイメージは同じと考えられます。
つまり、ベンツ内で細かく分かれているクラスによって価格差や若干のイメージの違いなども存在するのですが、顧客が抱くイメージの大半は『ベンツ』というメーカーがまとっているイメージです。

このベンツというイメージを全てのクラスが共通してまとっているため、製品ラインのイメージや市場での競争地位は同じものと考えます。
では客層の方はどうかというと、グレードによって若干変わってきたりします。先程も言いましたが、グレードごとに製品の見た目もそうですが価格が大きく変わります。
ベンツといえば一般的には高級車ブランドとして有名ですが、その中でも大衆車と変わらないような価格帯の車もあれば、1千万を軽く超えるような車もあります。

当然のことながら、ここまでの価格差が開いてしまえば、同じベンツといっても購入する層は変わってきます。
そのため、この様なブランドはカテゴリーとしては、ターゲット層は異質で製品ライン間のイメージやその市場での競争地位は同質である事になります。

個別ブランド


この例だけでは少し分かりづらいと思うので、ついでに次の個別ブランドの例を出して、それと比較してみましょう。
【個別ブランド】というのは、ターゲットとする客層も製品ライン間のイメージと競争地位の両方が異質とされているブランドです。
先程と同じく自動車の例で言うのであれば、トヨタブランドとレクサスの違いです。

トヨタというのは安全性や品質の良さなどで一定の評価を受けていますが、そのブランドの大まかなイメージとしては大衆車です。
いくらトヨタ式改善を行って品質を上げたとしても、会社が長年活動する中で定着してきた大衆車というイメージは払拭できません。
もし大金持ちが見栄を張るために車を買おうと思った場合、トヨタ車はいくら性能が良かったとしても選択肢からは外れるでしょう。

何故なら、誰もが普段遣いする車ですし、持っていることで車のオーナーが何らかの優位性を示すことが出来ないからです。
仮にトヨタブランドで2000万を超えるような高級車を出したとしても、それを買う人がいるかどうかは疑問です。
何故なら、どんな高級車であったとしても、あのトヨタのロゴが付くだけで大衆車に見えてしまうからです。

イメージを変える


ではこのトヨタが、高所得者向けに高級車を提供する際にはどうすれば良いのかというと、新たにブランドを作る必要が出てきます。
ブランド=イメージというのは前から言ってきたと思いますが、そのイメージが全く付いていない無垢な状態のブランドを新たに作り、そこに新たにイメージ付をしていけばよいわけです。
今回の例で言えば、トヨタブランドには大衆車としてのイメージを担ってもらい、高級車向けのブランドを新たに作ればよいということになります。 そうして生まれたブランドがレクサスです。

レクサスは高級車として売り出していますし、トヨタというブランドからは切り離された存在であるため、独立した高級なイメージをまとっています。
皆から高級車として認知されているということは、先程のように大金持ちが見栄を張るために車を買おうとした際に、十分選択肢に入ってくるということです。
これを先程のブランド・プラス・グレードと比べてみると、その違いが分かりやすいと思います。

このレクサスというブランドの中で、デザインや価格帯をさらに細分化すれば、それはブランド・プラス・グレードとなります。
レクサスの中での下位モデルと高級モデルがあり、そこに結構な価格差があったとしても、レクサスブランドとしてのイメージは固まっているわけですから、両者ともに高級車として認知されます。
しかし、ブランドや車の詳しい人達にとっては、レクサスブランドの中でのシリーズ間の地位のようなものが分かるため、それぞれのシリーズごとに顧客層が変わることになります。

顧客層は変わるのですが、ブランドイメージとしてはレクサスはレクサスであって、レクサスの下位モデルだから実質は大衆ブランドのトヨタなんてことにはなりません。

顧客層の切り分け方


少しややこしいと思いますが、理解の仕方としては、顧客層の切り分け方の違いといえば良いのでしょうか。
トヨタを選ぶ層とレクサスを選ぶ層というのは、結構はっきりと別れています。 コスパを求める顧客層は大衆車を買いますし、それ以外の付加価値を重視する顧客層は高級モデルを買い求めやすいということです。

ここで注意が必要なのは、この顧客は大衆商品しか買わない、この顧客は高級品しか買わないといった感じで、その人ごとに決まった商品しか買わないとして人間の方をカテゴリー分けしているわけではありません。
例えば洋服を購入する際の例で言えば、普段着や部屋着用にはユニクロを購入するけれども、何かしらのイベントのためにシャネルなどの高級品も買うという人は結構いると思います。
つまり、同じ人間であったとしてもシチュエーションによって、高級品を買うこともあれば安いものを購入することもあるということです。

なので、顧客層の方は商品を購入する目的によってくくり直されます。その顧客に、どのようにブランドを認知して欲しいのかというのを考えて行くのが、今回扱っているブランドの分け方です。
また、この各ブランドの分け方ですが、実はくくりの大きさが違います。 そのため、一つのブランドの中に複数のブランドの分け方が混ざっていたりもします。
この辺りは、ブランドの枠組みを学問的に無理やり切り分けているので、このようなことになってしまっているんだと思います。

まずはファミリーブランド


このことは、全てのブランドが出揃った上でもう一度、各ブランドについて見ていくことで理解が深まると思うので、簡単に復習していきましょう。
まずファミリーブランドですが、これは、同じ商品イメージのものを同じ顧客層に向けて販売していく際につけるブランドです。 トヨタで言えば、トヨタというブランドで商品を出すようなものです。
会社は殆どの場合、小規模から初めて徐々に規模を拡大していくものなので、多くの会社が、まずこのファミリーブランドの製品を増やしていくことから始めていきます。

ある程度の商品が出揃って、顧客が選択肢の多さに困るようになってくると、そのファミリーブランドの中でのブランドの分け方によって、2通りの展開の仕方が出てきます。
1つは、それまでに会社が培ってきたイメージを活かしつつ、それぞれの独自の製品イメージをより鮮明にしたダブルブランドです。
トヨタで言うのであれば、トヨタというブランドを活かしつつもサブタイトルのように『カローラ』や『プリウス』といった感じで個別製品のブランド名をつけていきます。

製品の安全性や品質、アフターフォローや価格帯といった、製品全般のブランドイメージはトヨタブランドが引き受け、外見やコンセプトなどの好みに依存するイメージは製品ブランドが引き受けます。
こうすることによって、企業は様々なイメージの異なる製品を展開することが出来、大本のイメージは大看板の方のブランドが引き受けてくれることになるため、その商品ブランド知名度も上昇させやすくなります。

ブランド・プラス・グレード


もう一つの方法としては、ブランド・プラス・グレードです。 こちらは、レクサスの様にあまりイメージを崩したくないブランドが、それでも車種間の違いを出すために、各車のグレードをシリーズ化するような売り方です。
ブランド・プラス・グレードについては、製品ラインのイメージや市場での地位が同じで、顧客層だけが違うものであるため、ダブルブランドの様に車種間であまり大きな違いを出すことは出来ません。
何なら、パッと観た感じのシルエットや雰囲気で、ブランド名が当てられた方が良いぐらいかもしれません。

そこまでイメージがしやすければ、顧客の頭に製品イメージが定着しやすいでしょうから、思い出してもらいやすいというブランドの最も重要な仕事が達成しやすくなります。
この様に、イメージを固定しつつも複数の居客層に購入してもらいやすくする売り方が、ブランド・プラス・グレードです。

ブランドの流れ


そして最後の個別ブランドですが、これまでのブランドイメージとは違った市場・顧客層を取りに行くために、全く別のイメージを持ったものとして作られるブランドです。
トヨタが、これまでの大衆車というイメージを捨てて高級車というイメージを持った製品を売り出したいと思うのであれば、これまでとは別のブランドを立ち上げて、そちらで一からイメージの構築をしていく必要があるということです。
そうして作られたブランドがレクサスです。

この個別ブランドは、一見すると随分と大層なことをしてそうなイメージがありますが、これは例に出したのが自動車という値段が高いものなのでそう思うだけで、私達の身の回りには結構たくさんあったりします。
例えばオンワード樫山という服飾メーカーは、複数の個別ブランドを展開しています。全て挙げていくとキリがないので代表的なものだけを上げていくと、23区であったり組曲がそれにあたります。
実際にサイトを訪れてブランド一覧を見れば確認できますので、見てみて欲しいのですが、服飾メーカーというのはデザインやイメージが全てといったところがあるため、個別ブランドで商品展開をしていくことも珍しくありません。

以上が、ブランドの分け方です。 次回は、ブランドとは何なのかについて考えていきたいと思います。