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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第17回【経営】5フォース分析

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

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目次

5フォース分析

前回は、5フォース分析について話していきました。
5フォース分析について前回話したことを簡単に振り返ると、5フォース分析とは外部環境について整理して分析するフレームワークです。
まず中心に、自分の業界を置き、その業界の競争業者ついて分析します。 簡単に説明すると、飲食店であれば周りにどの様な店があって、自分の立ち位置はどういうものかを考えます。

この競争業者市場を中心に据えて、周りに『売り手』『買い手』『代替品』『新規参入』を配置し、それぞれのパワーバランスを考えていきます。

買い手の脅威

『買い手』は、自分たちの顧客です。 ここで問題になるのは、特定顧客に対する依存度です。依存度が高くなれば高くなるほど、その依存先の力が強くなっていきます。
例えば、特定の自動車会社の自動車部品のみを製造している場合。俗に言う下請け会社の場合は、親会社の力が非常に強くなります。何故なら、販売先が親会社1社になるからです。

この様な関係の場合、親会社が他の会社から商品を購入すると決めた時点で、自社の売上はゼロになる為、『買い手』の力が非常に強くなり、販売単価は下がり利益が出なくなる可能性が高くなります。
何故なら、似たような製造技術を持つ業者に見積もりを求めるだけで、相手はこちらに対して牽制が出来るからです。その見積もりが今の買取価格よりも安ければ、得意先を変えるという選択肢も有ります。
これに対抗するには、他社には真似できない技術やノウハウを習得して企業秘密にするとか、新製品を出して他社に向けて販売し、得意先の依存度を下げていくなどの戦略が必要になります。

売り手の脅威

次の『売り手』は、仕入先の持つ力です。
自分が仕入れている商品や材料や素材が、物凄く希少価値があり、仕入れられる場所や企業が限定されている場合、その仕入先は物凄い交渉力を持つことになります。
更にいえば、その素材がなければ自分たちの商品が作れない場合、自分たちの事業の命運は、仕入先にかかっているといっても過言ではありません。

これを解消するためには、変わりの材料でも作れるようにするとか、他の仕入先も見つけるとか、自分自身で新たな素材を開発するといった戦略が必要になってきます。
この努力を怠れば、仕入れ業者に材料価格をどんどん引き上げられてしまうことになります。
その価格上昇に伴って最終製品の価格を引き上げられるのであれば、利益的な損害は少ないかもしれませんが、それが出来ない場合は、利益が減ることになります。

何故なら、利益は売上からコストを引いたものだからです。これは単純な引き算なので、コストが上昇して売上が変わらなければ、利益は減ることになります。
こうなると事業としては成り立たないので、このパワーバランスには気を使う必要が有ります。
ここまでが前回の話で、今回からは、その続きを話していきます。

代替品

この他の外部環境の要素としては『代替品』と『新規参入』があります。
この2つは、一見すると似ているようにも思えますが、実は全く違ったものです。
『代替品』は、既存の製品の価値観を覆すようなもののことです。

例えば、音楽市場でいえば、昔は販売する媒体としてはレコードでしたが、その後テープになり、CD、MDと変化していき、最終的にはダウンロード販売に変わってきています。
レコードを製造していた会社は、テープという代替品が登場したことで打撃を受けたでしょうし、テープの販売店はCDやMDの登場で大きな影響を受けたでしょう。
そして、最近のダウンロード販売に至っては、実物の商品が無いわけですから、多くの製造業や関節業者が影響を受けているでしょう。

この様な技術革新によって、今まで流通していた商品の価値が相対的に下がってしまい、新たに別の商品が覇権を握ってしまうのが『代替品』です。
この代替品の脅威に対抗するためには、理想論でいえば、自分たちで代替品となる新商品を作るのが理想ですが、これはなかなか難しいです。
既存製品の定期的なグレードアップなどは、出来ると思います。 例えば、毎年のように新作が発表されるiPhoneなどがこれにあたります。

このような戦略は、計画的陳腐化戦略といって、定期的に後継機を出すことで買い替え需要を掘り起こして売上とシェアの維持を保つという戦略なのですが、今回、取り扱う『代替品』はこれとは異なります。
携帯電話市場でいえば、みんながガラケーを作っている中で、スマートフォンを発表するようなものなので、計画的陳腐化戦略をとっていたとしても、代替品が登場すれば、その土台からひっくり返されることになります。
大企業の場合は、経営資源も豊富で開発費も潤沢でしょうから、既存製品を作りながら代替品を開発することも出来るかもしれませんが、中小企業では、難しいと思います。

コンティンジェンシープラン

この代替品の驚異に対しては、もし、そのような商品が開発されて、他社から発売されたらという前提で、予め計画を立てておくことで対応したほうが良いかもしれません。
こういった不測の事態に備えたプランのことを、コンティンジェンシープランといったりしますが、自分の携わっている市場が崩壊するほどの商品が出た場合の事は、常に想定しておいた方が良いでしょう。
例えば、零細企業で従業員も少なくて固定費が少ない場合は、代替品が出たとしても、既存の製品を作り続けるというのは一つの戦略です。

先程のレコードの例で言えば、ダウンロード全盛期であっても、レコード市場はしぶとく生き残り、一定のシェアを維持し続けています。
代替品が出て市場が壊れると、大手を中心に市場を去っていく企業が出てくるわけですから、残存者利益という市場に残り続けることで得られる利益を取れる可能性は有ります。
その他には、代替品が出てすぐに、その代替品を著作権に引っかからない範囲で模倣して、自社の事業を切り替えるという戦略もあるでしょう。

どちらにしても、決断は早い方が良いため、代替品が登場して市場が壊れた際の事を考えておく必要は有ります。

新規参入

最後に、新規参入ですが、これは、既存の市場に新勢力が入ってくるという脅威です。
新規参入者が市場に入ってくると、『買い手』である顧客は選択肢が広がるため、力を増すことになります。何故なら、『この品質でこの値段なら、他の店のほうがコスパが良いから。』といった理由で圧力をかけられるからです。
その為、新規参入者が増えれば増えるほど脅威になりますし、利益が低下するリスクも高まってきます。

もちろん、これには例外が有ります。例えば、その市場自体が小さすぎる上に、顧客の誰にも認知されていないような状態であれば、同業他社がある程度増えてくれたほうが、市場の拡大スピードが増すといったことも有ります。
しかしこれは、市場の黎明期という限られた期間だけで、大半の新規参入者は脅威でしかありません。
その為、youtubeやSNSなどで、『ここは儲かる市場だから、新規参入したほうが良い!今なら、手取り足取り教えてあげますから』といった感じの宣伝を見かけたら、全て詐欺だと思ったほうが良いです。

そこまで儲かる市場であれば、新規参入は脅威でしかありませんし、それを防ぐために、参入障壁を構築しようと心掛けます。
自分から市場に引き入れようとする人は、参入させることで自分が儲かるからやっている場合が殆どです。
少し本筋からズレてしまいましたが、個人の方であっても、この事を知っておくだけで、金銭的なリスクはかなり下げられると思います。

参入障壁

話を戻して、新規参入の脅威に対抗する戦略ですが、これは先程も少し触れましたが、参入障壁を構築することです。
参入障壁とは、簡単に説明をすると、その市場に参入する際のハードルを上げることです。新規で参入するとは、言い換えれば新規で事業を立ち上げることになります。
新規事業の立ち上げには、知識であったりノウハウであったり資金といった様々なものが必要になりますが、それらが多ければ多いほど、参入するのは難しくなります。

それらの必要量を多くすることで、その市場に新規参入することが難しくなるため、結果として、参入障壁は高くなります。
この参入障壁についてはもう少し時間をとって詳しく話した方が良いと思うので、それは次回に話していこうと思います。