だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第10回 マーケティング3.0&4.0

広告

この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
▼▼Apple Podcast▼▼

podcasts.apple.com
▼▼Spotify▼▼
open.spotify.com

noteにて、番組のサポートを受け付けています。応援してくださる方は、よろしくお願いします。
note.com

▼▼youtubeチャンネル登録はこちら▼▼
https://www.youtube.com/channel/UCqx0z_3n3tBH450v8CtNoUg

前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

f:id:kimniy8:20210204220540j:plain

目次

マーケティング1.0&2.0

前回は、何故、事業を行うにはマーケティングが必要になるのかを説明するために、フィリプ・コトラーという人物が提唱した説を紹介していきました。
簡単に振り返ると、企業が様々な取引を行うのは市場・マーケットですが、このマーケットには段階が有ります。
段階は4つに分かれていて、それぞれの段階で企業が求められる行動そのものが変わってきます。

まず一番最初の段階である製品中心の市場では、需要に比べて供給能力が大きく不足している状態なので、供給側は最低基準をクリアーできている商品の供給を増やす努力をすれば良い状態です。
これが次の段階の移行すると、消費者には既に商品が行き渡っている状態となり、需要と供給、 需要は物を欲しいと思う気持ちで、供給は商品の生産能力と考えてもらえば良いですが…
この需要と供給が等しい状態、もしくは需要の方が上回っている状態となる為、単に製品を作るだけでは販売数は伸ばせない状態になります。

製品を増産するだけでは販売数が伸びない状況に追い込まれると、企業は消費者に、他社製品ではなく自社製品を選んでもらえるような工夫をしていかなければ、生き延びることは難しくなります。
そのために必要なのが、他社製品との差別化です。 購入する顧客層を特定の範囲に絞り込み、その顧客用にカスタマイズされた商品を作ることで、消費者に選ばれるような商品づくりを行います。
当然、他社も同じ用に製品を差別化して個性を獲得していくわけですから、この段階で、消費者は各企業に対して特定のイメージを抱くようになります。

差別化と企業イメージ

この顧客の抱くイメージを特定の物に誘導するような戦略が、ブランド戦略となります。
大まかに分けると、高品質だけれども価格の高い高級ブランド。 作りは簡素だけれども価格が安い低価格ブランドの様な感じでしょうか。
ブランドは、その企業への信用の値とも言えるため、高級ブランドの場合はブランド力が高ければ高いほど、それは価格に反映されることになり、付加価値も上がることになります。

逆に低価格ブランドとして認知されてしまった場合は、営業方針を変えて高価格帯の商品を出したとしても、既に低価格というイメージが企業そのものに付いてしまっているため、高い値段では売れなくなります。
一方で、お金に余裕がない消費者からは、高い製品の代用品として真っ先に検索されるでしょうから、どちらが良いとは断言できません。

以上が、マーケティング1.0と2.0だったわけですが、今回は、3.0と4.0について話していきます。

市場の成熟期

3.0と4.0は、更に市場が成熟した状態を想定しています。

まず、マーケティング3.0ですが、これは『価値主導』の市場で、その製品を購入することで世界をよりよく変えることが出来るのかといった価値観が入り込んできます。
自分の好みにマッチしている商品を購入するというマーケティング2.0の市場も、更に発展していくと、差別化しているのに違いが出せない状況になっていきます。
何故、こんな事になるのかというと、わずかでも金になる市場には新規参入が後をたたないからです。

市場というのは、後から入れば入るほど、リスクは少なくなります。例えば、2019年にタピオカが流行りました。
このブームが起こる前にタピオカ屋を始めるのは、その商品が流行るのか流行らないかがわからない為にリスクが高いですが、流行った後で参入すると、既に流行している市場に参入するため、リスクは下がります。
どの様な商品が受け入れられているのか、どの様な価格帯が好まれるのかも、先に参入している人たちを観察すれば簡単にわかるので、新規参入がしやすくなります。

製品の差別化以外で差をつける

当然、新規参入する人たちは、従来の商品との差別化をすることで、シェアを奪おうとしてきますが、差別化にも限界が有ります。
結果、タピオカ市場では、新規参入の増加につれて差別化が難しくなっていき、価格競争に突入していきます。
しかし、市場の大きさに限りがある状態で価格競争に突入してしまうと、利益は減少してしまいます。

この流れが続いていくと企業の体力は持たないため、製品に対して差別化以外の新たな価値を商品に付け加えていかなければなりません。
それが、『地球環境を守る』といった環境問題への取り組みです。
例えば、タピオカの例の流れで説明すると、タピオカドリンクに備え付けているストローをプラスチック製から紙製に変えるとか、容器を自然分解されるものに変えると言った感じにするなどです。

このようにすることで、同じ商品を買うのであれば、『環境負荷の低い商品を買おう』と消費者から思ってもらうことで、自社製品の購買に繋がります。
この部分でマーケティング2.0との差がわからないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、3.0で行われている差別化は、製品の直接的な差別化には繋がっていないという点で、2.0とは違います。
今回は、ストローをプラスチック製から紙製に変える事で商品自体が変わっていることで差別化が行われているようにも思えますが、実は商品のコアの部分は変化していません。

変化しているのは付属品のみで、中身のタピオカドリンクは同じものです。

コーズ・リレーテッド・マーケティング

付属品が変更されるのを含めると分かりづらい方は、別の例で考えてみると分かりやすいかもしれません。
例えば、A社とB社が、付属品や容器も含めて全く同じ商品を販売していたとして、A社が、『自社製品を購入してくれれば、売上の一部を環境保護を行う団体に寄付します。』と言ったとします。

この場合、全く同じ商品であればA社の商品を買ったほうが、社会に貢献できると思う人が多くなり、結果としてA社の売上のほうが高くなったりします。
こういったマーケティング手法を、コーズ・リレーテッド・マーケティングなんて言ったりしますが、この場合は商品は同じなのに、商品以外の要因で差別化が行われていて、A社の売上が伸びています。

マーケティング4.0

そして最後がマーケティング4.0で、これは企業と顧客や顧客間同士のつながりを重要視するマーケティングです。
このマーケティング4.0は、ネットが社会に普及してから新たに生まれた価値観です。 その為、かなり最近になって生まれた価値観といえます。
マーケティング3.0までが、企業側が消費者に向けて商品や情報を提供する流れだったのに対し、マーケティング4.0では、消費者感や消費者と企業との双方向でのつながりを重視する考え方です。

ネット、特にSNSが発達した社会では、必ずしも企業側だけが情報を発信して、商品価値やブランドイメージを構築するわけではありません。
UGC(User Generated Content)と呼ばれるユーザーが作るコンテンツによっても、企業や製品のイメージは大きく左右され、販売数にも直結するようになります。
ユーザーが作るコンテンツというと、大掛かりなモノを想像してしまいがちですが、個人が発信するyoutube動画やTwitterのつぶやきも、これに含まれます。

簡単に言えば、企業がどれだけ頑張って企業イメージを作ろうと広告費を投入したとしても、ユーザーの誰かがTwitterで不意につぶやいた一言がバズれば、ソーシャルコミュニティを通じてその情報が一気に拡散してしまい…
その情報の方が定着してしまうということです。
しかし一方で、この環境をうまく使ってSNSで消費者と繋がり、信頼を得ることができれば、中小零細企業でも広告費を掛けずにブランドイメージを浸透させたり、製品販売につなげることが出来るようになったりします。

このマーケティン4.0では、単純にオンラインのつながりだけを重視するのではなく、オンラインを入り口にしてオフラインでのイベントの開催などにつなげ、消費者同士をつなげて一つのコミュニティを作ることも含めています。
例えば、生活に絶対に必要なものでない趣味や嗜好品の場合、一人でその趣味を行うよりも、趣味仲間を作った方が長続きしますし、その人物を沼に引き込みやすいです。
コミュニティが生まれれば、その人達が新たな同士を増やそうとブログ更新やイベントを開催してくれたりするわけですから、市場も拡大していきます。

今の環境を利用していこうというのが、マーケティング4.0です。

まとめ

以上が、前回から行ってきたマーケティング1.0~4.0の簡単な解説でした。
マーケティングの段階とはどのようなものなのかを順を追って、改めて整理したのが、前回と今回で説明したマーケティング1.0~4.0だったのですが、結構、わかりやすかったのでは無いでしょうか。
経営学というのは経営を学問に落とし込んだものですが、学問というのは、曖昧なものを整理したり、物事を分解して単純化した上で、そのシステムの働きを解明していくものです。

その為、マーケティングというのを市場の成熟度合いに応じて階層に分け、それぞれがどの様なものなのかを定義していくというのが必要になってきます。
ただ、くり返し言っていますが、この経営学を学んだところで、確実に大成功するわけではありません。
出来るのは、リスクを下げることだけです。 では、今回の様にマーケティングの階層分けを学ぶことで、どの様にリスクを下げることが出来るのか。

このことについて、次回に話していこうと思います。