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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第7回 セグメンテーション

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

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目次

前回は、ドメインについて簡単に話していきました。
ドメインについては、もう少し語ることもあるのですが、前回の話の流れでセグメンテーションという言葉が出てきましたので、今回はその説明を兼ねて、セグメンテーションについて話していきます。

セグメンテーション

セグメンテーションというのはマーケティングの世界の言葉で、人を様々な観点から分析することで分類していく作業です。何故、分類していくのかというと、顧客層を絞り込むためです。
では何故、顧客層を絞り込まなければならないのでしょうか。 それは、全人類が等しく求めるような商品というのは、この世に殆どないからです。
これは、抽象的な概念で良ければ存在します。 衣食住に係る製品がそれで、これらがなければ人々はマトモな生活が送れませんので、このカテゴリーの商品は人類全てが求めているといっても過言ではありません。

しかし、多くの企業が作っているモノや提供しているサービスというのは、そんな抽象的なものではありません。 大抵は実態を伴った具体的なものです。
では、先程あげた衣食住に関わる製品は、商品として具体的になったとしても、全人類から求められるのかというと、そんな事はありませんよね。
例えば家でいうと、とりあえず雨風がしのげるバラック小屋を全人類が欲しいと思っているのかというと、そんな事はありません。同じ様に、タワーマンションの最上階も全人類をターゲットにした商品ではありません。

つまり、それぞれの企業が具体的な形で開発する商品は、大抵の場合は、全体に向けた商品ではなく、『特定の人』に向けた商品となります。
この様に特定の人達しか買わないのであれば、その特定の人達に向けた商品開発や販売をしていかなければならないのですが…
それをしようと思うと、まず、自分たちがこれから相手にする『特定の人達』を、具体的に定義しなければなりません。

効率的な経営資源の配分

その為に必要なのが、人々を様々な切り口で切り分けていき、それぞれの集団に分類していくのセグメンテーションで、分類されたそれぞれの集団のことをセグメントと言います。
一見すると、面倒くさそうな作業に思えるかもしれませんが、様々な企業がこれを行っているのには、単に市場を知るといった以外にも理由は有ります。それは、経営資源を集中させるためです。
経営資源というのは、企業が持つヒト・モノ・カネ・情報全てのことです。

企業が持つ経営資源は有限です。これは、この番組が対象にしている中小零細企業はもちろんですが、大企業も例外ではなく、全ての会社に当てはまります
その中でも特に中小零細企業は、持っている資源が大企業に比べて少ないため、効率的に組織運営を行わなければ競争に勝てません。そのために、市場を絞るというのが重要になってきます。
何故なら、多方面に幅広く投資しても、それ相応のリターンが望めないからです。 その為、一つの市場に経営資源を集中させるのが定石となります。

これは数字で考えてみると分かりやすいかもしれません。新たに商品を開発する費用が1000万円用意できる場合、これを使って10個の市場に対して商品を販売しようと思うと、1つの市場に対して使えるお金は単純計算で100万円となります。
100万円で商品開発から販売促進活動までやろうと思うと、結構、予算的に厳しいですし、中途半端なことしか出来ません。そんな中で、同じ市場に大手が1000万円の投資資金を用意して参入してきた場合、到底、勝つことが出来ません。
これはお金の問題だけでなく、人に関しても同じです。社内の商品開発能力は増員しない限り決まっているわけですから、手広くやればやるほど、それぞれの商品の開発に掛けられる手間や時間は分散してしまいます。

そうなれば、当然のように、他の事業者に負けることになります。それを避けるためにも、中小零細企業の経営では、経営資源を一つのセグメントに集中させる戦略を取ります。
ここで、『大企業が同じ市場に更に大きな資本で参入してきたら負けるのでは?』と疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
それは全くその通りで、大企業と全く同じ土俵で戦うと、資本の小さい中小零細企業はかなり不利な戦いを強いられます。

それを避けるためにも、セグメンテーションとセグメントの研究を行い、今から参入しようとしている市場にはライバルはいるのか、いる場合、どの様な会社がどの様なアプローチをしているのかを研究する必要が有ります。
この研究によって、そもそも市場に参入すべきかや、参入する場合、どの様なアプローチで参入すれば良いのかといった戦略を立てやすくなります。
このような戦略のことを、ポジショニング戦略と言ったりもします。

ポジショニング戦略

ポジショニング戦略については、別の機会でもう少し詳しく話していきたいと思っているのですが、ここで簡単に説明すると… 方法としては、ターゲットを少しずらします。
このターゲットをずらすためには、ブランド戦略なども関連してくるので、少し複雑になって来るので、今回は物凄く大雑把な説明をすると、製品やブランドイメージで他社と差別化をしていきます。
つまり、強力なライバルとは同じ土俵で戦わない、もし戦う場合は、自分たちが有利となれる条件を探すという戦略です。

皆が好む商品・サービスはあるか

話をセグメンテーションに戻しますと、この様な感じで市場を細分化していくことでターゲットを絞り込み、そのターゲットに対して、どの様な製品を作るのか、どの様に売っていくのかを考えるのが、マーケティングの定石となります。
と、ここまでターゲットを絞り込むことを前提で、セグメンテーションの重要性について語ってきたわけですが、これをお聞きになっている方の中には、ターゲットを絞り込むことの重要性について疑問を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
これは、普通に考えれば当然のことで、ターゲットを絞り込めば絞り込むほど、市場はどんどん縮小して小さくなっていき、魅力が減っていくように思えるからです。

例えば、新たなお菓子を開発しようと思った場合、日本人全員が好むお菓子を作ることができれば、1億人の市場を相手に商売ができるわけですから、物凄い売上を期待することが出来ます。
これを、市場細分化を行うことでターゲットを1万人に絞り込めば、ターゲットすべての人に販売できたとしても、期待できる販売数は日本国民全員を相手にしたときの1万分の1となってしまいます。
この1万人の市場を更に細分化して1000人にまで絞り込んだ場合、期待できる販売数は更に減少します。

それなら、日本国民全員を対象にした製品開発をするほうが、対象人数が多いため、販売数も伸ばせて良いような気もします。
この様に考えてしまうのは普通の事なんですが、実際には、この戦略では上手くはいきません。

万人受け狙いは誰の心にも刺さらない

何故なのか、具体例をもとに考えると分かりやすいと思うので、これからする質問について、ちょっと考えてみてください。
あなたは今、物凄くオムライスが食べたいと思っています。 その状態で街を歩いていると、2軒の飲食店が目に飛び込んできました。
1件目は、オムライスやカレーやラーメンをなどを幅広く提供し、様々なニーズに答えられるように高級なものから安価なものまで取り揃えている定食屋で、その隣に、オムライス専門店があったとします。 あなたは、どちらの店に入るでしょうか?

この質問に対して多くの方が、オムライス専門店に入りたいと思ったのではないでしょうか。
オムライスを食べたいと思っている時に聞いているんだから、当然だろと思われる方も多いと思いますが、これは、そんな単純なことではなかったりするんです。
というのも、オムライス専門店は、その業態自体にインパクトが有るため、オムライスを食べたいと思っていなかったとしても、その店の存在が、オムライスの興味を掻き立てます。

また、その時に店に入らなかったとしても、別の機会に訪れてみたいと思われたりします。
また、自分の身近な友人にオムライス好きがいた場合、その店を発見したことを、その友人に知らせてあげようと思うはずです。そうすれば、あなたが行かなかったとしても、その友人は行くでしょう。

一方の定食屋の場合は、具体的に何を提供しているのかが想像しにくいですし、下手をすれば記憶すら残りませんから、当然、他の人にその定食屋の存在を知らせようと思いません。
友達との会話中、仮に食べ物屋さんの話題になったとしても、これといった特徴のない店は話題に上がりません。

しかし冷静になって考えてみて欲しいのですが、定食屋の方は、様々なニーズに答えられるように、オムライスやカレーライスやラーメンなど幅広いジャンルの料理を揃えています。
オムライス好きにもカレー好きにもラーメン好きのニーズにも応えられるはずなので、対象としているターゲットは多いはずですし、先程の理論で言えば、こちらの方が事業として上手くいっていないと、おかしいはずです。
ですが実際問題として、この様な定食屋があった場合、上手くいきそうにありません。

何故かというと、ターゲットが明確になっていないからです。 多くの人が、万人に作られた標準的なものよりも、自分専用にカスタマイズされたものの方を好みます。
ターゲットを絞るとは、そういうことなんです。 そして、このターゲットを突き詰めていくと、ペルソナというものになったりします。

ペルソナ

ペルソナというのは日本語でいうと仮面という意味があり、マーケティング的には、具体的に描いた顧客像のようなものと捉えてもらえれば良いです。

例えば、カルビーの製品でジャガビーという商品がありますが、あの製品は『27歳独身女性、文京区在住、ヨガと水泳にハマっている。』という人物に向けた商品として作られています。
これは、ターゲットをかなり絞り込んでいますよね。 にも関わらず、この製品は市場に受け入れられて、今現在でも市場から撤退すること無く販売されています。
つまり、ここまでターゲットを絞り込んで製品開発したとしても、特定の顧客層をつかめば、結果としては全国で売れるということです。

今回は、何故、ターゲットを絞り込むことが重要なのかという話が中心になり、市場をどの様に細分化していけばよいのかという話ができませんでしたので、その話はまた次回にしていきます。