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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第13回【経営】SWOT分析(1)

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

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目次

企業の戦略

前回は、経営戦略について考えていきました。
簡単に振り返ると、経営戦略は3段階から構成されていて、一番上が企業戦略、次が事業戦略、最後が機能戦略という構造になっています。
この様な構造になっているのは、そもそも、企業がこの様な構造になっているからです。

企業の構造というのは、まず大枠として企業があり、その企業の中に事業があり、その事業を行うための部署が存在します。
部署とは、経理部や購買部、営業部といった実働部隊のことです。
中小零細企業の場合は、1人の人が複数の業務をこなすことも珍しくありませんが、経営学の考え方としては、概念としてそれぞれの業務が独立していると考えてください。

理由は、経営学は学問なので、理論を構築するために、経営の要素を細分化して単純化し、それによってそれぞれの部署が独立しているというモデルを作り、そのモデルで理論を考えているからです。
これを実際の仕事に落とし込むためには、机上の空論を、それぞれの企業で実際に使えるようにカスタマイズしていく必要があります。
一番良いのは、最初からそれぞれの会社にカスタマイズされた理論を作るのが良いのでしょうが…

数多ある会社それぞれにカスタマイズされた理論を経営学者が1つ1つ作るのは非効率なので、経営学では大半の会社に当てはまる様にモデルが作られれています。
そのモデルでは、経理や営業や購買は分かれている事になっているので、例え1人で3つの業務を抱えていたとしても、業務は分かれていて、その業務ごとに戦略があると理解してください。

話を戻すと、まず企業の方向性を決めるための企業戦略があり、企業が持つ事業の方向性を決める事業戦略があり、その事業戦略を順調に進めるための機能戦略が存在します。
会社の規模が小さくて、事業が1つしかない場合は、事業の方向性が企業の方向性を決めることになる為、この2つは同じものとなります。
ここまでが、前回の話でした。

事業が1つではリスクが高い

これだけを聞くと、規模が小さく事業が1つしか無い企業にとっては、企業戦略と事業戦略の2つも必要なく、戦略は1つで良いようにも思えてきますが、実際にそうなのかを考えていくと… 実はそうでもなかったりします。
というのも、1つの事業だけを行っていると、リスクが非常に高くなるからです。
このエピソードをアップロードした2021年はコロナ禍の真っ只中ですが、このせいで、メインの事業に大打撃を受けて苦しい事業者の方も多いのではないでしょうか。 ウチもその中の1社です。

今回のコロナの場合は、数十年、もしくは数百年に1度ぐらいの頻度でしか来ないでしょうかれども、もっと小さな目線でいえば、こういった危機は頻発しています。
例えば、自分が携わってる市場が縮小していくなどですね。 前回出した例で言うのなら、デジカメが登場したことによってフィルム市場が壊滅的なダメージを受けるなんてことは、結構あったりします。
そういった危機からダメージを少なくするためは、事業戦略よりも1つ上の目線に立った戦略が必要になりますが、それが企業戦略です。

外部環境

企業戦略によって、複数の事業を行うことによるリスク分散などの対策を打たなければならないのですが、その為に必要になるのが、SWOT分析です。
この、SWOT分析ですが、何が出来るのかというと、自社の立ち位置がわかるようになります。
『分析』なんて言葉がついているので、一見難しそうな印象を受けるかもしれませんが、実際にやることはシンプルだったりします。

やり方としては、まず、自社の置かれている環境を2つに分けます。内部環境と外部環境です。
内部環境とは、自分の会社内のことです。外部環境とは会社の外の環境のことで、基本的には自社の行動でどうにも出来ないことだと理解してください。
例えば、市場規模が大きくなっているのか、それとも縮小しているのかなどです。

具体的な例を挙げると、今の日本政府はハンコをなくして手続きの簡略化を目指すことを国策としていますので、書類に捺印する類のハンコの市場は、縮小していくことが予測できます。
この流れは、基本的には1社のハンコ屋だけでは止めることは到底出来ないでしょう。こういった環境は、外部環境となります。
一方で、自社で製造設備を持っているとか、腕の良い職人がいるといったことは、自社内の要因といえます。

設備投資をすれば製造設備は増強されますし、それによって品質が上がったり生産量が増えたりするでしょう。
逆に、投資を縮小すれば、老朽化により生産量が減ったり品質に問題が出るかもしれません。
これらの要因は経営者の意思決定によってどちらにも転ぶため、内部要因といえます。

この他にも、会社が持つ経営資源も内部要因となります。
経営資源とは、企業が持つヒト・モノ・カネ・情報のことでしたね。
例えば、長年1つの業界で事業を行ってきたので、その業界で事業者同士の繋がりができたとか、その市場についての情報が社内で蓄積されているといった事も、内部要因となります。

内外要因を2分割する

次に、この内部要因と外部要因を、それぞれ、プラス要因とマイナス要因で分けます。
つまり、内部要因のプラス要因・マイナス要因と、外部要因のプラス要因・マイナス要因の4つに分けるということです。
そして、この4つにそれぞれ名前をつけていきます。

内部要因のプラス要因の事を『強み』。内部要因のマイナス要因の事を『弱み』。
外部要因のプラス要因の事を『機会』。内部要因のマイナス要因の事を『脅威』とそれぞれ名付けます。
これをそれぞれ英語でいうと、『Strength』『Weakness』『Opportunity』『Threat』となり、それぞれの頭文字を取ると『S』『W』『O』『T』となり、続けて読むと『SWOT』となります。

このSWOT分析ですが、使い方としては、ホワイトボードでも紙でもなんでも良いのですが、まず、上下に二分するように横線を1本引きます。
そして、上の領域を内部環境に割り当てて、下の領域を外部環境に割り当てます。
次に、左右を二分する形で縦に線を引き、左をプラス要因、右をマイナス要因に割り当てます。すると、4つの領域に分割されることになります。

この4つの領域はそれぞれ、左上が『強み』で、右上が『弱み』。左下が『機会』で右下が『脅威』となります。
このそれぞれの領域に、自分たちの強みや弱み、外部環境の機会や脅威を書き込んでいくことで、自分たちが置かれている環境が浮き彫りになります。

分析する際の注意点

この作業ですが、基本的には1人で行わない方が良いと思います。

というのも、1人で行うと、様々な観点からの分析ができなくなるからです。
人間というのは、様々なバイアスによって世の中の見え方が歪んでいたりします。 つまり、正常な判断ができないわけです。
例えば、自分が一生懸命に考え出したアイデアは、良いアイデアのように思えますし、自分が作り出した商品は、素晴らしい商品のように思えてしまいます。

料理一つとっても、自分で苦労して作った場合と、誰かに作って出された場合とで味は変わるでしょうし、誰かに作ってもらった場合でも、親に作ってもらったのか好きな人に作ってもらったのかで味は変わるでしょう。
これは、バイアスがかかっているから悪いとか良いという問題ではありません。
人間は、自分が置かれている立場によって、状況の感じ方や見え方が歪んでしまうということです。

レンズが歪んで正しく見えないメガネを掛けた状態で正確な分析は到底できませんので、いろんな立場の人を集めて行うほうが良いと思います。
いろんな立場の人は、それぞれの立場によって認知が歪んでいるわけですが、その別々の世界が見えている人達が集まってディスカッションすることで、1人で分析するよりかは正確な分析ができたりします。
可能であれば、得意先にヒアリングなどをしても良いかもしれません。

自分たちは普通のコトだと思って当然のように行っていた行動が、実は他社では行っていない優れたサービスということもあるかもしれませんからね。
このようにして各項目を産めていけば、次は、これをもとに戦略を考えていくことになるのですが、それはまた次回に話していきます。