だぶるばいせっぷす 新館

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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第12回 経営戦略

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

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目次

マーケティングの重要性

第7回~12回までは、マーケティングの話を中心にしてきました。
マーケティングとは奥深いもので、その6回で全てを話せわけではありませんので、また、機会を見つけて、もう少し掘り下げた話をしていければなと思っています。
途中から話がマーケティング中心になったのは、それだけマーケティングが重要だからです。

というのも事業というのは、世の中にある問題、これはニーズと言い換えても良いですが、それを見つけ出して、その問題を解決することでお金をもらうというのが基本になっているわけですが…
この、問題を見つけ出す作業というのが、マーケティングによって行われるからです。
前に『マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。』というドラッガーの言葉を紹介しましたが、適切なマーケティング活動が行えていれば、販売活動をしなくても売上は伸びていきます。

これも、単に売上が伸びるわけではなく、粗利の幅が多い状態で伸びていきます。
何故かというと、相手が必要だと思っているモノやサービスを、マーケティングによってその人の元へ届けるわけですから、必要なものを提供された顧客は、基本的には値切ったりはしません。
利幅が確保できている状態で売上が伸びると、当然のように利益が上がるわけですが、この利益は会社を運営していく上でのあらゆる問題の緩衝材になります。

売上の重要性

というのも、会社を運営していく上での問題というのは、大抵がお金で解決できるからです。
生産能力がなければ設備投資をすればよいし、人手が足りなければ増やせばよいだけです。 求人も楽じゃないという反論もあるでしょうが、他社より高い値段で募集すれば、その苦労は解消されます。
会社が持つ、ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源の中で、金だけは、他の経営資源をその力で買うことが出来るので、これが豊富にあると経営的にはかなり楽になります。

では、マーケティングだけやっていれば良いのかというと、そういうわけではありません。
何故かといえば、確実に成功させるマーケティング手法というものが無いからです。
もし、マーケティングの成功方法が確立しているのであれば、例えば大企業のSNSアカウントなどは全て成功していて、ツイートも高確率でバズっていることでしょう。

しかし実際問題として、優秀だとされる社員を雇って、高額なコンサル料を支払っている大企業ですら、失敗している事業や商品はあります。
マーケティングは事業を行う上で確かに重要ではありますが、これだけで事業が成功するわけではないため、マーケティング以外の勉強も必要になってきます。
ということで、今回はマーケティングから離れて、経営戦略について話していきます。

経営戦略

戦略には、大きく分けて3段階あり、企業戦略と事業戦略と機能戦略が有ります。
両者の関係性としては、まず企業戦略があり、その下に従属する形で事業戦略が有り、更にその下に機能戦略があります。
企業と事業の違いとしては、事業というのは、会社が行っているそれぞれの事業のことで、企業はそれをまとめ上げているものです。

例え話を使って、まず企業戦略を説明していきましょう。あるスポーツ用品メーカーがあるとして、そのメーカーがフットサル用品を作る仕事をする場合、それは1つの事業となります。
この会社が、フットサル用品だけを作って販売する仕事だけを行っている場合は、この会社の企業戦略と事業戦略は同じものとなります。
しかし、フットサル場の経営という別の事業を行っていたとすると、この企業は、フットサル用品の製造販売事業とフットサル場の経営という2つの事業を行うことになります。

その場合は、フットサル用品の製造販売事業やフットサル場の経営という別々の事業に、どの様に資金を配分するのか、仮にどちらかが上手くいっていない場合、どちらの事業を中止して、どちらを継続するのか。
2つの事業が上手くいっていて、そこから潤沢な利益が得られている場合、既存事業に追加投資をするのか、それとも、新しく別の事業を立ち上げるのか。といったことを決めるのが、企業戦略です。

事業戦略

一方で事業戦略とは、それぞれの事業の戦略を考えていくことです。
先程の例で言えば、フットサル用品の製造販売事業を、今後どの様に展開していくのかや、フットサル場の経営をどのようにしていくのかといった事を個別に考えていきます。
大きな会社であれば、企業戦略は経営層が担って、事業戦略はそれぞれの事業部長が責任を持つという感じでしょうか。

機能戦略とは、その事業部を更に細分化させて、それぞれについて戦略を立てていくことです。
具体的には、経理や購買、営業や研究開発など、会社に属する人たちはそれぞれ専門の部署について仕事をするわけですが、その部署ごとにたてられる戦略と考えてもらえばよいです。

前に経営理念の話をした際に、ピラミッド構造になっていて、一番上に経営理念があって、その下に経営ビジョンやドメインがあって、その下に経営戦略があるといった事を話しましたが…
その経営戦略も細分化すると、同じくピラミッド構造になっていて、上から順番に、企業戦略・事業戦略・機能戦略という構造になり、基本的に下のものは上の方針に従う構造になります。
つまり、機能戦略の方向性は事業戦略によって決まり、事業戦略の方向性は企業戦略によって決まるということです。

この3つの戦略ですが、先程も例え話の中で少し触れましたが、会社の規模によって捉え方が変わってきます。
繰り返しになりますが、事業が一つしかない場合、例えば、自動車部品のみを作っていますというメーカーは日本にかなりの数があると思いますが、この会社は事業を一つしか行っていませんので、事業戦略と企業戦略は同じようなものになります。
というのも、企業戦略は会社が持つ事業の方向性を決めて、それを元に予算配分など経営資源の分配を行っていくわけですが、事業が一つしかない場合は、それを行う必要がありません。

その為、一つしか無い事業の方向性が、企業の方向性を決めることになります。
このコンテンツは、中小零細企業の方に向けて発信していますので、これを聞かれている方の中には、『ウチの会社の規模が小さいので、事業は1つしか無いから関係ないよ。』という方もいらっしゃると思います。
では、そのような方には、今回の放送は意味がないのかというと、そんな事はありません。 知っておくことで、この知識を使う場面も出てくると思います。

新規事業の必要性

というのも、事業というと規模が大きな仕事のイメージを思い浮かべますが、実はそんなことはなかったりします。
先程、自動車部品を作っている会社の例を出しましたが、その会社が、自社が持っている生産設備や職人の技術を使って別の商品を作った場合、それも新事業となります。
商品が2つになれば、その商品ごとに戦略は変わってきますから、企業としては限りある経営資源を、どの様に配分するのかを決めていかなければなりません。

経営資源の分配というと小難しく聞こえますが、要は、製造機械の使用時間をどちらの商品に優先的に割り当てるのかとか、営業をする場合、営業部の人間をどの割合で分けるのかというのは、企業戦略として行うということです。
また、今現在は新商品も新規事業もする気がなかったとしても、外部環境のほうが変わってしまって、新たな事業を立ち上げなければならない状態に追い込まれることも有ります。

例えば、昔はカメラと言えばフィルムを使用するものでしたが、パソコンとプリンターが普及して、デジタルカメラが全盛になってくると、フィルムは必要がなくなるため、市場は急速に縮小していきます。
この様な状態でもし、フィルム事業だけを行い続ければ、その会社は倒産してしまうでしょう。 これが、自分一人で行っている個人事業なら良いですが、人を雇っていた場合は、倒産によって従業員の人生まで狂わせてしまうことになります。
会社の経営をするということは、働いてくれている従業員の生活を守るという責任もあるわけですから、携わっている市場が無くなったので倒産しましたでは許されない場合が有ります。

では、そういった時はどうするのかといえば、会社の体力が無くなる前に別の分野に進出するしか生き残る道はありません。

事業分散で生き残る

先程のカメラのフィルム市場の実例で言うのなら、富士フィルムという会社はカメラのフィルム市場が急激にしぼんでいく中で、事業大転換を行って、医薬品や化粧品事業に参入して大成功をしています。
仮にこの会社がフィルム事業にしがみついていれば、倒産していた可能性は高いですし、生き残っていたとしても、事業規模は相当縮小していたでしょう。

この様な感じで、野心的に会社の規模を拡大するためであったり、外部環境の変化によって、企業戦略が求められるケースはどの規模の会社であったとしても存在します。
その為、基本知識として、企業戦略・事業戦略・機能戦略の3つからなる経営戦略を知っておくべきだと思います。

ということで今回は、経営戦略とは何なのかについて話していきました。
次回は、経営戦略を考えるための有名なフレームワークであるSWOT分析について話していきます。