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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第5回 経営理念

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

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目次

前回は、企業を取り囲む環境について、簡単に説明していきました。
企業というのは自己完結するものではなく、外側の人たちと関わり合いを持つ事で存在している。
企業に関わる全ての人達は利害関係者で、その利害関係者のことをステークホルダーという。というのが、前回の簡単な内容でした。

企業というのは、ステークホルダーから必要とされ続ける限り、存続し続けるものですが、その企業が誕生する際には、何らかの理由・目的があって誕生します。
今回は、このことについて話していきます。

企業の存在目的

古代ギリシャの哲学者、アリストテレスによると、この世にある全てのものは何らかの理由があって生まれてきます。
これは、物質的なものだけでなく、システムといった概念的なものも含みます。 一見不要に思えるシステムや『しきたり』も、それが生まれた当初は、何らかの目的を持って生み出されています。
逆に言えば、何の目的もなく誕生するものは、この世には無いともいえます。

この考え方は企業にも当てはまり、ある企業が誕生する場合、また、誕生して今まで存続している場合、そこには何らかの存在理由が有ります。
企業はその目的のために生まれてきていて、その目的を達成するために存続しているわけですが… この目的には、ある名前がつけられています。
それが、経営理念です。

基本的に経営理念が存在しない会社というのは存在しません。 小さな会社であれば、文章として明文化されていないこともあるかもしれませんが、そういう会社であったとしても、企業が何故、存在しているのかについては答えられると思います。
例えば私が行っている紙箱の製造販売であれば、『高級感の演出』であったり、『外装を通して製品価値を上げる』『プレゼントされた際の幸福度を上げる』といったことを目的として製品を製造販売しています。
かなり抽象的だと思われるかもしれませんが、経営理念というのは抽象的で良いんです。

企業そのもののイメージ的なものを、会社内外に提示するのが経営理念の目的なので、具体的な業務内容をつらつら書く必要はありません。
というのも経営理念は、その企業が向かう方向性を大まかに決めるための指針のようなものなので、大体の方向性が示せていれば、それで良いんです。
この様なアバウトなものが、何故そこまで重要なのかというと、これが無ければ、その企業が向かうべき方向が分からなくなるからです。

経営理念とは方向性を決めるもの

想像してみて欲しいのですが、例えば、船旅をしようと思った場合、普通は、地図とコンパスを用意して、目的地を決定してから出航しますよね。
地図もなくコンパスもなく、星を見る技術もない状態で、目的地を決めずなんとなく出発すれば、確実に遭難します。
企業も同じで、何の目的もなく、方向性も定まっていない状態で立ち上げたとしても、上手くいくはずがありません。

世の中から必要とされるためには、その企業を立ち上げることで何がしたいのか、何を達成したいのか、自分が立ち上げようとしている企業が本来あるべき姿とはどの様なものなのかという理念がなければいけません。
ここで、『どうせ目標を決めるのであれば、もっと具体的に決めておけば良いのでは?』と覆われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは、抽象的でなければならないんです。
というのも、企業の方向性というのは、経営理念だけで決まるわけではないからです。

企業の方向性ややるべきことは、大まかに分けて4段階に分かれていて、ピラミッド状で表されることが多いのですが、一番上に君臨するのが経営理念です。
そこから下に行けば下に行くほど、企業が行うことはより具体化されていくことになります。
一番上から順番にいうと、経営理念・経営ビジョン・経営戦略・経営計画となり、一番最後の経営計画では実際に何をすべきなのかを計画し、実行していくことになります。

この4段階のピラミッド構造の図ですが、説明する人によっては、経営ビジョンのところがドメインというものに変わっていたり、そもそも4段階ではなくて更に細かく分かれていたりする場合もありますが…
正直、この4段階をどの様な言葉で表現するかや、もっと多くの段階で説明したほうが良いのかと言ったことは、正直、どうでも良いことです。今回新たに登場したドメインという言葉については、次回、それをテーマに話すので、今回は説明を省きます。
重要なのは、一番上が経営理念という抽象的なもので、これが企業が発足する目的となっているということです。これを元に、経営ビジョンであるとか経営戦略といった感じで、業務の内容をより具体化させていきます。

つまり、経営理念を元に経営ビジョンであるとかドメインを設定し、それをもとに経営戦略を作り、それを経営計画に落とし込んで、日々の業務にしていくということです。
ピラミッド構造で上から下に考えていって、下にあるものは上の物に従属している形になるので、このピラミッド。つまり企業を支配しているのは、経営理念ということになります。
先程いった、経営理念が抽象的でならないというのは、この構造が関係していて、経営理念があまりにも具体的になりすぎると、それ以降の経営戦略などで取れるアクションの幅が狭まってしまい、仕事がやりにくくなってしまうからです。

経営理念のその他の役割

この経営理念には、向かうべき方向性を指し示して、具体的な計画につなげるという以外にも、もう一つ、重要な役割が有ります。
それは、組織内で共通の認識を持てるようにすることです。

例えば、会社の業績を伸ばすために、新たな事業を行ったり、新製品を開発したり取り扱ったりする場面というのは、結構、あると思います。
その際に、社内で会社の方向性に対する共通認識がなければ、新製品の方向性が決まりません。
というのも、前にも言いましたが、企業にはステークホルダーが存在し、その人達から必要とされているという状態があって付加価値を生み出していれば、成立してしまうからです。

つまり、ニーズがあって顧客がいて、それを提供できる環境があって、その業務によってお金が発生すれば、事業としては成り立つということです。

言い換えれば、法に触れない限り、お金を稼ぐだけなら事業としては何をしても良いわけですから、スポーツ用品メーカーが新事業としてカメラのレンズを作ったとしても、問題はないわけです。
しかし、何をしても良いとなると、組織はまとまりませんし、新たな人材を雇うにしても、どの様な人材を雇えばよいのかの方向性もまとまりません。
そこで、予め会社の方向性を決めておくことで、社内のコミュニケーションを円滑にしたり、価値観を揃えることが可能になるわけです。

社員間の企業イメージの統一

少し具体的な例で話すと、スポーツ用品メーカーとして起業し、経営理念として『運動によって人々の幸福を実現する』といったものを掲げていれば、この企業に集まってくる人は、運動に関連した仕事をしたい人たちばかりになります。
当然、新製品や新たに取り扱う商品は、運動や健康に関連するものになりますし、限定した領域で仕事をこなすことで、その分野特有のノウハウや知識・知名度も高まっていくことになります。
その独自に溜め込んだノウハウや知識やネットワーク・企業イメージが、その会社の『強み』となりますし、運動・健康分野での新たな事業機会に繋がる可能性も広がるわけです。

つまり経営理念というのは、それそのものが人事戦略や製品戦略、販売戦略やブランド戦略と言ったそれぞれ細かい戦略に直結しているということです。

ここまで、経営理念というものを説明してきましたが、では有名な企業では、どの様な経営理念を掲げているのかが気になった方もいらっしゃると思います。
そこで、何社か、経営理念を紹介していきたいと思います。

実際にある経営理念の紹介

まず、かなり抽象的な経営理念でいえば、サイバーエージェントの『21世紀を代表する会社を創る』というものが有ります。
この経営理念では、新しい時代の価値観を作っていくといった感じのイメージを彷彿させますよね。
だからといって具体的ではないため、今までの価値観を覆して新たなライフスタイルを提供するような新しい取り組みであれば、幅広く、何でも挑戦できそうな感じがします。

幅広いと入っても、古い価値観の掘り起こしや見直しは、事業としては行わないイメージを受けるため、ある程度の方向性は定められています。

もう一つ、少し具体的な例を挙げると、スターバックスの『人々の心を豊かで活力あるものにするために、ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから』
というものが有ります。この経営理念には、コーヒーという具体的な商品名が挙げられていますし、その商品を通してコミュニティを広げていくという方向性が定められているため、具体的で企業のイメージが湧きやすいと思います。
しかし、具体的であるが故に、事業の幅はカフェ事業からは大きく外れることが出来ないという制約も課せられています。

まとめると、そもそも企業は事業活動を行えば成立するわけですが、何の方向性も決めずに始めると事業の方向性が分からなくなるため、企業が存続するための目的としての経営理念が必要だということです。
次回は、これのもう一段階下に位置するドメインについて考えていきます。
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それでは、また次回。