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【Podcast #だぶるばいせっぷす 原稿】第46回 移り変わる宇宙の捉え方(2)『見かけの重力・量子論』 前編

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

科学も信仰

前回までの話は、科学もそんなには信用できないよ。というのを理解してもらうために、科学理論がどのように変化してきたのかについて説明してきました。
科学理論の変化について話すキッカケとしては、ソクラテスが活躍した古代ギリシャ時代から、理論の話を実際の世の中に持ってくる、または、その逆を行った場合、うまくいかないケースが出てくる…
例えば、『アキレスと亀』や『飛んでいる矢は止まっている』といったパラドクスが存在してしまうという話から派生して、現在の科学も同じで、現実の世界を完璧に表現できているわけではないという話をしてきました。

絶対的と相対的

その例として、ニュートンが考える宇宙とアインシュタインが考える宇宙が違うという話をしたのが前回でした。
ニュートンが考える宇宙は、絶対時間や絶対空間という物が存在する、分かりやすい宇宙でした。
分かりやすくいうと、時間は何処でどんな状態で測っても、1秒は1秒だし、空間も同じで、1立方メートルという空間は、どの場所でどんな状態で測っても、1立方メートルだという事です。
規則正しく線が引かれた方眼紙の上に存在しているような宇宙で、この宇宙では、様々な計算も比較的楽だし、素人目に観ても理解しやすい理論でした。

ですが、アインシュタインが考えた宇宙は違いました。
アインシュタインの考えた宇宙は、観測する他人毎に時間や空間が変わるというもので、時間や空間は相対的なものだというものでした。
簡単に振り返ると、光の速度は、どの状態で観測したとしても常に同じ速度という原理を元に作られた考え方で、物体が光の速度に近づけば近づく程、その物体が感じる時間はゆっくりになっていき、進行方向の空間は縮むというものでした。

詳しい話は前回に話していますので、まだ聴かれていない方は、そちらの方からお聞きください。

重力とスピード

この、物体が加速すると、移動している物体の時間が遅くなったり、目的地までの距離が縮まったりというのは、頭で理解できたとしても、信じられない人って多いと思います。
というのも、私達の感覚から、かなりずれた考え方ですからね。 ですが、この相対性理論は、これだけでは終わりません。
スピードを得るための加速と重力が同じものだという話も出てくるんですよ。

漫画でいうと、ジョジョの奇妙な冒険の第3部で、Dioは重力を操作することによって時間を止めますが、対する承太郎は速度の限界を超えることで時間を止めますよね。
速度と重力は同じと考えると、重力使いとスピードキャラの能力が同じというのも理解しやすいですよね。

重力と加速

これがどういう事なのかを簡単にいうと…というか、私自身の理解が追いついていないので、簡単にしか説明できないんですが…
電車や車などの乗り物に乗って、椅子に座るとしますよね。 この状態で乗り物が動き出すと、体が椅子に押し付けられるような感覚があると思います。
この感覚と重力は、同じものだということらしいんです。

例えば、外側が見えない箱があったとして、そこに人を入れて、無重力状態の宇宙まで持ち上げるとします。
この状態では、当然ですが、箱の中に入った人も無重力の状態になり、どちらが上なのか下なのかがわからない状態になります。

この、人が入った無重力状態の箱を、一方方向に加速しながら引っ張るとすると、どうなるのかというと、進行方向と逆の方向に押し付けられることになります。
これは、停車している電車の椅子に座っていいる状態で、電車が加速しながら走り出すと、座席の背もたれに押し付けられるのと同じ事ですね。

では次に、無重力状態の人が入った箱を、重力がある星に近づけていくとどうなるでしょうか。
この場合は、星の重力方向に引っ張られるように、箱の中に入っている人は、重力が引っ張る方向の壁に押し付けられる事になります。

この様に、2つの方法で、箱の中に入っている人を一方の壁に押し付けることが出来るわけですが、2つの方法だと分かるのは、その箱を外から観察している人だけなんです。
箱の中に入っている人にとっては、外を確認する手段が無い為、箱が加速したことで壁に押し付けられたのか、それとも、重力のある星に近づいたから、その方向の壁に押し付けられたのかが、判断がつきません。
この、物体が加速することによって生まれる『見かけの重力』と、質量が持つ『重力』は、同じだという考え方なんです。

等価原理

この主張のことを、等価原理というそうです。
ただ、これも、よくよく考えると、疑問が出てきますよね。

というのも、たしかに、外を確認することが出来ない箱の中に入っている人にとっては、加速で生まれた『見かけの重力』なのか、大きな質量を持つ物体が近づいた事によって発生した重力なのかは、判断が出来ません。
でも、外から見ている人にとっては、どちらの方法で、壁に押し付ける力が働いたのかというのは、一目瞭然なので、2つの力は違ったもののように思えてしまいますが…同じと考えるらしいんですね。
これが、相対性理論の考え方のようです。

この考えを発展させていくと、重力が強くなれば強くなるほど、時間の流れは遅くなっていきます。
何故、時間の流れが遅くなってしまうのかというのは、前回にも説明しましたが、時間というのは、光の速度に近づけば近づく程にゆっくりとなっていき、光の速度と同じ状態では、時間は止まってしまうからです。
そして、今回。 等価原理によって、加速と重力が同じだと説明しました。 重力が強くなるということは、それだけ速いスピードで加速するという事と同じなので、強い重力の下では時間は遅れてしまいますし…
ブラックホールの様な光をも飲み込んでしまう強い重力に呑み込まれると、時間は停止してしまいます。

絶対的と相対的

つまり、この理論が生まれる前に、いままで考えられていた世界というのは、まず、世界というものがあって、そこに私達が存在しているという世界観でした。
絶対的な世界。そこには、絶対的な時間があり、絶対的な空間があって、その中に、私達が存在しているという、分かりやすい世界観だったわけですが、相対性理論はそうは考えないんです。

例えば、これを聞いている皆さんが、今からスタミナが続く限り、全力疾走をしたとします。
そうすると、それを傍からみている人間にとっては、あなたが走っているように見えますが、実際に走っている『あなた』から観ると、あなた自身は止まっていて、世界の方が動いているように見えます。
この時、走っている『あなた』が観る世界と、走っている『あなた』を観ている人とでは、時間も空間も違っているという事です。

世界は、先程言ったような絶対的な空間や時間が有るものではなく、相対的なもので、観察している人間によって変わるという事なんです。
時間と空間というのは全く別の存在ではなく、それぞれに関係しあっているということです。
この話は、私達が感じる実感とはかけ離れている為に、いまいち『ピン!』と来ないと思います。 話している私自身も、いまいち分かって無いので、これを聞かれている方が、理解できていなかったとしても当然だとは思います。

言葉で説明しても、イマイチイメージがつかめないと思うので、今回話した重力と時間の関係について興味を持たれた方は、映画のインターステラーを観ると、イメージがつかみやすいかもしれません。

絶対的な世界を更に揺るがす量子論

相対性理論を簡単に観てきたわけですが、これだけでも分かりにくい『世界』というものなんですが、量子論という存在によって、更に分からなくなります。
単純に、量子論の考え方が難しいという事もあるのですが、今までの常識を塗り替えた相対性理論の世界を更に塗り替えるような考え方なので、私達の常識というものが、更に通用しなくなるんです。

ということで、これから分かる範囲で、量子論の説明をしていこうと思いますが、繰り返しになりますが、私は専門家ではありません。 理解不足の部分もかなり有るので、興味が有る方は、自身で調べてみてくださいね。
量子論とは、ものすごく簡単にいうと、ミクロの世界について考えて、それを発展させる学問です。
この宇宙に存在しているものは、人間であったり、星であったり、銀河であったり、どんな大きなものであったとしても、小さなミクロの積み重ねによって出来ています。
この考え方は、以前にイオニア自然学の話をした際に、アナクサゴラスの主張として紹介しましたよね。

古代ギリシャのアナクサゴラスの時代には、観測する為の装置なども無かったので、机上の空論でしか無かったわけですが、1900年代に入って技術が追いついたことで、このミクロの分野の研究も進んでいくことになります。
この量子論が生まれた時期としては、前回から紹介している相対性理論と同じ様な時期となっています。
その為、この量子論が生まれた当時は、まだ、アインシュタインも生きていたので、この今までに無い理論の、納得できない点について、様々な批判的な意見を言っていたりもしました。

では、アインシュタインがそこまで批判的な意見をいってしまう、この量子論という考え方は、どのようなものなのでしょうか。
どのようなものかを、物凄く簡単に、ざっくりと言ってしまうと、『物質は、確率の波として存在している』という理論です。
確率の波として存在しているので、観測して初めて、状態が確定するという事らしいのです。

(つづく)
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