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【Podcast #だぶるばいせっぷす 原稿】第45回 移り変わる宇宙の捉え方(1)『相対性理論』 後編

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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前回はこちら
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今までの法則に矛盾する光の速度

ですから、今までの速度に関する法則も、この『光の速度は変わらない』という前提で、再度、考えなくてはなりません。速度に関する法則は、時間と距離が分かれば、速度がわかるという、『はじきの法則』と呼ばれるモノの事だと思ってください。
距離が100キロで、そこまでの移動時間が1時間であるなら、100キロを1時間で割ると、時速100キロとなります。
距離を速さで割ると、その地点までの到達時間が解りますし、速さと到達時間をかけると、目的地までの距離がわかります。

この法則は、例えば、徒歩や自動車や電車を使うと言った程度の速度では、今までどおり問題なく使えるわけですが、これが光の速度になると、話が変わってきます。
というのも、光の速度は常に一定であるわけですから、光の速度が絡んだ計算においては、『はじきの法則』の速さの部分は、常に30万キロで固定されてしまうわけです。
速さが常に30万キロで固定されるということは、計算式を合わせるためには、残りの距離と時間の方を調整せざるをえない状態になってしまいます。

観測者の速度によって変化する時間

では、具体的にはどんな現象が起こるのかというと…限りなく光の速度に近い宇宙船が開発されたとして、そのロケットに乗っている人の時間はどうなるのかというと、高速に近づけば近づく程、時間は徐々にゆっくり流れていくようになります。
私は科学の専門家ではないので、この解釈があっているのかどうかは分からないという前置きをして、先程の例についての自分なりの解釈を言わせてもらうと、光の速度は秒速30万キロで、この速度は、どの状態で観測しても同じということは確定しているわけです。
この前提で、光の速度まで加速できるロケットに乗って光と競争すると考えると、ロケットは最終的に光の速度まで加速して、光と並走する事が出来るはずなんですが…

実際には並走できず、高速に近い加速をしたとしても、窓から見える光は秒速30万キロで、ロケットを追い抜いて行くことになります。
この辻褄を合わせるためには、ロケットの時間がゆっくりになっていって、光の速度に到達した時に、ロケットの時間が止まってしまえば、辻褄は合うことになりますよね。
動画の再生をイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれませんが、新幹線が走っている姿を間近で撮った動画を、そのままのスピードで再生すると、早すぎて、何がなにか分かりませんよね。

でも、再生速度をゆっくりにしていくと、新幹線のスピードはドンドン落ちていって、一時停止をすると、新幹線は完全に止まって静止してしまいますよね。
この再生速度の低下を、時間がゆっくり流れていくという現象に、そして、ロケットの速度が光の速度と同じになった時に、時間が停止する。 動画でいうと、一時停止状態に置き換えてみると、分かりやすいかもしれません。
ロケットが光の速度と同じ、秒速30万キロの速度が出ていたとしても、そのロケットの時間が停止してしまうと、そのロケットは動かないわけですから、止まっている状態となります。

時間が止まってロケットが静止している状態で、競争している光を観測すると、光は秒速30万キロでロケットを追い抜かしているように見える為、辻褄は合いますよね。
今回の例では分かりやすいように、ロケットのスピードが光と同じ速度まで出ているとしましたが、原則としては、光速と同じ秒速30万キロに到達する事は無いようなので…
どれだけ技術が進んだとしても、光の速度と同じスピードのロケットは作ることは出来ません。

ですが仮に、光の速度の99%の速さで進むロケットが開発された場合は、そのロケット内の時間は、かなりゆっくりと動くことになります。
ここで注意が必要なのは、時間がゆっくり流れているからといって、宇宙船の中の人は、全てのものがスローに見えていたり、ゆっくりしか動けないというような状態に成るわけではないという事です。
宇宙船の中でも、時計は1秒を普通の感覚と同じ様に刻み続けますし、宇宙船の中の人は、普段と同じ様なスピードで動けます。

伸び縮みする空間

宇宙船の中の人は、時間の流れの変化は感じないわけですが、実際のロケットは、時間経過がゆっくりになるということです。ただ、ロケットの時間が遅くなるとすると、おかしな状態になってしまいますよね。
どれだけ早い乗り物を作ったとしても、その乗り物が加速すればする程、その割合に従って時間がゆっくりになっていくのであれば、早い乗り物を作ったとしても、意味がなくなりますよね。
先程の動画の例を思い出してもらえれば解りますが、時間経過がゆっくりになれば、それに応じて乗り物のスピードもゆっくりになってしまうわけですから、速い乗り物を作る意味がなくなります。

また、現実の世界とも矛盾しますよね。
頑張っても時速30キロしか出ない自転車と、時速100キロでる自動車とが競争すれば、当然、時速100キロでる自動車の方が競争に勝つことが出来ます。
当然のように、時速100キロの自動車と、限りなく光の速度に近いスピードが出るロケットが競争すると、ぶっちぎりでロケットが勝つでしょう。

仮に、光の速度で1年かかる距離、つまり1光年先にある目標に、この限りなく光の速度に近いロケットで向かったとすると、そのロケットは1年ちょっとで目標地点まで到達できるはずです。
しかし、先程も言いましたが、光の速度に近づけば近づく程、ロケットの時間は限りなく停止していくわけで、時間停止に伴ってロケットの速度も停止していくはずなので、目的地には、いつまで経っても着かないはずです。
でも実際には、1年ちょっとで目的地には着くんです。 この辻褄を合わせる為には、どうしたら良いかというと… 光の速度に近づくほど、空間の方が縮んでいる事になれば、辻褄は合いますよね。

仮の話ですが、光の速度と全く同じスピードでるロケットが作れた場合、そのロケットが加速して光の速度に到達した時点で、ロケットの時間は停止するわけですが、それと同時に、目的地までの空間が縮んで、距離がゼロになるとします。
ロケットの時間が停止して、乗り物自体が移動することができなくなっても、目的地までの距離がゼロになれば、ロケットは目的地に到達していることになるので、矛盾はなくなるということなんでしょう。
何度も言いますが、私は科学の専門家ではないので、このあたりの解釈は間違っているかもしれないので、気になる方は自分自身で調べてみてくださいね。

観測者ごとに違って見える世界

つまり物体というのは、光の速度に近づけば近づくほど、その物体の時間は遅くなっていくわけですが、それと同時に、進行方向の空間も縮んでいくという事です。
光の速度に近い速度が出る乗り物に乗った場合、そのロケットに乗っている人の時間はゆっくり進んで、その上、目標地点までの距離は縮むので、光の速度で1年かかる距離にある地点には、体感では1年かからずに到達します。
ロケットが、光に対してどれぐらいの速度が出るかにもよるのでしょうが、光の速度に限りなく近い速度が出せるのであれば、1光年先にも、体感時間としては、数分で着くという事です。

ただ、そのロケットに乗り込まず、外から観察している人、例えば、地球の地面の上でロケットを観測している人がいたとすると、そのロケットは、1年以上かけて目的地に到達することになります。
つまり、時間や空間というのは、光速に近い速度が出るロケットに乗っている人や、地面に座って動かない人など、人それぞれの状態によって変わってしまうという事のようなんです。
当然の事ですが、人それぞれの状態によって、体感時間の差も生じてしまいます。

先程の、光の速度に近いロケットで1光年先まで行く例でいうなら、ロケットに乗っている人にとっては数分の時間しか経過していない事になりますが、地球で観測している人からすると、ロケットの到達時間は1年以上かかっている事になります。
この体感時間の差の事を、浦島太郎のおとぎ話と同じ様な出来事ということで、ウラシマ効果といったりもします。

これは、言葉だけで聞いていても分かりにくいと思うので、映像などで観てみると良いかもしれませんね。
ウラシマ効果は、SF作品で結構使われていたりもしますが、個人的には、『トップをねらえ!』というアニメ作品をお勧めしたいですね。
このアニメでは、スピードを加速して光の速度に近づけば近づくほど、地球のカレンダーが高速で進んでいくという表現で、ウラシマ効果を表現していて、分かりやすいと思います。

相対性理論は、この他にも、重力とスピードが同じといった話もあるのですが… 結構長くなってきましたので、その話は次回にしようと思います。