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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第58回【経営】ブランド まとめ回

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。

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前回はこちら

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ブランドは何故必要なのか


前回まででブランドとは何なのかというのを話してきましたが、結構長くなってしまったので、今回はブランドの総まとめ回をやっていきたいと思います。
ます、何故ブランドが必要なのかというと、売上を上げるために必要となります。
売上というのは、販売数量×販売価格で計算されるため、このどちらか、もしくは両方を上げなければ売上は上がりませんが、ブランド力の強化は、上手く行けば販売数量と価格の両方を上げることが可能です。

ブランド力を高めるためには


まず販売数量の方から説明すると、人がものを消費しようと思う場合は、まず買いたいと思う物や買いに行きたいと思う場所を思い浮かべ、実際に行動に移します。
ものを販売する際に重要になってくるのは、顧客が物を買おうと思ったタイミングで、顧客の頭の中で自社製品が思い出されるかどうかです。
この時に思い出されやすくするために、様々な戦略や方向性を決めていきます。

顧客に思い出してもらい易くするために重要となってくるのが、ブランドの方向性です。 これは、どういった顧客をターゲットにするのかという風にも言い換えることが出来ます。
ターゲット層の切り分け方は、過去にマーケティングの回で説明していますので、詳しくはそちらを聞いてもらいたいのですが、性別や年齢層、どこに住んでいるのかと言った地域や職業などで分けたりします。
このターゲット層は絞り込めば絞り込むほど、ターゲットとする顧客の人数そのモノは下がっていきますが、逆にイメージは具体的なものとなっていきます。

自社ブランドを思い出してもらうために


例えば洋服を販売する場合、男女という大きすぎる枠組みで分けた場合は、ターゲットとなる顧客の人数は増えますが、イメージが固まりません。
イメージが固まらないということは、顧客が服を買おうと思った際に思い出してもらえなくなるということに繋がりますから、結果として販売数を伸ばすことは出来ません。
しかし、女性の中でも20~30代に年齢層を絞り、大柄やスレンダーと言った体格でもターゲットを絞り、独特の世界観をデザインによって表現すれば、ブランドのイメージはより具体化されます。

この様にイメージが具体化されていけば、当然のように好き嫌いもはっきりしてきます。つまり、自社ブランドを明確に嫌う人達も出てくるということです。
こうして顧客を絞り込んでいくと、ターゲットとなる顧客の人数自体が減っていき、市場規模も小さくなっていきます。
しかし、イメージを先鋭化させることによって、このブランドのことが好きだという人達が購買行動を取る際には、真っ先に思い出してもらいやすくなります。つまり固定客がつきやすくなるわけです。

結果として、先程のように、ターゲットを広げた結果、誰の目にも止まらないようなブランドを作るぐらいなら、イメージを先鋭化させてブランドイメージを固定化させて、顧客に覚えてもらいやすくする方が良いということになります。

ライン拡張戦略


このイメージを固定化させる方法としては、ライン拡張戦略が有効とされています。 つまり、商品開発をする際には同じ様な機能や世界観を持った製品を作り続けるという戦略です。
これは洋服にしても電化製品にしても同じですが、特定分野に特化することで、『そのブランドはこの種類の製品を専門としている』というイメージを顧客から持たれ易くなります。

別の例で電化製品でいえば、スピーカーやイヤフォンなどに特化して製造を続けていけば、音響分野で名前が売れていくでしょう。
会社としても、1つの分野に特化するわけですから、ノウハウやデータも溜まっていくでしょうし、ブランド力が上がることで、音響関連が好きな人達が社員として応募してくるということもあるでしょう。
そうするとその分野での会社のイメージも上昇しますから、結果として売上が上昇しやすい状況が生まれます。

ブランド拡張戦略


『一つの分野だけでは、絶対値として売上は上がりにくくなるのでは?』と思われる方もいらっしゃるでしょうが、その場合は、ブランド拡張戦略か新ブランド戦略を取ることで、事業の幅を広げていきます。
ブランド拡張戦略は、今までと同じブランド名を引っさげて、新たな事業に進出していく戦略です。 この戦略はライン拡張戦略とは行動の方向性が全く違うため、それなりのリスクもあります。
ただ、現実の事業の場合は前回までに説明した机上の理論とは違い、もっとアナログですので、ブランド拡張戦略を取りつつもリスクを減らす方法もあります。

その方法は、関連分野に進出することです。 これは以前に事業の多角化戦略を説明した際にも言ったことですが、今までの事業と関連する様な事業に進出することで、リスクを減らすことが出来ます。
全く違う分野ではなく既存事業の関連分野であれば、これまでに培ってきた経営資源を再利用することも出来ますし新規投資も減らせるので、新事業進出のハードルが下がります。
それに加えて、既存ブランドのイメージも大きく揺らぐことがないため、リスクを減らすことが出来ます。

何故ブランド力を高めなければならないのか


ブランド力が重要になるもう一つの理由として販売価格が挙げられます。利益というのは簡単に言えば、売上から経費を差し引いて計算されます。
この利益を上げようと思った場合、方法としては売上を上げるか経費を削減するか、それとも両方を行うかのいずれかです。
この場合、経費を削減するのは自社の努力でなんとかなるため、手を付けやすいですが、経費はどれだけ頑張ったとしても限度がありますし、あまり削減しすぎると製品の品質が低下したりもします。

こうして考えると、企業を成長させるためには売上を上げなければなりませんが、ではどうやって売上を上げるのか。
売上というのは、販売数と販売価格をかけ合わせたものなので、仮に市場規模的に販売数を増やすことが難しいとした場合、販売価格を上げるしか方法はありません。
この販売価格を上げる為に必要なのが、ブランド価値の上昇です。

ブランド力は価格に反映される


例えば、原材料1000円で仕入れた物に職人が1時間手を加えた製品があったとしましょう。この製品価格は、その職人や職人を雇っている会社のブランド力によって変化します。
具体例で服飾メーカーで考えてみると、ユニクロが出している服とシャネルが出している服で、どちらの方が粗利が高いかで考えてみると良いかもしれません。
両方のブランドの最終的な服の値段から原材料費を差し引いた残りの金額は、両者で同じにはならないでしょう。

ではこの差は何なのかというと、ブランドが持つ価値です。このブランドの価値。ブランド・エクイティに顧客は余分に金を支払っているんです。
これは企業側から見れば、ブランド力を上げれば上げるほど販売価格を上げることが出来る様になるとうことです。
ブランド力を上げる行為は、企業にとって良いことしか無いため、基本的に企業はブランド力を上げる方向で戦略を練っていきます。

ブランド力を上げる方法


このブランド力を上げる方法ですが、この一連のブランド回の最初にも言いましたが、基本的には地道に実績を積み上げていくしかありません。
ターゲットとしている顧客が何を求めているのかを知ろうとし、それを実現させるために品質の改善やコストの見直しを行って、顧客に彼らが支払った値段以上の満足度を与え続ければ、いずれ評価されてブランド力は上がっていきます。
この様な地道な作業が基本となるのですが、この他の戦略として、自社がすでに持っているブランドや他社が持っているブランド価値を借りてくるという方法もあります。

自社ブランドを利用する場合は、ブランド拡張やダブルブランド戦略となります。 他社から借りてくる場合は、ダブルチョップとなります。
ダブルチョップを簡単に復習すると、自社が企画した商品であっても、製造メーカーの方がブランド力や知名度が高い場合は、製品に製造メーカーの名前も併記して販売する方法です。
自社ブランドが無名であっても製造メーカーの方が有名であれば、そちらの名前で売れるでしょうし、その商品を長く売り続けていれば、いずれは併記していた自社ブランドの名前も定着して信用されるようになります。

利用できるブランド


ほかからブランドの力を借りてくるというとたいそうに聞こえますが、世の中をよく注目すると多くの会社が実際に行っているのがわかります。
例えばスーパーで売られている食材で、産地によって値段が違う状態を見たことはないでしょうか。日本では国産がブランド化しているので、国産と名前が付けばそれだけで割高に売れるという状態になっていたりします。
この様な状況であれば、国内の生産者から仕入れた商品については『国産』と銘打って売り出せば、それだけで販売価格を上げることが出来るようになります。

食材の場合は、何を持って美味しいのかというのは人によって違うため、国産が本当に美味しいのか、品質が高いのかはわかりませんが、そのブランドをつけることでブランド価値が上る可能性があるのであれば、利用を考えて見る価値はあります。
同じく食料品関連で言えば、ブランド食材を材料に使っていると大々的に宣伝しているような飲食店もありますが、あれも見方を変えれば他社ブランドの利用となります。
料理というのはどの様な食材を使ったところで調理するものの腕が悪ければ品質の高いものは出来ませんし、料理人の腕が良かったとしてもその人の料理が自分の口に合うかどうかは別問題です。

その為、『料理が美味しい』と宣伝することは難しいですが、食材にブランド物を使っていると宣伝するのは、実際にその食材を使っているのであれば単に事実を述べているだけなので簡単です。
簡単である上に、顧客の方が勝手に『料理の品質は高いはずだ』と思い込んでくれるので、料理の値段が多少高くても納得してもらいやすくなったりもします。
このようにして引き上げられる価格は、実物としての商品の価値そのものが上昇しているわけではないので、ブランド価値の上昇と言うことが出来ます。

他社ブランドに頼らずに自力でブランド力を高める場合は、王道としては自社製品の品質を上げるためにどの様な改善活動をしているのかと言ったことを積極的にアピールすることですが、会社が社会にどの様に貢献しているのかをアピールする方法もあります
最近で言えば環境問題が問題視されていますが、この環境問題にどの様に取り組んでいるのかというのをアピールするのも一つの手でしょう。

このようにしてブランドのイメージを引き上げることで販売価格や販売数量の増加を狙っていくのが、ブランド戦略です。
以上でブランドについての話は終わります。次回からはカテゴリーを変えて、経済や財務について話していきます。