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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第20回【経営】『直接的外部性』と『間接的外部性』

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

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目次

ネットワーク外部性とは

前回は、ネットワーク外部性について話していきましたが、それだけでは話しきれなかったため、今回も、そのネットワーク外部性と、その延長線上に有るプラットフォームビジネスについて話していきます。
ネットワーク外部性を簡単に復習すると、そのネットワークに加入するものが多くなればなるほど、そのネットワークに関わる人達が有利になる仕組みです。
ここでネットワークという言葉が出てきましたが、ここで言うネットワークというのは、マルチやネズミ講まがいの商売をしている人たちが頻繁に口にしているネットワークビジネスとは関係がないので、注意してください。

このネットワーク外部性ですが、「直接的外部性」と「間接的外部性」の2つに分けることが出来ます。
まず、『直接的外部生』についてですが、これはネットワークに加入している人数が多くなれば多くなるほど、ユーザーの利便性が上昇する性質について説明したものです。
よく例として挙げられるのが、電話です。

ネットワーク外部性の『ある』『なし』

電話は、どこにいても連絡が取れるため、非常に便利なツールと言えますが、もし、加入者が自分1人だけだった場合を考えてみると、どうでしょうか。その電話は、使いやすくなるでしょうか。
例えば自動車の場合。 道路が今と同じ様に敷かれている状態で、自分が所有する以外の車が全て消滅したら、自分が持つ、車の価値は非常に大きくなるでしょう。
何故なら、この世に車が1台しかないわけですから、信号機も必要ないですし、渋滞なんかも起こるはずがありません。

道路は自分用になりますから、自分の車以外の車が消えた世界では、自分の車の使い勝手は非常に良くなりますし、周りの人間が車を持っていなければ、車を所有している事に対する価値も相対的に上がるでしょう。
では、電話も同じ様に、自分が持つ1台の電話以外、全ての電話がこの世から消え去ったとすれば、先程の車のときと同じ様に、利便性や所有している事についての価値は上昇するでしょうか。
少し考えればわかりますが、自分しか電話を持っていない状態になれば、その電話の価値はなくなります。

何故なら、電話というのは『かける側』と『受ける側』の最低2台が必要になる機械だからです。
自分一人だけ電話を持っていても、その電話の呼出音が鳴ることもありませんし、こちらからかけるべき相手もいないわけですから、電話という道具は無意味なものとなります。
しかし、自分の他にもう1人が電話を持ったとすれば、1台しかなかった時には価値がなかったものに、価値が生まれます。

参加者が多くなるほど効用が増える

何故なら、『電話というツールを使って通信できる相手』という存在が誕生したからです。 2台の電話には、特定の固定された相手と連絡を取れるツールという価値が生まれます。
これがもし、電話を持つ人間が10人に増えたとすれば、電話の価値はどうでしょうか。 2台しかなかった時は、特定の相手としか連絡を取ることが出来なかったのに、10台に増えれば連絡を取れる相手が9人に増えます。
電話を持つ人間が1億人に増えれば、通話サービスというのは非常に便利なサービスへと変わるでしょう。

この様に、ネットワークに参加する人間が増えれば増えるほど、そのネットワーク加入者の効用が上がるのが、直接的外部性です。
ここで新たに登場した『効用』という言葉ですが、これは経済学で使用される言葉で、意味としては効用が増えれば増えるほど、幸せな気持ちになれるようなモノ。幸福度と考えてもらえれば良いです。
では、電話以外にこの様な直接的外部性が働くサービスは存在するのかというと、存在します。 

ネットワークなくしてSNSは成り立たない

例えば、SNSなんかがそれに当たるでしょう。
facebookツイッターは、自分1人しか加入者がいなければ、全く面白くありませんし、投稿する意味がありません。何故なら、投稿したところで誰も利用していないわけですから。
しかし、数百万人、数億人と人数が増えるにつれて、SNSのサービスはどんどん価値有るものに変化していき、そのネットワークに加入している人達の効用も上昇します。

『間接的外部性』とは

次に、『間接的外部性』です。 これは、補完材の供給が増えることによって、ユーザーの効用が向上することを指します。
簡単に言い直せば、前回に紹介した様な、ビデオ機器とビデオソフトや、ゲーム機とソフトの関係のようなものです。ビデオにしてもゲームにしても、そのハード単体を所有していたとしても、消費者の効用は上がりません。
では、どうすれば消費者の幸福度である効用は上昇するのかといえば、多種多様なソフトが誕生することです。

そうすることで、様々な人のニーズに答えることが出来るようになり、多くの人の欲望を満たすことが出来るため、結果として、ハード所有者の効用は上昇します。

『直接的外部性』と『間接的外部性』

この、『直接的外部性』と『間接的外部性』ですが、完全に切り離されて独立した状態で存在するわけではありません。
つまり、TwitterなどのSNSは『直接的外部性』だけで、ゲーム機などは『関節外部性』だけで成立しているわけでは無いということです。

2つの要素は混在している

今存在している多くのサービスは、直接的外部性と間接的外部性が混在する形で存在しているのですが、それらのサービスを分解していくと、2つの要素に分けられるということです。
例えば、ここ最近のゲーム機でいえば、大半のハードに通信機能が付いていて、ネット経由で遠隔地に住む人と一緒にゲームを楽しめたりします。
ゲームによっては、100人で最後の一人になるまで殺し合うバトルロイヤルゲームなんかがあったりもします。

その他にも、VRchatの様に、仮想空間内にダイブして、そこにいる人達とコミュニケーションを取るだけのコンテンツがあったりもします。
一方でTwitterも、1億人が登録してアカウントを作ったとしても、誰もツイートせず、みんなが特定の人とDMだけでやり取りをしていたとすれば、その魅力はほぼ無くなってしまうでしょう。
Twitterの魅力は、見ず知らずの人達が自分の思い思いの気持ちを、誰にでも見える形で適当にツイートしていて、世界中の誰もが、それを見ることが出来ることです。

この場合、ユーザーがツイートをするという行為そのものが、Twitterというハードのソフトになります。

製品づくりにも関連している『ネットワーク外部性

この他の例で言えば、パソコン市場なども、これに当てはまります。
ゲーミングパソコンに興味があったり、自分で作ってしまう人たちにとってはお馴染みかもしれませんが、パソコンというのは、複数個の部品が組み合わさっているだけの機械だったりします。
もう少し具体的にいえば、マザーボード・CPU・メモリ・ストレージ・電源・ケース・グラフィックボード、これらを組み合わせたものが、パソコンです。

このパソコンですが、部品は自分で自由に組み替えられたりします。 何故、組み替えられるのかというと、メーカーの枠を超えて、端子などの接続部分を共通のものにしているからです。
もちろん、部品同士の世代が違いすぎれば組み合わせることが出来ないということもありますが、そこに注意を払えば、自分で好きなパーツを組み合わせてパソコンを作ることが出来ます。
自分で作業を行うのが辛いという人は、BTOサービスを使えば、部品を選ぶだけで工場で組み立ててくれて、家まで配達してくれます。

何故、この様に様々なメーカーの違う部品を組みこむことが出来るのでしょうか。
パソコン部品メーカーからすれば、自社の製品としか組み合わせることが出来ない部品を作れば、パソコンの中身を自分の会社の製品だけで独占することが出来ます。
しかし、パソコン部品メーカーはそんなことはせず、他社でも端子をつなぎ合わせれば接続できるような設計にしています。

何故、そうしているのかといえば、その方が結果として、部品のシェアが伸ばせるから、その様な戦略をとっているんです。
自社の部品しかつなぎ合わせることが出来ないような製品を作ってしまうと、一見すると、自社の部品で独占できるような気がしてしまいますが、実際にはユーザーの利便性が下がってしまいます。

『モジュール型』に対する『インテグラル型』

パソコンや通信機器周りでいえば、Appleが、自社製品しか使えないような戦略をとっていますが、ユーザー目線でいえば、利便性が高いかと言われれば、なかなか高いとは言い切れないと思います。

例えばiPhoneの場合、充電ケーブル一つとっても、ライトニングケーブルを別で購入しなければなりませんが、windowsやアンドロイド製品の大半は、USBで接続できます。
Appleのようにブランド力が強く、信者と言われている人たちから絶対的な信頼を勝ち取っている場合は、信者の人たちはアップル製品で身を固めているため、不便さは感じないと思います。
しかし、Appleの様なブランド力は、作ろうと思ってもなかなか作れるものではありません。

それなら、参入障壁を低くして、端子の形さえ合わせれば、他社製品であっても組み合わせることが出来るようにしておけば、ユーザー側の利便性は向上します。
また、様々なメーカーが参入するということは、その市場が多様化します。その結果として、ネットワーク外部性が働くことになり、ユーザーの効用は上昇します。

この様に、参入障壁を無くすことで市場を活性化させ、結果として供給側、需要側双方の効用が上がる事をネットワーク外部性といい、これをビジネスに利用したプラットフォーマーという存在がいるわけですが…
では、前に話したネットワーク外部性と参入障壁は、相容れないものなのかというと、そういうわけでもなかったりします。
ということで次回は、ネットワーク内での参入障壁について考えていこうと思います。