だぶるばいせっぷす 新館

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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第2回 経営知識とは

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
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前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

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目次

経営学を学んでも確実に成功できるわけではない

前回は自己紹介回だったので、今回から経営について学んでいくわけですが、皆さんにまず最初に知っておいてほしいことは、経営学を学べば会社が成長して大成功するわけではないということです。
ネットなどでは、『簡単に楽して儲ける方法』や、自分たちに任せれば業績を向上させることが出来ますよとうたっている経営コンサルタントなんかがいたりしますが、そんな方法はありませんし、少なくとも経営学はその様な学問ではありません。

このコンテンツは、中小零細企業の経営者の方に向けて発信していますので、経営者の方も聞かれていることを想定して話すと…
規模の大小に関わらず、経営というのは一筋縄ではいかないことは、経営者ご自身がよく分かっているとおもいます。

もし、経営学やその周辺知識を学ぶだけで、誰でも確実に大儲けが出来るようになるのであれば、そもそも経営学は世間一般に公開されていないでしょう。
何故なら、学ぶだけで大金持ちになれるような方法があったとすれば、普通の人間であれば、その知識を独占しようと思うからです。

経営学部の教授は学生に経営学を教えずに、その知識を使って自ら会社を起こして大儲けすれば良いだけです。
経営コンサルタントも、積極的な営業活動をしたり他人の相談に乗ったりしなくとも、その知識を生かして自ら事業を起こせば良いはずです。
しかし実際には、経営学を教える職業の人が沢山いたり、他人の事業の相談に乗ってお金を得ている人たちが多数います。

では、その様な人たち全員が食べていけているのかといえば、そんな事もありません。
経営コンサルとして独立開業したけれども食べていけないので、起業セミナーに通い続けている人もいます。
教育機関でいえば、ビジネススクールは飽和していて、MBAと呼ばれる経営学修士を取得できる学校は、半数が定員割れで撤退を余儀なくされている状態です。

もし、経営学が万能で、修めるだけで事業の成功が約束されているのであれば、この現状はおかしいですよね。
しかし、いくらおかしいといっても、理論と現実を比べた場合に優先しなければならないのは、結果が出ている現実の方なので、経営知識を教えるビジネススクールが成功していないという現実の方を受け入れるべきです。

では、経営について勉強するのは無駄なのかというと、そういうわけではありません。
経営についての知識を身につけることで、大成功が約束されているわけではありませんが、リスクを避けることは出来ます。

リスクとは

ここでリスクという単語が出てきましたが、ここでいうリスクというのは、世間一般でいわれている危険度としてのリスクではなく、不確実性のことです。
分かりやすくするために例え話をすると、2メートルの脚立から落下する場合と、スカイツリーの天辺から落下するリスクを比べた場合、不確実性という意味合いでのリスクでいえば、2メートルの脚立から落ちる方がリスクは高いです。
これ、リスクという言葉を勘違いして捉えている場合は、スカイツリーから飛び降りる方が危険度が高いんだから、リスクも高いと勘違いしますが、不確実性という意味合いのリスクでいえば、脚立から落ちる方が高くなります。

もう少し詳しく不確実性について説明すると、不確実性というのは将来の見通しが悪く、先行きが不透明な状態であればあるほど、不確実性が高い。つまり、リスクが高い状態となります。
逆に、将来の事柄が確定しているとか、予測の精度が高く、将来起こることが分かっている場合は、リスクが低い状態となります。

ではこれを、先程の例え話である2メートルの脚立から落ちる場合とスカイツリーから飛び降りる場合に当てはめて考えてみるとどうでしょうか。
2メートルの脚立から落ちた場合は、足から着地すれば死ぬことはほぼ無いでしょうし、怪我もしないでしょう。 しかし変な落ち方をすれば怪我をしてしまうでしょうし、後頭部から落ちれば、最悪死んでしまう可能性が有ります。
つまり、2メートルの脚立から落ちた場合は、複数の結果が予測でき、それらを確定することは出来ませんので、確実性が低い、つまりは不確実性が高くなるので、リスクは高いということになります。

一方でスカイツリーから飛び降りた場合はどうでしょうか。
この場合は、足から落ちようが頭から落ちようが関係なく、確実に死ぬでしょう。
つまり結果が確定しているために、リスクはゼロとなります。

経営学を学ぶとリスクが下げられる

経営についての知識の話に戻すと、経営学やその周辺情報を学ぶことで、全く知識がない状態と比べると経営のリスクを下げることが出来ます。
これだと抽象的すぎるので、もう少し具体的に話すと、リスクを下げて不確実性を下げることができれば、先々の見通しが良くなります。
見通しが良くなれば、例えば、新規事業を始めようと思った際に、月にどれぐらいの売上が建てられるかや、計画そのものの成功・失敗が、ある程度予測できることになります。

ここで重要なのは、『ある程度』ということです。 確実にわかるわけではありません。しかし、この『ある程度でも分かる』というのが重要だったりします。
将来の見通しが良くなって、ある程度の予測を立てることができれば、一応のゴールを設定することができますし、ゴールの設定ができれば、その間にマイルストーンをおいて、目標を達成するために何をすれば良いのかがわかります。
ここで、マイルストーンという言葉が新たに出てきたので説明をすると、例えば、1キロ先にゴールを設定した場合に、闇雲にゴールを目指しても、今現在、何をすべきなのか、何から始めるべきなのかが分かりません。

距離感が分からなければ、最初から全力で走って途中でバテてしまい、ゴールできないということもあるでしょう。
しかしここで、マイルストーンという距離を測るための石を500mの位置に置き、この時点では体力がこれぐらいあれば良いという目安を設定すれば、ペースを計算しやすくなります。
500m地点の目標が分かれば、300m地点ではどういう状態でなければならないのかがわかります。この様にまず目標を設定して、その後、現在と最終目標との間に更に細かい目標をおいていくことで、道筋が具体化していきます。

それをどんどんと刻んでいけば、直近で何をすれば良いのかが分かるようになりますし、計画を進めていくうちに目標の達成が無理だと分かれば、早期に撤退をすることも出来るようになります。
早期に撤退をすれば、体力を残した状態で次の目標を目指すという選択もできるようになりますから、選択肢が広がります。
これが、何の計画性も無しに全力で突っ走った場合、体力が切れて、経営の場合で言えば資金が底を尽きて、廃業に追い込まれるかもしれません。

この様に、リスクを避けることができれば、計画を立てやすくなり、結果として事業の安定性が増したりします。
この安定性が増すというのは、実際に経営をされている方なら分かると思いますが、かなり重要なことだと思います。

ただ、冒頭でも言いましたが、経営の安定性が増すことと、事業が大成功することは全く別の問題です。
経営が安定するから、大成功が約束されているわけではありません。
また、この事を知っているか知らないかというもの、同じぐらい重要だと思います。

というのも、この事を知っているだけで、変なコンサルに騙されるということが少なくなるからです。
コンサルというのはピンキリで、優秀なところもあれば、相談するだけで悪影響を受けるようなところまで様々ですが、その見極めがつきやすくなります。例えば、簡単に売上や利益が上がると言って擦り寄ってくる人は、警戒すべきです。
何故なら、もしそんな方法が本当にあるのであれば、そのコンサルは自分自身にその手法を使えば、自ら営業をかけるなんて事はしなくて良いからです。

ということで、今回は経営学や経営に関する知識というのはどのようなものなのかというのを、大雑把に話していきました。
次回は、経営理念について話していきます。