【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第33回【経営】関連多角化(1)
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- 無関連多角化
- 成長している市場が関連業界とは限らない
- 関連多角化
- 具体例
- シナジー効果
- シナジー効果は何故起こるのか
- シナジー効果(具体例)
注意
この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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kimniy8.hatenablog.com無関連多角化
前回は、多角化戦略の中でも無関連多角化について話していきました。簡単に振り返ると無関連多角化戦略は、自分たちの本業とは縁がない他の市場に、今まで取り扱っていなかったような商品を持って参入していくという戦略です。
前回、説明する際に用いた例としては、業種を見定めずにM&Aを繰り返すことで事業を吸収していった結果、無関連多角化になってしまったという例を紹介しましたが…
この他にも、経営者が経営戦略をよく考えずに、儲かりそうな市場にすぐに飛びついて多角化していったがために、無関連多角化になってしまうということもあります。
これまでにも話してきたとおり、事業を始める際には拡大している市場に参入するというのが基本です。何故なら、市場が拡大していれば、その市場内でのシェアが拡大しなかったとしても、売上が伸びるからです。
自分たちの事業に関連する分野で成長市場が生まれた場合は、とりあえずそこに飛び込んでみるというのも一つの手ですが、なかなかこういった事はありません。
成長している市場が関連業界とは限らない
新たに生まれる成長市場というのは、自分たちの行っている事業とあまり関係がないことも多いです。
その関係のない事業に対して経営資源が余っているからといって参入すると、それは無関連多角化となります。
誤解しないでほしいのですが、無関連多角化=『絶対に失敗する避けなければならない戦略』といっているわけではありません。リスクが高いといっているだけです。
このリスクというのは危険性ではなく、不確実性と捉えてください。 例えるなら、真っ暗な洞窟の中を明かりも持たず、何も装備しないで入っていくような状態が、リスクが高い状態です。
洞窟に入ったからといって確実に怪我をしたり死んでしまったりするわけではありませんが、前が見えない状態で進んでいくため、無事に出てこれるという保証もない不確実な状態のことをリスクが高いと表現しています。
逆に言えば、事前の調査やしっかりとした装備などの準備を行えば、同じ洞窟に入る場合でもリスクは減らせます。
ただ、しっかりと準備をしたとしても、普段歩き慣れている場所と比べれば、結果の予測は付きにくい。それが、無関連多角化です。
関連多角化
一方で関連多角化は、自分たちがよく知っている分野を軸にして多角化を進めていく方法です。
前に紹介したアンゾフの成長ベクトルで言えば、新市場開拓戦略や新製品開発戦略寄りの戦略と考えても良いと思います。
新市場開拓戦略と新製品開発戦略については、詳しくはアンゾフの成長ベクトルの回を聞いてもらいたいのですが、簡単に説明すると、市場か製品のどちらかを既存の状態にしておく戦略です。
例えば新市場開拓戦略でいうと、市場に関しては新たな市場を追い求めて行動を起こしていくのですが、製品の方は既存の製品を扱い続けます。つまり、今まで売っていた商品を、他の市場に売っていくということになります。
このような戦略を取ると、製品の取り扱いや情報について熟知しているため、全く新しい市場に全く新しい製品を売っていく無関連多角化と比べると、リスクは低くなります。
何故なら、取り扱っている製品の特性を知り尽くしているからです。 製品の特徴が分かっているため、後はどの市場なら受け入れられるかを考えるだけで良くなり、行動を起こしやすくなります。
では、新たな市場とは何なのかというと、新たなターゲット層であったり販売方法であったり販売チャネルや売り場などです。
具体例
具体例を挙げると、ジップロックという食品を保存するための製品を、製品はそのままで、食品ではなくタブレット端末を入れて、お風呂で読書や映画鑑賞が出来ると宣伝して売るなどです。
食品保存の用途で販売していた時のターゲットが、『スーパーに買物に来る自炊をしている人』だったものを、製品に新たな用途を付け加えることで、長風呂をする人もターゲットに含めることが出来るようになります。
ターゲットが増えると、売り場に関しても増やせる可能性があります。今まではスーパーなどで主に売っていたものが、家電量販店にも卸せる様になるかも知れません。
この他にも、今までスーパーなどの実店舗のみで取り扱っていた場合、ネット販売に参入するというのも、新たな市場開拓といえます。
この様に、製品をそのままに、新たなターゲットや販売方法、販売場所を模索することで販売増につなげていくのが、新市場開拓戦略でした。
新商品開発戦略はその逆で、市場はそのままで、今までターゲットにしていた客層に向けて新商品を提案していく戦略です。
この場合も、市場は今まで取引のあった市場であるわけですから、顧客の好みもある程度は分かっているため、新市場で全くのゼロから製品開発をすることに比べれば、既存市場向け製品は開発しやすいでしょう。
シナジー効果
この新市場開拓戦略と新製品開発戦略と、前に紹介した無関連多角化とを比べた場合、難易度は当然、無関連多角化のほうが高くなります。
何故なら無関連多角化の場合は、製品についても市場についても、何も知識がないからです。 その為、手探りで事業を進めていかなければならなくなり、難易度が上がります。
ここで一つ注意点ですが、関連多角化とは、新市場開拓戦略と新製品開発戦略のことだけを指すわけではありません。既存事業に関連する分野に進出すること全般を指すので、もっと幅広い概念だと思ってください。
この様に、関連多角化の場合は新規事業のリスクを下げることが出来、無関連多角化の場合はリスクが高くなり、成功させる難易度も高くなるわけですが…
無関連多角化に関しては、この他にも、難易度を上昇させる原因があります。 それは、シナジー効果の有無です。
シナジー効果を簡単に説明すると、会社が持つそれぞれの事業の業績が、足し算ではなく掛け算で伸びていく効果と考えれば分かりやすいかも知れません。
例えば、事業Aと事業Bがあったとして、これらの事業に全く関連がない場合、会社の業績は各事業の利益を足し合わせたものにしかなりません。
しかしシナジー効果が働けば、事業Aと事業Bの業績は、互いが影響し合うことで伸びていき、結果として、両者を足し合わせたものよりも大きくなります。
シナジー効果は何故起こるのか
何故、この様な現象が起こるのかというと、既存事業に関連している事業に参入することによって、今まで持っていた経営資源を新事業で活用できるようになるからです。
また、これに加えて、新規事業で得た客を既存サービスの顧客に引き入れることも可能になります。
つまり、新規事業を行う際のリスクを下げられて、なおかつ、それが成功した場合には既存事業の売上も上がりやすくなるということです。
このシナジー効果はかなり有効なので、新規事業を行う際には、既存事業とのシナジー効果を狙った事業を行うことがセオリーとなります。
抽象的な話ばかりだとわかりにくいと思うので、例を上げて簡単に説明していきます。
シナジー効果(具体例)
飲食店を例にして説明していくと、まず1店舗目の営業を頑張り、それを起動に乗せて、資金的な余裕が出てきたところで新規事業を考えます。
既存事業が和風居酒屋だった場合、その店舗と同じ様な店舗を他の地域に出店していく場合、製品は同じで出店地域を変えているわけですから、戦略としては新市場開拓戦略となります。
この店舗がどんどん増えていき、名前も売れてきた場合は、自社で居酒屋を経営するだけでなく、ノウハウを売るというチェーン展開も視野に入ってきますが、これは居酒屋経営からノウハウの売買という別の事業への進出となります。
商品が料理の提供からノウハウの売買に変わり、顧客が一般の消費者から飲食店オーナーを目指す方に変わるため、アンゾフの成長ベクトルの観点から言えば、市場も製品も変わっているため多角化戦略となりますが…
居酒屋経営をしていた会社が、居酒屋経営のノウハウを販売しているため、完全な無関連多角化とはならず、関連多角化となります。
このチェーン展開が成功し、名前も売れてくいれば、自社で経営している居酒屋事業の方にも好影響が出るでしょうから、シナジーも生まれます。
この様に展開していくのが、関連多角化です。今回の説明では、関連多角化やシナジーについての話が少ししか出来なかったため、この件については、次回にもう少し詳しく話していきます。