だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

中小企業診断士の勉強 5日目 規模の経済

広告

この連載は、私が独学で中小企業診断士の受験勉強をしている際の記録です。
人に教える事を目標に勉強すると学習が早まるという噂を聞き、ブログで不特定多数の人にレクチャーするという体で書いています。
今勉強中の内容である為、書いている内容が間違っている可能性もあるので、受験生の方は鵜呑みにはせずに、テキストを確認することをお勧めします。




前回はこちら
kimniy8.hatenablog.com

目次

f:id:kimniy8:20200107232424j:plain

前回は、外部環境の驚異について書いていったわけですが、今回は、それに対抗する為の戦略を、より詳しく書いていきます。

vs新規参入

その市場が成熟期に入っている場合、新規参入者は、将来の同業他社・ライバルとなる為に、非常に脅威となる。
では、その驚異を取り除くためには何が必要なのかというと、参入障壁を高くしてしまうという方法がある。
新規参入者が市場に入ってこようと思っても二の足を踏んでしまう状況さえ作ってしまえば、安易な新規参入はなくなり、将来のライバルが減るということになる。

では、どの様に参入障壁を高くするのかというと、まずは、規模の経済を追求することになる。
規模の経済とは、製品を大量生産することによって、製品1つあたりのコストを下げるという戦略です。
何故下がるのかというと、生産数を倍にしたからと言って、必ずしも生産コストは倍にはならないからです。

規模の経済

数字的なものは、財務会計の科目や簿記の分野になるのですが、簡単に説明すると、製品を作る製造コストは変動費と固定費に分割されます。
変動費は、その製品を作るために必要な素材や水道光熱費といったもので、このコストは、製品の生産数が倍になればコストも倍になり、生産数に比例して上昇していくことになります。
一方で、生産数に左右されず、毎月一定額しか計上されないコストがあります。

例えば、製造機械の償却費や家賃。 製造に直接関係がない経理や総務の給料などは、製品の生産数に関係がなく、毎月一定額が発生します。
もっと細かく分けるのであれば、水道光熱費は基本料金部分は固定費となり、製造に関わる人件費も基本給は固定費となります。(業務の増加による残業は変動費
つまり、製造数が少なく、職人の手待ち時間が多くなると、1つの製品に対する人件費などが上昇する感じで、生産数が少ないほどに固定費は割高となります。
逆に、生産数が増えるほどに製品1つあてりの固定費は低くなるため、コストが下げられることになります。

人件費という点でいえば、経験曲線効果というものも存在します。
漢字で書くと分かりにくいですが、簡単にいえば、配位手間もない新人が製品を作るよりも、その道10年のベテランが作った方が、同じ1時間でも作れる個数はベテランの法が多いよね!という話です。
この経験曲線効果は、製品の累計製造数に関係して上昇していき、ある一定レベルまで上昇すると止まります。
職歴1年で作業が倍早くなったから、2年で4倍、3年で8倍早くなるなんてことは有りません。 人の体なので、速さには限界があります。

主にコストの低下を重視するこの戦略は、コストリーダーシップ戦略とも呼ばれる。

規模の経済の注意点

間違えやすいのは、規模の経済は低コスト戦略であって、低価格戦略ではないということ。
コストが低く抑えることが出来るため、価格を低くしてシェアを取る戦略が取れるけれども、必ずしも、低価格戦略をしなければならないというわけではない。
低コストで製造して適正価格で販売をすれば、それだけ粗利が稼げることになる為、その利益をプロモーションなどに再投資することで、製品や自社の知名度を上げるという戦略も取ることが出来るし、生産体制の増強に資金を回せば、さらなるコストカットにもつながる。
この辺りのことは、後に学ぶマーケティングの項目で詳しく触れられている。

この他にも、多数の事業を抱えている場合は、他の事業に投資するという選択肢もある。
この場合、どの事業に投資するのかを決めるのにPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント)を使用したりする。

差別化戦略

規模の経済を追求するというのは実現可能であれば有効な手段だけれども、全ての企業が取れる戦略ではない。
大量のものを生産するとなると、それなりの生産設備を保有していなければならないし、まだ生産体制が整っていないのであれば、設備投資によって生産体制を増強しなければならない。
どちらにしても、巨大な資本を持っていたりサプライチェーンを構築していることが前提となるので、採用できる企業は限られている。

そこで、独自の価値を追求して製品をブランド化することで、参入障壁を高めるという戦略が、差別化戦略
この商品といえばこれ!といった感じの状況を作り出してしまえば、他企業が後から新規参入をしてきたとしても、簡単にはシェアが奪われることはない。
参入企業側からしてみれば、参入したけれども思ったようにシェアが奪えないということになれば、湾入するのを躊躇することになる為、結果として参入障壁が上がる。

スマートフォン市場でいえば、Appleが取っているような戦略が、これに当たるのだろう。
後にマーケティングの分野で学ぶ、ブランド戦略に通ずる戦略。
見た目や機能・アフターサービスや知名度などで差別化を図ることで、生き残りや勝ち抜きを目指す戦略。

この他にも、集中戦略というものもある。
集中戦略は、幅広く多くの層に販売するのではなく、市場を細分化し、特定の層に向けて販売を行う手法。
どの様に細分化し、分類していくのかという細かい手法については、マーケティング分野で取り扱う。

この集中戦略と差別化戦略は、一部、重なる部分もあるが、全く同じというわけではない。

各戦略のリスク

低コスト戦略の場合は、他社が同じ戦略を行なってきた場合に、価格競争に巻き込まれる可能性が高くなる。
市場が拡大傾向のときは、その動きは少ないかもしれないが、衰退期に入って市場が縮小していった際には、特に、価格の切り下げ競争に突入せざるを得なくなり、稼ぎづらくなる。
価格競争が起きて一番ダメージを受けるのは、巨額の投資を行い、市場シェアを多くとっているリーダー的な立ち位置の会社となる。
(売上は、価格と販売数の積なので、販売数が大きい企業ほど、価格の影響を受けやすい。)

差別化戦略を採用した際のリスクとして一番大きいのは、模倣。
差別化して売上が伸びているということは、その商品に顧客が惹きつけられている理由があるからだけれども、その部分を模倣されてしまえば、シェアを奪われることになる。
特に、分かりやすい特徴で差別化を図っている場合は、誰の目から見ても商品の魅力ポイントが分かる為、簡単に模倣されてしまう。
その為、模倣困難性を高めて、簡単には模倣されにくい性質にする必要がある。

集中戦略のリスクは、模倣や新規参入ということになる。
集中戦略は、他の企業が入り込まないような、一見すると採算が合わないような市場に入り込み、事業を行うわけだけれども、他社がその市場の魅力に気がついて新規参入してきたとすると、かなりの脅威となる。
仮に、大きな資本が入り込んできたとすれば、あっという間に製品や戦略が模倣されて、市場シェアを奪われる可能性すらある。