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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

私がアサシンクリード・オデッセイをプレイする前に行った3つのこと

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少し前(2018年10月5日)に、アサシンクリードAssassin's Creed)の最新作。オデッセイが発売になりました。


という事で今回は、このゲームをプレイする前に私がしたことについて、書いていこうと思います。
アサシンクリードシリーズをプレイされていない方にとっては、『ゲームをプレイする前にやる事なんてあるの?』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このゲームを本当の意味で楽しむためには、予習が必要になるんです。

シリーズの簡単な説明

このシリーズを全くプレイしたことがない方向けに簡単に説明をしますと、現代の歴史の影に、フリーメイソンや暗殺教団が関わっていたという感じの都市伝説が、事実であったという話です。
テンプル騎士団フリーメイソンといった団体が、現在に溶け込むためにアブスターゴという企業になり、様々なエンターテイメント事業を行いつつ、そこで上がった収益で、アニムスという装置を作り出す。
アニムスは、人間のDNAの中にある(という設定の)記憶遺伝子を読み解く事により、先祖の記憶を実体験できるVR装置。これを利用して、人類が生まれる前に世界を支配していた知的生命体が残した様々な遺産を見つけだそうとしています。

その遺産は、現代ではオーパーツとして認知されているのですが、実はそれは古代文明の装置を動かす鍵で、それを手に入れることで、古代人が残した先進的な技術を自分のものにすることが出来る。
そのアブスターゴ社の野望を阻止しようとするのが、アサシン教団。 プレイヤーは、アサシンを操作して、歴史の影でどのようなコトがあたのかを自分の目で確かめ、先人が残した遺産をアブスターゴより先に見つけ出すというゲームです。

この簡単な説明でも分かる通り、『歴史の影では、こんな事が起こっていたんですよ!』という部分を楽しむ物語なので、その大本である『歴史』を知らない事には、楽しさが半減どころの騒ぎではなかったりするんです。
『歴史モノなんだから、ゲームをして入れば、その辺りの説明はしてくれるんでしょ?』と思われる方も多いかと思いますが、そんな説明は一切ありません。
歴史を知っていることが前提で、その歴史に詳しいプレイヤーが、『歴史の舞台に立って、自由にキャラクターを操作できますよ!』というのが売りになっている為、細かい説明などは抜きで、知っている前提で進んでいきます。
この様なゲームの作りになっている為、必要になってくるのが、物語の舞台となっている前後の歴史と人物を把握しておく事だったりするんです。

私が勉強したこと

では、何から勉強すればよいのでしょうか。
今回のテーマになっているのが古代ギリシャなので、その前後の事を理解しておくだけで、ゲームに対する理解度がかなり上昇すると思います。
とはいっても、『古代ギリシャ』という情報だけでは、かなり範囲が広い。 という事で、ゲームの舞台になっている時代を調べてみると『紀元前430年ペロポネソス戦争中の古代ギリシア』らしいので、このあたりを中心に勉強すると良いっぽいです。

まず、このゲームを知る上で理解しておくことがひつ表なのが、当時のギリシャという国についてでしょう。
今では、ギリシャといえば一つの国ですが、古代ギリシャ時代は、1つのまとまった国というものではなかったようです。
ギリシャという大きな枠組みの中に、『アテナイ』や『スパルタ』といった国があり、それぞれの国が独立した国のように自治をしていました。 当時は、国ではなく『ポリス』とも呼ばれたそうですが。

その為、アテナイもスパルタも同じギリシャですが、統治している人もシステムも違います。
スパルタは王が治める王政だったのに対し、アテナイは共和制だったりと、国を統治するシステムそのものも違ったりします。
しかし、ギリシャという土地を共同で収めているという意識は有るようで、外敵であるペルシャからの侵攻された時は、兵を送り合ったりして共同戦線を貼ったりもしています。

スパルタ兵は何故 強いのか

このあたりのことがよく分かる映画が、『300』という映画でしょう。
注意:これ以降、複数のコンテンツを紹介しますが、ネタバレを含んだ形で紹介します


この映画は、ペルシア戦争テルモピュライの戦いを映像化した作品です。簡単な説明としては、ペルシア帝国から使者がやってきて、スパルタに服従することを迫ります。
これを跳ね除け、使者を殺したスパルタ王・レオニダスは、ペルシア帝国との戦争を決意するのですが、この当時のペルシアでは、王の一存だけでは決めることが出来ないので、神殿に赴いて、神の使いに支持を仰ぎます。
しかし、この時期は丁度、祭りの開催時期という事で、兵の出兵は認められないのですが、このままではペルシア帝国に攻め込まれて滅ぼされると思ったレオニダスは、スパルタの精鋭300人を連れて、ペルシア帝国を迎え撃つという話。

ただ、向こうの軍勢が100万人に対して、300人では瞬殺されてしまう…
そこでレオニダスが考えたのは、海と崖に挟まれた狭い場所に陣取る作戦。これにより、相手がどれ程の大群であろうとも、少ない人数で対抗できるという戦略を取る。
結果がどうなるのかは、映画を見てみてください。

この作品では、何故、スパルタ兵が強いのかというのを説明してくれています。 これは、映画のストーリーと言うよりも歴史的な事実なので、結果から書くと、スパルタの兵士は全員、職業軍人だったからです。
スパルタでは、子供が生まれてすぐに、体に欠陥がないかを調べられ、問題が有ると、崖の上から落とされて殺されます。 五体満足で問題がない人間だけが育てられ、その人間が職業軍人となり、戦争がない時期であっても、常に訓練をしています。
その一方で、他の国の兵士は、常時は農民や大工、家具職人などの仕事をしている人間が、戦争の時だけ、兵士として徴兵されて軍隊を作ります。
この状態だけを観ても、どちらの方が強いのかがよく分かりますよね。

次に観てほしいのが、その続編?である、『300: Rise of an Empire



この作品は、純粋な続編というよりは、『300』がスパルタを中心に描かれた話だったのに対し、この作品では、何故、ペルシア帝国が攻めてきたのか。そして、『300』の後にどうなったのかを、アテナイの視点から描かれています。

ちなみにですが、このゲームは、このテルモピュライの戦いからスタートします。
そして、ここで活躍するレオニダス王が、主人公の祖父に当たる人物だったりします。チュートリアルの時点で、前提知識が要求されるというわけです。 

スパルタに対するアテナイ

その次に知っておいて欲しいのは、アテナイの状態ですね。
舞台となっている時代で、アテナイで有名な人物といえば、ソクラテスです。
という事で、ソクラテス関連の本を読んでおくのが良いと思います。

先ほど紹介した『300』でも、アテナイ人は議論好きや男色が多いなんて話が出てきますが、そういった雰囲気が感じられるのが、ソクラテスの弟子であるプラトンが書いた、様々な本です。
プラトンが書いた多くの作品は主人公がソクラテスで、彼なら、こんな議論をするんじゃないかという想像と、自分自身の哲学理論を組み合わせた本を多数書いています。
結構多くの作品が書かれているのですが、その中でも私が読んでおくべきだと思うのは、『ソクラテスの弁明』です。


内容を簡単に説明すると、ソクラテスは、当時、主流だった相対主義的な考えに疑問を持ち、絶対主義という価値観を持ち出して、様々な賢人という人々に討論を申し込んで、嫌われて、その結果として裁判にかけられて死刑になった人物なのですが、この本では、その裁判での出来事が細かく描かれています。
この作品では、単なる哲学議論だけでなく、当時のアテナイの議員や裁判官などの公職が、選挙や試験ではなく、くじ引きで決められていた事などが分かります。
また、ソクラテスが訴えられた罪状の一つに、国の定めた神々を信じずに…といった一文がある為、オリンポスの神々の存在の否定や冒涜、そのものが罪になっていたことなどが分かります。

アサシンクリードシリーズでは、当時では異端とされていたカウンターカルチャーを唱える人物が登場し、アサシンは、その人物に味方するというケースが多いです。
アサクリ シンジケートでいうのであれば、共産主義の生みの親である、マルクスなどがそうですね。
この当時のソクラテスも、当時としては異端とされている様な考え方をし、それに多くの若者が影響を受けたのですが、その考え方についていけない人達に恨みを買われ、裁判で訴えられます。
しかしソクラテスは、その後、哲学の祖と呼ばれ、その思想は約2500年後の現在でも、研究対象となっていたりします。 この辺りも、知っておくのと知らないのとでは大違いですので、機械があれば是非、読んでみてください。

絶対主義や相対主義の部分に関しては、哲学的な話になる為、ここで書く事は止めておきますが、これを書いている私自身が、Podcastというサービスを使って『哲学』というテーマでコンテンツを作っているので、興味が有る方は、そちらをお聞きください。

ブラウザで聞きたい方は、こちら。
doublebiceps.seesaa.net

手軽に前提知識が欲しい方へ

最後に、もっと気軽に予習したい方のために、古代ギリシャ研究科の藤村シシンさんとUBIとのコラボ動画を紹介します。
この動画は、実際にアサシンクリードをプレイしながらの解説になる為、ゲームに関係している情報が簡単に得られ、観ることで、ゲームが何倍にも楽しく感じられるようになると思います。