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【Podcast #だぶるばいせっぷす 原稿】 第39回 神話の時代 (2) 前編

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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前回はこちら
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前回の振り返り

前回は、神話がどのようにして生まれたのかを、一つの観点から観ていきました。
簡単に振り返ると、人は自然界で起こる現象を情報として受け取って情報を蓄積させていくわけですが、その情報の中から、特定のパターンや法則を無意識的に探してしまいます。
このパターン認識によって、人は、それぞれの自然現象を関連付けていきます。

カオスからパターンを見つける

前回の説明では、星の位置と気候の変化などが関連付けられて、その2つの出来事に法則性を見出されて、暦が出来たとか、そういった事を話していきました。
夜空の星の配置にはパターンがあって、同じ様な周期で動いている事が分かって、それと気候の変化がリンクしていることがわかれば、その関係を更に追求していくというのが、人の性です。
星の位置によって、他の物事が理解できるようになることがわかると、星の位置を正確に覚えることが重要になってくるので、それを覚える方法として、神話が生み出されてのではないかという話でしたね。

星を数個ずつのグループに分けて星座にしてキャラクターを当て嵌めて、そのキャラクターを元にストーリーを作り出せば、そのストーリーを覚えるだけで、星の位置を正確に覚えることが可能になります。
こうして生み出された神話は、単純な語呂合わせに終わらず、壮大なストーリーとなって、発展して盛り上がっていきます。
エンターテイメントとして盛り上がってくると、新キャラがドンドンと生み出されることになって、様々な自然現象や人間が持つ感情や葛藤を擬人化したような神々も生み出されていくようになます。

こうして、物語の厚みが増していって人気が高まってくると、神話の世界のものを現実世界に具現化させるようになっていって、神々の姿は、より具体性を増していくようになっていきます。
神々を祀る神殿なども作られていって、聖地巡礼などによって経済も活発化していきます。

間違いが起こりやすいパターン認識

この様な感じで、様々なもの同士を関連付けて、その中に法則性を見出すというパターン認識は、人が文明を築き上げる為には無くてはならない、便利な物なのですが、万能なのかというと、そうでも無かったりします。
パターン認識は、カオス的なモノの中から法則を見つけ出す訳ですが、本当に相関関係のあるものや因果関係のあるものだけを見分けられるわけではありません。
相関関係が有って法則性が見つけられそうだけれども、、どのように関係があるのかがわからないようなものも多数あるでしょう。
また、それぞれの事柄に全くの無関係と思われるようなものも結びつけますし、その法則同士を更に結びつけて壮大な妄想を作り上げる場合もあります。

例えば、突然の腹痛に襲われた際に、直接、お腹を調べたり、場合によってはお腹を裂いて、直接痛い部分に対処するという形で法則性を見つけ出そうとすると、西洋医学の様に発展していきます。
ですが、同じ様に腹痛に襲われた時に、たまたま、地面にある出っ張りを踏んでしまって、足の裏に刺激を受けた事で症状が和らいだりした場合、足の裏の特定部分とお腹という離れた場所に法則性を見出してしまうことになります。
足つぼや鍼灸などは、全くの無関係なのか、実際に関連性があるのかは分かりませんが、最初のアプローチの違いによって、同じ医学でも違った方向に進んでいくことは、この例をみてもよくわかりますよね。

全く無関係のものの中に関係性を見出す

これらの例は、まだ何らかの相関関係があるのかもしれませんが、人は、全くの無関係なものも無理やり結びつける事によって、その中に法則性を見出そうともします。
例えば私は昔、株式投資にハマっていた時期があって、株式関連の情報を日々、漁っていた時期がありました。
株式投資を全くやった事が無い方は、株式投資は、普通の人間には理解が出来ないような物凄い計算を元に株価の価値を見出して、その価格を元に売買していると思い込んでおられる方も多いかもしれません。

しかし実際には、そんな事もなかったりします。
というのも、株価というのは株価が上昇する事そのものが材料になって上がったり、または、下落した事実によって更に下落したりと、予測そのものが出来ません。
企業の業績も、企業単体の努力の他に市場環境なども関係してくる為、先読みすることが難しいですから、適正株価というものをピンポイントで予測することも不可能です。

結果として、アノマリーと呼ばれる超常的な現象を、売買タイミングの見極めの参考にしようとする人達が出てきます。
その中でも有名で、結構よく聞く話が、『満月の日は相場が荒れる』といったものや、もっと壮大な話でいうと、天体の大きな動きと株価をリンクさるなんてものもあります。
天体の数十年に渡る動きの周期と、株価の上下の周期が大きな目で観ると一致しているらしく、そこから、サイクル論なんてものが生まれています。
このサイクル論のセミナーは、ラジオ日経などで大々的に宣伝がされていて、かなりの人気を集めています。

オカルトに支配されている資本主義

ある意味、凄いですよね。株式市場といえば、資本主義経済の中心地の様な場所ですが、その売買に利用されているのが、占星術なわけですから。

この占星術のサイクル論の他にも、アメリカで開催されているアメリカンフットボールのNo.1を決めるスーパーボールの結果によって、株価の動きを予測するというアノマリーも存在します。
スーパーボールは、日本にあまり馴染みが無いと思いますので、日本の例を出すと、金曜ロードショーでジブリ映画が放送されると相場が荒れるというジブリの法則というものも存在します。

もっと具体的で、一見すると信憑性がありそうなものでいえば、テクニカル分析というものも存在します。
例えば、サイコロジカルラインというテクニカル指標がありますが、この指標は、直近12日間で、株価が上がったのか下がったのかどちらが多いのかをカウントして、グラフ化した指標です。

仮に、上がるか下がるかが2分の一の場合、直近12日間で10日の間、株価が上昇をし続けているとした場合、50%の確率で上がるか下がるのかが決まるのに、10日連続で上昇していると、次は下がりそうな気がしますよね。
この様に、結果に偏りがあり場合は、それをグラフ化して、注意を促すというのが、サイコロジカルラインです。
この説明を聴いて、なんとなく納得された方もいらっしゃるかもしれませんが、冷静になって考えると、このサイコロジカルラインは確率というものの捉え方がおかしいですよね。

というのも、上がるか下がるかが、それぞれ50%の確率で実現するとた場合、10日連続で上昇が続いたとしても、11日目に下落する確率は50%で変わりません。
ルーレットで赤が連続したからといって、黒が出る確率が上昇しないのと同じで、その日1日に上昇するかしないかは、前日までの株価の動きがどんな状態であれ、50%なんです。
だから、このサイコロジカルラインという指標は、そもそも意味がない指標なのですが、結構昔から使われていたりしますし、この考え方は応用されて、RSIという指標に発展していたりします。

パターン認識によって生み出される儀式

話が少し逸れてしまいましたが、人はパターン認識によって、カオスの中から様々な法則を勝手に見出すものなので、このパターン認識によって生まれた文化というのは、合理的なものばかりではないんです。

例えば、ある人が、なにか重要な決断をしなければならない時に、あまりのストレスで精神的に不安定になってしまったとします。
そして、何を思ったか、崖から海の中にダイブしたとします。 その後、気分転換ができて気持ちが切り替えられた結果、決断した物事もうまくいったとすると、その人の中では、崖から飛び降りて生還することが、成功体験とつながってしまいます。
その結果、なにか重要な出来事を決める際には、崖から飛び降りて生還するという儀式が生まれてしまったりします。

ここまで極端な話でなくとも、もっと細かいことで見れば、この様な事は頻繁にありますよね。
例えば、勝負事が職業であるスポーツ選手などは、朝食のメニューを固定していたり、靴を履く場合、右からなのか左からなのかを決めていたりといった事をしていたりしますよね。
野球選手であれば、バッターボックスに入った際に特定の仕草を行うなど、『まじない』的な行動をとったりもしますよね。

これらの行動も、傍からみていてもその重要性は分かりませんが、本人にとっては成功する為に必要な、重要な法則なんでしょう。
この様な行為を行っている人がカリスマ性を持っていて、その不思議な習慣をみて真似をしようとする人達が多数出てきた場合、それが大昔の古代であれば、カルト集団に発展していたかもしれません。
そして、それらの行動を創った教祖的な創始者が亡くなってしまった場合、その人物が創った習慣の意味を知る人間がいなくなるわけですから、後付で、御大層な説明がつけられていくことになります。
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