【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第81回【財務・経済】レバレッジ
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- 前回はこちら
- 総資本利益率
- レバレッジ
- レバレッジの具体例
- 借金の考え方
- 投資プラン
- レバレッジを考慮して考える
- 為替でのレバレッジ取引
- レバレッジの危険性
注意
この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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kimniy8.hatenablog.com総資本利益率
前回は、収益性分析の総資本利益率について話しました。
総資本利益率というのは経常利益を総資本で割って出すもので、これによって会社の借金を含む全ての資産を使ってどれぐらいの利益が出ているのかを図る指標でした。
この説明をした際に、総資本利益率が他の投資商品などに比べて低すぎるのであれば、その事業をやる意味はないといったことを言いました。
レバレッジ
しかし、これは前回にも言ったことなのですが、総資本利益率と他の投資商品の利回りとの単純比較ではなく、実際にはレバレッジを考慮して考える必要があります。
ではこのレバレッジと言うのは何なのか。 今回はこのことについて話していきます。
最初に注意としていっておきますが、今回は投資について話していますが、このコンテンツは投資を推奨するものではありません。投資をする場合は自己責任でお願いします。
レバレッジと言うのは投資の世界でよく出てくる言葉で、テコの原理と言った感じで解説されることが多い用語です。
テコの原理とは、小さな力を仕組みによって大きな力に変換するものですが、レバレッジもこれと同じ様なもので、この理論を投資に適応したものとなります。
これは簡単にいえば、小さな資金力で大きな投資をするということになります。つまり、ローリスク・ローリターンの投資をレバレッジをかけることでハイリスク・ハイリターンにすることが出来るということです。
レバレッジの具体例
より理解するために、具体的な数字を当てはめて考えていきましょう。まず事業を起こすために自己資金を1000万円を用意するとします。
しかし1000万円では自分の思うような事業を起こせないため、銀行に事業計画書を提出して4000万円の融資を受けて事業を始めるとしましょう。
その事業が計画通りに進み、経常利益が500万円得られたとします。
この例で総資本利益率を見ていくと、総資本は自己資金の1000万円と借入金4000万円なので5000万円となり、これで経常利益の500万円を割ることで総資本利益率が出ます。
計算式としては500万÷5000万円なので総資本利益率は10%となりますが、ではこの10%が投資の利益なのかというと、そうではありません。
というのも、この会社が出している自己資金は1000万円なので、この会社は1000万円の投資にに対して500万円の利益が得られているとも考えられます。
つまり、自己資金に対する利益率は50%ということになります。何故、こんなことになるのかというと、借金があるからです。
借金の考え方
日本では借金というとマイナスのイメージがありますが、投資の世界では、借入金利を上回る利回りが得られるのであれば、借金はすべきという事になります。
例えば銀行の借入金利が2%として、投資した際のリターンが12%あるとすると、その差は10%になります。
この条件の場合、借金をして投資に回せば回すほど、利益は大きくなります。
1000万円借り入れることができれば、投資収益と借入金の利払いの差額は100万円になりますし、1000億円借りることができれば100億円の利益が出ることになります。
つまり借入金利よりも投資収益のほうが大きい状態では、借入金を増やせば増やしただけ利益が出るということになります。
というのも、ここで投資しているお金は自分自身のお金ではありません。 他人から借りてきた金です。
つまりこの投資は、他人から借りてきた金を投資して収益を上げているという構図になります。
投資プラン
この様に、借入金利を投資収益が上回っている間は借金額を増やして投資に回し続けることで儲けることが出来るのですが、ただ、何の根拠もなく金を貸してくれるような人はいません。
仮に銀行からお金を借りて投資をして失敗した場合、銀行は貸した金を回収できなくなってしまうため、『儲かるから』と単に力説したところで簡単に金を貸してくれるわけではありません。
その為、それなりの根拠。つまり自己資金と事業計画が必要になってきます。
特定の事業に投資をしようと思った際に、自分の金もつぎ込めないような人間のいうことは信用出来ないですし、自分の金をかけられる人間でも深く考えていない場合は多々あります。
この様に金を借りるためには、『投資が回収できる』と相手を説得できるだけの具体的なプランと自己資金を投じる覚悟がないと借りることは出来ません。
ではこれがあれば無限にお金を借りることが出来るのかというと、そういうわけでもないでしょう。
ということで借入額は、自己資金の額や事業のアイデア・投資案件、それに、それを提案して実行する借り手の能力によって変わってきます。
これはつまり、かけられるレバレッジというのは投資案件によって変わることを意味します。
投資全体としての収益を考える場合、このレバレッジも考慮して考えていかなければ、利益の最大化は狙えなくなります。
レバレッジを考慮して考える
例えば、自己資金1000万円で借入金が4000万円で、結果総資本が5000万の会社があるとして、その会社が年間100万円の利益しか出せていない場合、総資本利益率としては2%となってしまいます。
世の中を見渡せば、2%を超える投資商品は簡単に見つけることが出来るため、レバレッジを考慮しない総資本利益率で見れば、事業を畳んで2%以上の利益が出る投資商品に投資し直した方が良いことになります。
しかし、レバレッジを考慮して考えると、この会社は自己資本1000万円に対して100万円の利益が出ているため、自己資本に対しては10%の利益が出ていることになります。
もし、この経営者が今現在の事業をやめて新たな投資商品に乗り換えることで4%の利益が得られるとしましょう。
しかし金を借りている銀行側が『私たちはあの投資案件について金を貸しただけで、今回の投資案件には金を貸せない』と言ってくると、レバレッジが無くなってしまいます。
結果、この会社は自己資金1000万円に対して4%の利益しか得られなくなるため、儲けは40万円になり、前回投資案件の100万円を大きく下回ってしまいます。
これはつまり利益の最大化には、最大でどれぐらいの借金ができるのかというレバレッジも考慮して考えなければ、正確には判断が出来なくなるということです。
因みに金融商品の場合は、その商品ごとにレバレッジが決まっている場合もあります。
例えば証券会社で株を買う場合、信用取引という取引を利用することで、だいたい3倍のレバレッジをかけることが出来ます。
レバレッジ3倍ということは、自己資金を100万円用意すれば大体300万円ぐらいは貸してくれるということです。
こういった金融商品の場合は、自己資金は証拠金といった感じで担保として預け入れる必要がある場合が多いので、投資できるのは300万円ということになります。
つまり自己資金の3倍の金額の株式を購入することが出来るということです。
その株が配当金を出している場合、借金で購入した株にも配当金は支払われるため、投資金額の300万円に対して配当金が支払われます。
しかし実際の自分の自己資金は100万円でしか無いため、この場合、実質3倍の配当金を受け取れるということになります。
為替でのレバレッジ取引
この様な取引は外国為替でも存在します。 FXと呼ばれるものがこれにあたります。
FXも、取引会社に証拠金を預けることでお金を借りることが出来ます。 外国為替証拠金取引の場合は、借り入れるお金の種類は取引ごとに変わります。
例えば、ドルを売って円を買いたいと思う場合、ドルを借りてきて、それを売って円を購入することになります。
ユーロを売ってドルを買いたいと思う場合は、ユーロを借りてきてそれを売り、ドルを購入することになります。
このFXや外国為替証拠金取引と呼ばれるもののレバレッジは、2022年現在では25倍のようなので、100万円を預ければ2500万円相当のお金を借りることが出来ます。
仮に、2500万の円を借りた場合、日本は現在ゼロ金利を採用しているので、借入金利はほぼかかりません。一方でアメリカは金利を上げているため、4%程度の利息を得ることが出来ます。
つまり、100万を証拠金として預け入れて2500万円を借りてきて、その借りてきた円を売ってドルを購入してドル貯金をした場合、借りてきた2500万円相当のドルに対して4%の利息がつくため、年間の受取利息は円換算で約100万円となります。
これは100万円の自己資金に対して100万円分の利息がついていることになるため、利回りは100%となります。 因みにレバレッジ考慮後の利回りというのは、利回りにリバレッジ倍率をかければ出せます。
この例の場合は、レバレッジが25倍で金利が4%なので、4%に25倍をかければ最終的な利回りである100%が出せます。
こうして見ていくと、借金にはメリットしか無いようにも思えてしまいますが、ではリスクはないのかというと、当然リスクはあります。
投資の世界ではリスクとリターンはイコールと考えると分かりやすいので、レバレッジが上がれば上がるほどリターンは高くなりますが、その分リスクは上昇します。
レバレッジの危険性
ではリスクとは何なのか。それは、このレバレッジと言うのは利益にだけかかるのではなく、損失に対してもその倍率分だけ大きくなってしまうということです。
先程の外国為替証拠金取引の場合でいえば、最大の25倍のレバレッジをかけて円を売ってドルを購入した場合、購入したドルが4%安くなるだけで、自己資本の100万円は全額なくなります。
株の信用取引の例でいえばレバレッジが3倍なので、元の株価が10%下落すると30%の損失が出るようになります。
因みに株や証拠金取引の場合では、その損失分は最初に預けた証拠金から差し引かれていくことになりますし、証拠金が減少すれば、それに応じて借り入れできるお金も減っていくので、強制的に決済されてしまう可能性もあります。
それを防ぐためには、その損失分を埋め合わせる形で証拠金を積み増していく必要が出てきます。これが出来なければ、強制決済されて借金が強制的に回収されます。
こうして考えると、レバレッジをかけるというのは諸刃の剣ということになります。
投資がうまく行けば、リバレッジの倍率分だけ利益は増加しますが、仮に損失を出した場合はレバレッジの倍率分損失は拡大します。
話が投資方面にそれてしまいましたが、これは会社が事業に投資をする際にも同じことがいえます。 借金によって会社は事業投資にレバレッジをかけることが出来ます。
そのレバレッジによって、リターンはレバレッジの倍数分増えることになりますが、事業が失敗して損失が出れば、その損失はレバレッジの倍数分だけ増加することになります。
会社が借金をして事業に投資する場合、このレバレッジ効果も加えて考えていく必要があるということです。
ということでレバレッジの話はこれで終わり、次回から再び収益性分析について考えていきます。