【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第78回【損益計算書】税金等調整前利益
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- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 税金等調整前収益
- 減損処理
- なぜ減損処理するのか
- 最終損益
注意
この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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kimniy8.hatenablog.com売上総利益
今回も、損益計算書について勉強していきます。
損益計算書は、その年の利益の構造を示したもので、収益やコストを分類して複数の利益に分けて表示しているものです。
利益を複数に分割して表示することで、ひと目でその会社の利益構造が分かるようになっています。
簡単に復習をしてみると、まず、本業で取り扱っているモノやサービスを売り上げた合計金額を売上金として計算します。
この売上には、営業外で得た金利や補助金等は含みません。 あくまでも、本業の営業活動で得たお金となります。
重要なのは『本業の売上』という部分なので、本業の事業の一つとして金融業があって、その事業の主な収益が金利収入の場合は、金利であってもここに含みます。
この売上金から売上原価を差し引いたのが売上総利益となります。 ここで計上する売上原価というのは、本業が取り扱っているモノやサービスを用意するためのコストとなります。
小売店や卸売りの場合は仕入れコストが、製造業の場合は原材料費や製造にかかわる人件費、水道光熱費や製造機械の減価償却費などの製造にかかわるコスト全般がこれにあたります。
ここで注意なのですが、売上原価に組み入れることが出来るコストは先程挙げたコストの内、その年に売れた分だけだということです。
つまり、大量に仕入れて売れ残ってしまった分の仕入れコストや、原材料を仕入れたけれども製造に時間がかかるために、その年に商品を完成させることが出来ずに販売できていないといったコストは、その年の売上原価には含みません。
売上原価には売れた分の仕入れや製造コストだけを含みます。 ではどうやって売れた分だけを計算するのかというと、前年度に売れ残った在庫に今年の製造コストを足して、そこから今年に売れ残った在庫分を差し引くことで算出します。
では売れ残った在庫分のコストはどうなるのかというと、会社に資産として残ります。
販売する目的で仕入れたり製造した在庫は、近い将来に売却されて現金化されることが予測されるため、会社の資産となります。 在庫は通常は1年以内に売却されるでしょうから、区分としては流動資産に入ります。
つまり売上総利益は、前年度の在庫と今年度の製造コストを足し合わせ、そこから会社が抱えている在庫を差し引いて計算する売上原価を、売上から差し引いた数字といえます。
営業利益
この売上総利益から販売管理費を差し引いたものが営業利益となります。
会社というのは、商品原価以外にも様々なコストがかかります。 モノや商品の知名度を上げて販売を促進させるための宣伝広告費や、ネット通販対応のホームページの制作費や運営費。
通販する場合は運送費がかかりますし、小売店を経営する場合は家賃や販売員の給料といった経費もかかってきます。
また会社は、こういった販売に直接関係する経費だけでなく、経理を始めとした事務作業といった、販売に直接関係のない様な業務もしなければなりませんが、これにもコストがかかります。
こういったコストを足し合わせたコストが販売管理費となり、これを売上総利益から差し引いたものが営業利益で、これが会社の本業の利益を表すことになります。
経常利益
この次に計算されるのが、営業外損益を加えて計算される経常利益です。 これはラジオなどの音声媒体ではケイツネ利益と呼ばれることが多いです。
経常という言葉の意味を調べると、『常に一定時の状態で続くこと』という意味が出てきますが、ここで使われている言葉の意味も同じため、毎年計上されるような営業外損益を加えて計算するのが経常利益となります。
つまりここで計算に入れる営業外収益というのは、企業が銀行にお金を預けることで得られる金利や、株を購入することで得られる配当金。20%以上の株式を購入して持分法適応になった場合は、その割合に応じた利益といったものとなります。
逆に営業外損失となるのは、金を借りている場合の金利や株の売却損や含み損といった感じのもので、これらを合わせて営業外収益を出していきます。
ここで上げられた利益や損失は、基本的には毎年計上されるものとなります。 金利はお金を預けたり借り入れたりしている間はずっと計上されるものですし、売買目的で保有している株の評価損益も、株を持ち続けている間は毎年計上されます。
こういったものを計算に組み込むことによって、その会社の平常状態の利益を出すことが出来ます。
税金等調整前収益
この次に計算するのが、税金等調整前収益となります。
この項目では、会社の突発的な利益や損失である特別損失や特別利益を加えて計算していきます。
繰り返しになりますが、先ほど説明した経常利益を計算するために組み込んだ営業外収益というのは、毎年計上されるようなものに限定していました。
しかし会社運営では、単年度だけ発生する予想外の収益や損失なども存在します。 そういった収益はこれまでの計算には組み込まれていなかったため、ここで計算に組み入れることにします。
分かりやすい例が災害などです。 台風や土砂崩れといった災害が起こって工場が被災するといったことは、可能性としては当然ありますし、それが起こった場合は当然、会社に損失が出ます。
こういった損失は予測することが不可能ですし、そうった事は普通は滅多に起こりませんから、これらを貸借対照表の経常利益から上の部分に含んでしまうと、会社の状態を正しく把握できなくなってしまいます。
この様な普段は起こり得ないような損益を分離することで、売上総利益・営業利益・経常利益が見やすくなります。
ではもう少し具体的に、特別損益について観ていきたいと思います。
この特別損益というのは、大雑把に言えば固定資産を処分する際に発生するものと考えると分かりやすいと思います。
例えば会社が持っている土地を売却する場合、会社の帳面に記載している簿価よりも高い値段で売れれば売却益が発生しますし、低い値段でしか売れなければ損失が発生しますが、これらの損益は特別損益に含みます。
固定資産には、売買目的ではない株式も含まれますが、この株式の売買による損益についても、ここに含みます。
例えば、自社の事業を切り離して別会社にして、その会社の株式を100%持っているとした場合、その株は売買目的で持っているわけではないので、時価評価をするわけでもありません。
しかし、何らかの理由で売却しなければならない場合は、会社の簿価と差額が出ます。 その差額は特別損益に計上します。
減損処理
この他には、減損処理なんてもの含まれます。
減損処理とは、時価が簿価に対して大きく値下がりしてしまった際に、その差額を損失として計上してしまうという事です。
高い値段で土地を購入してしまったが、その後値下がりして上昇する見込みがないとした場合、貸借対照表で見ると固定資産が会社の実態を表さないほどに大きくなってしまいます。
例えば、ある地域が繁栄していて土地の需要が高かった際に10億円の値段を出して土地を購入したけれども、その後その地域が過疎化してしまい、土地の魅力も大きく落ちて1億円になってしまったとします。
この場合、時価と簿価との差額が9億円ありますので、貸借対照表で見ると資産が実際よりも9億円多く計上されていることになります。
資産が9億円多い状態になっているのに、純資産が1億円しかない場合、この会社は実質債務超過にも関わらず、健全な会社ということになってしまいます。
貸借対照表や損益計算書は、自社以外の人が見たとしても経営状態が分かりやすくなっていなければならないと以前言いましたが、この様に固定資産が過剰に高く評価されている状態では、とても見やすいとは言えません。
その為、その土地が大きく値下がりし、その後回復見込みが無いのであれば、それは評価損として計上して固定資産を減少させるべきとなります。
減損処理は、土地以外の固定資産にも当てはまります
例えば、10年使う目的で生産設備の機械を購入したとします。 10年使う目的で購入しているのですから、当然、その機械は10年で減価償却し、固定資産は10年かけて費用化していきます。
ですが、他社からもっと良い製品が低価格で発売されたことによって、製造している商品が2年間で全く売れなくなってしまったとします。
なぜ減損処理するのか
2年間で全く売れなくなってしまったとしても、機械の減価償却はその後8年にわたって続いていくことになりますが、そうしてしまうと、この償却費はどうなってしまうのかという問題が出てきます。
本来であれば、機械の減価償却費は製造コストとして売上原価に含まれるのですが、繰り返しになりますが、売上原価はその年に売れた製品分のコストしか含みません。
つまり、償却期間が8年残っているにも関わらず、製品が売れないために製造しておらず、全く売上に貢献していないこの機械の減価償却費は売上原価には含めることが出来ないということです。
ではこの機械の費用はどうするのかというと、減損処理をして特別損失として計上してしまうわけです。
この様に、売上に貢献していない機械設備を減損処理して売上原価から取り除くことで、正確な売上総利益を出すことが可能となります。
もし仮にこの処理をしない場合は、先程の例でいえば8年間は使用していない機械の減価償却費が売上原価として乗ってしまうため、原価率が上昇してしまいます。
それでは会社の状態が正しく把握できないため、減損処理して帳尻を合わせます。
この減損処理ですが、実際に行う際には慎重になる必要があります。というのも、先程の例で言うのであれば、8年分の減価償却費を一括で経費化するわけですから、利益が大きく減ることになります。
利益が大きく減ると、その利益に税率をかけたものが税金となるわけですから、税金も大きく減少することになってしまいます。
最終損益
とは言ってもこれは単年度のことで、減価償却費の10年間で見れば収支は同じになるのですが、単年度で見た際に利益を大きく減らせるということは、大きく利益が出た年に減損処理で利益を圧縮すれば節税できることになってしまいます。この様な節税を目的をした減損は当然、税務署にも目をつけられるでしょうし調査の対象となるので、ちゃんとした根拠が必要となってきます。
その根拠というのが、前にセグメント利益で説明した、商品ごとやサービスごとに分割して計算する方法です。
そこで特定の商品の売上が激減し、今後も売上に寄与しないという根拠が説明できれば税務署も納得するのでしょうが、その根拠がなければ脱税を疑われる可能性もあります。
このようにして、突発的な利益や損失を計算に加えて出されるのが、税金等調整前収益となります。
後はここから税金を差し引くことで、当期純利益が計算されます。 税金の計算については税理士さんの領域となるので、詳しく知りたい方は税理士さんに聞いてください。
以上で損益計算書についての説明は終わりです。 何回かにまたいで説明してきたので、次回は損益計算書について簡単におさらいする回をしていきます。