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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第77回【損益計算書】経常利益

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。

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営業利益


今回も、損益計算書について見ていきます。 これまでに、本業の儲けを表す営業利益までの説明をしてきましたが、今回はそれに営業外損益を加えた経常利益について話します。
その前に営業利益について簡単に振り返ると、多くの会社はものやサービスを消費者に提供することによって対価としてお金を得ますが、この受け取ったお金のその期の合計金額を売上として計上します。
会社の収入は売上以外にも複数ありますが、まず最初に計算するのは、会社が営業活動を通して得たお金だけを選び出して合計した金額を出します。

この売上からモノやサービスの売上原価を差し引きます。 売上原価とは、ものやサービスを生み出すのにかかった原材料費や人件費や水道光熱費などで、制作にかかわる全てのコストを合算して出します。
ここで注意が必要なのは、売上から指し引けるコストは『今年売れた分だけ』だということです。 いくら仕入れをしたとしても売れていないものはコストに含みません。
逆に、今年仕入れていなかったとしても、去年仕入れて売れ残っていたものを今年に販売すれば、その仕入れコストは今期に入ります。 そうして出されたものが、売上総利益となります。

次に、この売上総利益から販売管理費を差し引きます。 販売管理費とは、売上原価以外に企業が営業活動を行う上で使った経費のことです。
例えば小売店の場合、ものを売るのが営業活動ですから、まず行うのは販売するものを仕入れることですが、これは売上原価に含まれるために販売管理コストには入りません。
販売管理費は、この仕入れた商品を販売するためにかかる費用全般のことです。

例えば小売店を営む場合、商品販売のためにテナントを借りていれば家賃がかかりますし、販売員を雇えばそれもコストとなります。 店舗運営のための水道光熱費もかかりますし、宣伝のためにチラシを配るのもタダでは出来ません。
自社サイトを作るのを依頼すればお金がかかりますし、それを維持運営していくのもコストですし、それを通して通販をする場合は送料などもかかってきますが、これらは全て売上原価ではなく販売管理費として計上されます。
これらのコストを売上総利益から差し引いたものが営業利益となります。

ここまでの計算によって、その企業がその期に本業で稼いだ利益が出ることになります。
企業内に複数の事業を持っていたり製品が複数ある場合は、この営業利益を事業単位であったり製品単位で分けて計算することで、更に詳しい分析ができるようになります。
それぞれの事業がどれぐらい会社の営業利益に貢献しているのかが分かるようになるので、今後の戦略なども立てやすくなります。

経常利益


ここまでが前回に紹介してきたものですが、会社の損益というのはこれだけではありませんので、これ以降の項目で漏れ出ている部分を加えて損益計算書を完成させていきます。
売上から売上原価を引いて売上総利益を出し、そこから販売管理費を差し引いて営業利益を出したわけですが、次に行うのは営業外損益の計算を加えることです。
会社というのは本業の営業以外にも、収入であったり支出というものが存在しますので、それも加えなければ会社全体としての利益は出ません。

この営業外損益を加えて計算するのが、経常利益です。 この経常利益は経費の経に常という字を書くので、ラジオなどの音声媒体では計算上の利益と区別をするため、ケイツネ利益と読んだりもします。
では営業外損益にはどのようなものが含まれるのかというと、本業以外で継続的に発生する投資収益や資金調達コストのことです。
例えば、会社が株を購入した場合、その株を発行している会社が配当金を出していれば、株主である会社側には毎年配当金が振り込まれることになります。 これは営業活動で得たお金ではないため、売上には含めずに営業外収益として計上します。

これはお金を貸している場合でも同じです。他社が発行する社債や国が発行する国債を購入した場合、一定期間ごとに金利に相当するクーポンをもらえますが、これも営業外収益となります。
この他には、短期間だけ保有する目的で購入した株の含み益もこれに含みます。 前に流動資産と固定資産の話をした際に、株式は保有目的によって固定資産か流動資産に分かれるという話をしました。
具体的には、1年以内に売却予定の株式は売買目的有価証券として扱われて流動資産に、長期保有の有価証券は固定資産に分類されます。

この内、売買目的有価証券については時価評価が求められるので、決算時に株の購入価格が上昇している場合は、その上昇分は利益として計上されることになります。
これは逆も然りで、仮に株価が値下がりしている場合は損失が発生することにんなります。 この処理により、決算時に株価の簿価がその時点の時価に修正されることになります。
この処理は毎年行うため、1年で売るつもりだったものが売るタイミングを逃して翌年の決算まで持ち越してしまった場合、その決算時に再び時価評価に修正されることになります。

株の時価評価


何故こんなに面倒くさいことをするのかというのは、過去に取り上げた流動資産が絡む財務分析の回を聞いてもらっている方はご存知だと思うのですが、流動資産とはいざという時に速やかに現金に変換されることを前提としている資産だからです。
その様な属性の資産の価格が曖昧であると困ってしまうので、時価との差額を極力減らすためにも、時価評価が求められます。
例えば仮に現金が100万円しか無い状態で200万円の仕入れをしなければならないとした場合、企業は差額の100万円分の現金を用意する必要が出てきます。その用意する手段の一つとして売買目的有価証券の売却という方法があります。

しかし仮にこの売買目的有価証券が時価評価ではない場合、貸借対照表には購入時の株価が記載され続けることになります。
もし仮に、その株が暴騰したタイミングで購入していて今現在は下落している場合、帳面には300万と記載されているのに実際に市場で売却した場合は30万円しか得られないとすると、簿価300万の株を売却しても仕入れ代金が足りないことになります。
流動資産が絡む財務分析では短期の安全性を調べる指標が多かったですが、この様な状態になってしまうのであれば財務分析の意味がなくなってしまいます。

このようなことを避けるため、決算時に売買目的有価証券は時価評価されることになります。
これにより短期保有目的の株は、決算時に簿価と比べて高くなっていれば評価益が、低くなっていれば評価損が計上されます。
また、売買目的有価証券を売却した際に利益が出ていれば、その利益もここで収益として計上します。

持分法適応会社


株式関連でいえば、持分法適応会社が出した利益なども、この営業外利益に含みます。
株式の場合、上場企業の株を株式市場を通して買うというのも入手手段の一つですが、何社かの会社がお金を出し合って株式会社そのものを新たに作ることで入手することもあります。
例えば、同じ産業に属している取引関係のある会社が4社集まって、自分たちの業務の一部を肩代わりしてくれるような会社を25%ずつ出資して作ったとした場合などです。

会社が稼ぎ出す利益というのは株主のものなので、この新たに作られた会社が出す利益というのは、その4社で4等分することになるわけですが、その収益がここに乗ってくるということです。
持分法というのは、基本的には20%以上の株式を持っている場合に適応される法律のようなので、そういった株式を持っている場合は、その会社の利益の1部が営業外収益として株主の会社に入ります。
では、自社が事業部を切り離し、100%のお金を出して新会社を立ち上げた場合はどうなのかというと、この場合は連結子会社となるため、連結決算という別の処理が必要となります。

具体的には、連結子会社も自社と同じ会社とみなして全ての費用と収益を合算します。
なぜ別会社なのに決算を合算するのかというと、昔は別々だったのですが、その時に粉飾決算が横行したからです。
仮に100%子会社を完全に別会社として決算から切り離した場合、自社にとって都合の悪い事業や不採算部門を全て切り離した子会社に移してしまえば、会社の負の側面を完全に切り離すことが可能となります。

そうすることで本社の決算がよく見える様になるため、上場企業の場合は株価上昇に繋がりますし、上場していない会社でも、銀行などから借金する際のハードルが下がったりします。
ですが、負の部分を切り離したとは言っても、最終的にその会社の損失は本社が持たなければならないため、これがバレるとある日突然業績が下がったり、下手をすると倒産なんてことになったりします。
そのようなことを隠して会社の状態を偽るという行動は一種の詐欺であるため、こういった事ができないようにと、子会社は本社の決算と合算して行わなければならないというふうに変わりました。

営業外損益に加えるもの


話を戻すと、収益に関しては配当金や金利や株価の評価益、売却益、持分法適応会社の利益などが含まれて、支出の場合はこれの逆となります。
つまり株の評価損や売却損、銀行の借入金利社債を発行している場合はその利息といった部分が、損失として計上されます。
これらを全て合わせて営業外損益を出します。 つまり、営業外利益が出ている場合は営業利益に足し合わせ、営業外損失が出ている場合は営業利益から差し引いて、経常利益を出します。

営業外損益に関わるものとして沢山の項目が登場しましたが、覚え方としては、本業の営業外のお金の出入りに関するもので、且つ、毎年のように発生するものとして覚えれば良いと思います。
企業が有価証券に投資をすれば、金利や配当金というのは毎年のように収入として入ってきますし、逆に金を借りる場合は毎年金利が発生します。
こういったものに関する項目を集めたものが、営業外損益に入ると考えれば分かりやすいと思います。

分かりやすくするために、営業外損益に入らないものを上げてみると、固定資産の売却などがこれにあたります。
例えば自社が持っている土地を売却するというのは、毎年のようには行いません。 事業として不動産業を行っている場合は毎年行うでしょうが、不動産業の場合は不動産売買が主な営業活動であるため、その取引活動は営業利益に反映されます。
不動産業者ではない場合、不動産の売買なんて滅多に行いませんから、営業利益はもちろん、営業外損益にも含まないということになります。 ではどこに含めるのかというのは、次回に話していきます。