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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

『借金経済』アメリカの金融システム

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私はPodcastを聞く習慣があります。
それなりの数の番組を聞いているのですが、その中の『Rebuild』という番組で、アメリカ経済における借金についてはなされていて、結構衝撃を受けたので、今回はそのことについて欠いていきます。
ちなみに、そのエピソードはこちら。
rebuild.fm

借金経済

私は十数年前は、株式投資にハマっていて、それなりに情報を集めていた時期がありました。
特に、サブプライムローン問題などの危機が訪れた時などは、自分の損失にも直結している為、かなり真剣に調べていました。
その際に分かったことは、アメリカが借金経済で回っているという事です。

日本の場合だと、基本的には給料の中でやり繰りし、その範囲ではどうにもならないような大きな買い物をする際には、借金をするという感覚が普通だと思います。
最近だと、クレジットも徐々に浸透してきていますし、リボ払いで月々定額の返済で買い物をしている人も増えては来ていますが、基本的に、遊ぶかねを得るために借金をする人は、あまり良い顔はされません。

しかし、これがアメリカだと違います。彼らは、基本的には借金で買い物をします。
リボ払いの様な支払い方が普通で、基本的にはクレジットカードなどの枠を使って借金で購入し、給料が入った際に、その分を返済する。

何故、こんな仕組みになっているのかというと、サブプライムローン問題の原因にもなった住宅ローンの仕組みや考え方が日本とは違うからだと言われていました。

アメリカの住宅ローンの仕組み

日本で住宅ローンを組む場合。 基本的には借金を返していく事のみを考えます。
大抵の人が組む住宅ローンは35年なので、一度住宅を買うと決意すると、それを死ぬ一歩手前までかけて返していきます。
日本の場合、3000万円の借金をした場合は、自分の貯金額からマイナス3000万したものが自分の資産といった感覚を持つ人が多いからというのと、そもそも、返済が前提のローン契約だからというのが理由でしょう。

また、日本の不動産は、価格面での劣化が激しい。
仮に、新築を購入した場合で考えると、それを購入して一度でも名義変更をしてしまうと、新築から中古に格下げされてしまう為、名義変更だけで住んでいなくても、価格は3割程度落ちると言われています。
それだけでなく、基本的に木造住宅で、数十年ごとに立て直す事が前提の日本家屋は、建てた時点で劣化が始まり、20年程度で建物の価値はなくなると言われています。
40年、50年経過した家の場合、土地が本来持つ価格から、家の解体費用を差し引いた額でしか売れない事も多々ある為、購入した家というのは、いずれ価値がなくなる前提で購入しなければなりません。
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このような前提がある為、住宅購入で借金をした人は、まず、借金を変えることを前提に生活する必要があるわけですが、これがアメリカの場合だと、事情が変わってきます。

アメリカではどうなのかというと、仮に、500万円の頭金を積んで、3000万円の借金をして3500万円の家を購入した場合。実質の借金はゼロです。
というのも、銀行から借金をした人は、3000万円の負債を抱える一方で、資産には3500万円相当の家が組み入れられる為、資産から負債を引いた場合、500万円が残る。
つまり、借金をしてもしなくても、自分の資産内容は金額ベースでは変化がない為、問題がないという考え方です。

これは考え方だけでなく、システムにも盛り込まれています。
何故、この様な考え方ができるのかというと、不動産の価格の付け方が違うからです。

先程も書きましたが、日本の場合は新築プレミアムというのが3割程度上乗せされて販売されている為、住宅を新築で購入すると、その時点で価格は3割減少してしまいます。
3000万円の家を購入したら、買った瞬間に2000万円の勝ちになると考えれば、分かりやすいかもしれません。
しかし、家そのものの価値を重視するアメリカでは、新築プレミアムというものが存在しません。逆に言えば、中古だからだとか、築年数が経っているという理由で減額されたりもしないということです。

家の販売価格というのが査定され、その金額分の価値が認められているということです。
これが、どういう事かというと、3000万円の家を購入し、その家に手を加えて住みやすくしたとした場合、家の価値は3500万円に値上がりしたりします。
3500万に値上がりするとどうなるのかというと、銀行から新たに500万円の借金の枠が貰えたりするんです。

その500万円を使って、更に家を住みやすく改造していけば、家の価値は4500万円に値上がりしたりします。
すると、更に1000万円分の借金の枠が増える為、それを更に消費して家具を買い替え、その家具が家にピッタリあっていて良い雰囲気が演出できていたりすると、これまた資産価値が上がったりする。
つまり、アメリカ人にとっては、家を購入するという行為は投資の一環で、休みの日にD日曜大工で家を改造するというのは、自分の資産価値を高める行為だったりする。
自分の家を住みやすくしたり、センスよく見栄えを良くしたりする事が、そのまま自分の資産を増やす事に繋がるということ。

アメリカに限らずヨーロッパなども含めて、家の築年数は劣化を表す数値ではない為、築100年超えの建物は、逆に価値が上がったりもする。
この様な住宅に対する考え方の為、住宅ローンを購入したからといって、それを返さなければならないという意識は薄い。何故なら、いざとなったら自分の資産である家を売却すれば、その借金は完済できるからです。

『クレジットヒストリー』と『クレジットスコア』

先程書いたような住宅ローンの仕組みにより、アメリカ社会は借金経済なんて言われていたりするのですが、冒頭でも紹介したPodcastのエピソードでは、借金経済を更に加速させたり、強固に固定するようなシステムが紹介されてしました。
それが、『クレジットヒストリー』とか『クレジットスコア』といった、個人につけられる評価です。

これらは何なのかというと、簡単に言うなら、個人の信用格付のようなものです。 つまり、これらが低いと、そもそも借金ができない… というか、クレジットカードすら作れないということです。

日本の場合は、まだまだクレジットカードの普及率や使用率が低いせいか、クレジットカードを作ることに関しては、かなりハードルが低かったりします。
しかし、カード社会で既にクレジットカードが普及しまくってるアメリカでは、その審査そのものが非情に厳しかったりします。
また、クレジットというのは信用という意味なので、信用を具現化したようなカードが作りにくいということは、当然ですが、銀行で借金をするハードルも、非情に高かったりします。

では、金融機関やカード会社から信用を勝ち取る為には、何が必要なのかというと、先程書いたようなクレジットヒストリーだったりします。

このクレジットヒストリーは、借金をして返す事で履歴が貯まっていき、その返済履歴によってクレジットスコアが貯まっていきます。
でも最初は借金そのものが出来ない。 なので、金融機関に一定の現金を担保に入れて、その担保内でクレジット決済できるようなカードを作り、それで決済する事で、クレジットスコアを貯めるようです。
そして、一定レベルまで成長させたら、次は、少額の借金ができるようなクレジットカードを手に入れて、それで少額の借金をして返す事で、自分の履歴を成長させる。

そして次は、更に枠の大きいクレジットカードを作って…と言った感じで、借金をしてそれを返すというのを繰り返す事で、自分の評価を高めていくシステムとなっています。
日本の場合は、複数枚のクレジットカードを持つことに意味はないですし、何なら、沢山のカードを持つことで、自分の信用枠が減って借金ができなくなるといったケースも出てきますが、アメリカの場合は逆で、複数のクレジットカードを持てるということは、それだけ多くの審査を通った人物ということで、信用されたりもするようです。

このアメリカのシステムですが、恐ろしいのは、自分の給料の範囲内で消費をしている人は、金融機関からの信用が全く得られないということです。
日本の場合は、30万円の給料を得た際に、その範囲内で生活をして借金をしないというのは美徳とされていますが、アメリカでその様な生活をしていると、金融機関からの信用が得られない。
金融機関からの信用が得られないということは、何を意味しているのかというと、車や家の購入といった、まとまった金額が必要になった際に、金融機関から借金ができないということを意味します。

金融機関から借金をしたいのであれば、クレジットスコアを育てる必要が有り、それを育てる為には、日々の細々とした日用品を借金で買い、それを返済するという努力を積み重ねる必要があるようです。
アメリカで日本の様に普通に生活をしようと思うと、消費するタイミングで借金をして返していくという地道な作業を繰り返さなければならないようで… それを繰り返していると借金が日常化してしまう。
つまり、アメリカ国民の借金体質というのは、銀行のシステムによって作られたものということ。 逆にいえば日本の貯蓄体質も、日本の金融システムによって作られたと言えるんでしょうけれども。

日本とアメリカのシステム どちらが良いのか

どちらが良いのかというと、一概には言えないと思います。
アメリカの借金経済は、市民達が生き抜く為に消費をしなければならない状況に追い込めるため、消費を促進させやすいというメリットがありますが、一方で、市民達の収入が落ち込んでしまうと、借金や利息の返済が滞ってしまって消費の落ち込みに拍車がかかる可能性が高くなります。
一方で日本のシステムの場合は、システムによって消費を煽ることは出来ないでしょうが、借金をできるだけせずに自分の収入内で消費を行っている為に、仮に世界規模での金融危機が起こったとしても、国民生活には直ちに影響が出なかったりします。

起伏が大きいアメリカに対し、日本は凪といえば良いのでしょうか。
ただ、システムによって消費動向をある程度コントロールできるのであれば、両者のメリットを得られるようなシステムも作れるのかもしれませんけどね。