だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

今の停滞を抜け出す為に必要なのは、ベーシック・インカムではないだろうか ②

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前回は、今の経済が置かれている状況を簡単に書いていきました。
kimniy8.hatenablog.com

簡単に振り返ると、資本主義は供給不足の時は順調に進むが、供給過多になると崩壊するという話です。
日本では、人手不足と叫ばれていますが、人手不足なのに給料が上昇しないのは、そもそも供給過多で利益がないので、大部分の中小零細起業は給料を払えないからでしょう。
では、儲かっている大企業はどうなのかというと、給料を上げなくても、労働環境を改善しなくても人が集まるので、給料を上げないし、なんならもっと締め上げる。
結果として、バブル期を超える最高益を出していたりするわけで、不景気様々なんでしょうね。

で、こんな状況で消費が盛り上がるのかといえば、当然、盛り上がるはずもありません。
消費をするには金と時間が必要ですが、労働者は、金を絞られ時間をサービス残業で奪われているわけですから、消費する時間なんて当然無い。
となると、そういう労働者を相手にしていた中小零細のサービス業は更に痛手を喰らい…という負の連鎖が起こる。

結果、富裕層はより豊かになり、貧困層はより貧しくなってしまう。

このサイクルを抜け出すために必要なのは単純な話で、貧困層に金と時間を与えればよいのです。
例えば、年収1000万円以下の人には、毎月定額でお金を渡すというベーシック・インカムの導入です。
こうする事で、何が起こるのかを考えてみましょう。

ベーシック・インカムで渡すお金を、贅沢しなければ普通に暮らしていける金額に設定するとしましょう。
こうした場合、過酷過ぎる労働環境の職場からは、大量の離職者が出ることになります。
当然でしょう。今までは、仕事をしなければ暮らしていくことが出来ない状態に追い込まれていたから、『仕方なく』無理な要求を聞き入れて仕事をしていたわけですが、仕事をしなくても最低限の生活が保証されているのであれば、そんな地獄のような環境に身を置く必要はありません。

これは、労働者だけに限らず、大企業の下請けなどにも言えることです。
今までは、工場や労働者を守るために、大手の無理な要求を笑顔で受け入れていた中小零細起業は、仕事を受けなくても最低限の生活が保証されているのであれば、安心して工場を閉鎖するという選択肢を選ぶことが出来るようになります。
常に仕事を辞めれるという安心感が有れば、その一歩手前の仕事を受けないという選択肢を選ぶことが出来ます。
今まで上から目線で命令してきた大手企業に対して、『そんな値段で仕事を受けるなら、寝てた方がマシだ!』と三行半を突きつけることが出来るようになるわけです。

こうなると、事態は変わってきます。
今までは、『オタクがやらないなら、他に仕事を回すよ!』と上から目線で圧力をかけて無理やりやらせていた大手は、仕事を誰も引き受けてくれないという状況に追い込まれるわけです。
こういう状況になれば、そこで初めて、大手と下請けが本当の意味で対等に交渉をする事が出来ます。

つまり、ベーシック・インカムの導入は、今までは資本主義による強制労働を強いられていた社会的弱者に対して、選択肢を与えることが出来るようになります。

また、この制度の導入によって、一部の人間は労働から開放されます。
労働から開放されるとはどういうことかというと、大量の時間が与えられるということ。
前回の冒頭で紹介した、自殺した現場監督は、月に200時間を超える残業を強いられていたようですが、仮にこの方がベーシック・インカム下で仕事を辞めるという選択をした場合、この人には月に400時間の自由時間が与えられることになります。
人間は、何もしないで過ごすことは出来ないため、暇な時間が出来れば消費をします。
つまり、ベーシック・インカムで与えたかねというのは、結果として大部分が消費されるということになります。

こうなると、今まではサービス残業や実質賃金カット(非正規移行等)に客足を取られていたサービス業が、忙しくなってきます。
なんせ、暇を持て余した人達が大量に増えるわけですから、供給過多状態が需要増によって埋められることになり、サービス業は本当の意味で人手不足に陥ります。
ここでの人手不足は、従来の様な人手不足とは意味合いが異なります。
何故なら、ベーシック・インカム下での人材募集は、ブラックな条件を出した場合は『これなら、働かないほうがマシ。』と労働者候補から切り捨てられるからです。
また、供給不足による人手不足の場合、企業は人を雇うことで売上を伸ばせる可能性が高くなる為、職場環境の改善などをして積極的に人材募集をしますし、教育にも力を入れるでしょうし、辞めないように努力もするでしょう。

労働環境が良くなり、労働者の仕事と報酬の割合が改善すれば、労働者は受け取った給料を、更に消費に回すことも考えるでしょう。
何故なら、仮に職を失ったとしても、ベーシック・インカムが有れば最低限の生活は保証されているわけですから、漠然とした心配の為に貯めておく必要もない。
企業が給料として支払った分がそのまま消費に回ると、更なる好循環が起こり、景気は上向くし、結果として税収も増え、それを再分配することで、更に暮らしやすい国になるのではないでしょうか。

少なくとも、『金持ちがより豊かになれば、トリクルダウンで貧困層も救われる!』なんて嘘で固めた主張で富裕層優遇し、一方で、年金支給開始年齢を75歳からにズラして貧困層を殺そうとするような世の中よりは、良くなるような気がします。

ただ、こういう提案をすると、大抵の場合は決まって、『財源は?』とドヤ顔して否定してくる人がいます。
そういう人に限って代案は無いわけですが、そういう人の前で現政権の批判をすると、『対案は?』とドヤ顔して詰めてくるので困りものだったりするんですが…

一応、私なりに考えた財源としては、消費税増税によって捻出するしか無いと思っています。
消費税は低額所得者にとって不公平だという批判に対しては、軽減税率の導入では無く、高価格帯商品に対する増税などの贅沢税によって対処すべきだと思っています。
高価格帯商品に対しての増税とは、簡単に言うと、車を買う際に1台目で200万以下なら5%で良いけど、300万を超えると10%、500万超えなら20%、1000万超えるようなものは、100%の消費税を払ってね。2台目以降の購入は、更に税率アップね。
という感じで、高所得者が好みそうな商品に対しての税率を上げることで対処すべきだと思います。
当然、これが家とかになると価格帯が変わってくるので、増税幅は売買される品物によっても変わるべきだとは思いますが、基本的には、高所得者層が取りそうな行動に対して増税するスタンスで行えば、消費税の不公平性も緩和されるとは思います。

何故、所得税法人税ではなく消費税なのか。これは、以前の投稿で既に書いているので、時間が有る方は目を通してみてください。
kimniy8.hatenablog.com

kimniy8.hatenablog.com

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簡単に説明すると、法人税所得税は、本社を海外に移転したり自身が大半を海外で過ごすなどによって、合法的に税金を減らすことが可能だからです。
大手コーヒーチェーンを例に考えると、コーヒーチェーン会社は、先ず、法人税が安い国に本社を構え、完全子会社のコーヒー豆生産会社から原料を非常に安い値段で豆を購入します。
この時の値段は、経費を差し引いた際に子会社の利益がゼロ。つまりは、原価で購入します。
そして次に、本社の豆を世界各国に有る小売店に、物凄く高い値段で販売する。この時の値段も、小売店が人件費を含む経費を差し引くと、利益が出ないようになる高額な値段で売却します。
これにより、豆の生産と小売店の利益の全てが、本社に集まることになります。そして本社は、法人税が一番安い国に存在する。

このようなことが可能である以上、税金を経済活動が行われた地域で徴収しようとすると、消費税しか無いという状態になってしまいます。
財源に関しては消去法なので、もっと良い提案があるなら、そちらでも全く構わないんですけれども、要は何が言いたいのかというと、適切な再分配が行われていないということです。
今の経済が停滞している最大の原因は、お金が本当に必要な人達に循環しておらず、金持ちがより豊かになる為にお金が使われ、そして、追い詰められて選択肢が無くなった貧しい人達からは、搾取が行われているからです。
本当にお金が必要な層にお金が循環する。例え、貯金を使い果たしたとしても生活には心配がないという状態を作り出すことが出来れば、経済はより安定的になると思うんですけどね。