だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

パナマ文書と消費税の関係

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最近(2016年4月中頃)のテレビやラジオでは、パナマ文書が出回ったこともあって、税金についての話が頻繁に行われるようになりましたね。
このパナマ文書というのを簡単に表現すると、タックスヘイブンと呼ばれる地域に資産を移して節税対策をしていた人たちのリスト。
これが、現地の法律事務によって暴露されたのが、今回の問題です。

タックスヘイブンとは、税金が低く設定されている地域の事で、ここに会社の拠点などを置く事により、節税対策が出来るというもの。
『リストが暴露されて大混乱!』って感じになってはいますが、行われている事は合法だったりします。
ちなみに、タックスヘブン(税金天国)ではなく、ヘイブン(避難地)なので、勘違いしないように。
こんな事を書いている私ですが、実は今回の事が起こるまで、タックスヘブンだと思い込んでいました。

勘違いって、怖いですね。

さてさて、この合法的な脱税なんて言われているヘックスヘイブンを利用した節税ですが、これの一番の問題は、完全に合法である事です。
この地域を使ってマネーロンダリング等を行っている人は、方に引っかかる場合もあるのでしょうけども、基本的に節税目的で本社を移すのは合法です。

では何故、問題としてこんなにも取り上げられたのかというと、違法性というよりは道徳的な問題なのでしょう。
仕事というのは、一つの会社の力だけで儲けを出しているわけではありませんよね。
例えば販売業の場合、モノを仕入れる際には、道路などを使って運送するわけですよね。
道路だけではなく、一つの商売をしようと思った場合、その国が有するインフラを使わなければ、仕事自体が成り立ちません。

ではインフラ整備や修復などは、どのようにして行われているのかというと、その国の税金ですよね。
税金で作られたインフラを利用しておきながら、そこで得た利益を還元せずに他国に渡してしまうという行為が、『自分さえ良ければ良いのか』という意味で批判されているのでしょう。

ただ、私が見ているテレビ番組では、この問題に対する解決策などは、ほぼ、提案されません。
仮に提案されたとしても、タックスヘイブンなんて地域が存在しているのが問題!といった、解決策なのか愚痴なのかよくわからない意見ばかりです。

何故こんなことになるのかというと、マスコミの姿勢自体が、消費税反対だからでしょう。
では、消費税とパナマ文書によって浮上した節税問題がどのように関係あるのか。
これは、実は少し前に私のBLOGで既に投稿しているので、そちらを見ていただく方が早いでしょう。

kimniy8.hatenablog.com

kimniy8.hatenablog.com

マスコミの今までの報道の仕方としては、税金が足りないから、『取れるところから取ろうと思って消費税を導入した。』なんて感じで報道されることも少なくありませんが…
本来の導入の動機は、違います。
マスコミは今になって、合法的脱税と呼ばれる節税を問題視していますが、この話は最近になって浮上したものではなく、数十年前から問題視されていました。

タックスヘイブンという言葉を私が最初に聴いたのも、20年以上前の事でした。
その当時は、タックスヘブンと思い込んでいましたけどもね。

日本政府としては当然、その頃から問題を何とかしなければならないと思っていました。
その解決策の一つが、消費税の導入だったんです。

先程紹介した過去の投稿にも書いたのですが、面倒くさくて読んでいないという方の為に、もう一度簡単に、超有名コーヒーチェーンを例に説明を書きましょう。

タックスヘイブンの使い方としては、まず本社を税金の安いタックスヘイブンに置きます。
コーヒーショップに必要なのは、何といってもコーヒー豆。
しかしタックスヘイブンには、コーヒー豆を大量に栽培するだけの土地もインフラもありません。

そこで、ブラジルに子会社を作ります。
このブラジルの子会社では、利益が出ないように気を付けます。
例えば、人件費を含む経費が1000万円かかった場合、1000万円を超える値段で販売しなければ、会社としての利益は出ません。
しかし本社は子会社から、1000万円でコーヒー豆を購入します。

購入した豆は、全世界に展開しているチェーン店の現地法人に販売されます。
この時の値段は、かなりのボッタクリ価格で設定します。
仮にコーヒーショップの売り上げが1億円で、バイトや家賃などの固定費やその他費用が3000万円かかったとしましょう。
この場合、コーヒー豆の仕入れ額が7000万円であれば、現地法人の利益はゼロという事になります。

結果からみると、コーヒー農園があるブラジルの子会社の利益とコーヒーショップのある世界各国の現地法人の利益はゼロになり、タックスヘイブンにある本社の利益が6000万江という事になります。
税金は本社がある地域で支払われる為、実際に労働や商業が行われている地域には、税金は入らないという事になります。

ですが、法人税ではなく消費税の場合はどうでしょうか。
消費税はモノ・サービスが販売された段階で税金が発生し、消費者が消費した国で税金を支払います。
消費者から税金を受け取った企業は預かったお金を国に渡すだけなので、本社が仮にタックスヘイブンに有ったとしても、問題なく消費された国で税金が発生します。

つまり、合法的脱税といわれるタックスヘイブンを使った節税対策のカウンターになるんですよね。
しかしマスコミは、馬鹿の一つ覚えの様に『消費税を上げると景気が…』なんてよくわからない事を主張し、消費税を反対する一方で、タックスヘイブンも問題視する。
問題視はするが解決方法は思いつかず、政府の出した解決策には反対をしてしまっているので、道徳的な問題にすり替えるしかない。

意味が分からないですよね。

そもそも、制度的に払わなくてよいお金があるのであれば、それを駆使して払わずに資本を増やそうとするのが資本家ですし、その資本家が中心となっているのが資本主義です。
資本主義である以上、システムに歪みがあれば、利用されて当然なんです。
なら解決策は、システムの歪みが分かった時点で解消していくしか方法はないんです。
そして現段階で一番解決しやすい方法が、消費税なんです。

仮にマスコミや、そのお抱え経済学者がいう通りに、消費税増税が経済成長の足かせになるなら、その部分の原因を突き詰めて改善していけばよいだけなんです。
例えば、ある一定以下の所得の人に対しては、確定申告で消費税を返す、または、お金を配るといった、限定的なベーシックインカムの導入などです。
これでもダメなら、また別の方法を探っていく。

こういった地道な作業を続けていかなければ、物事は一向に進まないんと思うのですが、どうでしょうか。