だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

今の停滞を抜け出す為に必要なのは、ベーシック・インカムではないだろうか

最近のニュースで、オリンピック関連の建設業に携わっている方が、残業が200時間を超えるような労働を強制され、結果として自殺してしまったというニュースを聴きました。
その時の会社側の言い分としては、自殺した社員はチームで動いていて、他の人間は自殺していない為、業務が原因で自殺したとは言い切れず、原因究明をしていくという主張をしていました。
既に1人が自殺しているんだから、チームの他の人間も自殺する可能性はあるとは考えず、自殺する人間に問題が有ったという考えなのでしょう。
社員をまさしく家畜程度にしか捉えていない上層部の考えには、ゾッとしてしまいますね。

そして、こういうことが起こると、『会社を辞めるという選択肢は無いのか』という話になるのですが、この問題は、実質的に辞めるという選択肢が無い事が問題なんだと思います。
というのも資本主義社会の場合、仕事を辞めたら生活ができなくなるという問題が出てきます。
資本主義では、最低限の生活をするにも最低限のお金が必要なわけで、それを得る為には、仕事をしなければならない。
結果として、労働者は労働をしなければならない。

この話を聴いて、『何を当たり前の事をいっているんだ?』と思われる方も多いと思います。
確かに日本では、国民の三大義務で労働を強いていますので、働くことは当然なのでしょう。
働くことで、お金も得られますし、社会にでることで社会に関わる実感も得られることが出来ます。
仕事を通して、普段で走ることが出来ないことを知るキッカケにもなりますし、働くこと事態を否定はしません。

ただ、今の現状を観ると、余りにも環境が悪すぎるような気がします。
そして、選択肢がなく、働かなければならない状態のせいで、結果として経済が停滞しているようにも思えます。

もう少し具体的に書いてみましょう。
資本主義というのは、基本的には放っておけば、金持ちはより金持ちになります。
これは当然で、資本主義では何をするにも資本が必要で、それを集めるためいには自らが資本家となるか、資本家から投資してもらわなければなりません。
投資を受けた企業は資本家の所有物となり、企業が得た利益はすべて資本家が取っていきます。
このサイクルで得た利益を別の事業家に投資することで、資本家はドンドン利益を溜め込んでいくことになります。

では、企業で働く人たちは、資本家にとってどのように移っているのでしょうか。
自分に利益をもたらしてくれる、力強い味方と思っているのでしょうか。
そんなことはありません。投資家にとって労働者はコストであって、その目には削減対象としか写っていません。
その為、投資家は事あるごとに『効率化』を掲げ、人員削減や給料の上昇を抑制するといった、コストカットを要求してきます。

つまり、企業で働く労働者と資本家は、基本的には利益を巡って敵対している関係に有るということです。

しかし、よくよく考えると、おかしな話ですよね。
投資家からしてみると、頑張って労働者に働いてもらわなければ、利益を上げることは出来ません。
利益が上がらなければ、結果として、事業は縮小していく為、投資家の利益は減ってしまいますし、投資家自身も痛手を負うことになってしまいます。
投資家としては、本来は味方になってもらわなければならないはずの労働者を、何故、敵視して追い込むようなことをするのでしょうか。

これは簡単な話で、需給バランスが狂ってしまったからです。

では、需給バランスが狂うとは、どういうことなのか。
企業というのは、最初は社会から必要とされることで誕生します。つまりは、需要が有って供給がない分野に対して、起業が行われるわけです。
供給不足の状態では、製品は作れば作っただけ売れる。また、欲しい人が多い場合は、強気の値段設定でも意外と売れるもので、起業としての利益も大きい。
利幅が高いものを作ったら作っただけ売れるわけですから、投資家は、より利益を得る為に、大量の人員を雇おうとします。
また、せっかく一人前として育った社員が辞めてしまうと、また一から教育をし直さなければならない為、多くの時間と手間が無駄になってしまいます。
その為、人員を募集する一方で、既に雇った社員を逃さないために、手厚い待遇で社員を引き留めようとします。

この時期の起業というのは、投資家と労働者は二人三脚の関係で、互いに互いを必要とし、双方が敬意を持って相手に接することが出来る、理想的な関係といえます。
しかし、この蜜月の時も長くは続きません。
一度、儲かる市場と認知されてしまえば、こんな美味しい市場を放っておく人はおらず、新規参入が増えてきます。
また、既存の起業の投資家も、より生産性を上げる為に、自動化出来る部分は自動化し、どんどん効率を求めるようになってきます。
そうして起こるのが、供給過剰状態です。

供給過剰状態になると、その業界は地獄です。
市場にものが余っている為、それを吐き出す為にも、販売価格は下げなければなりません。
販売価格を下げると、当然、利益は下がってしまいますが、資本家は自分達の取り分を減らそうとはしません。何故なら、それが資本主義だからです。
資本家が資金を投資するのは、自分達が儲けるためなので、儲からないと分かれば、出来るだけ早い段階で売却して、その市場から逃げようとします。
逃げ遅れた投資家は、何とかやりくりして、安定した投資収益を得ようとします。
その、やりくりというのが、ブラック会社化です。

そもそも利益が出ない市場なんだから、そこから利益を手っ取り早く出そうとするなら、生産コストを下げるしか無い。
コストで最も大きい部分は人件費なので、当然、人件費を削ることが最大の仕事になります。人件費を削るとはどういうことかというと、人員カット、サービス残業の強要、正社員からバイト・非正規への移行。
ドンドンと労働者の待遇は悪くなっていくわけですが、労働者はやめれば良いという判断は下せません。何故なら、更に苦しい状況に追い込まれる可能性が有るからです。

こうなると、更なる悪循環に突入してしまいます。
というのも、技術が発展すると、単純労働は機械化されていく為、生産や加工業に必要な人材は減っていく傾向に有ります。
となると、大半の人間は第三次産業であるサービス業に従事することになるわけですが、サービスを利用しようと思うと必要になってくるのが、お金と時間です。
第三次産業中心の経済では、お金と時間を消費する事でしか経済は回らないわけですが、起業がブラック化してしまうと、消費に最も必要な金と時間が労働者から奪われていくことになります。

こうなると、お金と時間がないから消費出来ず、消費できないから経済が回らず、そのしわ寄せが労働者にいって、更にブラック化するという事態に陥ります。
では、この悪循環を断ち切る為には、何が必要なのかというと、労働者に金と時間を与えればよいということになります。
どのようにして、金と時間を与えるのかといえば、一定レベル以下の給料しか貰っていない人に対する、ベーシック・インカムの導入ではないでしょうか。

【つづく】
kimniy8.hatenablog.com