だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

終わりの始まりといわれるテレビ業界 そろそろ終焉? ④

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長々と書いてきましたが、この話もようやく、一旦の終了を迎えそうです。
この投稿は続きとなっていますので、最初から読まれてない方は、そちらからお読みください。
kimniy8.hatenablog.com
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ここまで、テレビが如何に時代から取り残されているかについて書いてきたわけですが…
今回は、テレビでは到底追いつけない、決定的な事について書いていきます。

今までの投稿で、テレビがとっている戦略について否定的な事を書いてきました。
様々な点で動画見放題サービスに劣っているテレビですが、テレビ擁護派にとっての最後の牙城が、テレビの完全受動的な視聴です。

動画見放題サービスは、何か目的をもって番組を見る際には、テレビでは手が届かない程の優位性を発揮します。
しかし逆の見方をすれば、何も目的を持たずに、ただの暇つぶしや賑やかしの為につけておきたい場合は、何かコンテンツを選ばなければならない状態がストレスとなります。
この場合、電源さえ入れれば何かが放送されているテレビは、観るのに非常にハードルが低い。
現時点で、唯一、動画見放題サービスに勝っているといっても良い点といえるでしょう。

ただ、『コンテンツ選びは面倒くさい。電源を入れる事しかしたくない。』と言っている割には、視聴者はザッピングなどをして、気に入らないコンテンツは見ないようにするわけです。
この行動から何がわかるのかといえば、コンテンツを選ぶのは面倒くさいけれども、気に入らない番組を見続けるのも面倒くさいという、視聴者のワガママな姿勢です。

これを解決できる可能性があるのが、インターネットに繋がっていて、コンテンツをモニター毎に変える事が出来る、動画見放題サービスです。

このブログを読まれている方は、インターネット環境をお持ちの方だと思います。
読者の多くの方は、ネットショッピング等をした経験が有るのではないでしょうか。
その方々の中には、『この商品を買われた方は、こんな商品も購入しています。』なんて営業を受けた方も多いでしょう。

これは、ビックデータを活用した営業で、今では様々な業界で活用されている営業方法です。
消費者全体をターゲットにするのではなく、購入履歴から消費者をカテゴリー分けし、有効な広告を打ち出していく。
顧客が買い物をすればする程、より精度は増していき、よりカスタマイズされた広告によって、商品を紹介される。
今までのテレビ広告の様に、だれかれ構わずに宣伝するよりも、より効率的な広告といえるでしょう。

この技術を、動画見放題サービスで活かされるとすれば、どうでしょうか。

自分が観た番組の履歴をデータとして蓄積し、そのモニターを使用している人が好みそうな番組を選択し、モニターの電源を入れるだけで自動的に放送してくれる。
つまり、番組リストを動画見放題サービス側が顧客ごとにカスタマイズして作ってくれるということですね。

気に入らない番組が流れれば、【次の番組を見る】というボタンを押すだけで、別の番組が最初から開始される。
番組を飛ばした場合は、嫌いな番組の傾向としてデータを蓄積し、似たようなカテゴリーの番組がリストに挙がらないようにする。
数か月もすれば、ザッピングすらしなくてよい、電源を入れるだけで時間が潰せるモニターが誕生します。

ちなみのこの技術は、遠い先の未来で実現するかもしれない技術ではなく、今の技術で実現可能です。
またこのビックデータの活用は、広告などにも応用可能です。


前回までの投稿で、今は有料の動画見放題サービスが、CM広告を入れる事で無料部分が生まれる可能性について書きました。
ネットコンテンツでは、無料部分だと機能が制限されているけれど、お金を支払うことで制限が外れる仕様のものって、沢山ありますよね。
動画サービスのシェア争いが更に過熱すると、とりあえずアカウントを作らせて囲い込むという戦略に出る可能性が高いため、十分考えられます。

ということで、現時点で有料の動画見放題サービスが、広告の導入で無料化したらという前提で、考えてみましょう。
動画見放題サービスの中でも、小売業も行っているAmazonを例にして考ます。

ビックデータを活用し、動画の閲覧履歴と商品の購入履歴を結び付けてみてはどうでしょうか。
似たような番組を好む人は、似たような商品を購入する可能性が高いという推測をもとに、カテゴリー毎に流すCMを変えるわけです。

今までのテレビ局の広告の流し方は、視聴率の高い番組を作り出し、その番組に広告を載せる権利を高額で販売するという形式でした。
しかしこの方式では、どんな人が番組を視聴しているかが全く分からない。
スポンサー側は、ただ沢山の人が見ているから影響力が大きいという1点のみで、高額な広告料を支払っていたわけです。

しかし冷静に考えると、1000万人の人間がテレビを観ていたとしても、その商品のターゲットになる層が観ておらず、広告効果がないというケースも考えられます。
これなら、全国で100人しか番組を観ている人がいないけど、その全員がスポンサーが売り出したい商品に興味があるという低視聴率の番組に広告を出すほうが、CM効果としては大きい事になります。

テレビというのは一方通行のメディア。
視聴者毎に提供する映像を変えることは出来ないため、広告枠の販売額と自社が出せる広告料、そして、番組の傾向で視聴者の傾向を予測して、広告を出すか出さないかを決めなければなりません。

ですが、ネット動画の場合は、視聴者毎に映像を変える事が出来ます。
また、そのデータを通販サイトのAmazonの方にも反映させてみてはどうでしょう。
これまでの買い物履歴と番組の視聴データをもとにして、目につく場所に効果的な広告を出す事も可能になるわけです。

今回の無料動画サービスの広告については、まだ導入されていない仮定の話ですが、仮に導入されれば、スポンサーとしては従来の広告より経費が節約できて効果が出る広告手段を選ぶのではないでしょうか。

こう考えると、スポンサー・制作会社・視聴者の全てのサイドから見て、テレビ局が『いらない子』になってしまうんですよね。
テレビにしかない強みというものが無く、放送局は今まで独占状態だったシェアを崩されていくだけ。
組織を支えているものは影響力なのに、シェアを奪われることでその影響力が衰退し、衰退するから更に弱体化するという負の連鎖。

少し前に『テレビ業界の終わりの始まり』といわれた状態は、そろそろ終焉へと向かっているのではないでしょうか。