だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

終わりの始まりといわれるテレビ業界 そろそろ終焉? ③

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私自身のまとめる能力が低すぎで、この話も3回目に突入してしまいました。
前回、前々回を読まれていない方は、そちらから読まれることをお勧めします。
kimniy8.hatenablog.com
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前回までは、『動画見放題サービスのハードルが下がってきて、テレビに追いついてきましたよ。』というスタンスで書いてきました。
ですが今回は、テレビには追いつけない動画見放題サービスの底力について、考えていきます。

ネットとテレビで一番違うのは、コンテンツの配信方法です。
テレビの放送局には、1日に流せる放送に限界が存在します。
当然と言えば当然ですよね。リアルタイムで放送を流し続けているわけですから、1日に24時間以上のコンテンツは放送できません。
しかし、ネットはどうでしょう。
ネット動画は、アップロードされた動画の中から、興味のあるものを視聴者が選び、好きに観るスタイル。
視聴者側が1日で観る時間に制限はありますが、動画配信サービス側がアップロードする番組数に制限はありません。

この、商品に制限が有る・無いという構図、どこかで見たことはないでしょうか。
そうです、ネット通販と、実店舗での小売りと同じ構図です。
ネット通販の場合は、全国各地に散らばった倉庫の何処かに、1つでも在庫があれば、ディスプレイしておける。
その一方で実店舗は、店のスペース内に収まる商品しか置く事が出来ない。

この両者の違いを利用して成功したのが、Amazonです。
ロングテール戦略という言葉を、聞いたことがないでしょうか。
これは、大量に売れる商品の種類は少なく、少量しか売れない商品の種類は多いという小売りの状況を利用する販売戦略です。

スペースが限られる実店舗の場合は、商品を置けるスペースに限りがあるため、売れそうな商品しか置けません。
しかしネット通販の場合は、店舗を構えなくて良い為、山奥に広大な倉庫を安価に確保することが可能となります。
このスペースを利用し、日本で数人しか欲しいと思わないようなマイナーな商品も、在庫として数個だけ持っておく。
そんなマイナーな商品を、できるだけ数多くキープして置く事で、マイナーな消費を確実に取る事が出来る。

マイナーな商品であればある程、他では売ってないわけですから、購入場所としての選択肢は絞られてくる。
その商品がどうしても欲しい場合、通販会社にアカウントを作らざるをえなくなる。
そして一度アカウントを作ってしまうと、便利さから、その辺でも売っているようなメジャーな商品も、通販で買うようになる。
結果として、シェアを奪われるわけです。

この構図が、そのままテレビ放送にも当てはまります。
テレビはリアルタイム視聴を前提においている為、24時間という制限があります。
その為、一般受けしない番組は打ち切りにして、新たに人気の出そうな番組を考えなくてはなりません。

しかし、ネット動画の場合はどうでしょう。
時間制限がない為、一部の人しか好まないようなマニアックな動画でも取りあえずアップロードしておけば、その動画を観たい人を客として取り込めます。
この構造は、より多様性のある番組を取得・制作するインセンティブになる。
結果としてコンテンツ数が増えることになり、サービスとしてはより魅力的になります。

こうなってくると重要になってくるのが、コンテンツの制作会社です。
ドラマ・アニメ等の動画コンテンツは、テレビ局が制作しているものも存在しますが、実際には多くの作品が下請け業者である映像制作会社によって作られています。
ではテレビ局は何をしているのかといえば、映像制作会社が作った映像を電波に乗せて放送する。
その放送に広告をつける事で、スポンサー収入を得るわけです。

この広告費は基本的には視聴率に依存していて、視聴率が高ければ高い程、広告費が値上げされる。
つまりは、テレビ局の売り上げが上がるということですね。

これを見ても分かるとおり、実際に汗水たらして番組を制作しているのは、番組制作会社。
本来なら最も重要な部分であるはずなのに、放送を買い取ってくれるのは放送権を持っているテレビ局だけだったので、買い叩かれ、奴隷のような扱いを受けていました。
ネットで軽く検索をかけてみたところ、番組制作会社の仕事量は睡眠時間が2~3時間で、他の時間をすべて仕事に捧げても、手取りが18万円ぐらいしかない。
アニメ制作の現場などは、これ以上に過酷の様で、普通に生活するのにも困難な給料しかなく、20代のアニメーターで年収が110万円…なんて事もあるようです。
その一方で、テレビ局の平均年収は1500万円。

ただ放送権を持っているというだけで、コンテンツを右から左に流す人が搾取しているのが現状です。

当然、テレビ局員に対して良い印象を持つ人は少ないでしょう。
この現状で動画見放題サービス会社が、『集客の為に独自コンテンツを作りたいから、手を貸して』なんて言ってたとしたら…
特にテレビ局に義理もないので、テレビ局は見限られるのではないでしょうか。

特に深夜アニメ等は、枠を買い取っての放送。
放送してもらうのにお金を払わなければならない状態なのですが、動画見放題サービスで放送権を買ってもらえるとしたら…
今は、テレビの方が影響が大きいとしてテレビで放映してますが、シェアが逆転してテレビの影響力が少なくなれば、枠を買い取るのは無駄以外の何物でもなくなります。

こうなってくると、クリエイター側から見ても、テレビは無意味なものとなっていくんですよね。

…と、結構長くなってきたので、今回はこの辺りで。
もう1ネタぐらいで、この話は終わる予定です。
最後までお付き合い、お願い致します。