だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

2019年 今は景気が良いのかもしれない可能性について

広告

ここ最近、景気の見方が割れているような感じがしますね。
今までも、地方の現場で働く私達の多くは好景気を実感する機会がなかったので、市民レベルでは『世間では景気が良いと言ってるけれども… 何処が景気が良いの?』なんて言ってたわけですが、経済統計の算出で不正をしていたということが明らかになってからは、『実際には景気が良くないんじゃないか?』という疑惑が広がり、より明確に意見が別れた印象があります。

しかし、アベノミクスという言葉を言い出して、『自分が日本の景気を浮上させたんだ!』としたい安倍首相や自民党員達は、『今は景気が良い』と主張。
統計調査に不正があったとしても景気回復は本物だし、実際問題として、雇用者数は増えてる!と頑なに態度を変えません。

一方で、景気は良くない派の人達からいわせれば、実際に雇用者数は増えてるかもしれないが、その要因の大半は定年を迎えた人達が給料を引き下げられた上で再雇用されているだけなので、これを持って景気が良いとは言えないと主張。
何故、定年を迎えた人達が働かなければならないのかというと、年金だけでは暮らせないから働いてるわけで…
多くの人間がリタイヤ後に働かないと生活できない状態に追い込まれている状態をもって、好景気とはいえないんじゃないかという率直な感想が、この様な意見に繋がっていると思われます。

現役時代と比べて技術が衰えたわけでもないのに、給料が半額とかで雇われる為、給料の中央値も下がる一方。
では企業は、安い賃金で老人を雇うことで得た利益を、未来ある若者に分配してるのかというと、そうでもなさそう。

また、高い技術を持つリタイヤ組を安く雇えるという状態だと、技術を持たない若いだけが取り柄の人に高い給料を支払う空気にもならない。
仮に若者が、『もっと給料を上げてください!』と直訴しても、『お前の先輩で、仕事の効率が15倍ほどある◯◯さんは、月に10万で働いてるんだぞ。』といわれたら、若者は反論できない。
また若者自身も、仕事ができない状態で大ベテランが安月給で働いている現状を見ると、給料の交渉なんて出来る雰囲気ではなくなるでしょう。
f:id:kimniy8:20190317185059j:plain
では、こういった企業では人件費が安く抑えられて、多額の利益が出るのかといえば、そうでもない。
人件費という固定費が安くなれば、大手の取引先からダンピングをされる。結果として、現場に近いところで働く中小零細には利益が上がらない構造になっている。
ただ、技術を持つ高齢者を雇うと言っても限界があります。 体は動かなくなりますし、寿命を向かえることにもなるでしょう。

主な仕事を老人達にまかせていた企業は、ここに来て人手不足となるわけですが、そもそも構造的に利益が出る仕組みになっていないので、高い給料は提示できない。
結果、有効求人倍率は高止まりするが、求人内容はショボいものばかりになってくる。

では、そういう中小零細から搾取をしている大企業はというと、内部留保を貯めることに必死になって、ステークホルダーへの分配なんて頭にない。
ただ、こういう企業が利益を分配せずに独り占めしている為に、上場企業などの大手に限っていえば、バブル後で最高益なんて企業が増えているのも事実。

この部分だけを抜き出してみてしまったり、こういう大企業としか付き合いがない人たちは、今が好景気なんじゃないかと錯覚してしまうという現象も起きている様な状態と考えられます。
首相を中心とした人達が『今が好景気だ!』と主張するのは、そう思いたいからでは無く、実際に自分の身の回りには羽振りの良い人しかいないからかもしれません。

ただ、いくら普段付き合ってるのが大企業のトップばかりと入っても、政治家というのは、国民の票をもらわないと仕事を続けられない職業。
少数の人達ばかりを向いていては、未来はないのではないかと思います。 そういった意味では、大多数の人達が感じている実感を、政治家として知ってないと駄目なんじゃないかと思うのですが…
ここで一番心配なのが、首相やその取り巻きは、今が不景気だというのを知った上で、『好景気だ!』と主張しているんじゃないかって事です

何故、そんな事をしなければならないのかというと、これから、もっとやばい不景気がやってくるから。
古代ギリシャの哲学者であるソクラテスも言ってますが、転んでいる人間がそれ以上に転べないように、悪い人間が悪くなる事はできません。
景気が悪い状態に『なる』為には、今が景気が良い状態でなければならないんです。

つまり、こんな状態でも『良かった』と思えるような状態が、これから来る可能性があり、首相やその周辺は、暗にその事を警告しているという可能性です。

傾く中国

つい先日ですが、ルネサス エレクトロニクス が半導体需要の下方修正をして、国内の半導体工場に対して一時的に生産を停止するという発表をし、ストップ安になりました。
主に中国向けの需要が減少する見通しの為に、供給過多にならない為に、生産を絞るというようなニュースです。
news.mynavi.jp

テレビのニュースでは、NVIDIAなどの不振も同時に伝えられていたので、1年ちょっと前(2017年)に起こった仮想通貨バブルの崩壊の余波が来た可能性もあります。
この中国の不振ですが、一時的なものであれば問題はないのですが、どうやらそうでもないようなんです。

仮想通貨バブルによって、高性能のCPUやグラフィックカードがバカ売れしたけど、バブル崩壊で需要が一気に低迷しただけなのであれば、数年で均せば問題はないでしょうし、影響も少ないと思います。
しかし中国経済の低迷は、どうやら本格的に始まっているようなんです。

こんなことを書くと、中国や韓国が嫌いな右寄りのネット民は喜ぶかもしれませんが…
今や中国の影響は大きくなりすぎて、中国が咳をすると世界が風邪をひき、日本は危篤状態になってしまう様な状態になってしまってます。

例えば先日、ヨーロッパの中央原稿であるECBが利上げを先延ばしにしたというニュースが流れ、それを嫌気して金融市場が反応するという事が起こりました。
jp.reuters.com

中国の消費は世界に影響を与えていて、中国人が買い物を控えるだけで、特定の地域でかなりの悪影響が出たりします。
ヨーロッパもその一つで、中国人による消費が落ち込んだことで景気に悪影響が出てしまい、金融政策で慎重にならざるをえない状態に追い込まれている状態。

これは、ヨーロッパよりも中国に近く隣接している日本なら、尚更です。
例えばですが一昔前は、家電といえば日本製って感じの認識でしたが、今現在はどうでしょう。
スマートフォン市場を見ても、上位はアメリカ・中国・韓国となっていますし、テレビ市場でも、コスパを観れば韓国製が選択肢に入ってきます。

最終製品としての日本製というのはドンドン減っていってる状態で、そのかわりに、中国製や韓国製が台頭してきているのが現状です。
では日本の製造業はというと、電気製品の分野でいうならば、彼らに部品を提供する事で生き残っているといった感じ。
日本で最終製品を作っている会社は落ちぶれていき、シャープや東芝は彼らに買われていますし、もっと小さな企業に目を移すと、親会社が中国の会社なんてこともかなり増えてきているのが現状です。
ビザを緩和しまくったことで増えた観光客も、大多数は中国・韓国ですし、日本は彼らに相当な依存をしている状態と言えます。

その中国の経済が減速するということは…
もう、いわなくても分かりますよね。
www.jftc.or.jp

このサイトを読むと、日本に対する中国の影響力が日に日に増大していっているのがよく分かります。

2017年でいうなら、2位が中国、4位が台湾で5位が香港… 全部をまとめたら、1位のアメリカを余裕で抜くレベルでの取引があります。
何度も書きますが、ここが転けたら、日本は相当ヤバイです。

そのヤバイ状態を『不景気』と呼ぶのであれば、確かに、現状は政府が主張するとおり、『今は好景気』なのかもしれません。。