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googleがStadiaを発表 据え置き機はオワコンになってしまうのか?

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先日googleによって、新たなサービスである『Stadia』が発表されました。
この発表を受けて、ソニーと任天堂の株価が一時的に下落してしまいました。

私が聞いている株式実況ラジオや、ラジオ日経のとある番組では『googleがゲーム参入っていっても、お金持ってる事と面白いゲームが作れることは別ですから…』みたいな見当違いの解説をされてたりもしましたが、これって、かなりのニュースですよね。
もしかしたら、SwitchやPlayStationといった据え置き機がオワコン化してしまう可能性すら有るニュースだと思います。

という事で今回は、googleのゲーム参入を切り口に、これからのゲームについて考えていこうと思います。
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プラットフォーム

現状の日本では、手軽に本格的なゲームをしようと思うとした場合、据え置き機を買うのが一番ハードルが低いと思われます。
アメリカなどでは、本格的にゲームを行う為にゲーミングPCを購入するなんて事も珍しい事ではありませんが、本格的なゲーミングPCは平気で10万円を超えてくるので、ゲーム用途で買うにはハードルが高い。
そうなると、4万も出せば取り敢えずゲームが出来る据え置き機というのが、日本では一番選ばれることが多い選択肢だと思います。

しかし、その『ゲームを手軽にする』というハードルが更に引き下げられたのが、今回のgoogleの発表した『Stadia』だったりします。
この『Stadia』というのは何なのかというと、ゲームのプラットフォームです。

据え置き機でいうなら、PlayStationやSwitchがそれにあたりますし、PCでいうなら、steamやOriginなんかがこれにあたります。
探せばもっとたくさんのプラットフォームが有るわけですが、では何故、数多くのプラットフォームが提供されるのかというと、プラットフォームを運営すること自体が儲かるからでしょう。

これらのプラットフォームは、その上で走らせるソフトを販売する事で、利益を得ることが出来ます。
例えば、PlayStationは、そのユーザーに向けたStoreを開いていて、ソフト販売を行っていますが、1本売れるとそこから何割かはピンはねします。
当然といえば当然ですよね。 ネット小売でいえばAmazonがありますが、Amazonで物を売れば、販売手数料として一定割合を抜かれますよね。
ZOZOも同じで、ここで服を販売すれば、ZOZOに手数料を抜かれます。

つまり、プラットフォームを運営する側としては、多くの顧客を囲い込んで、ソフト販売数を伸ばせば伸ばすだけ儲けが出る仕組みになっています。
運営側は、プラットフォームに顧客を囲い込む為に、人気のゲームタイトルの開発費を出して、自分たちのプラットフォームの独占タイトルにしたりといった争いなども起こっていて、その為に、ゲーム好きは複数の据え置き機を買わなければならないというのが、現在だったりします。

また、据え置き機に限定すれば、ソニーや任天堂は月額課金制なども導入していたりもします。
ここ最近では、Epic Gamesの『フォートナイト』やEAの『Apex Legends』など、ネット接続さえすれば、無料で遊べるゲームが人気を集めていたりします。
www.ea.com

ゲームそのものは無料でプレイできるうえ、課金したとしてもゲームプレイそのものは有利にならない為、ユーザーはお金をつかうこと無く、オンライン接続するだけでゲームをプレイすることが出来るのですが…
それでは、プラットフォームの運営側としては儲けが出ません。 その為、据え置き機のPSやSwitchでは、ネット接続料を徴収していたりもします。
月額か年額で料金に差はありますが、年間で数千円程度はネットに接続するだけで運営に徴収されます。
(PCのプラットフォームでは、ネット接続料は請求されない)

この様に、人気のプラットフォーマーになる事は、企業にとっては旨味があるわけですけれども、そのプラットフォーム事業にgoogleが殴り込みを欠けたのが、『Stadia』の発表です。

クラウドゲーミングサービス

googleが提供するのは、クラウドゲーミングサービスというもので、従来のプラットフォームと決定的に違うのは、ゲームをプレイするのに必要なのは、コントローラーとネット回線だけだということです。
つまり、従来のように据え置き機や、ソフトが動く条件を満たしたゲーミングPCといった高額な初期投資が必要なく、コントローラーとネット回線と、ゲームを映し出すモニターさえあれば、それだけでOKというサービスを打ち出したのです。

ソフトや、それを動かすハードが無くて、どうやってゲームを動かすのかというと、ネット回線の向う側にあるgoogleのサーバーで動かすんです。
ユーザーがやることは、googleにアカウントをるだけ。 料金形態が明らかになっていない為、定額料金でゲームがやり放題になるのか、ソフト単位で購入するのかは不明ですが、ユーザーが選んだソフトをgoogleが持つ巨大コンピューターで動かし、その映像だけをネット経由でユーザーのモニターに送る為、ゲーム記そのものが必要ないというのが強みです。
ゲームのハードに相当するものがgoogle側にある為、従来のダウンロード販売のように、購入してから膨大なゲームデータを時間をかけてダウンロードしてインストールする手間もなくなり、ブラウザでネット閲覧するかのようにゲームプレイが出来るというのが、このサービスです。

物凄く画期的なサービスですが、このクラウドゲーミングサービスというのは、実は、今現在でも既に行われていたりするサービスだったりします。
PlayStationには、PlayStation nowというサービスが有り、何年か前に発売された古いゲームを月に2000円程度払えばやり放題というサービスを提供しています。
www.jp.playstation.com

任天堂のSwitchも、Switchの性能では到底動かすことが出来ないソフトである『アサシンクリード オデッセイ』を、クラウドサービスを利用して2年間プレイできる権利を8400円で販売するというサービスも行っています。
www.famitsu.com

では、これらのサービスが成功しているのかというと… 微妙な感じ。
PS nowの方は、最新タイトルや人気作品はソフト単体で販売したい為か対象外になっているので、ラインナップがしょぼい感じ。
月に2,000円も払うぐらいなら、中古で捨て値で売られてるソフトを個別で買った方が安いですし、任天堂の方は、ソフトを正規料金で販売しておいて2年で権利が消えるという仕様。
ユーザーがクラウドゲーミングサービスを選ぶ動機が全く見当たらない状態なので、あまりスポットライトが当たってこなかった感じとも言えます。

ただ、googleの場合は話が変わってきます。『Stadia』は、据え置き機では無いため、そもそもゲームのパッケージ販売というのがありません。
パッケージ販売が無いのであれば、月定額で全てのゲームソフトが遊べてしまう可能性もあるわけです。
というか、googleの未来の展望などを観ていると、ソフト単品売りではなく、定額サービスになりそうな確率のほうが高い気もします。

『Stadia』は定額サービス?

いま現在、テック系の会社間で行われていることは、可処分時間の奪い合いです。
サブスクリプションサービス大手のNetflixは、ライバルは同業他社のHuluやアマゾンプライムではなく、『フォートナイト』だと発言しています。
japanese.engadget.com

人間の1日という時間は、貧乏人であっても金持ちであったとしても変わらず、24時間しかありません。
その24時間の中で、働いたり勉強したりご飯を食べたり風呂に入ったり寝たりと、生活する上で絶対に必要な時間が有るわけですが、これを24時間から差し引いたものが、可処分時間です。
この可処分時間を奪い合うのが、サービス業の中のエンタメ業界ということです。

可処分時間は限られているので、例え月に数百円の出費だったとしても、使っていない不要なサービスは切られて終わりです。
つまり、サブスクリプションサービスは定期的に使われてなんぼの商売で、ユーザーに無くてはならないインフラだと思われなければならない。
そう思われる為には、可処分時間の大半を自社サービスに費やして貰う必要があるわけですが、サービス利用時間を比べた場合、Netflixは『フォートナイト』に負けているのが現状のようです。

つまり、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し、数多くのコンテンツを買い漁り、多額の費用をかけて独自番組を作ってきたNetflixは、『フォートナイト』に勝てないという現実が有るわけです。
ここに参入しようとしているのが、googleだったりします。
映像の場合、2時間の作品で数十億や数百億かけるなんて事も普通にありえますが、ゲームの場合は、同じ開発費用で数百時間から数千時間の可処分時間を消費者から奪うことが可能です。

単純に時間あたりで計算すれば、実はゲームはコスパが良いのです。
時間あたりの資金効率が悪い映像分野のサブスクリプションサービスで、Netflixがあそこまで費用をかけることが出来るという事は、可処分時間を奪うという点でコスパが良いゲーム事業の場合は、それ以上の金を投資しても利幅が大きい可能性があります。
こうして考えると、ソフトを単品売りして、それを変える人間だけを相手にするような感じで市場を閉じるよりも、定額プレイし放題サービスにしてしまって、多くの人をゲームに引き込む戦略の方が、結果としても受けが出そうな気がします。

googleによる詳細発表はまだのようですが、それほど高くない値段で、定額サービスが提供される可能性は大きいと思います。

激化する可処分時間の奪い合い

今までは、googleの『Stadia』を中心に憶測を書いてきましたが、このゲームのサブスクリプションサービスに参入するのは、googleだけではありません。
Appleも、先日の発表で『Apple-Arcade』というサービスを発表し、追加料金無しの月定額制でゲームが遊び放題サービスを展開するそうです。
www.gizmodo.jp

この他にも、windowsを展開するMicrosoftは、月1000円程度で100タイトルが遊び放題になる『Xbox Game Pass』をPC向けに展開をしていくようです。
www.gamespark.jp

世界的な動きとしては、ゲームは単品売りから定額サービスに移行しつつ有ると考えても良いでしょう。
複数の会社が同じ様なサービスに参入する事で、価格も抑えられるでしょうし、消費者としては嬉しい感じです。

ただ、この中でも、やはりgoogleは飛び抜けているようにお思えます。
Appleのサービスは、アップル製品を持っている人向けで、Microsoftは、windows PCを持っている人向け。
どちらも、消費者を選んでしまうわけですけれども、googleの場合は、ブラウザが動いてネット環境があれば、誰でも参加できるというのが強みでしょう。

最近のテレビにはwifi機能やOSが入っている場合も多いので、テレビがあれば『Stadia』を導入できる可能性があります。
また、最近のゲームでは、ネット配信などが盛んで、動画として流しやすいかどうかというのも、重要な要素だったりします。
youtubeやSNSを通して話題になれば、それだけユーザーを獲得できる可能性が増すわけですが、『Stadia』はそのあたりにも力を入れているようです。

というのも、youtubeの運営をしているのはgoogleですし、ゲームそのものをgoogleのサーバーで行うのであれば、ゲームの録画データをわざわざアップロードする手間が省けるわけですから、配信は非常にしやすくなるでしょう。
また、ゲームデータがサーバー側にある事を利用して、ゲーム内で自分が窮地を脱出したといったミラクルプレイを行った場合は、その窮地の部分のセーブデータをSNSなどを通してリンクすることが出来て、そのリンクをクリックするだけで、誰でも同じ条件でゲームが出来る様になるらしいのです。
今までは、動画やスクショをシェアすることしか出来なかったのが、難しい場面そのものを再現して、多くの人に再プレイしてもらうことが出来る為、ゲームがコミュニケーションの一分になる可能性まで出てきました。

こうした現実を見せつけられると… 据え置き機がオワコンになる未来も、結構近いのかもしれないですね。