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【映画ネタバレ感想】 スパイダーマン ホームカミング(2017) 庶民の生活がわからない大富豪

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年も明け、無事に2019年を迎えたわけですが…
正月はとにかくする事がない。 どこかに出かけようとも思わなかったので、家で時間を潰す為にアマゾンプライムビデオのアプリを起動すると、前から少し気になっていた『スパイダーマン ホームカミング』が100円でレンタルできるようになっていたので、渡りに船という事で借りて観ました。
ということで今回は、 スパイダーマン ホームカミングのネタバレ感想を書いていきます。ネタバレを嫌う方は、注意してくださいね。


諸悪の根源 トニー・スターク

映像としては、シビル・ウォーに参加したスパイダーマンが、自分の記録用に自撮りで心境を語るシーンから始まるのですが、物語自体は、アベンジャーズ1の戦闘直後から始まります。
宇宙人とアベンジャーズとの戦いで、ニューヨークの街はボロボロになり、その復旧作業を行わないということで、解体業者や産廃業者が呼ばれて、後片付けをはじめます。

解体業者は、この公共事業を落札する為、新たにトラックを買ったり設備を整えたりと、かなりの投資を行ってこの事業に取り組もうとしたのですが、その矢先、スーツを着た人たちが乱入してきて、事業の停止を一方的に告げます。
これに納得がいかないのが、公共事業を落札下側の事業者。
『私たちは、この事業を落札する為に、かなりの金額を投資してる。 こんな直前になって中止とか告げられても困るんですよ。
従業員の給料支払もあるし、設備投資のローン返済もある。 それを、こんな一方的な形で中止にされたら、明日からどうすれば良いんだよ…』

彼ら労働者の意見は1から10まで尤もな事。
こんな一方的な契約破棄がまかり通るなら、誰も安心して設備投資など出来ないし、公共事業の落札なんて出来ない。
信頼関係が根本から破壊されるような行為なので、次からの契約も安心して取ることも出来ない。 軽いPTSDになりそうなスーツ集団の提案に、必死になって食い下がると、スーツの一人が『身の丈に合わない投資なんてしてんじゃねえよ!』と上から目線で半笑いでマウントをとってくる。
本来であれば、申し訳なさそうに事情を説明し、この件に関する負債は全て肩代わりした上に、違約金を払うというのが人の道だと思うのだが、その態度とは反対に、仕事を奪われた労働者を煽りまくるスーツ達。

あまりの非情な行為に労働者側は怒りを抑えることが出来ず、イカれた発言をした人物を殴ると、スーツ集団のリーダーらしき人物が事態を収めようと『そんな苦情を言われても、事業を管理している役所の管轄が変わってんでね。 文句なら上に言ってくれ』的な事を言い出す。
じゃぁ、『上って誰なんだ?』って感じでスーツ集団に詰め寄ると、こんな非人道的な事を提案したのが、トニー・スタークだということがわかる。

アベンジャーズ1の戦闘では、宇宙人が地球に攻め込んできた為、瓦礫には宇宙が持っていた武器や乗り物の破片が落ちている。
それらの超テクノロジーを一般人に触らせたくないと思ったトニー・スタークは、政府に提案して一般事業者を全て締め出し、後片付けの事業を全て、自身の会社である『スターク・インダストリーズ』の関連会社に任せることに決めてしまう。

この事実を知って、ブチギレる労働者達。
『あいつらが街をメチャメチャにしたのに、その 後片付けの事業を全て請け負って、更に儲けようってのか?』

こうして、かなりの負債を背負い、従業員にも給料が払えない状態に追い込まれた事業者は、目先の金を稼ぐために、政府に提出義務があった『宇宙人たちが残していった瓦礫』を提出せずに、それを利用して武器を開発。闇市場で売りさばく事で、ローン返済や家族や従業員を養うお金を手に入れようとする。

この様な形で、今回のヴィランは誕生するわけですが…
何故、こんな事になったのかというのは、誰が考えてもわかりますよね。
クズの資産家であるトニー・スタークが、末端労働者のことを全く考えずに自分勝手に政府を動かし、クズの部下のクズが、末端労働者を口汚く罵ったから生まれたのです。

この、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品を見て毎回思うんですが、アイアンマンっていらないですよね。
ウルトロンも、みんなの反対を押し切ってトニー・スタークが暴走したことで生まれましたし、こいつのワガママで住民の怒りが頂点に達し、アベンジャーズが政府の管理下に入る入らないの争いになってシビル・ウォーが起こってますし…
人類にとっての災いって、トニー・スタークなんじゃないかとすら思ってしまう程で、人類は、こいつを真っ先に刑務所に入れるべきなんじゃないかと思います。

ネグレクトのトニー・スターク

物語はそこから8年後に移ります。
シビル・ウォーで、思ったよりもキャプテン・アメリカ陣営に人が集まっちゃったので、助っ人としてスパイダーマンに手を借りたトニー・スタークだが、事態が収束した途端にスパイダーマンに用が無くなったのか、『出来るだけ目立たないようにしろ』と言い、連絡も自分と直接取るのではなく、部下のハッピーという人物と取るように促します。
一緒に寝る前はあれだけ積極的だったのに、寝た後は『いつ帰るの?』とか言い出すクズ男のように、そっけない態度に急変するトニー・スタークに戸惑いを感じつつも、自分自身を認めてもらおうと空回りするスパイダーマン。
少しでも、自分の活躍をトニーの耳に入れて、自分を正式なアベンジャーズに入れてもらおうと、日々の報告を欠かさないスパイダーマンだが、ハッピーは電話に出ても要件も聞かずに電話を切るし、電話に出ないことも多々…

自分が見捨てられると思い込み、焦っているところに、8年前にトニー・スタークによって廃業寸前まで追い込まれた労働者が新たに始めた武器売買の取引を観てしまう。
重大な事件だと思い、トニーや窓口になっているハッピーに連絡を入れようとするも、2人はスパイダーマンを無視。 自分の言い分だけを伝え、押し付けて聞く耳を持たない。

かなりの重大事件なのに、アイアンマンとは連絡を取れないし、窓口役は機能していないので、仕方がないから1人で頑張るスパイダーマンだが、やはり子供だからか失敗してしまう。
その失敗に対し、鬼の首を取ったように怒るトニースターク。 スパイダーマンがどれだけコミュニケーションを求めても、重要なことを伝えようと頑張っても無視し続けてきたトニーだが、スパイダーマンがミスったときだけタイミングよくやってきて、父親面して説教するトニー・スターク。本当に嫌。
その後、スパイダーマンが一番大切にしていたスーツを取り上げる。 『スーツがなければ、何も出来ないよ。』と涙ながらに訴えるスパイダーマンに対し、『スーツがなければ行動できないなら、スーツを着る資格は無い!』と言い放つトニー・スターク。 お前が言うか!!!!

その後、偶然も手伝って首謀者の素性と目的を知ったスパイダーマンは、その情報をトニー・スタークに伝えようとするが、これまた無視…
敵の目的が、アイアンマンの会社の引っ越しのタイミングを狙っての、トニーが生み出した発明品だと気がついたスパイダーマンは、アイアンマンの尻拭いをする為に再び立ち上がる。
全ての事態をスパイダーマン一人で片付けると、急に掌返しするトニーとハッピー。 引越し先の新オフィスにスパイダーマンを招き入れ、新たなスーツをプレゼントし、『これから記者会見をして、アベンジャーズの新メンバーとして紹介する。』とか宣う。

その手のひら返しに対してスパイダーマンは、『新スーツは要らないよ。 これからは、もっと地に足つけた地道な活動を行っていくよ。』と大人な対応をし、トニーの提案を蹴る。
ネグレクト親父が、子供に見捨てられた瞬間である。

真の主人公 椅子の人

…とまぁ、この物語は終始、トニー・スタークの行動にイラついてしまう物語なのですが、唯一、えびす顔で観ることが出来る場面が、スパイダーマンことピーターの親友の大柄とのシーン。
この大柄は、ピーターがスパイダーマンだとしてすぐに、『オレ、椅子の人になりたい。 椅子に座って、エージェントに司令とかナビをする、椅子の人になりたい』と言い出すのだが、この彼の物語が大変面白い。
何なら、この物語は、親友の大柄が椅子の人になるまでの物語と言っても良い。

最終的に、トニーとハッピーが使い物にならなくなる為、スパイダーマンは大柄の椅子の人をコンビを組んでラスボスと戦うわけですが、彼の演じる椅子の人が非情に楽しそう。
彼の生き生きとした椅子の人をみて、ヒーローよりも椅子の人に憧れる人が増えるんじゃないかと思ってしまう程。
スパイダーマン ホームカミングという作品は、彼を観るためだけに鑑賞しても良いのではないかと思わせる魅力がありました。

途中、何度も、『アベンジャーズにアイアンマンて必要ないよね』と思わされたりもしましたが、トータルとしてみると、作品としては楽しめました。
さすが、マーベルですね。 もし、子供をお持ちの親世代の方が鑑賞する場合、トニー・スタークを反面教師として捉えると、良い父親になれるかもしれません。