だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

マイナス金利を期に 金利について考えてみる 前編

広告

先日のことですが、黒田日銀総裁がマイナス金利を導入しました。
それを切っ掛けにしてかどうかは分かりませんが、タイミング的には同時期に、日経平均株価が大幅下落してしまいました。
この下落は凄まじいもので、下げ幅的には、○○ショックといった感じのネーミングが付けられたとしても、不思議ではないレベルの下げになりました。

結構な混乱を招いていますし、今回の出来事で興味を持った人も多いと思うので、今回は金利について考えていきます。

金利とは、お金を貸し付けると貰える利息の利率のことです。
1%の金利で100万円貸し出した場合、一年後には101万円になって戻ってくるという感じですね。
ここでの注意点としては、金利は1年間貸し出した場合の利率で計算するということです。
金利が1%で1ヶ月借りた場合は、1%を12で割った金額が金利となります。

一昔前の銀行では、外貨預金口座開設を促進させる為に、豪ドル1ヶ月限定で24%!といったキャンペーンを行っていたりしました。
しかし実際の金利は、1ヶ月だけ2%の金利が貰えるという事になります。
金利を年間表示することを知らない人にとっては、詐欺と言っても良い表示ですね。

話が逸れてしまいましたが、金融政策を行う場合、この金利を引き下げる事が多いです。
金利を引き下げる具体的な手段は、公定歩合を下げたり短期金融市場に資金を投入したり、長期国債を銀行から買うなど様々です。

細かいことを書くと私の無知さをさらけ出すことにも繋がる為、簡単に説明すると、金利市場の需給に対して干渉するわけです。
金利も、物の値段と同じで、需要と供給によって決まっています。
貸したい人よりも借りたい人の方が多い場合は、資金需要が多くなる為、貸出金利は高くなります。
逆に、貸したい人に比べて借りたい人が少ない場合、金利は下がる事になります。

この関係は、長期金利で考えると分かりやすいかもしれません。
長期金利の場合は、国債価格が関係してきます。
例えば、100万円で10年後に150万円になって返ってくる債権が100万円で販売されていたとします。
この場合は、国債金利は5%になりますよね。(金利は1年計算)
しかし、主な買い手である銀行の資金需要が減ってしまい運用先が無くなった場合、銀行は仕方なく、国債を購入して運用することになります。

先程の債権は、10年後に105万円になって帰ってくるわけですから、105万円以下で購入して償還期限を迎えれば、利益が出ることになります。
銀行の貸出先がない場合は、国債の争奪戦が起こる為、国債価格は高騰します。
仮に110万円まで上昇した場合は、110万円の貸付に対して10年後に150万円しか戻ってきませんので、差額は40万円に減少します。
年間金利を計算する場合は年間計算なので、それをさらに10で割ると、一年で4万円。
110万円貸し出して4万円なので、金利は3%台にまで下がる事になります。

この様な感じで金利は変化していくわけですが、では何故、景気刺激策として金利が引き下げられるのでしょうか。

まずは、資本主義の基本から考えていきましょう。
資本主義社会というのは、基本的には資金をどれ位の益回りで運用するのかという社会です。

例えば、1億円を元に土地や設備を購入し、人を雇って物を生産したとします。
様々な経費を全て差し引いて、利益が1000万円残った場合、益回りは10%という事になります。
そして肝心なことなのですが、この元手の1億円は、自分の金でなくても良いのです。

お金を持っている人を説得して得ても良いし、銀行から借りてきても良い。
前者の場合は株式会社になり、資金やアイデア等、貢献の度合いによって、株式が割り当てられることになります。
その株式を市場をとうして一般の人も取引できる形にするのが、株式の上場ですね。
しかしこちらは、結構ハードルが高めです。
事業がいかに有益で、市場に必要とされているのか、利益が上がるのかというのを、出資者にプレゼンして説得できなければなりません。

その一方で銀行から借りる場合は、担保が有ればお金が借りられます。
また少額の場合は、担保がなくても狩りられる場合も多いです。
というのも中小零細の場合は、経営者が連帯保証人にされるケースが多いので、事業が破綻したとしても、他で働いて返さなくてはなりません。
経営者個人がリスクを背負う分、ハードルは少し低いのが借金です。


資本主義は経済が成長することを前提としたもので、成長するためには何らかのサービスを提供して利益を得る事業者が出てこなければなりません。
では事業者は何を基準に事業を起こすのかというと、事業で得られる益回りから金利を差し引いて、利益が残れば行動を起こします。
つまり、金利が低ければ低いほど、低い益回りの事業にも進出できるという事。
事業が立ち上がれば、設備投資や雇用に繋がる為、景気を刺激できるというわけです。

しかしここで問題があります。
というのも視点を銀行側に移して考えると、金利が低ければ低い程、貸出のハードルが上がってしまうんですよね。

…と、予想外に長くなってしまったので、続きは次回ということにします。