【映画感想】緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー
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もう、2月も中旬になりましたが、今年はじめての映画鑑賞に行ってきました。
見に行った作品のタイトルは『緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー』
この作品はもともと、ファミリー劇場という衛星放送内の番組の一つのようで、それが、クラウドファウンディングによって資金を集めて映画化した作品のようです。
最初に書いておきますが、ネタバレ情報を含んだ形での感想になりますので、映画館に観に行く予定の方は、これを読まずに観てから読まれることをオススメします。
作品を観に行ったきっかけ
まず最初に、何故、この作品を観に行ったのかを書いておきますと、去年の年末辺りから、この作品に関する情報を聞き続けるという環境に、私が置かれていたからです。私は、ここ数年、Podcastというネットラジオをよく聴いています。
それなりの数を聴いているので、ここで、聴いている番組を全て書いたりはしないのですが、その中で特にお気に入りで、更新されると直ぐに聞く番組が幾つかあります。
その中の一部が、これらの番組です。
ここに挙げたポッドキャストの話し手の方が、番組関係者で、実際にこの作品に出演されている方々の様で、この映画作品の宣伝やら制作秘話などを結構な頻度で聴く環境に置かれていたんです。
一つの作品の制作秘話などを頻繁に聞いていると、観たくなってしまうのが人情というもので、さっそく、京都での公開日を調べてみると、2月16日から出町座で公開する事がわかり、出町座にも興味があったという事も有り、公開日に見に行くことを決めました。
出町座
出町座というのは、京都の出町柳に有る商店街の中に最近できた小さな映画館です。元々は、京都の木屋町という呑み屋街のど真ん中にそびえ立つ『立誠小学校』という元小学校の建物の教室の一室で、『立誠シネマ』として営業していたのが、小学校を再開発するということで、出町柳に移転してきた映画館です。
立誠シネマ時代には、何回か訪れたことが有ったのですが、出町に移ってからは行ったことがなく、行く機会を伺っていた映画館です。
この映画館ですが、先程も書きましたが、商店街の中にあるわけですが、その商店街自体が『たまこマーケット』というタイトルで、京アニによってアニメ化された事でも有名な商店街だったりします。
tamakomarket.com
(画像クリックはAmazonリンクです)
初めての訪問だったので、どんな感じになっているのかが楽しみだったわけですが、行ってみると、一階部分に結構な書籍が置いてあり『本屋か?』と思いきや、中央にはカウンターが有ってカフェになっていて、上映までの待ち時間を有意義に過ごせるおしゃれなスペースになっていたりします。
私は、上映ギリギリに出町座に入ったので、そのスペースでくつろいだりは出来ませんでしたが、次回に機会があれば、コーヒーでも飲んでみたいと思います。
オカルトについて
映画の感想を書く前に、長々と映画以外のことを書いてきましたが、もう少しだけ、私とオカルトについて書いていきます。というのも、取り扱う作品がオカルト作品で、登場する人達も日本のオカルトスターの方々なので、もしかすると、ゴリゴリのオカルトファンがこの記事を読んでいるかもしれないので、最初に言い訳をしておきたいからです。
最初にハッキリさせておきますと、私はオカルトにそこまで詳しくはありません。
小学生や中学生の頃は、ビートたけしさんの『TVタックル』でたまに行われていた超常現象バトルや、『特命リサーチ200X』などを観ていました。
しかし、高校ぐらいになると、その様な番組を積極的には観なくなり、今では、『やりすぎコージー』の都市伝説スペシャルなども、偶然、テレビを付けた際に放映していれば観るけれども、わざわざ録画をしてまでは観ないという程度にまでなってしまいました。
この様な感じなので、興味が全く無いかと聞かれれば否定しますが、積極的に情報を取りに行くオカルトファンかと聞かれれば、それも否定する程度にオカルトと付き合っている感じです。
映画のネタバレ感想
冒頭でも書きましたが、ネタバレ要素ありで感想を書いていきますので、まだ観ていない方で、これから見る予定の有る方は注意してください。この作品ですが、まず、始まる前なのか、それとも、既に始まっていたのか…厳密にはわからないのですが、とにかく、最初の1分で大爆笑させてもらいました。
『始まっているのか、始まっていないのかが分からない。』と書いたのは、笑わせてもらった部分が本編ではなく、映画館で最初に行われる、マナー啓発の映像だったからです。
映画館といえば映画を上映する前に、『携帯の電源を切れ』だとか、『映画泥棒はやめよう』『前の座席を蹴らない』といった、マナーを伝える動画が流れますよね。
大抵の場合、『そんなのは、分かってるよ!』という気にしかならない映像なのですが、あの部分がかなり面白い作りになっています。 あれを観るだけでも、1800円中で500円ぐらいの価値が有ったのではないかと思わせる程でした。
そして、いざ本編が始まったわけですが、この作品のテーマというのが、1970年代に起こったオカルトブームを緊急検証!し、あわよくば、ブームをもう一度と行った感じのものでした。
これを書いている私自身は、1970年代後半に生まれなのですが、物心がついた頃には80年代ということで、これ以降のことしか経験していませんが、80~90年代という残り香程度でも、結構な頻度でオカルト番組が制作されていたように記憶しているので、70年代のオカルトブームというのが本当に凄かったというのが想像できますね。
取り扱うテーマは、タイトルにもなっている『ネッシー』『ノストラダムス』『超能力』という事で、30半ばより上の人はほぼ確実に知っているテーマを、今の時代に再検証しようという話です。
この3大テーマが、どの様なものだったのかを、当時を知る人にインタビューして軽く説明をした後に、オカルト三銃士に依頼しに行くという進行でしたが、この部分で、私が一番『おぉ!』と思ったのが、虚業化の康芳夫さんの登場。
私はこの人物の事に詳しいわけではないのですが、ジョジョの奇妙な冒険が大好きで、その作者である荒木飛呂彦氏が書いた『変人偏屈列伝 』で、人と猿の中韓の存在であるオリバー君を日本に連れてくるというエピソードが紹介されていた為、興味を持っていたんです。
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生で動いている康芳夫さんを観れたというのも印象的でしたが、2億円かけて石原慎太郎らと共にネッシーを探しに行ったという話にも度肝を抜かれました。
2億円あれば、この『緊急検証!』の映画が何本取れるんでしょうね。。。
テーマの紹介とオカルト三銃士への調査依頼が終わると、番組はプレゼンコーナーに移るのですが… このプレゼンコーナーのネタバレは、自粛しようと思います。
気になる方は、映画館に行くか、DVDの発売を待って、自身で検証されることをオススメします。
このプレゼンコーナーですが、私の印象では、かなりアッサリと終わった印象でした。
というのも私は、この映画は取材映像とプレゼンで2時間の映像に仕上がっていると思いこんでいたわけですが、体感で1時間もしない間に、取材とプレゼンが終了してしまったからです。
しかし映画は、ここから後編に入ます。
ということで、ここまでの前半部分での感想ですが、プレゼン部分は置いておいて、それ以外で一番印象に残っているのが、大槻ケンヂさんという存在ですね。
私の認識では、筋肉少女帯というバンドの人という印象だったのですが、オカルト関係の仕事もされていたんですね。
そういえば、Amazonの広告か何かで、山口敏太郎さんと対談本を出されているのを見たことがありますが… ここまでガッチリとオカルトの方だったというのは、個人的には意外でした。
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この大槻ケンヂさんのコメントというのが、普段、緊急検証!シリーズを見ていない私には、非常に助かりました。
というのも、映画で初めて『緊急検証!』を観た方の立場に立ってコメントされている為、私のようなニワカでも置いてけぼりをくらわなかったのは、大槻ケンヂさんのお陰です。
その他の出演者も、辛酸なめ子さんは、VTRやプレゼント直接関係がない、印象深いコメントをされていたり、オカルト研究家の吉田悠軌さんは、オカルトの専門家としてのコメントをしっかりされていて、それぞれの役割がハッキリしている点が、楽しみやすかったです。
前半と後半で全く違った作品になる
この作品は、映画の前半と後半部分で、全く違った作品になる映画です。前半部分は先程も書いた通り、3つのテーマをオカルトを通して面白おかしくプレゼンし、それにコメンテーターがツッコミを入れるという作りになっているのですが、後半部分は、一気にシリアスな展開になります。
個人的には、この部分が非情に面白かったし、胸を打たれた部分でもあります。 この、後半部分を見るためだけに、映画館に行って1800円支払う価値があるんじゃないかと思わせる程でした。
この後半部分がどの様な作りになっていたのかというと、前半部分でプレゼンをしていたオカルト三銃士である『飛鳥昭雄』さん『山口敏太郎』さん『中沢健』さんの3人が、オカルトとどの様に向き合っているのかというのを視聴者に伝えるドキュメンタリーとなっています。
このパートで、一番印象に残ったのは、山口敏太郎さんのオカルトとの向き合い方です。
私自身は、山口敏太郎さんが番組に登場するのを数える程しか知らないのですが、その際の印象としては、オカルト関係の方なのに物凄い理論的な話をされる方で、説得力が有る方という印象でした。
何でもかんでも超常現象につなげるわけではなく、科学で説明できる部分は科学的に説明し、オカルトを使わないと説明できない部分だけ、推論という形で説明されている感じで、かなり信頼できる印象を持っていました。
この方が、何故、この様なスタンスになったのかというのが、ドキュメントパートによって明らかになったのですが、この部分が非情に感情移入して観れました。
というのも、この方は敵味方をハッキリと分けて考える性格の方の様なのですが、何故、その様な性格になったのかというのが、オカルトが好きすぎるからといった理由でした。
オカルトが好きであるが故に、何でもかんでもオカルトと結びつけて、お笑いのネタにしたり金を稼ぐ道具にしか思っていないような人が許せない。
この方にとっての敵は、オカルト否定派の科学者ではなく、むしろ、オカルトを軽んじているオカルト研究家。
オカルトというのを、自身の欲望の為に適当に消費し、オカルトから信用をなくしていっている人達に敵意が向けられている。逆の言い方をすれば、オカルトという現象に真摯に向き合っているのであれば、科学サイドの否定派の意見の方が重要だと考えるタイプの人なのでしょう。
オカルトに限らず、どの分野でもそうだとは思うのですが、一番厄介な人というのは、反対意見を主張する人ではなく、無茶苦茶な主張や適当な事を主張したり行動に移す身内だったりするもんですからね。
過去には、ヒッピーなど沢山のカウンターカルチャーや社会現象が生まれましたが、結局の所、質の悪い人間が大量に流入してくることにより、それは沈静化してしまいます。大切に思っているからこそ、クオリティを大切にしたいと思う気持ちは、非常に好感が持てました。
その態度が、私が現在勉強中のソクラテスと重なって見えて、非情に興味深かったです。
これは私事になるのですが、この記事の冒頭部分ではポッドキャストの話題を出しましたが、私自身も哲学をテーマにしたポッドキャストを配信していて、ここ最近では、その配信の為に古代ギリシャの哲学者の勉強をしているのですが…
プレトンが描くソクラテスという人物も、アレテーと呼ばれる人間の卓越性の研究をし、それを知っていると吹聴している賢者を訪れては、対話を行うというのを繰り返していましたが、このソクラテスが一番忌み嫌ったのが、『知らない事を知っていると思い込んで、探求をやめた人間』でした。誤解しないで欲しいのは、ソクラテスは馬鹿な人間が嫌いというわけではありません。 知らないものに対しては『知らない。』と自覚し、真摯な態度で探求していこうという人に出会った場合は、『私も、その事については知りませんが、興味があるので、共に探求しましょう。』という態度で接しました。
山口さんも同様に、例え、雑誌に投稿する2~3行程の原稿であっても、日本全国を飛び回って、知らないことや分からないことに対しては徹底的に調査をされている。 だからこそ、適当なことをして足を引っ張る身内が許せないというのは、非常によく伝わってきました。
後半のドキュメント部分で、他にも興味深かったパートとしては、中沢さんの普段の格好についての解説です。
この方は、普段から画用紙を身に着けて生活をされているようなのですが、何故、その様な格好をされているのかの理由が、大変興味深く聞くことが出来ました。
その格好をすることで、主に人間関係などで結構なデメリットも有るようなのですが、それに対しても『自分が好きな人に嫌われなければ、それが良い』と言われていた部分に、胸を打たれました。
よくよく考えてみると、私達は小学校に入学する頃から『友達100人できるかな!』なんて洗脳を受けて、友だちが多い=人間性が高いと思わされてきたわけですが、そもそも、人間関係というものが数値で表せるものなのかも不明ですし、友達が多いということが人間性の高さにも、自身の幸福にも直結はしませんよね。
人間関係を広げる方法としては、自身の自我を閉じ込めて他人に迎合して生きていけば、表面上の人間関係を広げることは出来ますが、それが自分自身にとって良いことなのかと問われれば、そうではないように思えます。
地球には70億人を超える人類がいるようですが、その人達全員と仲良くすることは不可能ですし、どれだけ取り繕ったとしても、嫌われる人には嫌われる。
そうであるなら、無理をして自分が嫌いな人に調子を合わせて友達の人数を確保するよりも、自分の全てを晒け出して、それでも自分に対して行為を持ってくれる人間と深い付き合いをする方が、自分の人生にとっては良い事なのではないだろうか?といった態度は、非情に共感できました。
飛鳥昭雄さんのパートに関しては… 飛鳥さんが物凄く明るい方である為に、根暗な僕は共感することが出来ませんでしたが、『あの様に振る舞えたらな…』という憧れを少し感じました。
この作品は2回観たほうが良い?
この様に、この作品は、前半部分では、オカルトを少しバカバカしい感じのバラエティー番組に仕上げて放送し、その後に、プレゼンターがオカルトに対してどの様に接してきたのかをシリアスに伝えるという作りになっている為、後半部分を見た上で前半部分を見ると、全く違った印象が得られるように思えます。そういった意味では、2回観る事で、本当に楽しめる作品なのかもしれません。
この作品は1週間ぐらいの公開が多いようなので、短い期間に2回行くというのは結構厳し目なので、NetflixやAmazonビデオでの配信があれば、有り難いかなと思ったり。
とはいっても、1度は映画館で観たほうが良いのではないかと思います。
というのも、この作品自体は、TV番組のような作りをしている為に、映像的には映画館で観なければならないというわけではないのですが、大槻ケンヂさんのコメントなどを含めると、映画で見る事で楽しみが付加される作りになっているからです。
最期に感想をまとめると、想像していたよりも、かなり楽しめた作品でした。