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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

人手不足の簡単な解消法

先日のことですが、ワールドビジネスサテライトというテレビ東京のビジネス番組で、保育園の求人の話が取り上げられていました。
簡単な内容としては、企業が子供を持つ従業員の為に、保育所を作るという動きが広がっているという取材で、従業員の子供だけでなく、周辺住民の子供も預かれるということで注目されているという話でした。
定員の4倍応募も 待遇改善で保育士を確保:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京

ただ、保育所をつくるといっても、ネックになってくるのは保育士です。
保育士は、補修をかけても応募に来ないといわれていて、どの保育所でも人員確保が難しいと言われている業界。
この様な環境では、箱だけつくって従業員がいないなんて事にもなりかねません。

しかし、そんな心配は一切なかったようです。
というのも、保育士の業界の平均給料が20万らしいのですが、その値段に3万円だけプラスした23万円の基本給で募集した所、募集人数の4倍の応募が来たそうです。
この事が興味深かったので、ニュースで見たものをそのままTweetした所


バズりました。

まぁ、日本の人手不足は奴隷不足なんて言われていますが、保育士の人数が足りないんじゃなくて、単純に、労力や責任に対して給料が安すぎるから人が集まってなかっただけという事なんでしょうね。
少し前に話題になった番組『ねほりんはぽりん』では、現役保育士をゲストに呼んで赤裸々トークをしていましたが、短大出の保育士の給料が12万程度(手取り?)で、4大卒で19万に届かないぐらいだったと記憶しています。
初任給でもないのに、大学を出て20万も行かないというのも問題ですが、短大出身の方の12万は、正直、ヤバすぎでしょう…

保育士って、誰でもなれるってもんではないんですよ? 児童福祉法で定められた国家資格が必要な専門職なんですよ?
しかも、預かる子供は小学生になる前なので、最年長でも5歳か6歳で、平均だと3~4歳。 そこら中を走り回り、ちょっと目を話したスキにトラブルを起こす年頃の子供を大量に抱えるわけですから、労働的にもかなり辛い。
また、子供が勝手に行動した結果、怪我でもしたら、責任問題に発展する…

こんな労働条件で、その国家資格を取って得られる給料が12万ですか。 8時間労働だとしても時給換算で750円なので、最低時給を下回る金額ですね。
東京の最低時給は958円だそうなので、国家資格も何も必要の無いアルバイトをしていた方が、生活的には豊かになる計算になってしまいます。

この様な労働環境なので、日本では、保育士資格を持ってはいるけれども、保育士になりたがらないという人が結構多い。
重大な責任を背負って『はした金』を貰うぐらいなら、家で自分の子供の面倒を見ながら専業主婦をしていた方が良いと考える人もいるだろうし、スーパーのレジうちの方が実入りが良いと考える人もいるでしょう。
しかし今回、この企業が提示した23万円という給料は、様々な理由で保育士という職業から距離をおいていた人達に、『働いてみても良いかも?』と思わせる金額だったということでしょう。

結果として、募集に対して4倍の人数が集まることになりました。

でまぁ、こういう風にバズると、バズったTweetに便乗して有名になりたい人というのがクソリプを飛ばすものでして…
先程の私のTweetにも、そんな一方的にマウントを取りに来るリプが飛び込んでまりしました。

この他にも、『人件費を青天井で上げていったら、会社が潰れるんだが?』といった内容を、平日の昼間っから、何故か経営者目線で語る人も多数…

世の中には、自分のことを賢いと思いこんでいて、見ず知らずの人間に上から目線で自分の主張を押し付けたいという人は一定数いるものでして、これもその一つの例なんでしょう。
主張が有るなら、引用リツイートなどで自分のTweetとしてやればいいのに、何故か、バズったTweetにぶら下がる形でマウントを取ろうとしてしまう。。
ネット社会の闇の一つなのかも知れませんね。

こういうクソリプが多数付く事は想定していたので、今回は、それに対する意見というのを書いていきます。
『給料上げたら会社が潰れるだろw』とか、何故か経営者目線で突っかかってくる人は論外なので、Tweetを貼り付けた方に焦点を当てると、マクロとかミクロなんてワードを持ち出して、もっともらしく反論しているようですが、この方は経済の構造を表面的にしか理解していませんね。

というのも、そもそも資本主義というのは、全てのものに適正価格を付けましょうという考え方が基本となっています。
つまり、低賃金で募集しても人が集まらない場合、社会全体がその労働に対して考えている対価と、支払う側の対価が釣り合ってないから、取引が成立しないんです。
経済の基本中の基本である、需要と供給の問題ですね。 需要線と供給線が交わる所が適正価格なんです。

それよりも価格が低ければ応募はないし、高ければ応募が殺到するというだけの話。
現状で、日本が人手不足というのであれば、需要と供給が交わるラインまで給料を上げればよいだけの話です。これは、中学生ぐらいで学ぶレベルの基本です。
で、ここで反論が出てくるわけです。『日本人の総人口には上限が有るんだから、高い給料で労働力を取り合っても、根本的な人手不足は解消しないだろう?』と。

しかし冷静に考えれば、そんな事は無い事に気が付きます。
アメリカの大手企業は高い給料を提示して、世界中から優秀な頭脳と技能を集めています。ここ最近、急速に成長し、技術的にも日本を追い抜かしている中国企業は、中国国内でも技術者を募集していますし、日本支店でも新卒給料50万円を提示しています。
今はグローバル化の社会なので、高い給料を提示するだけで企業が求める人材というのは世界中から集ってきます。
先程のTweetで、高い金を出して移民受け入れ云々と書かれていますが、世界では普通のことですし、日本のグローバル企業はとっくに行っている事です。

また、人件費が高騰し過ぎれば、それに対抗して新たな動きが生まれます。それは、労働の機械化です。
人件費が高騰するのであれば、高いお金を出して自動で行える機械や生産体制を作れば良いという方向に進みます。
労働力が値上がりすればする程、新たなシステムに投資する為の資金は相対的に増えることになります。こうして、既存の仕事の従事者が減ることになるわけですが、その一方で、新たなシステムを生み出す為に、新たな雇用が生まれます。

技術や文明の進歩というのは、古い体制を壊して新たなシステムに移行する創造的破壊なくしてはありえません。
しかし、先程のようなTweetをドヤ顔でする人というのは、そういう事を考えず、なんだかんだ理由をつけて、何故か経営者目線で人を安く使おうとする方法のみを考えます。

しかし、その考え方の先に有るのって、破滅しか無いんですよね。
先程も書きましたが、今の世界の流れとしては、グローバルで活躍して優秀な人材を欲しがっている企業というのは、高い金を出して世界中から人材を吸収しています。
そんな中で日本だけが、『入社したてで若いんだから、給料は少なくて良いよな。文句は一人前になってから言え!』『お前のやってる仕事は誰にでも出来る。代わりはいくらでも居るんだぞ!』なんていってたら、優秀な人から辞めていきますよね。

そうなると、日本企業の国際競争力はドンドン落ち込むので、新しいサービスや新製品の開発なんて行えない状況になっていきます。
そして最終的には、出来る仕事は下請けのような仕事しか無くなってしまう。となると、それこそ『こんな部品を作ってくれる企業なんてどこにでも有る!代わりはいくらでもあるんだぞ!』と世界中の顧客から言われ、儲からない仕事ばかりを押し付けられる。
こうなると本当の破滅で、企業が儲からないから、本当に給料を支払うことが出来ないようになり、低賃金でしか募集をできなくなる。当然、お金がないので設備投資もできなくなるので、設備の差を人力で埋めなければならない状態になる。

つまり、今まで搾取側が底辺労働者にいい続けていた事を、世界からいわれる状態に陥るわけです。
こんな環境では、優秀な人は日本を捨てて出稼ぎに出るようになるので、本当の意味で、この国はオワコンになってしまいます。

しかし、現状で労働者に適正な給料が支払われていないのって、こういう状態に陥っているからではありませんよね。 
世間一般では好景気を肌で感じることはまったくないのに、上場企業の業績は、バブル後最高益になってたりします。
にもかかわらず、労働者や下請け企業に分配が行われていないというのは、単純に、労働者や下請けの中小企業から搾取してるからです。

私が主張しているのは、その搾取をやめて、再分配しろという事なんです。 現状でも、大企業から搾取され続けて旨味のない中小企業は、子供に後を継がせるなんてことはせずに、廃業を選ぶ企業が増えてきています。
そして、今働いている高齢の経営者の方が体を崩すなりお亡くなりになるタイミングで、大廃業時代がやってくるでしょう。そうなった時、一部の技術や産業は失われる事になリ、そして一度失われた技術は簡単には復活することはありません。
そうなった時が、終わりの始まり。

今まで、無理を下の階層に押し付ける事で国際競争力を維持してきた企業は、押し付ける対象が無くなってしまう事で、開発力も競争力もなくしてしまうでしょう。
そして、今まで日本が後進国にしてきたように、やりたくない仕事を海外から押し付けられ、それを有難がって受ける選択肢しか選べなくなります。
この様な環境では、国民が手にする所得は常に低い状態に抑えられることになり、当然のように消費も落ち込み、経済はマイナス方向に加速していくことになります。

そうならないために重要なのが、適正な再分配であり、その第一歩が、従業員に対する適切な報酬ではないでしょうか。