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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

【働き方改革】年間の労働時間720時間は妥当なのだろうか。

先日ニュースを見ていたら、『働き方改革会議』という話し合いで、時間外労働時間の上限を決めるという話が報道されていた。
ここで話されていた内容としては、月の上限を60時間にする方針だが、企業側は繁忙期の事を考えて、100時間超を希望している云々という話。

この話を聴いた私の正直な感想としては、『繁忙期だけ極端に忙しい業種とか有るから、企業側が求める100時間も分かる気がする。』といった印象でした。
ただ話し合いの結果、月の上限は60時間と決まったようで、これを聴いても『妥当かな。』という印象しか受けませんでした。
しかしこの後、『月の時間外労働時間を60時間とするので、年の時間外労働時間の最大は720時間とします。』という発表を聴いて、『は?』と思ってしまいました。
これ決めたやつ、小学生かと。

という事で今回は、労働時間について考えていきます。

私の考えを書くと、1日8時間労働として、月の残業時間が60時間や100時間になるのは、仕方のないことなのかなと思います。
しかし、年トータルで考えると残業は無しを理想にすべきだと思います。

月の残業は認めるが年の残業は認めないというのは矛盾する事なので、もう少し詳しく書いていきましょう。

私は京都に住んでいて、観光に関連する仕事をしています。
京都の観光客は春と秋に集中する為、関わり合いのある業者は春と秋は残業をしているところも結構多い。

京都に限らずとも、日本は4月に人の移動が集中している為、引越し業者や不動産屋などは、2~4月に売上が集中する。
これに伴って家電の売上なども変わってくるでしょうし、メーカー側も、この時期に新作を発表する為に企画・開発などを行うでしょう。
また、経理部門などは決算期には忙しくなりますし、上場企業だと4半期ごとに忙しい時期が来ることも理解できます。

それぞれの業界や部門によって繁忙期と閑散期がある為、『繁忙期は仕事が沢山有るから、残業してでも片付けて欲しい』という企業の思いは理解できます。
人を雇えという反論もあるとは思いますが、配達などの単純労働の場合は人も入れやすいでしょうが、専門技能が必要な業種の場合は人を入れるのもかんたんでない場合が多い為、『一定期間だけ頑張って働いて!』という要望は、仕方のないことだと思います。
これらを考慮すると、月に60時間とか100時間の時間外労働を求める気持ちも、解らなくもない。

しかし、年間720時間というのは何なんでしょうか。
誰が観てもわかると思いますが、720時間という時間は単純計算によって出された時間です。
『1ヶ月60時間で、1年は12ヶ月あるんだから、60×12=720で、年間720時間ね。』
この数字を見た時、『掛け算を覚えたての小学生か!』と思わずツッコんでしまいましたよ。

先程も書きましたが、多くの業者が繁忙期と閑散期が有り、繁忙期だけ人数を増やすことが困難な場合は、『その期間限定で時間外労働をしてね』という言い分は理解できます。
しかし、年720時間という時間設定は、毎月60時間の残業をすることを前提の数字。
毎月60時間の時間外労働が必要なのであれば、それは単純に人が足りてないので、経営者は人を雇うべきなんです。それが、経営者の仕事です。
冷静になって考えてみてください。時間外労働というのは、割増料金が支払われます。
慢性的に時間外労働が必要なのであれば、業務を効率化することで仕事量を減らす。限界まで仕事を減らしているのに時間外労働が必要なのであれば、人数を増やして仕事を割り振ることで、経費を削減することが可能です。
10人のスタッフを雇って毎日3時間の時間外労働を全員に強いて、残業代として2割増しの料金を支払うのであれば、4人の新スタッフを雇って仕事を割り振って全員が定時で帰る方が、2割増しの残業代分の経費が浮くことになります。
少ない人数で慢性的に時間外労働を強いるというのは、固定費の観点からみても非効率です。

これを考慮すると、『毎月60時間の時間外労働』というのはあり得ない事が理解できると思います。
ですから、60時間×12ヶ月=720時間というのは、考え方が根本的におかしい。
繁忙期と閑散期が半年づつと仮定して、年の時間外労働時間は360時間とかなら、まだ理解できる。

しかし個人的には最初に書いた通り、年間の残業代はゼロを目指すべきだと思います。
ゼロを目指すとはどういうことかというと、繁忙期には残業するんだから、閑散期には早く帰らせろという話です。
繁忙期に毎日12時間働くのであれば、閑散期の労働時間を4時間にすれば、年平均で観るとバランスが取れます。

この考えは正確に書くと、時間外労働を何時間に設定するかという話ではなく、一年間の労働時間の上限を決めろという話です。
年間200日働くとして、基準となる労働時間を1日8時間に設定する場合、年間で働く労働時間の上限を1600時間に決める。
こうしておけば、繁忙期に12時間や、それ以上働いて会社で寝泊まりするなんて期間が一定期間続いたとしても、繁忙期さえ過ぎてしまえば、長期的な休みや一日4時間労働なんて素敵な日常が待っていることになります。

現在の日本は大手企業ですらもブラック化し、長時間労働が増えて自殺者なんて出ている状態ですが、人が死ぬまで追い詰められるのって、ゴールが見えない状態で酷使されるからなんですよね。
明確にゴールが決まっていれば気持ちに余裕も出来てきますし、少々厳しい状態だとしても、期間限定とわかっていれば耐えられるケースって少なくないでしょう。

というか、社員を死ぬまで働かせないと利益が出ない時点で、経営者として失格です。経営者の仕事は組織を効率よく動かす事。
今はIT技術も進んできているので、社内向けの余計な書類制作なんて業務はITの導入によって省くことが可能。
他にも効率化出来る部分は非常に多くなってきているわけで、新たな使えそうな新技術を導入することで仕事量を減らし、同時に不必要な経費も削減していく。
これらの努力を一切せず、膨れ上がる仕事を社員の労働時間の引き伸ばしという手段でしか解決出来ない時点で、無能と自ら主張しているようにしか聞こえない。

こんな無能な経営者たちと、世間の常識から外れた感覚の政治家が会議をしているから、『年間の時間外労働時間720時間』なんて意味不明な数字が出てくるのでしょうね。
このブログでは何度も書いてますが、可処分時間が増えないと消費も増えません。経営者の怠慢で時間外労働を増やせば増やすほど、自分たちの首も絞めていることに気付くべきです。
年間の労働時間の上限を決めるということは、社員のライフワークバランスを整えるだけでなく、消費を増やす視点からも必要だと思うのですが、どうでしょうか。

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