だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

【映画紹介】 劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール

広告

先日のことですが、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール』を観に行った所、ここ最近見たアニメ映画の中では一番感動したので、今回はこの作品の紹介文を書いていきます。
一応最初に書いておきますが、この作品は様々な前提条件をクリアーした方のみ、本当に楽しめると思います。
何の予備知識も無い状態で観たとしても、作品を本当の意味で楽しむことが出来ないと思われるので、その点だけご注意ください。

この作品ですが、ラノベ原作がアニメ化したもの。


      

既に地上波で2期分のアニメが放映済みの作品で、今回は地上波アニメの続きという位置づけなので、最低でもアニメの方を観ていなければ、登場キャラクターを理解することが出来ません。
地上波アニメの方は、AmazonビデオやNetflixに加入されている方なら観ることが可能なので、観た事がない方は、こちらを観てから劇場版を観ることをオススメします。

またこの作品では、VRやARといった最新技術をテーマにしています。
その為、このあたりの技術を使ったコンテンツ。例えばPSVROculus Rift、ARに関しては、世間でも話題になったポケモンGOなどについて少しでも知っていないと、劇場内で語られている事や演出などが全く理解できなかったりします。
他には、作品内では人工知能がベースとなったバーチャルアイドルが活躍し、世間から圧倒的な支持を得ています。この設定も、初音ミクなどが一部で受け入れられていて、実際の社会でもライブが開かれているという現状を認識していなければ、リアリティーを感じられないかもしれません。

作品を本当の意味で楽しむためには、これらの前提となる知識が必要になる為、ハードルは結構高めだと思います。
しかしそれを乗り越えた先には、感動が待っている事でしょう。

簡単なストーリーとして先ず、地上波アニメ版の内容を軽く説明すると、フルダイブ型のVRゲーム『ソードアート・オンライン』をプレイしていた人々が、そのゲームの開発者によってゲームの中に閉じ込められる。
現実世界へ生還する為の唯一の方法は、ゲームをクリアーすること。
しかし、開発者によって設計されたシステムによってゲーム内での死が現実の死とリンクしてしまい、ゲームだからと思いきった行動が取れないプレイヤー達。
勇気のあるものはゲームクリアーの為に命をかけて先に進むが、それ以外の人達はゲームの中の世界で日常生活を送りつつ、冒険に役立つアイテムなどを生産することでアシストしていく。
主人公のキリトは様々な人達の手を借りて、現実世界へ戻るために奮闘する。
って感じの話が、地上波アニメの1期の途中までの話。

今回のゲームでは、このVRゲームから生還した人達に焦点が当てられる話です。
フルダイブ型のVRゲームによって悲惨な事故が起こった為、より安全性を高めたARゲームの開発が盛んになった後の世界が舞台になります。
フルダイブ型VRとARの違いは、フルダイブ型はヘルメットやゴーグルのようなものを被ってベットに寝てゲームとリンクすると、現実世界の体の自由は一切奪われて全身麻痺のような状態になります。
そして意識の方だけがゲーム世界に飛び、その中で自由に動くというスタイル。
一方でARの方は、人間の聴覚や視覚に情報を追加する形なので、実際の人間は意識も有るし体を自由に動かすことが出来る。
その為、ゲーム世界に入ったまま現実世界に戻ってこれないなんて悲劇は起こらない。
ARについては既に実社会でも開発がされているので、それを観た方が理解が早いかもしれませんね。

今回の映画では、当然といえば当然ですが、このAR技術で問題が起こります。
どんな人がどんな思惑で問題を起こすのかというのは重要なネタバレになるので控えますが、主人公達はその問題に巻き込まれる形で関わっていくことになります。

作品内のセリフで、『VRは仮想世界を現実化させるが、ARは現実世界を仮想化させる』というセリフが出てきますが、この作品内で語られるテーマは正にこの言葉通りだったりします。
仮想的なものも、現実にある様に振る舞っていれば現実として受け入れることが出来るのか。仮想世界の出来事は現実に影響を与えないのか。
ある特定の技術が進んだ先には、どのような問題があって世界が広がっているのかという想像を画面を通して魅せるという、正にSFって感じの作品です。

作品の全体的な印象ですが、テーマになっているのが最先端技術であったり、それに付随する問題という少々重いものだったりするせいか、それとバランスを取ろうとしているのか、ゲーム内の世界では結構ぶっ飛んだアクションやアニメ的な展開がふんだんに盛り込まれています。
その為か日常パートは当然の様に、ラノベ原作のアニメに有りがちなハーレム的な展開になってたり萌え要素が入っていたりもするので、その辺りに馴染みのない方は、若干引いてしまうかもしれません。
しかし一方で戦闘パートでは、そのお約束感が良い方向に働いています。
『こんな展開になってほしいな。』と思うようなことを一通りやってくれているので、展開としてはベタベタですが、かなり楽しんで見れると思います。
ちなみに私は、最後のベタベタなストーリー展開で若干泣いてしまいました。

先程も書きましたが、万人が楽しめるという作品ではないと思います。
しかし、今後、世の中に広まって更に影響を与える可能性の高いVRやARといった新技術の可能性。それにまつわる問題や利点などを丁寧に描いているので、SF好きの方は結構楽しめると思います。
事前に地上波アニメを見ていないとストーリーが理解し難いというハードルはありますが、アニメとしてのストーリーを無視し、VR・ARの可能性に焦点を絞って観ても、十分に楽しめる作品だと思います。

公開から結構時間が経っているので、そろそろ劇場公開も終わりそうなので、興味がお有りの方は是非、観に行ってみては如何でしょうか。