だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

資本主義と無料コンテンツ

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資本主義が進んでいくと、ドンドン効率化が進んでいきます。
何故なら、サービスを提供するもの通しで競争が起こるからです。
競争の種類も様々ですが、一番分かりやすいのが価格競争。
その結果として、物の値段はドンドン低下し、デフレと呼ばれる状態になってしまう。

ここら辺までは普通に考えれば分かることなのですが、IT革命以降にそのスピードは増し、web2.0以降はちょっと信じられない状況に突入しつつあります。
その状況というのが、コンテンツが無料で配布される時代。

ものを作るというのは、それなりに時間もコストもかかるのが当然。
そうして作ったものを無料で配布していたら、普通に考えれば経済は回らない。
にも関わらず、こんなことが起こっているのが現状。

こういうことを書くと、『広告収入ガー』なんて事を仰る人も出てくるでしょう。
確かに、一部の超人気コンテンツを作って配信している人は、広告収入でお金を稼いでいるということもあります。
そんな人達は特にリサーチもせず、また安易に儲かると思える所に集まるので、殆どがyoutubeに集中しているとおもいます。
また、実際に小遣い程度でもお金を稼げる人達は、全体の0.1%にも満たない極々僅かな人達。
簡単に誰でも制作できるコンテンツの代表格はブログですが、大抵の人達は毎日更新したとしても、月に50円も稼げないのが現状です。
皆がお金目的でコンテンツを制作していたとしたら、余りの効率の悪さに直ぐに止めてしまうでしょう。

にも関わらず、世の中には沢山のコンテンツで溢れかえっている。
これは、単純に広告収入欲しさでコンテンツを作っている訳ではないという証拠になるのではないでしょうか。

では、何を求めてコンテンツを作っているのでしょうか。
後々有名になる為の宣伝として、注目を集めることが出来るコンテンツを制作しているという人もいるでしょう。
しかし実際にはその様な人達ばかりではなく、大半の人が、趣味の一環の様な感じでコンテンツを作り続けている。
そして驚くことに、そこまで収益は求めていなかったりする。

少し前の事になりますが、私が大好きでよく聞いているwebラジオのパーソナリティの方が、こんなことを仰ってました。
『ラジオでお金が貰えれば、それはそれで嬉しいかもしれない。
でも、仮に5万円貰えるとするなら、その代わりに5万円分褒めてくれ!』
この気持は非常に良く分かります。
私も、ここ数カ月間は毎日ブログを更新していますが、アクセス数が増える事そのものが嬉しいですし、コメントや感想を貰ったりすると、それ以上にテンションが上ります。
自分の主張を理解して欲しいという思いが最も優先され、そのリアクションが得られれば、非常に嬉しい。
収益なんてものは、極偶に思い出す程度だったりします。
そんな感じで更新している為、心無い言葉を投げかけられると、なんとも言えない気持ちになりますが。

話が脱線してしまいましたね、元に戻しましょう。
こうして無料で楽しめるコンテンツが溢れてくると、その無料の中で競争が起こります。
コンテンツ利用者の時間は、有限ですしね。
しかし、料金自体は無料なわけですから、これ以上は下がり様が無い。
では、どうしたら人が集まるのかという事を考え、切磋琢磨する様になる。

このことから分かることは、人は金銭が絡まなくても頑張ることが出来るって事なんですよね。
と言うかむしろ、金銭度外視でやりたい事を能動的に行っているわけですから、金銭目的で行っている仕事よりも、やる気が無いと出来なかったりする。
ではそのモチベーションが何処から来るのか。
それは、承認欲求を満たす為なんでしょうね。

この承認欲求を満たす為に人が動くというのが、結構面白いと思います。
というのも、今までも人の原動力って、突き詰めれば承認欲求になります。
大量にお金を稼いでも、誰にも知られずに見つからずに、ただ金庫に入れて溜め込んでいる人は、そうそういません。
大抵の人は、使います。

使い方は人それぞれ何でしょうが、お金を遣うことで承認欲求を満たしています。
大きな家は資産家の象徴ですし、オシャレな服も、それを着ている自分を認めてほしいから。
ブランド物で身を固めるなんてのはその象徴のような行動で、『こんな物も買えるんだよ!スゴいだろ!』と、認めてくれと言わんばかり。
ホストやキャバクラなんてのは更に解りやすく、『お金を払うから、話を聴いてくれ』と多額の金を払うわけです。

でもこの様な行動は、結構効率が悪い。
何故なら、間にお金という余分なものが挟まっているからです。
その為、どんな方法でもお金があれば、認めて貰えると勘違いしてしまう。
そしてお金を求める事が目標にすり替わり、変な形でお金を集めてしまう人が出てくる。
その人達は、最初はお金が持つ万能性に酔って、さも自分が認められているかのように勘違いするが、実際には皆が自分ではなく、お金の方に頭を下げていたことに気が付き、壊れてしまう。


しかし、無料コンテンツを制作している人々は、間にお金という余計なものが介在していない分、この様な間違いも起こらない。
無料コンテンツを楽しんだ人達から得られた賞賛は、疑い様もなく自分達に向けられたもの。
そしてその賞賛を求めてコンテンツを作るという文化が、徐々に新たな価値観の変化をもたらしている様な気がします。

今の若い学生の一部では既に、金銭ではなく、労働時間で就職先を決めるという人達が現れ始めています。
多額の給料を貰って休みなしで働くより、少ない給料で余裕のある時間を手にする方が、価値が有るということの現れなのでしょうね。

この思想は、資本主義に対する挑戦のようでもあり、革命に繋がるようなものです。
お金というものの権威が薄れた際、どの様な社会になるのか、結構興味深いですね。
個人的には、価値観の変化が起こる為、単純にお金儲けだけが上手い人は、生きづらい世の中になるような気もしますが。