だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

プロとアマチュアの違いについて考えてみる

最近良く耳にするのが、プロとアマの差が縮まっているという話。
例えば昔聴いていたラジオNIKKEIでは、投資情報という分野では、プロとアマチュアでの情報格差は、僅かなタイムラグ程度しかないと言われていました。
これは、公平性を高める為に皆が動いたというよりも、単純に技術の進歩によって実現しました。
ネットの普及によって、リアルタイムでニュースが拡散。
また、受け取り側である個人投資家が持つ設備の進化によって、何時でも何処でも情報を受け取れて、注文が出せるようになりました。

情報面では、ほぼ、格差はなく、違いは資金量ぐらいと言われています。
(フラッシュトレードなどは別)

この様な事は、他の分野でも結構起こっています。
例えばイラストや音楽、動画など。
今までは、専門の設備を揃えた一部の人達、所謂プロの方達とアマチュアの間には、越えられない壁のようなものが存在していました。
しかし技術の進歩によって、家庭のPCにソフトを入れるだけで、一昔前のプロ並みの設備が手に入る。
そのソフトの値段も、学生の小遣い程度で使用可能な程に低価格化が進んでいます。

設備的に絶対的な差があった昔に比べ、技術が進んだ今現在は、設備的な差は殆ど亡くなったといっても良いと思います。

では、設備に差がなくなれば、プロとアマとの線引はどのようにして行うのでしょうか。
単純なクオリティーなのでしょうか。
製品にしても芸術性が高い作品にしても、品質というのは結構重要な気もします。
では、品質でプロとアマを分ければ良いのかといえば、一概にそうともいえない気もします。
というのも、例えば音楽やイラストの様な、見る人の価値観によって価値が変わるものでは、品質そのものの定義が結構曖昧だったりするからです。

ある側面から観れば、プロを名乗る人よりもアマチュアの作品の方が優っているケースもあるでしょう。
では、他人の評価によって変わるのかといえば、そうでも無さそう。
趣味で行っているだけなのに、やたらと評価が高いアマチュアもいれば、プロなのに評価されていない、無名の人も存在します。


では、何が境界線になるのか。
私の考えでは、クライアントの要望と納期を守れるかどうか何だと思います。

品質は?と疑問に思う方も、居らっしゃるでしょう。
しかし、品質は時間をかける事で、誰でも一定レベル以上に出来る場合が多々あります。
業者間の取引で、時間をいくらかけても良いと思う会社はないでしょう。
一定期間内の時間で、一定レベルの製品やサービスを提供できるのかが、プロとアマとの線引と考えるのが妥当でしょう。

わかりやすく、イラストを例にして考えてみましょう。
自分の好きなキャラクターを、好きなポーズとシチュエーションで、ただただ書き続ける場合。
同じような絵を書き続けるわけですから、プロよりも上手い仕上がりになるケースも多々あるでしょう。
時間を際限なく注ぎ込めるなら尚更で、クオリティーはドンドン上昇していくことでしょう。
でもこれは、プロが行う仕事では有りませんよね。

プロの仕事は、依頼主から『こんな感じの背景で・こういうキャラクターで・ポーズはこうで・全体的なイメージはこんな感じで・期限は3日後』という指示を受け、その依頼通りの仕事を行う。
自分のスキルと制限された3日という時間を有効に使い、どのレベルの作品に落とし込んでいくかを考えながら、絵を描く。

最低限ののクオリティーが無いと、そもそも依頼が来ない為、質が全く関係がないわけでは有りませんが、仕事をする上で重要なのは、クライアントの要望を期日内に仕上げる事でしょう。


モノやサービスを購入する上で、この線引は非常に重要です。
というのも、この関係が分かっていないと、正しい物の値段がわからなくなるからです。

モノやサービスの値段は、品質のレベルと、納めるまでの時間の長さによって変化します。
納期にゆとりが有れば、他の仕事の合間に挟むという事が可能な為、受注側は融通がききやすいので、受注しやすくなる。
品質のレベルが最低限で良いのであれば、かかる手間が少なくなる。
つまり、納期が長くて品質レベルが低くて良い場合、制作側に有利な条件となる為、、安い値段で引き受けやすい。

その一方で高い品質を求めるのであれば、材料費は高くなりますし、かかる手間も多くなる為、製作時間も長くなる。
また、納期までの時間が短いと、他の仕事を一旦中止して作業に取り掛からなければならない為、他の仕事全般のコストが上昇してしまいます。
結果として、納期までの時間が短く、且つ、高品質を求める場合は、単価が非常に高くなるか、そもそも仕事を受けてもらえません。

順追って考えて見れば、当然の事だと思います。
しかし、この関係を理解せずに、『短時間でやれ!クオリティーは最高レベルで!金は払わん!』って客が、結構多いんですよね。

私は、先程例を挙げたイラストレーターでは有りませんが、ものづくりの仕事をしています。
小さな事業なので、製造と共に営業や販売もするのですが、偶にクレーマー気質の客に出会うことが有ります。
このテの人は大抵の場合が、発注だけして、ものづくりをした事がない人だったりします。
そして、『その条件では難しい』と反論すると、『お前はプロだろ!』と意味不明なことを言い出します。
そうです。
プロです。
プロだから、無理なものを無理と言っているだけなんですけどね。

…ちょっと脱線してしまいましたね。
結論をもう一度書くと、依頼が来る程度のクオリティーを維持する事は重要です。
しかし品質だけに焦点を当てれば、品質は価格に反映されるので、価格に見合ってさえいれば、最高品質が常時要求されるというわけでは有りません。
重要なのは、クライアントの要望を納期までに納めることです。

ネットが発達して、これから先はナカヌキが行われる事で、普通の人が向上に発注をかけるということも増えてくると思います。
発注する機会が有る方は、『プロなんだから、最高品質のものを短期間で低価格でやってくれる』なんてプロ信仰は捨てて、納期と品質と価格のバランスを見極めるようにしましょう。
品質と価格の見極めというのは、一種のスキルなので、一朝一夕で身につくものでは有りませんが、そうする事が、上手くプロと付き合うコツだと思います。