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【Podcast #カミバコラジオ 原稿】第55回【経営】ブランド6

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目次

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この投稿は、私が配信している Podcast番組『カミバコラジオ』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。

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前回はこちら

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ブランド=イメージ


前回まででブランドの採用の仕方や展開の仕方について話してきましたが、今回はもっと根本的にブランドについて考えていきます。
そもそもブランドとは何なのかというと、前から繰り返しいっていることですが、その会社や製品のイメージと考えて良いと思います。
かなり抽象的な答えになっていますが、この抽象的というのが重要だったりします、というのも、企業のこれまでやってきたことや信用力を全て具体的に言葉にしていこうと思うと、膨大な量のテキストが必要となります。

そんなものを懇切丁寧にホームページに書いたところで、それに目を通す人はよっぽどの物好きでもない限りいないでしょう。
何故なら、それらを全て読み込んで正しく理解しようと思うと、その会社が属している業界知識などの前提となる知識も必要となってくるでしょうし、文章を読み込んで理解する読解力も必要になるからです。
まっとうな会社運営を行ってきた会社であれば、今までの実績や思いを膨大な文章にして公開し、それをターゲットとなる顧客層に読んでもらえれば一番良いのでしょうが、そんなことをしてくれる顧客や見込み客はいません。

また、TVCMにしても雑誌や新聞の広告欄にしても、そんな膨大な量の情報を伝えることは出来ません。
今ならネットで公開するといったことも出来ますが、何らかのサービスを利用する際の利用規約も読まない人がほどんどの世界で、そんなものを自社サイトに掲示したところで見る人は極少数でしょう。
ネットがない昔であれば、分厚い冊子や本にする必要すら出てきます。しかし、そんなことをしたとしても、得られる利益は少ないでしょう。

そこで、会社や製品のイメージを抽象化し、イメージとして伝えようとして生み出されたのがブランドだと思われます。
ブランドはイメージが入るフォルダーのようなものなので、企業による情報発信や顧客が受け取るイメージによって、ブランドイメージが構築されていきます。
単なるイメージであるため、人々に単純なイメージと名前を関連付けて発信することも出来ますし、忠誠度の高い顧客に対しては、ブランドイメージをより深く伝えることも出来ます。

ブランドの機能


このブランドの機能というのを具体的にいうと、4つほどに分かれます。 まず1つ目が、どこのメーカーや流通会社が作っているのかというのをはっきりさせる出所表示機能。
これは、その商品がどこの会社の商品かというのを明確にする機能です。例えば、日用品としてなんとなく購入した商品が非常に使い勝手が良く、次回も購入したいと思った場合、顧客はその商品名やブランド名を知ろうとします。
何故なら、そうしなければ次に同じ商品を買おうとした際に、商品を見つけられない可能性があるからです。

その商品が独特のもので、他のメーカーが作っていないというのであれば、小売店に買いに行った際に商品を店員に説明すれば、すぐに目当ての商品を発見できるかもしれません。
しかし、他のメーカーも商品をたくさん出している、例えば洗剤などの場合、そのブランド名を覚えていなければ、商品を特定して購入することは難しくなるでしょう。
逆に言えば、ブランド名さえ覚えていれば、店員さんにそのブランド名を言うだけで商品を簡単に発見することが出来ます。 これはネットで商品を探す場合でも同じです。 名前がついていることで商品が特定しやすくなるのが出所表示機能です。

出所と品質


次に品質表示機能ですが、これは製品の品質や価値を表す機能で、ナショナルブランドなどが担うことが多い機能といえます。自動車や電化製品など製品に一定の品質が要求される場合などで重視されがちな機能です。
例えば大型薄型テレビを買おうと思った際に、聞いたこともない外国ブランドの商品が8万円で売っていて、ソニーのテレビが10万円で販売されていたとしましょう。
テレビの構造に詳しくなかった場合、名前をよく知るソニーの方が品質の良いものを作ってそうな気がしますし、安心できそうな気はしないでしょうか?

逆に言えば、アナタがテレビの構造に詳しくて、双方ともに使われている部品を作っている会社が同じだと知っている人場合は、大して効果を発揮しない機能とも言えるかもしれません。
その一方で、今までになかった様な全くの新製品の場合などは、過去の実績の積み重ねによって構築されたブランドのほうが優位に立てたりします。
何故なら、その新製品に対する知識を持っている人は、その製品の開発者ぐらいしかいない上に、他の製品と比べようもないため、ブランドぐらいでしか判断が出来ないからです。

『今まで良い製品を作ってきたあの会社が作っているんだから、大丈夫だろう!』と思われる様なブランドの場合は、そのブランドの信用のみで製品を買われるということもあるでしょう。
こういった場合は、品質表示機能が重要になってきたりします。

宣伝広告機能


次に宣伝広告機能ですが、ブランドの名前そのものが、宣伝効果を発揮するという機能です。
例えば、新製品を出す際に既存ブランドの名前をつけて販売すると、既存のブランドが宣伝効果となって、新製品が売れやすくなります。
これは前に紹介したダブルブランドやファミリーブランドの解説を思い出してもらえば、分かりやすいと思います

例えば、ネスレという会社が変わった味のチョコレート菓子を出そうと思った場合、既に名前が浸透していて売れている自社商品であるキットカットのブランドを利用することで、新製品でも売りやすくなります。
つまり、キットカットの何々味といった感じで売り出せば、全くの新商品を出すよりかは売れやすくなります。これは、既存のキットカットというブランドが宣伝効果を発揮していることになります。
また、ネスレという会社は、あのキットカットを作っている会社なんだということが分かれば、ネスレという会社に馴染みがなかったとしても、一気に信用力が高まったりします。

これも、企業の名前に対して個別の商品ブランドが宣伝効果を発揮していることになります。
これは、商品を取り扱っている店舗などにも当てはまります。 キットカットがものすごく好きな人にとっては、キットカットが置いてある店かそうでないかは重要な情報となります。
キットカットが置いてあるから、買い物の際にあの店を使おうと思われれば、キットカットというブランドは取り扱い店舗にとっても宣伝効果を発揮していることになります。

資産価値機能


最後に資産価値機能で、これはブランド・エクイティと呼ばれたりもする機能です。
これを簡単に説明すると、ブランドそのものが資産的な価値を持っているということです。
資産というのは、企業同士の合併などの際に実際に『のれん代』といった感じで資産に計上されたりする意味合いでの資産というのもありますし、製品にその資産分が上乗せされるという意味合いでの資産という意味合いもあると思われます。

製品に資産分が上乗せされるというとわかりにくいですが、例えば革で作られたバッグがあったとして、それが聞いたこともないブランドのものなのか、それともエルメスが作っているものなのかでバッグの価値が変わるといえば分かりやすいでしょうか。
聞いたこともないメーカーの製品の場合は、市場でそのブランドが認知されていないため、それほど高い価格では売れないでしょう。
もちろん、革の素材やそれを加工する一流の腕があれば、それなりの値段では売れると思います。しかしその価格は、エルメスというブランドのバッグには価格面でかなわないことが多いでしょう。

製品価格というのを簡単に分解して考えてみると、製品の値段は素材価格と人件費と企業が手にする利益を足し合わせたものとなります。
つまり、素材価格が2万円で職人の人件費が5万円で、会社が3万円の利益を取ろうと思うのであれば、メーカーはその商品に10万円の値段をつけるということです。
メーカーが直接売らずに小売店を通す場合、その小売店も販売手数料を取るでしょうが、それでも20万円はいかない価格になると予測されます。

しかし有名ブランドの場合は、この計算式にブランド・エクイティが加わります。
ブランドエクイティは、ブランドの持つ資産価値を商品価格に反映させたものなので、それを足し合わせることで、100万円を超えるような価格も実現できてしまいます。

ブランドの価格面以外での資産的価値


価格面ばかりの説明をしてきましたが、それ以外にもブランドの資産効果は様々なところで働きます。

例えば、大きな百貨店に店を出す場合、聞いたこともないような無名ブランドであれば、そのブランドに集客能力がないため、百貨店側は強めのテナント料を提示してくるかもしれません。
しかし、そのブランドがテナントとして入ることで多くの客を集客できるような場合は、テナントを貸してあげるという姿勢ではなく、是非この場所を使ってくださいという姿勢で誘致するわけですから、テナント料も変わってくるでしょう。
また有名なブランドであれば、求人を出す際も能力の高いデザイナーや職人などが多く応募するでしょうから、良い人材を集めやすくなります。

この様な感じで、強いブランド力というのは物事を良い方向へと導いていくような力があり、これは資産として見ることが出来るということです。

以上が、ブランドの機能なのですが、結構あやふやだったり、具体的に考えた際に役割が被ってそうなものもあるとは思いますが、これは前にも言いましたが、ブランドというものを学問的に無理やり分けているからだと思われます。
この番組は実際に中小企業で働いている人に向けて発信していますが、そういった方は、今回登場した4つの機能の名前と定義を暗記するなんてことはしなくても良いと思います。
ブランドには、こういった機能があると何となく理解できれば、次のブランド戦略につなげていきやすいと思います。

そのブランド戦略についてですが、それはまた次回に話していきます。