だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

【Podcast #カミバコラジオ 原稿】キャッシュフロー(1)

広告

目次

注意

この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。

▼▼Apple Podcast▼▼

podcasts.apple.com

▼▼Spotify▼▼

open.spotify.com

note

noteにて、番組のサポートを受け付けています。応援してくださる方は、よろしくお願いします。
note.com

▼▼youtubeチャンネル登録はこちら▼▼

https://www.youtube.com/channel/UCqx0z_3n3tBH450v8CtNoUg
youtu.be

前回はこちら

kimniy8.hatenablog.com

火付け役はイノベーター

f:id:kimniy8:20211116214324j:plain
前回は、製品や事業のライフサイクルについて話していきました。簡単に振り返ってみると…
新商品を開発して販売するといった新事業を行う場合、余程の知名度の高い大企業が大々的にCMを打つなんてことをしない限り、大抵はその商品の存在を消費者は知りません。
そんな状態で、あるかないかわからないような製品を自分で調べて購入してくれる消費者というのは、かなり少ないです。

この様な、積極的に情報を探しての能動的に購入してくれる層のことをイノベーターと言います。このイノベーターですが、今のようなネットが浸透した世の中では積極的に情報発信をしていることが多いです。
誰も買っていなくて評判すら無い製品を自ら買うという行為は、いってみれば自ら進んで人柱になる行為です。それでもその様な行為を行うのは、新たな技術を体験してみたいという好奇心が強いからです。
その様な好奇心から行われた最初の体験というのは、それが成功であれ失敗であれ、ニーズは非常に高いので、ブログを始めとしたコンテンツになりやすいです。 人気が出ればお金も稼げるわけですから、積極的に情報を広める人が多いと思われます。

しかし、この様な出始めたばかりの情報は、マニアックすぎるが故に、それをフォローしている人も少ないです。
ですが発信しているイノベーターに比べると人数は多いです。 このイノベーターの出す情報を積極的に収集して参考にすることで商品を購入する層が、アーリーアダプターです。
アーリーアダプターは好奇心が強いですが、イノベーターの様に技術に興味があるわけではなく、その製品やサービスが自分の生活にどの様な好影響を与えてくれるかの方を重視します。

この製品が自分に与えてくれる好影響を確かめるためにも、アーリーアダプターはイノベーターが実際に体験した生の情報を確認した上で、消費活動につなげます。
このアーリーアダプターも、イノベーターと同じ様に情報発信を積極的に行う割合が多い人達です。
この人達が消費する動機は『自分の生活にどれだけ変化を与えてくれるのか』でしたから、作るコンテンツもこの辺りの感想が中心になる為、イノベーターが行う情報発信よりも多くの人の心に刺さると思われます。

キャズム

f:id:kimniy8:20211116214337j:plain
ここまでのイノベーターとアーリーアダプターですが、繰り返しになりますが『新たな技術』や『製品がもたらしてくれる体験』が商品の購入動機になっているので、コスパは度外して購入してくれる人たちとなります。
しかし、ここから先のアーリーマジョリティ以降の人たちは、消費活動に踏み切るにはコスパが関連してくるため、消費者の質が変わってきます。
この顧客層の変化によって、キャズムという高い壁が生まれてしまいます。 しかしこれを乗り越えることで、事業は成長期へと突入します。

俗に言う一般層の中でアンテナが高いとされているアーリーマジョリティが購入し始めると、口コミなどによって市場は急拡大していき、そしてピークを迎えます。
ピークを向かえ、製品がある程度行き渡った後には、レイトマジョリティと呼ばれるそうが入りますが、先に紹介した新しい物好きの層は別の新しいものを追い求めて市場から去るため、市場規模は徐々に縮小していきます。
このレイトマジョリティ層が去る頃には、ラガードと呼ばれる層が参入してきます。

ラガード

f:id:kimniy8:20211111214458j:plain
この層は、超保守的な層で、周りの人が使い始めたからといった程度では製品を買いません。
製品を買うことが当然のようになってから初めて参入してくるような層であるため、最後まで参入しないことすらあります。
こうして市場は縮小していき、一つの事業や製品は寿命を迎えて終わります。

キャッシュ以外の資産(固定資産)

f:id:kimniy8:20211019205821j:plain
では、会社のキャッシュフローは同じ様な軌跡で動くのかというと、実はそうではありません。
キャッシュフローとは、会社が実際に使える資産だと思ってもらえればよいです。
簿記を勉強したことがない方の中には、会社が持っている資産に使えないものがあるのかと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、これがあるんです。

詳しくは財務や会計を説明する回を作って詳しく説明したいと思っていますが、会社の資産というのは何なのかというと、貸借対照表の左にある項目のことです。
貸借対照表とは、左に資産のリストを書き、右に負債リストと純資産のリストをかいたもので、資産の合計額と、負債と純資産の合計額は同じ金額となります。
表の右と左の金額が全く同じ金額になる為、左右がバランスしているのでバランスシートと呼んだりもします。

この左にある資産のリストですが、自由に使える銀行の普通預金や現金なども含まれていますが、工場やそこに収まっている機械などの設備、商品在庫なども含まれています。
機械を買うのに使ったお金は経費で消えるんじゃないのかと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、消えません。資産として残ります。
理由は簡単にいえば2つあります。1つは減価償却という考え方で、もう一つはその購入した機械が持っている価値によるものです。

減価償却

f:id:kimniy8:20211116214502j:plain
まず、機械そのものが持っている価値について説明すると、機械というのはお金を払って購入したら、即座に無価値になるものではありません。
買い手が付けば、それを売却することでお金を得ることが出来ます。 つまり、他人に機械を売却することで持っている機械を現金に交換できるということです。
機械に汎用性があればあるほど、その機械は売りやすい。つまり現金化しやすいことになる為、資産となります。

次に減価償却ですが、10年使う予定で買った高額な機械等は、購入した年に経費として全額消えてしまうわけではなく、10年間で分割して毎年のように経費として計上することで、10年かけて費用化していきます。
例えば100万円で購入した機械を経費計上する場合、最初の1年は10万円の費用を減価償却費として計上するわけですが、そうすると、残りの90万円の現金がどこかに消えてしまうことになります
そうすると会社が持つ資産につじつまが合わないため、その90万円を機械という固定資産として資産の部に計上します。

資産

f:id:kimniy8:20211116214512j:plain
しかし、ここで問題が生じます。というのも、機械の帳面上の資産価値としては90万円の価値があり、資産の部には90万円として計上されているわけですが、その90万円は仕入れなどで使えるのかというと、使えません。
数字を使った具体的な例を上げると、手元に現金として150万円持っていて、そのお金で100万円の機械を購入すると、手元の現金は50万円に減少しますが、その代わりに固定資産として機械の100万円が増えます。
そうすると、機械を購入したにも関わらず、現金が50万円で固定資産の機械が100万円となり、資産合計は150万円のまま変りません。

これはつまり、機械を購入したことによって、100万円分の現金が機械という固定資産に振り替わったということです。
このとき、資産の合計金額としては150万円で変化はありませんが、実際には機械の購入費用として使ってしまった100万円を更に使うことは出来ないため、実際に使える資産である現金は50万円に減少します。
この『実際に使えるお金の変化』のことをキャッシュフローといいます。

キャッシュフローの変化

f:id:kimniy8:20211027213611j:plain
このキャッシュの変動であるキャッシュフローと、前回に説明したライフサイクルですが、同じようには変化しません。
グラフでいえば、キャッシュフローの方が、より急激な変化をします。どの様に急激になるかというと、一番最初にキャッシュがマイナス方向に進んでいきます。
そのマイナスは、ある程度の売上が見込めるようになるまで拡大し続けます。 このマイナスの拡大は、商品の価格戦略によっても変わってくるため、一概にはいえません。

価格戦略

f:id:kimniy8:20211116214538j:plain
価格戦略は、大きく分けると2種類あって、1つ目が最初から製品を割安な価格で販売することで、最初に市場シェアの大部分を取る方法で、もう一つが最初に高価格を設定し、初期の段階から利益を狙っていく方法です。
最初から製品を割安な価格で販売することを初期低価格政策といいますが、これには、ペネトレーションプライシング戦略や市場浸透化戦略といった別の呼び名もあったりします。
もう一つの最初に高価格を設定する戦略は初期高価格政策と言い、これにも、上澄吸収価格戦略スキミングプライシング戦略といった別名があります。

どちらを選択するかで初期の赤字幅が決定しますが、当然、赤字幅が大きくなるのは初期低価格政策の方です。
では単純に、赤字幅が小さくてすむ初期高価格政策を選べば良いのかといえば、そうとも言い切れません。
何故かというと、これには、商品やサービスの性質やブランド戦略なども絡んでくるため、キャッシュの赤字幅だけで考えて良いことではないからです。

この辺りのことは、次回にもう少し詳しく話していきます。