だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

迷走?する京都の政治

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ここ数年の京都ですが、ものすごい勢いで変化している印象を受けます。
外国人観光客が沢山訪れるようになり、それに伴って、観光都市として更に整備を整えようとしているのが原因なのでしょう。
しかし、その変化について疑問に思ったことが有るので、今日は、その事について書いていこうと思います。

変化の始まり

明確にいつからかというのは、うろ覚えなんですが…
『爆買』というワードが流行った、外国人観光客が増え始めた時期から、京都の街が急速に変わっていったように思います。
ですが、この時期は京都だけに限らず、日本中の販売店が中国人観光客に向けたサービスを充実させていた時期ですし、既存の販売店が対象とする客を買えただけなので、街そのものが大きく変化したという印象はありませんでした。

街の印象が大きく変わり始めたなと思うのは、店舗は屋外に看板を出してはいけないという条例が出始めた辺りからだと思います。
京都には元々、看板の規制がありました。 その為、全国チェーンで展開している店の看板の色も、京都だけ違うということはあったのですが、それがさらに強化され、店の外に看板を出しては駄目ということになりました。
この看板というのは、立て看板の事だけではありません。

例えば路面店などでは、入り口の上ぐらいに大きめのビニールの囲いをして、ちょっとした雨宿りが出来るぐらいの屋根を付けて、そこに店の名前や『クリーニング』といった店の形態を書くことで広告にしている所は多いと思います。
これらのものは、店の前に看板を置くというのではなく、建物の一部に広告を書くことで看板としているわけですが、それも最近になって規制されました。
いつからかというのは覚えていなかったので、調べてみた所、平成23年から変わったようです。
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000146/146248/guide_koukoku%28L%29.pdf

看板の規制がここまで厳しくなった理由はよく分かりませんが、放置自転車などの撤去も頻繁に行われるようになった為、『街をスッキリさせたかった』という理由が大きいのかもしれません。
店を経営しているわけではない私にとっては、看板規制の方は、店の形態がわかりにくい(何屋か分からない)ぐらいしか困ったことはありませんが、自転車の方は結構、面倒くさいことになっていたりします。
『放置自転車の撤去』という言葉を聞いて、良いイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、この撤去作業は民間に委託されているようで、邪魔になるかならないかは関係がなく、路上においてある自転車は全て持っていかれます。

自転車の撤去

私が目撃した例でいうと、大きな交差点があり、ものすごく広い歩道があって、その道に面した形で1階ドラッグストアが入っているビルがあるのですが、そのドラッグストアには駐輪場がなく、その店に自転車で来た人たちは、広い歩道のはしの方に自転車を止めて買い物をするという日常を送っていました。
しかし規制後は、一番、店が繁盛しているであろう時間帯に業者がやってきて、警告も無しに5分程度の作業時間で買い物客の自転車を全てトラックに積んで持ち去るようになりました。
歩道が狭く、自転車が有ると歩けないような状態なら撤去されても仕方もないのでしょうけれども、その交差点は歩道の拡張工事がされていて、人の通行量に比べて異常なまでに広いため、買い物客の自転車が置いてあっても通行の邪魔にはならないように思うのですが、民間業者は撤去1台いくらでお金をもらっているのか、持っていきやすい所から持っていきます。

とあるコンビニなどは、そのコンビニで働いているバイトが自転車通勤をしていたのですが、働いている最中に持って行かれていました。
規制が厳しくなってからは、自分の自転車に『コンビニ店員のです』と書いて貼っていましたが、それでも持って行かれているようでした。

これを読まれている方は、『違法なんだから、我慢しろ!』と思われる方も多いでしょう。
確かに、実際に京都に住んでいて、事情がわかっている私達は、自転車に乗る際には、目的地に駐輪場が有るか無いかを確かめれば良いだけなので、そう思われても仕方がないでしょう。
しかし、この撤去は、京都に住む私達にだけ行われるわけではありません。

京都の中心地は、狭いエリアにある程度の観光地が固まっている状態にはなっていますが、複数の観光地を見ようと思うと、全て歩いて行くのは疲れるような分布になっています。
では、タクシー移動が良いのかというと、タクシーでいくと1メーター行くかいかないかの距離なので、タクシーに乗るのも微妙。
バスや電車はというと、電車で観光地に直結している所は少なく、バスは色んなところに行けるけれども、地元の人でもややこしい上に、遅いため、便利が悪い。

では、どうやって観光するのかというと、自転車なんです。
自転車であれば、歩くよりも速いスピードで風を感じながら目的地に迎えますし、歩くと疲れる距離でも、自転車だと丁度良い感じの距離。
そういう需要が増えてきたのか、駅前にレンタサイクル店なども増え始め、外国人観光客を中心に利用されているのですが…
このレンタサイクルをコンビニの前に止めていると、業者に持って行かれるんです。

先程も言いましたが、京都の自転車撤去は民間に委託されているらしく、彼等は持っていけば持ってくほど儲けが出るのか、警告もせずに、自転車が止まっていればそれを黙ってトラックに乗せて持ち去ってしまう。
市からどれぐらいの金を貰えるのかは知りませんが、彼等の熱心な働きを見るに、それなりの手当がもらえるのでしょう。その為、彼等は、朝・昼飯時・深夜関係なく、頻繁にトラックを走らせています。

繰り返しになりますが、京都に住んでいる私達は、少し不便になるぐらいなので工夫すれば良いだけです。
しかし、観光客の方にとってはどうなんでしょうか。 自転車観光が疲れたからと、自転車を止めて喫茶店に入って休憩していると、トラックが自分の乗っていた自転車を持ち去ってしまう。
慌てて外に出て、業者に『それ、私が乗ってたやつです!』といっても、業者は返してはくれません。 『私達が自転車を持った時点で撤去なので、後日、回収施設に取りに来い!』と言われるだけです。

ちなみに、駐輪禁止区域は京都市全域。
ここまで徹底して自転車を排除するということは、市は駐輪場をきっちりと整備しているのかというと、自転車の量に比べて圧倒的に足りていない。
その為、駐輪場の取り合いになり、1時間以内なら無料で預けられる駐輪場などは、あとから来た人が勝手に駐輪場から他人の自転車を出して自分のを入れて、先に駐輪スペースに預けていた人のが撤去されるということまで怒ってる…
https://www.mbs.jp/mint/news/2019/09/27/072382.shtmlwww.mbs.jp

こんな状態で、安心して観光が出来るんでしょうか。

理解できない市の行動

京都は観光産業で成り立っているところがある為、看板や自転車の撤去は、単に街をスッキリさせるという目的で行われているわけではなく、観光客の方々にキレイな町並みを見てもらおうという気持ちから始まったんだと思います。
しかし実際にはどうなんでしょうか。 看板がなくなったことにより、その建物が店なのかどうかがわからないし、店であったとしても、何屋なのかが分かりにくい。
自転車で観光をしようと思うとコンビニに寄っただけで、業者が無警告でレンタサイクルを持っていってしまう。

これが、観光客の方を向いた行政なのか、私には分かりません
他に市がやった事といえば、この他には、四条通の車線を減らすということも行いました。

京都の繁華街は、河原町通四条通で、その交差点の四条河原町は京都の中ではかなり栄えている部分といえます。
当然、河原町通四条通には路面店が多く、その路面店は毎日のように仕入れをするわけで、資材の搬入などが毎日のように行われています。
その四条通ですが、今までは片道2車線だったものを、歩道の拡張工事をして歩道を倍の太さにするために、片道1車線にしてしまいました。

市側の説明では、『四条通は2車線あっても、路駐が多くて実質1車線だったんだから、1車線で問題ない。』とのことでしたが、それなら路駐の取締を強化すれば良いわけであって、1車線に減らす必要があったのかどうかは、かなり疑問です。
(一応、荷物の搬入用に駐車スペースを所々設けてありますが、台数が限られている為、確実に止められるかどうかも分からない。)
1車線になった為、バスを追い抜くことも出来ず、自動車やタクシーはバスの後ろをずっとついていく。 その為、四条通は慢性的な渋滞になり、『車で通っては駄目な通り』になりつつあります。
また、四条通と交差している南北の通りは、どの通りも車が1台通るのがやっとの細さなので、南北のとおりに車を止めて資材の搬入も出来ない。
車が止めれそうな南北の通りは河原町と烏丸ですが、その通りは1キロ異常離れている為、その周辺の配達は結構厳しい状態になりつつあります。

そこまでの対価を払って、歩道の幅は2倍になったわけですが、では、広がった分の歩道を皆が歩いているのかといえば、そうでもない。
四条通はアーケードになっていて、雨が降っても傘なしで有るけるようになってるのですが、拡張された歩道部分には屋根がないため、夏は直射日光を浴び、雨の日は濡れるために基本的には人は歩いていない。
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『じゃぁ、屋根を拡張して大きくすれば?』と思われるかもしれないですが、四条通祇園祭で山や鉾を置くために、屋根は付けれない。
春や秋といった数カ月間の観光シーズンだけ見ると、今までと比べて歩道は歩きやすくなっているように思えますが… 四条通を西か東に行く場合、タクシーやバスを待つよりも歩いた方がマシという状態にしてまで行うべきだったのかどうかは疑問です。
www.kyoto-minpo.net

迷走する京都の市政

京都は観光地であるため、観光客の皆さんのおかげで仕事をできている人も沢山いる為、観光客誘致のためにある程度の不便を強いられる事は、仕方のないことだと思っている京都の人は多いと思います。
ですが、これらの政策は、本当に観光客の為になっているのかどうかが不明です。
看板にしても、昔の日本っぽい木の看板しか駄目と言った感じの改正のほうが、まだ、観光客の方に楽しんでもらえるような気がしますし、自転車の撤去にしても、交通の妨げになる部分に限って行う方が、皆の為になるように思えます。

ただ規制を強めるだけでは、魅力的な街は作れないのでは無いでしょうか。