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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

日本人観光客の京都離れについて京都人が考えてみた

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外国人観光客数の増加が凄いはずなのに不景気

私は生まれてからずっと京都に住んでいるわけですが、ここ最近感じる事は、景気が悪いということです。
私の仕事は、主に日本人観光客に向けた製造業なのですが、売上は年々減少傾向。

ウチはB to Bの取引がメインなので、取引先の受注が増えなければウチの受注にも結びつかないわけですが、得意先の売上が年々落ちている状態。
得意先は、八ツ橋であったり饅頭といった和菓子を作る会社が多いわけですが、アジア中心の外国人観光客が饅頭を買って帰るわけもなく、必然的に客は日本人観光客になるわけですが、まぁ売れない。

テレビなどでは、『インバウンド需要が旺盛で凄い!』なんて話を聞きますが、そんな実感は全く無い。
私の携わってる事業や、関係がある取引先だけが業績が悪く、他の人達が良いというのであれば、自己責任といわれても仕方の無い事なのかもしれませんが、そういうわけでもなく、観光業界が全体的に悪い。
ウチが原材料の仕入れを行っているところは、もっと広い視野で見れる為、同業他社の動きにも詳しいわけですが、好業績の会社が見当たらないと言っていたり。
京都 鴨川

日本人観光客の京都離れ

京都の観光客は右肩上がりで、使うお金も増えているという話も聴くが、全くと行ってよいほどに実感がない。
というか、どの分野が業績を上げているのか教えて欲しいというぐらいに、周りで好景気だと主張する人が見当たらない。
そんな状態の中で、この様な記事が発表されました。
www.kyoto-np.co.jp

京都で、日本人宿泊客の減少に歯止めがかからないらしいです。
増え続ける外国人観光客のお陰で、各観光地が非常に混在つし、観光どころではない。そもそも、泊まれない。
結果として、日本人観光客が減ってしまい、ウチの様な業種がモロに影響を受けたということでしょう。

この記事は、京都市の統計を見ても分かりますよね。
www.pref.kyoto.jp

京都市の外国人宿泊数が10%増えているのに対し、全体の観光入込客数は3%減っている。

このニュースを受けて、主にTwitterでは、『自業自得』といった感じで、京都を避難するようなコメントが相次いだわけですが…
京都に住んでいる人間としては、何処らへんが自業自得なのかが分からなかったりします。 ネットでは、京都の人間は底意地が悪いとされているから、文句を言っても良いと思われているフシがあるので、その延長線上で悪口を言ってるんでしょうけれども…
匿名のネットで、京都が相手だから非難する行為は、底意地が悪い行為ではないのかって感じですよね。

例えば、京都市民が一丸となって、日本人観光客をないがしろにして外国人観光客を増やす為に努力したとかであれば、『自業自得』といわれても仕方のないことかもしれません。
でも別に、京都の人は外国人観光客数を伸ばす為に頑張ったりはしてないわけです。市とか公的な機関が、どんな働きをしたのかは知りませんが、少なくとも市民レベルでは大々的に外国人観光客誘致はしていません。

というか、京都は電車が発達していないので、車や自転車で移動できない場所に行く場合はバスを利用しなければならないわけですが、外国人観光客はバスに大きなスーツケースを持って入る為、日頃バスに乗る人は迷惑をしていたりします。
また、外国人観光客に限らないのですが、観光客はその辺りで買った食べ物のゴミを、そのまま道に捨てて帰ったりするので、観光地近くの人は掃除の手間が増えるなどの被害を受けていたりします。

お金を使わない外国人観光客

ただ、こういう問題も、地域全体で見てお金が落ちているのならば、我慢もできるんだと思いますが…
外国人が増えた事で、京都に住む人達が潤っているわけでもない。
bookstand.webdoku.jp

最初に書いた私の仕事にしてもそうですが、元々は日本人観光客に向けた仕事なので、外国人観光客が増えたとしても、売上にはつながらない。
外国人観光客が増えて日本人観光客が減少すれば、それだけ売り上げは減ってしまいます。
『外国人観光客にも売れるものを作れ!』と上から目線で言う人もいるでしょうが、彼らが土産物屋で買うものってキットカットやポッキーですからね。 ポッキーを買いに来てる人に、どうやって八つ橋を売るのかって問題もあります

外国人観光客の急増は、飲食店の方にも影響が出ていたりします。
日本人観光客が中心だった昔は、東京の富裕層の人達が、年に1~2回ぐらい京都に訪れて、祇園やら木屋町でお金を使って帰るというのが結構あったそうです。
それが結構、バカにならない売上の様で、春秋のシーズンには、かなり当てにしていたそうです。

しかし、外国人観光客が急増してからというもの、ホテルが取れないという理由から、そういった国内富裕層が京都に訪れなくなりました。
代わりに増えたのが外国人ですが、彼らが同じ様にお金をつかうのかといえば、そんな事はありません。
5人できてコーヒー1杯注文して3時間粘るなんて人が結構な頻度で現れた為に、木屋町界隈では一時期、『店内に入店された際には、最低1人1品は注文してください。』という張り紙があちこちで貼られた程です。

外国人観光客の増加は、もともと、京都の人も手放しで歓迎しているわけではないんですよ。
Twitterなどで京都の非難をしていた人達は、外国人観光客を大切にして日本人をないがしろにしたから、自業自得だという主張なんでしょうが、京都の人からすれば、勝手の来て、お金を使わずに雰囲気だけを消費されてる状態なんです。

高さ制限でホテルの客室数を稼げない京都

では何故、他府県の人が京都の自業自得だと決めつけるのかというと、ホテルが取れないからだと思います。 仮に取れても高いから。
ただこれは、仕方のない部分の方が大きい。 理由としては2つです。
1つは、外国人の方が正規の方法で予約を入れてきた場合、外国人だからという理由だけで予約を受け付けないなんて事は出来ませんよね?仮にそんな事をすれば、レイシストと呼ばれることでしょう。
どんな人であれ、ルールに則って予約を入れてきた場合は、受け入れるのが商売です。

もう1つは、京都はホテルがそもそも少ないからです。
京都には、五山の送り火を誰にでも見れるようにするためか、建物の高さ制限があります。 この規制があるからこそ、何処に居ても山が見える状態を保てるわけです。

この高さ制限ですが、当然のように、ホテルなどの宿泊施設を作る場合には、マイナスに働きます。
立地が良くて便利な土地を購入した場合、他の都道府県であれば、上方向に伸ばせば客室数は確保できますが、京都の場合は高さ制限があるために、10階前後しか建てることが出来ません。
当然のように客室数も減る為、土地の購入費用をpayしようとすれば、部屋の価格は高くなります。

京都以外の人が起こした土地バブル

この土地の件でいえば、高さ制限の他に足を引っ張っているのが、京都の土地バブルです。
日銀が異次元緩和と呼ばれる量的金融緩和を行った辺りから、御所南や御池といった地域の土地のマンションを、東京の富裕層や中国マネーが買い漁り、局地的なバブルを起こしています。
このバブルに乗る形で不動産開発が行われ、土地価格は高値で売買され、余計に宿泊施設が立ちにくい状態を生んでいます。

www.zakzak.co.jp
ddnavi.com

というのも、京都の観光は春と秋のシーズンに客が集中する一方、夏と冬は客が激減します。
高さ制限によって、土地あたりで作れる客室数の上限が低いうえ、稼げる時期が限られている為、土地の取得に多額の資金を投入してしまうと、その後の運営が厳しくなるという事情もあります。

ちなみにですが、東京の富裕層や中国の人は、投資目的で購入している為に、京都に移住してくるわけではありません。
その為、先程の地域に建つマンションでは、完売しているけれども電気がついていない部屋が多いマンションが乱立しているという、良くわからない状態になっていたりします。
この局地的な土地バブルも、正直言って京都の人が起こしたものではないし、これによる恩恵が受けれたわけでもありません。

京都以外の地域の富裕層同士の空中戦が行われているだけで、現地に住んでいる人間からすれば関係がない事。
投資目的で買って無人の空き室で放置されてるぐらいなら、宿泊施設や遊べる施設を作ってくれた方が、なんぼかマシだったりします。

この様な感じで、京都という土地の経済は、京都以外の人達の動きによって翻弄されている状態だったりします。
そして、観光客が増えたからといって、京都がそれに比例して潤っているのかといえば、とてもそうとは言えなかったりします。

私が携わっている日本人観光客相手の仕事でいえば、外国人観光客数の増加に比例するような形で、売上が減少していってるのが現状です。
個人的な意見でいえば、10年ほど前の状態に戻ってほしいというのが、本音だったりします。