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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

家事は自分たちで行わなければならないのだろうか? 家事労働放棄でまわる経済

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ここ最近、特に思うようになったのですが…
家事って、各家庭で行わなければならないものなのでしょうか?
という事で今回は、家事のアウトソーシングについて考えてみようと思います。

家事をやっている暇もない現代社

私は現在40歳で、バブル期というものを社会人としては体験はしていないのですが、子供の頃や学生の時代を考えると、今よりも、専業主婦というのが当たり前だったように思えます。
『男が社会に出て稼ぎ、女性が家庭を守る』というのが当然だった社会。これは逆でも全く問題はないのですが、ともかく、家族の中で1人が外に働きに出るだけで、家計収入としては全く問題がない社会でした。
言い換えれば、それだけ安定していたという事です。初任給こそ現在とさほど変わらない様な金額かもしれませんが、年功序列で終身雇用で、毎年昇給するのがが当然の社会だった為、20代で結婚して子供を生んでも、その子供が高校・大学に行く頃には収入も順調に上昇しているので、家計的な心配もなかった時代だったように思えます。

当時でも、共働き夫婦というのは存在しましたが、生活が苦しいからというよりも、『二人して働いて、相当稼いでいるな!』なんていわれていた時代ですし、ダブルインカム・ノーキッズで『若い時代に稼いでおこう!』なんて話もされていた時代でした。
しかし時代は流れ、今現在では、初任給はそのままに、その後の昇給が殆ど無く、終身雇用も崩れ、『二人して働いて収入がっぽり!』の状態から、『二人で働かないと最低限の生活が出来ない状態』になりつつ有ります。

当然ですよね。 一昔前と比べても、中央値で見れば給料は激減しているわけで、それで昔と同じ様な生活をしようと思えば、収入を増やすためにも、共働きにならなければならない。
kimniy8.hatenablog.com
総理は、『1億総活躍社会!』なんていってますが、裏を返せば、今まで家で家事労働をしていた人や、退職を迎えた老人も働かないと暮らしていけない様な状態へと、追い込まれてしまいっている状態です。

家事労働によって生まれる軋轢

家事労働をしていた人間が、『小遣いを増やしたいからパートする』という状態から、『働かないと普通の生活が出来ない状態』に変化してきているので、当然、気持ち的な余裕も無くなる。
また、パートではなくフルタイムで働く人も増えてきている為、必然的に、家にいる時間も減少している。
そんな中で今までと同じ様に家事を行おうと思うと、1人では無理という事になり、家事を分担しなければならないということになる。

結果として、外でも働いて家でも働くという状態になる。 また、家で家事労働を分担してやる場合、互いの家事労働のクオリティの方にも目がいってしまう。
例えば、女性が手を抜かずに料理を作っている一方で、旦那の掃除が荒くて隅々まで掃除が出来ていないとなれば、その部分に目がいってしまう。
『私は、ちゃんとやっているのに、旦那はサボっている』(当然ながら、逆もありうる)という状態になれば、軋轢も生じてしまうでしょう。

家事は自分たちで行わなければならないのだろうか?

ここまで考えて思うことは、『はたして、家事って自分たちで行わなければならないのか?』という事です。
東南アジアの国々、例えばタイなどでは、そもそも家では料理をつくることは無いようです。
家事労働の中でも代表格である料理をやらずに、どうやって食べていっているのかというと、外食です。

テレビ旅番組などを観ると、東南アジアの風物詩のように屋台が映し出されて、色んな種類の食材が売られている映像などが流れますが、調理されたものを購入したり外食するのが基本で、食材を購入してきて、家で作るという行為その物を行わないようです。
外食が基本で、家では調理を行わないという事は、家に『キッチン』が必要ないということにも繋がります。その為、タイでは賃貸や販売用の家でも、最初からキッチンが作られていないという家も多いようです。

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家事のアウトソーシングで省かれる無駄

先程、料理を作らないで良いから、キッチンが必要ないという話をしましたが、これは、他の事でも同じです。
例えば、疲れを取るために入る風呂ですが、風呂を清潔に保つためには、定期的に掃除をしなければならないわけですが、これがかなりの重労働です。
掃除を怠れば、そこら中に石鹸カスや垢で汚れますし、換気を怠れば、カビだらけになってしまいます。

しかし、家で風呂に入るという行為を放棄して、毎日、風呂屋に行くという選択をしたとしましょう。
すると、その選択をするだけで、風呂掃除から開放されるだけでなく、風呂そのものが家から必要なくなる為、その空間を別の用途で使用することが出来るようになります。
現代では、風呂屋というものが減少傾向ですが、その代わり、スポーツジムが大量に増殖している状態です。 スポーツジムには風呂やサウナが併設されている場合が殆どで、尚且、風呂やと違って月額料金なので、月額利用料さえ払ってしまえば、一ヶ月の間は入り放題になります。
スポーツジムで体を動かし、プールで泳ぎ、その上、サウナや風呂に入れる施設が1万円前後で利用できる時代。 家族全員で入ると、家族割引などが適応される施設も有るので、日々の風呂掃除などを考えると、十分、検討に値する施設と言えます
これは、一人暮らしの賃貸の場合、更に有効です。 賃貸で物件を借りる際に、敢えて、風呂なし物件を借りて近所のスポーツジムと契約すると、風呂有り物件と同じ様な金額で、サウナとプールとスポーツジムが付いてくる事になります。

金銭面的にはどうなんだろう

『食事は全部、外食で済ませる』『風呂は外に入りに行く』と生活習慣を変えるだけで、料理と風呂掃除から開放されるということを書いてきましたが、金銭面的にはどうなんでしょうか。
これは、今現在の環境で言えば、家で自分で料理を作って、家で風呂に入る方が、安上がりという事になるでしょう。現状のままでは、私が考えたことは、金持ちだけが出来る生活という事です。

しかし、これを全国民が行ったとしたら、どうでしょうか。
風呂屋の料金が微妙に高く、毎日はいると1万円を超える値段になってしまうのは、燃料費の高騰という事も有るでしょうが、根本的には、家風呂が定着し、風呂屋の客が減少したのを埋める為の値上げと考えるのが妥当でしょう。
今でも、湯を沸かすのに重油を使わず、解体屋から木材を譲ってもらって、それを燃やしている風呂屋も多い為、燃料費だけで、昔と比べて料金が倍近くに上昇したとは考えられません。 客の減少が大きな理由でしょう。
値上げの根本原因が客離れであるのなら、全国民が施設を利用することで需要が増えれば、値段は下がる可能性が高いでしょう。

これは、飲食店も同じだと思われます。
例えば、町内60人が住んでいる町内にに1件の飲食店が有ったとして、町内の人が毎日、同じ町内の飲食店に行くとした場合、その飲食店は最低限の売上が確保される為、効率化を行うことが出来ます。
同じ人が毎日来る事が前提であれば、月に定額を支払う事で、朝昼晩の食事を一ヶ月提供するなんてサービスも出来るかもしれません。

全員が料理を作らないと決断する事で、今現在の支出とほぼ変わりがない金額で、料理を外注する事も可能になるかもしれません。

家事のアウトソーシングは他にも波及する

家事のアウトソーシングによって効率化するのは、家庭内の手間だけではなく、社会全体も、より効率良くなる可能性が有ります。
例えば飲食店の例でいえば、今までは、各家庭が食材を購入して料理し、ゴミを各家庭で出していたわけですが、全員が飲食店に食べに行くとなると、基本的に生ゴミは家庭から出なくなります。
また、ゴミの量全般が激減するでしょうから、ゴミ収集車の巡回回数を減らすことが可能です。

その一方で、飲食店からのゴミの量は増えるわけですが、この量は、各家庭が各自で料理を作った際に出るゴミの量よりも、確実に減るでしょう。
家庭の場合は、安いからという理由で購入したけれども、存在を忘れて冷蔵庫の中で腐って発見されるなんて事は結構よく有ることですが、プロが事業として行う場合は、その様な事は激減します。

また、料理を飲食店が一手に引き受ける事で、食材の流通の仕方も変わるでしょう。
今現在は、スーパーが不特定多数の人に向けて販売する為に商品を仕入れているわけですが、誰がどれ位購入するか分からない状態で、販売機会を減らさないような仕入れを行う為、基本的は余るように仕入れます。
余った部分は廃棄されるわけですが、一般人が料理をしないと決断すれば、販売ロスの様なムダはなくなります。 ここで誤解しないで欲しいのは、食品ゴミがゼロになるといっているわけではありません。 各家庭が各自で食材を購入し、料理をした際に出るゴミの総量よりも、飲食店が家庭の代わりに料理を作った際に出るゴミの総量の方が少なくなるという話です。

人手不足問題の解消

ここで、『今話題の人手不足問題は大丈夫か?』と思う人も出てくるでしょう。 日本の飲食店はブラックが多く、なかなか人が集まらないという話は、結構聞きますからね。
この問題を考えるには、『何故、飲食店はブラックなのか』を考える必要があると思います。結果からいえば、飲食店は供給過多だからです。

料理をつくって提供する店の場合、余程、工夫しない限りは、店をまわすのに最低限の人数のスタッフが必要になりますが、そのスタッフに十分な給料を払えない程に売上が低いから、低い時給しか提示できない。
時給は低いけれども拘束時間は長いので、当然のように応募が少なく人手不足にはなるが、そもそも売上がない為、時給をあげることが出来ないというのが、根本的な問題でしょう

しかし、国民全員が毎日外食するとなれば、需要が激増します。
そうすると、供給過多の飲食店は一気に供給不足の状態になる為、業績が回復する店も続出するでしょう。
業績が回復すれば、労働に見合った給料を提示できるようになる為、人手不足も解消しますし、雇う人数を増やせば、シフトを細かく区切ることが可能になる為、長時間の拘束もなくなります。
また、この分野での人手不足が解消し、最低賃金の水準が徐々に上がれば、それは他の業態にも派生するでしょうから、一気に、様々な問題が解決する可能性も秘めています。

まとめ

この様に、家事のアウトソーシングをする事で、家庭内では、単純に家事労働から開放されて時間敵余裕が出来るだけでなく、家からキッチンやお風呂場といったスペースが排除でき、スペースを有効活用できるという利点が有ります。
また、食品の流通やゴミ問題なども効率化され、地球環境にとっても好ましい状態になるかもしれません。
それに加えて、大量の需要を生み出すことが可能になり、その需要によって、経済を再浮上させる可能性も有ります。

こうして考えると、家事は各自で行わなければならないという価値観そのものを、変える時期に来ているのかもしれませんね。