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【アニメ・漫画紹介】 幼女戦記

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今更になるのですが、今年のはじめに放送された、『幼女戦記』という作品を紹介します。
何故、こんなにも時期を外しての投稿になったのかというと、盆休みにする事が無かったせいか、2周も観てしまったからです。
盆休みに初めて観たんじゃないですよ。 リアルタイムで見ていたにも関わらず、盆休みに更に2周観たんです。
この行動で火がついたのか、Kindle版の漫画も買ってしまい、盆休みは幼女戦記漬けの日々を過ごしておりました。

前置きはこれぐらいにしておいて、では、どんな物語なのかを簡単に説明していきましょう。
この作品は、石を投げれば大抵は当たると言われている程に大量生産されている、異世界転生モノの一つです。
幼女戦記』というタイトル通り、主人公は魔法が存在する異世界に転生し、魔法少女となって大空を飛びながら、お仲間と一緒に平和の為に『いっしょうけんめい』頑張る!って感じのお話です。
タイトルがこれで、話の要約がこんなだと、引いてしまって観たくないと思われる方もいらっしゃるでしょうから、ネタバレも含みつつ、もう少し説明していきましょう。

ネタバレを含むので、情報無しで観たいという方は、これ以降は読まないようにお願いします。
動画は、AmazonプライムNetflixで視聴可能なので、是非、観てみてください。
では、これ以降、ネタバレも含んで説明していきます。宜しいでしょうか。


この作品。主人公は幼女なのですが、生まれ変わる前は、人の心が分からない徹底した合理主義の中年の中間管理職のおじさんです。
主な仕事は、会社で役に立たない人間をリストラしていく仕事で、人の心がわからないという長所?を活かして、心を痛めること無く、淡々と業務をこなしていました。
こんな人ですから、当然のことながら神なんて信じず、科学的な事しか信用せずに生きてきました。

そんな彼ですが、ある日、リストラした元社員に逆恨みされ、線路から突き落とされて殺されてしまいます。
しかし、電車が自分にぶつかる寸前に神が現れ、人間が信仰心を失ってしまったことをボヤき始めます。
そして、合理主義の塊のような主人公が神の存在を信じるようになるのであれば、もう一度、神は力を取り戻せるのに…なんて事を言い始めます。

これを聴いた主人公の中年サラリーマンは、神なんて存在は、科学が発達する前の世界で、理解できなかった存在を神と定義していただけに過ぎない。
現代のように科学が進んだ平和な世界で、神を信じるなんて事は、ありえない。
お前は確かに、電車が衝突する直前に時間を止めて対話をするという超常的な力を持ってはいるが、それを持って神とは言え無い。
仮に神が存在するのであれば、この様な理不尽を許すはずがない。故に、お前は神ではなく悪魔だ。そうでないのであれば、存在xとでも定義しようか…なんて事を言い出します。

これを聞いた神は、『そうか…現状では、神を信じられないということだな。では、全くの逆であればどうだ。
男では無く女で、平和な世の中ではなく戦争状態で、科学ではなく魔法が常識となっている世界に生まれ変われば、信仰心も生まれるかもしれない。』
ってな感じで、この直後に主人公は電車に轢かれて死に、めでたく異世界に転生することになります。(これは漫画版の演出で、アニメ版は若干変わります。)

転生先の世界は、現在の世界でいうところの第二次世界大戦が起こる直前のドイツ。
ただ、第一次世界大戦は起こっておらず、第一次世界大戦という世界レベルの消耗戦を経験していない状態で、第二次世界大戦と同じ様な展開で戦争が起こりそう…って感じのかなりヤバイ世界です。
そんな国で、両親がおらず、孤児院で女性の体を持って転生します。

この世界での科学力は、今の世界でいうところの1900年頃の科学しかないのですが、魔法が発達しており、それによって空を飛ぶことが出きる為、当然のように軍事転用され、航空魔導兵と呼ばれる兵科が存在します。
この兵科は簡単にいえば、音がない戦闘ヘリのような存在。 無音で飛ぶことが出来、携帯したライフルの弾に術式を行うことによって、範囲爆撃や長距離爆撃を行うことが可能。
つまり、最強クラスの兵科という事になります。 では、これを量産すればよいのかというと、それは出来ません。
魔法は、その才能を持って生まれた人間しか扱うことが出来ないため、限られた戦力ということになります。

こんな世界で主人公は、最強クラスの魔力をもった状態で生まれてきます。
何故、存在xが主人公に高い魔力を持たせたのかというと、先程書いた航空魔導兵が関係してきます。 航空魔導兵は最強の兵科なのですが、魔法の才能を持つ人間にしかなることが出来ません。
そんなわけで、貴重な魔力保持者は、男女の区別なく、確実に徴兵されてしまいます。
主人公は女として生まれてきているので、魔力さえ持たなければ、か弱い女性を演じ続ければ戦争から逃れることも可能なのですが、魔力、それも最強クラスの才能を持って生まれてきているので、見逃されることもなく徴兵は確実に行われてしまうということ。

前世の記憶を引き継いだ状態で転生し、10歳にして既に合理的な考えが出来る主人公のターニャ・デグレチャフは、『逃れることが出来ないのであれば、徴兵ではなく、敢えて志願して、出世街道を突き進むしかない!上手く行けば、安全な後方で楽が出来る』と軍隊に志願します。
ここで、めでたく魔法少女の誕生です。
まぁ、魔法のステッキなんかは持たず、常に携帯しているのはライフルで、身にまとっているのはコスチュームではなく軍服。
当然、一緒に戦ってくれる仲間は、帝国軍の戦友たちで、相談相手になってくれるのは、花屋や喫茶店の主人ではなく、参謀本部や作戦局のお偉いさんですけどね。


その後、ターニャは軍隊の訓練過程が終わった直後に、北の国境線の警備に派遣されることになります。
丁度その頃、以前から北方諸国(現在でいうところのノルウェー辺り)の内部でナショナリズムが高まり、そのうえ右翼政権が権力を握った事もあり、政治家は国民のガス抜きをする為に、軍隊を南下させて帝国軍領土まで進行してきます。
北方諸国の狙いとしては、国境を超えたという事実だけを国民に見せて、『俺達はいつでもやれるんだぜ!』って事を見せるためのデモンストレーションのつもりだったんですが…

これに対して帝国軍は重野砲を使用しての本気の反撃を行い、見事に北方諸国と戦争状態に。
この時、現場にいて着弾観測を行っていたターニャは、敵魔導兵に見つけられ、司令部に撤退要請をするも拒否され、援軍が来るまで耐えろといわれる。
死にたくないターニャは敵前逃亡も出来ず、全力で必死に戦った結果、デビュー戦でものすごい戦果を上げ、生きている人間で受賞した人間がいないとされる『銀翼突撃章』をもらう羽目に。

完全にエース扱いをされ、最前線送りが濃厚になっていくターニャは、どの様にして生き残っていくのか…

ここまで読んでもらえればわかると思うんですが、此処から先の内容は、完全に戦記物となっています。
ここ最近は、異世界転生ものが流行っていて、尚且つ、魔法少女物も流行っているので、そのミックスでしょ?なんてタイトルだけみて思った方は、完全に当てが外れたことでしょう。

では、シリアスな戦争モノなのかというと、実はそうでも無い。
ターニャは、後方に行きたい一心で、一生懸命、戦略に長けた軍人を演じるのですが、周りはそうとは観ておらず、火力が有って戦術的に長けているのに、戦略まで理解できる有能過ぎる兵士と賞賛したりと、ギャップが凄い。
また、ターニャは基本的に自己保身しか考えていない合理主義者なのですが、部下が死ぬと肉の盾が減る。評価が下がると思い、部下に適切な支持を出して犠牲を減らす。
そして、周りが危険な仕事だと思い込んでいるが、どう考えても楽な仕事は、評価欲しさに率先して行うため、現場から絶大な支持を得て、英雄扱いをされる。

結果として、常に最前線に送られるということになるという、アンジャッシュの漫才のような状態を見れたりもします。
では、コミカルな戦争映画なのかというと、そうでも無い。
主人公は、周りから見れば孤高で、冷酷な人間なのですが、登場人物の中で誰よりも世界平和を願っている人物。
何故なら、平和な世界こそが、安定した暮らしを出来るからです。世界平和の実現のためなら、つまり、早期の戦争終結のためなら、どんなに残虐な命令であろうとも実行するのですが、それを阻止するのが存在x。

神は信じないが、世界平和のために命を賭して戦う人間と、信仰心欲しさに人間を戦争の渦に巻き込んで試そうとする神。
どちらが善なのか。 こんな感じの、哲学的なテーマも盛り込まれていたりもします。

最初にも書きましたが、AmazonプライムNetflixで視聴可能なので、もし興味を持たれた方は、一度観てみてはいかがでしょうか。