ポケモンGOで観る株式市場
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海外で先行配信された、ポケモンGO。
日本でのリリースが発表されて以来、TwitterのTLはポケモンで埋まり、SNSでも大人気。
ワイドショーやニュースなどの情報バラエティーでも、連日のように取り上げられていますね。
そんなゲームですが、生まれついての『ひねくれ者』の私は、ダウンロードすらしていなかったり…
何なら、このタイミングでIngressをやってやろうかと思っている次第であります。
私自身がプレイしていないので、当然、便乗した記事やアンチ記事など書けるはずもありません。
とういことで今回は、ポケモンGOの登場によって引き起こされた株式市場の動きから、相場の動きについて考えていきます。
株式相場って、結構、難しそうなイメージがありますよね。
相場に全く接してこなかった人達の中には、イメージとして、相場を理解する為には数学や経済学を理解し、株式にまつわる情報などを積極的に集めていないと、株価予測どころか値動きすら理解できなさそうと思っている人が、多いのではないでしょうか。
私自身は専門家では有りませんが、少しではありますが、10年以上にわたり、個人で相場の世界に首を突っ込んでいます。
経済ニュースなども毎日接するようにしていますし、経済ネタのブログを書く際に個別に調べたりもするので、自分の意見が言える程度には分かっているつもりです。
そんな私の目から株式相場を観ると、株式相場は緻密な計算のもとに成り立っているわけではなく、細かいニュースや裏情報によって動いているわけでも有りません。
かなり適当な理由で、株価が急激に上下したりします。
そのことがよく分かるのが、今回のpokemon GOによる任天堂の株価の値動きでしょう。
海外で先行リリースされたポケモンGOでしたが、アメリカではいち早く社会現象化し、ダウンロード数も結構伸びたようです。
アプリの社会現象をネタにした動画なども、動画サイトを中心に広がり、遅れてリリースされる日本でもヒット間違いなしと言われていました。
この話題を受けて上昇したのが、任天堂です。
「ポケモノミクス」 なんて言葉が生まれ、任天堂の株価は短期間で上昇し続け、僅か4日で時価総額が1兆3000億円も上昇したようです。
しかしよくよく考えると、この動きって変ですよね?
というのも、今回のポケモンGOですが、任天堂は直接関係が有りません。
ゲームの基本部分の設計はIngressを制作したナイアンティック社で、この会社がポケモンの知的財産を管理する株式会社ポケモンと共同開発したのが、ポケモンGOです。
任天堂は、共同開発者の株式会社ポケモンの株を30%程度保有しているだけの関係に過ぎません。
ポケモンGOが、今後どれ程の売上をあげるかは分かりませんが、共同開発者の株を30%程度保有しているだけで、会社の価値が1兆3000億円も上昇するのでしょうか?
簡単に試算してみましょう。
まず、スマートフォンのアプリ内課金の場合は、Appleやgoogleのアプリストアを経由しての課金になります。
これらの課金は、それぞれの会社がプラットフォーム提供料という感じで、取引手数料として30%をピンハネします。
単純計算で、残りは70%。
ここから運営に費用を差し引いいたものを、ナイアンティックと株式会社ポケモンで分けることになります。
正直、運営にどれだけお金がかかるかは分かりませんので、今回は考えないものとします。
ナイアンティックと株式会社ポケモンは共同開発者ですが、ゲームの開発・運営と、キャラクターの貸出しの手間を比べると、かかる労力は全然違います。
労力は全く違いますが、この際、利益の分配率は折半と考えましょう。
70%を折半するので、株式会社ポケモンは35%の利益を受け取ることになります。
任天堂は、この35%分の利益を受け取ることが出来る会社の株を30%程度保有しているだけなので、このアプリの利益の10%程度しか受け取れないことになります。
この試算は、ゲームの運営にかかる経費を考えず、労力の違いを考慮せずに折半するという前提での試算なので、実際の利益の反映はこれよりも更に下がるでしょう。
このアプリがどれ程の潜在能力を秘めているかは分かりませんが、10%分の利益を得るだけで時価総額が1兆3000億円も上昇するというのは、明らかに異常です。
では何故、任天堂がここまで話題になって買われてのでしょうか。
答えは簡単で、このゲームの開発から運営まで全てが、『任天堂』によって行われたと市場参加者が勘違いしていたからです。
海外でリリースされてから、任天堂株が盛り上がり続けている間、私は株式ニュースなどで日々の動向を見聞きしていましたが、『さすが任天堂ですね!』って感じの発言を結構耳にしました。
しかし実際には、運営も開発も、任天堂では有りません。
任天堂も、周囲の余りのはしゃぎっぷりにビックリし、数日後には『このアプリでの連結業績に与える影響は限定的だ』という声明を出す程でした。
この事から分かることは、株式相場の参加者は、正確な情報を元に計算をして行動しているわけではないという事です。
株式市場の参加者が求めているものは、株価が大きく動く材料であって、その情報が正しいか間違っているかは関係が有りません。
株価に影響のない正しい情報よりも、株価を大きく動かす誤報のほうが重要視されるんです。
これは、今に始まったことでは有りません。
よく分からない材料を引っ張り出してきては、それを元に株を売買するということは日々行われている為、毎営業日、株価実況をリアルタイムで行っているラジオNIKKEIの記者などは、『何故、こんな材料で動いてるんでしょうね。』って感想を頻繁に言っていたりします。
これは、非常に正直な感想だと思います。
これを読んでいる社会人方の中には、自分の業界が市場でニュースとして取り上げられるような専門的な仕事をされる方もいらっしゃると思います。
御自身の業界の話が話題になる様なことがあったら、一度、市場で話題がどの様に取り上げられているかを注意深く見てみてください。
きっと、見当違いな捉え方をされていることでしょう。
株式相場というと、かなりの知識と教養が必要で、日々勉強を強いられる印象が有りますが、実際のところは、パチンコを打ちながらワイドショーネタを話しているのと変わらなかったりするんですよね。
ただ、その程度のギャンブルに一般の人達や政府が振り回されてしまう点は、非常に大きな問題とも言えるんですけどね。