日本に借金は無いというトンデモ理論 ②
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今回の投稿は、先日書いた記事の続きとなっています。
まだ読まれていない方は、そちらから読んで頂けると幸いです。
kimniy8.hatenablog.com
前回の投稿は、日本は債務超過状態にあることを説明しましたね。
トンデモ理論を唱える人は、『日本の負債のみに注目しているが、資産もある!差し引きすると、実質的借金は殆ど無い!』なんて主張をしています。
ですが、そもそも健全な状態というのは、負債と資産を比べると資産のほうが多い状態の事です。
負債のほうが多く、その返済の目途がたたない状態は、普通に考えると危ないということですね。
今回は、『日本国債の最終引受先は日銀で、日銀が持ってる国債はカウントしなくて良いので、その分は省いて考えてよい。』という主張について考えていきます。
前回の投稿を書いてから、このトンデモ理論に関する事をネットで検索したのですが…
意外と、日本の借金は無いと思っている人が多い事に驚かされました。
ネット記事というのは、意外性のあることを書いたほうが閲覧数は稼げるから書いているのでしょうけども、本気で信じ込んでいたら、結構、怖いですね。
ネット記事で読んでいて多かった意見は、『日本の破綻は海外からの借金を返せない場合のみに起こる。日本は外国から借りてないので大丈夫。』という話。
普通に読んでて違和感を感じると思いますが、こんなわけありません。
これらの記事を書いている人のソースは、政治家の麻生さんの解説を読んでの事でしょう。
麻生太郎氏による「日本の借金」の解説が超わかりやすい 「経済をわかってない奴が煽っているだけ」 - ログミーBiz
ただ、ここに書かれていることは机上の空論というか…
『そうなったら良いですね』って願望が書かれているだけで、財政的な混乱を気にしている人は、そうならない可能性が高いから騒いでいるんですよ。
書かれている内容を簡単にまとめると
・日本の借金は政府のものなので、国民の借金ではない
・外国に返さなくてはならないお金はない
・政府の借金は、日本人からお金を集めている
これは、家族内でお金を貸し借りしているのと同じなので、最悪、返さなくても問題ない
確かに、日本政府の借金は政府のものなので、国民には何の関係も有りませんね。
ただ、日本が借金を返せないということは、同時に、日本の信用力が急激に低下する事は容易に想像できます。
当然、円は急激に売られ、円安となってしまいます。
日本には為替介入用の外貨準備高が有りますが、それが無くなってしまえば、大幅な円安となってしまいます。
次に、日本には返さなくてはならないお金は無いという意見。
確かに、今は無いかもしれませんね。
ただ、先ほど書いたように、日本の信用力が落ちれば、急激な円安になります。
日本は資源のない国なので、エネルギーなどは輸入に頼っています。
急激な円安はエネルギー価格を始めとした物価の急上昇といった、混乱を招いてしまいます。
介入用の外貨準備が尽きた場合、外貨を外国から借りてこなければなりません。
最期に、日本の借金は国内向けの借金なので、最悪、返さなくて良いという話。
皆さんは本当に良いのですか?国が借金を踏み倒しても。
老後の為の年金資金や、いざとなった時の保険や、子供の教育資金の預け入れ。
これらの皆さんの資産は、今現在は運用先がないため、結構な割合が国債によって運用されています。
日本政府が破綻するということは、この国債が紙切れになるということなので、皆さんが未来の為に貯めていたものや、いざという時の為の保険の払込が、全て無かったことにされてしまいます。
日本国民は他国に比べて温厚だと聴いたことは有りますが、政府の失敗の結果、自分が計画的に行ってきたものが全て、ご破算になったとしても、『これで日本は大丈夫だから。』と笑って許せるのですか?『借入先は国民なので、返さなくても大丈夫!』という国に対して、腹は立ちませんか?
正直、暴動モノだと思いますけどね。
…と、余談が長くなってしましましが。
本題の、『政府の借金を日銀が貸せば、借金はなかったことになる』という主張に対して考えていきましょう。
こう主張する人の多くは『中央銀行である日銀は政府の子会社なので、親会社に貸しても連結でみれば貸し借りはゼロ』といいます。
しかし、本当にそうなんでしょうかね。
確かに、日銀は株式市場に上場していますし、その株は政府が持っているので、子会社といえなくもないでしょう。
しかし日銀の株は結構特殊で、購入した所で株主総会に当たるものも存在しませんし、当然、議決権も有りません。
つまり、政府には何の決定権もないということです。
完全に独立した機関が、中央銀行 日銀なんです。
では何故、日銀は政府から独立しているのでしょうか。
それは、日銀が政府の言いなりになると、困った事が起こるからです。
ヒントは、【財政ファイナンス】
財政ファイナンスというのは・・・
と、説明しようと思ったのですが、最初の余談が長すぎたせいで、これを書ききるとかなりの長文になってしまいます。
ということで、続きはまた今度にでも。