【おすすめPodcastエピソード】 Rebuild 134:
広告
Podcast紹介コーナー。
第113回。
過去に書いた投稿
タイトル紹介はこちら
エピソード紹介はこちら
私の独断と偏見で紹介するPodcastのエピソード紹介コーナー。
今回は 【Rebuild】
134: Everything Becomes N (N, hak)
このPodcastを簡単に紹介すると、海外でIT関連の仕事をされている日本の方が、プログラムの話を中心にして、時にはサブカルの話なんかもされるラジオです。
プログラムの部分は専門家という事もあって、素人の私にはついて行けない部分も多い内容となっていますが、一般的な話を例に出して話されたりもするので、毎回楽しんで聞かせてもらっています。
そんな【Rebuild】ですが、今回紹介するエピソードでは、少し前(2016年3月8~15日)に開催された、韓国の囲碁選手と人工知能囲碁ソフト「アルファ碁」の対戦について、話されていました。
結果は、多くのニュース番組などで伝えれていたので、皆さんもご存じだとは思いますが、5戦中の最初の3戦を囲碁ソフトが獲って勝利が確定し、その後2戦して、結果として4勝1負で人工知能が勝利しました。
この話をテレビのニュース等で最初に聴いたときは、何がスゴイのかがいまいち伝わってきませんでした。
というのも、ニュースのアナウンサーもパネラーも、囲碁の事もプログラムの事も知らない素人で、解説の為に大学教授などのゲストを読んでも、何を質問してよいのかもわからない状態。
結局、『将棋に続いて囲碁まで、負けちゃいましたね~』という感想しか放送されていなかったからです。
しかしその後、今回紹介する【Rebuild】のエピソードを聴いたところ、実は想像以上に凄い事だったという事が分かりました。
この話、他のまとめサイト等を見ても、将棋やチェスよりも囲碁の方が選択肢が多い為、人間に勝つには長い年月が必要だった…といった解説をされていることが多い様に感じましたが。
しかし正直なところ、問題はそんなところではありませんでした。
そもそも、将棋などは人間と計算機との差が広がり過ぎて、計算機の能力を制限した形でのハンデ戦しか行われていない状態です。
選択肢が広いだけなのであれば、コンピューターの計算速度が上昇すれば、いつかは抜かれる事が確定していたわけです。
ですが今回のプロジェクトが凄いのは、今回、勝ったアルファ碁は、囲碁で世界チャンピョンを抜くことを最終目標として設計された、囲碁専用ソフトではないという事です。
囲碁で人間に勝つことだけを目標にするのであれば、今まで人間が培ってきた定石などを入力し、プロの対戦データなどを入力して囲碁用に最適化すれば良い。
しかし今回のプロジェクトで行われたことは、囲碁のルールとアマチュアの記譜データを入力し、後は自己学習させる事でプロに勝つほどの能力を得たというところです。
最終的には入力するデータを極限まで減らしてルールを入力するだけで、勝つための最善策を導き出す事を目標としているらしい。
囲碁に勝つというのは、数ある方法の一つでしかないようです。
このプロジェクトが、一つ前に進んだという事なんですね。
また囲碁をされる方の話によると、このゲームでは、先を読む必要ですが閃きや勘といったものも結構重要なようです。
その競技で人間に勝ってしまったというのが、大事件のようですね。
感覚といったものは、機械には真似できない人間特有のものだと思われてきましたが、今回の勝負では、計算機でそれが再現できるという結果になってしまったようです。
この感覚についての詳しい解説は番組内で行われているので、興味がある方は、エピソードをお聞きください。
私が放送を聞いて理解した範囲で書くと、今まで定石とされていた事が、実は正しくなかったという事です。
定石というのは、このパターンでは、ここに打つのが良いとされているものの積み重ねなのですが、この定石は、トライ&エラーを繰り返す事で積み重ねられた経験の結晶です。
しかし、『この場所に打つと不利になる』という場所は、悪いことが分かった時点で悪手とされ、それ以上、先を考え進められることはありません。
普通の人は、この過去の経験の結晶である定石を覚える事で、打つべき場所と打ってはいけない場所を覚えて、数ある選択肢の数を絞って有効打を考えるわけです。
定石を覚えるという行為は、過去の人たちの知恵をそのまま生かす事が出来る為、自分で一から考えるよりも遥かに効率的に強くなる事が可能なのですが、問題もあるようです。
というのも、定石で悪手とされている手の中には、表面的な部分では不利になるけれども、そこから掘り進めるとそうでもないというものが結構あるようなんです。
しかし定石は、その手は悪手として切り捨てられているので、その先を考える事をしない。
結果として、有利になる可能性のある手が切り捨てられている状態になっているようです。
普通の人は、定石を学ぶことで先入観にとらわれて、そんな悪手を敢えて打つことはしませんが、直感的に先入観無しに悪手ではないと直感で察し、打つ事が出来る人間が、天才とされてきたようです。
今回のプロジェクトでは先ほども書きましたが、アルファ碁には定石を打ちこんではいません。
その結果、コンピューターは定石に囚われることなく、全ての可能性に対して検討し、複数ある選択肢の中から良いとされる手を自分で考えて打った。
つまり、天才が打つ定石に無いような手を計算して打ったという事のようです。
これが可能になうという事は、将来的には最終的にロジックに落とし込めるものは、全て人工知能で再現可能という事になるようです。
今まで世間では、殆どの仕事が人工知能に取って代わられるが、感覚的なものを使って捜索するような仕事は機械には無理なので、人間がやることになるだろう言われてきました。
しかし、その分野すらも、人工知能が代わりにやってくれるようになってしまうようです。
今回の放送の中では、小説なんかもAIが書く時代になると言及されていましたが…
この放送から数日たった後、日本では、AIが書いた小説が文学賞の選考を通りました。
ここで語られていることが裏付けられるようなニュースですね。
人工知能は今後もどんどん進化していくと思われるので、時代に取り残されない為にも、聴いておくべきエピソードだと思います。
お勧めです!