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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

『ゲーム機バキバキ事件』について考える ~ゲームは悪なのか~

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少し前(2016年2月)に話題になった、ゲーム機バキバキ事件。
出始めた当初は、ネットの中だけで話題になっていたのですが…
話題になり過ぎたせいでしょうが、とうとう2月末には、ワイドショーにまで取り上げられ始めました。

具体的な事件の内容としては、ヴァイオリニストの高嶋さんが、子供が約束を破って携帯ゲームしていたのに腹を立て、ゲーム機を壊してしまったというもの。
何故、こんなプライベートなことが公になったのかというと、東京新聞のコラムで自身が発表したかららしいです。
高嶋さんは普段から似たようなことを行って慢性化していて、普通の教育方針だと思ってコラムで書いたら、世間一般の常識からはかけ離れていたということで、話題になったのでしょう。

最初にネットで話題になったということで、いつもの様にネット民が過去の発言などを発掘し、まだまだ火は消えていないという印象を受けますね。

そんな話題が、今になってワイドショーで取り上げられました。
ワイドショーのコメンテーターといえば、基本的にはお爺ちゃんお婆ちゃん。
という事で、今回の取り上げ方も、基本的にはゲームは悪いもので、如何にして規制するかという前提での議論がされていました。
話題の教育評論家、○木ママなんて人もゲストで登場し、子供にストレスをかけない効果的なゲームの規制方法などを提案していたりしていましたが…

本当に、馬鹿らしい。
こんなワイドショーなんかを見るよりも、ゲームをしていた方が建設的なんじゃないかとすら思えてきます。

先ほども書きましたが、ワイドショーの主張としては、基本的にゲームは悪。
親の関心は、どのようにしてゲームを規制し、勉強に集中させるのかという前提での話が展開されていました。

しかしゲームって、そこまで悪なのでしょうかね。
ということで今回は、子供の興味と勉強について書いていきます。


私は社会人になっても、新たな人と知り合う機会が結構あったりします。
また、趣味の一つがラジオということもあり、普通に生活している人に比べると、人の話を聞く機会が多いほうです。
その中には当然、様々な分野について詳しい方なんかも沢山いらっしゃるわけです。

この話題の仕入れ方というのは、人それぞれ。
一番多いのが、仕事が専門的なもので、その業界について詳しくなったという人ですね。

しかし次に多いのは、趣味からの派生だったりするんですよね。
例えば、歴史などが分かり易い。
歴史といっても、様々な国や時代がありますが、私が知り合った中で中国史に詳しい人は、横山光輝さんが描く漫画【三国志】がきっかけになっているケースが殆どです。




戦国時代がきっかけで、日本の歴史に興味を持った方にきっかけを聞くと、殆どが、幼少の頃にゲーム【信長の野望】をプレイしていたから。



第二次世界大戦などをきっかけにして、世界史や世界そのものに興味を持った人は、大戦略などの戦争ゲームをしていた人が多かったんですよね。

歴史以外も同様で、小説や漫画でSF作品に触れた事で、理系に興味お持つ人も少なくありません。
また、ゲームが何故動くのかということに興味を持ち、ゲーム機本体やプログラムに興味を持つ子もいるでしょう。

ゲーム等の遊びでで興味を持ち、その後、自分で調べる事で詳しくなった人は、意外と多いのではないでしょうか。
逆に、学校の先生の話や教科書を読んで『おもしろい!!』と興味を持ち、勉強にのめりこんでいった人の話は、聴いたことがないんですよね。
むしろ、ゲームや漫画で歴史に興味を持って調べたけど、いざ授業で好きな時代が来ると、十数行の箇条書きで終了していて、がっかりしたという話しか聞かない。

私の実体験でいうと、学校で行われている授業の殆どは、先生用の授業を進める指南書に書かれている事を黒板に書き写し、生徒には黒板を書き写すことを勧める。
そして、すべて書き写したら黒板を消し、新たに書いていく…というループを何週か繰り返し、時間が来たら終了というものでした。
私が小学校から高校にかけての12年間で、自分の教えている強化が本当に好きで仕方なく、この面白さを生徒に伝えたいと思って授業をしている人は、高校時代の世界史の先生ただ一人でした。

このような現状を見ると、ゲームを規制するというよりも、ゲームを利用して興味を持たせるという方向に舵を切る方が効率が良いとも思える。
にもかかわらず、ゲーム=悪、悪は規制と考える親というのは、その辺りの考えが欠落しているようにしか思えないんですよね。

また、勉強は就職するまでは役に立つものですが、就職先が決まって社会人になった後に重要になってくるのは、勉強以外のものにどれだけ打ち込んだかということ。
社会に出て、会社から与えられた仕事をこなし、定年を迎えて一人で死んでいくのなら、勉強だけしていればよいでしょう。
しかし、人間関係を広げて、人間としての厚みを増していくためには、自分なりの視点やアンテナを広げる行為が重要になってきます。
それを育てるのが、ゲームだったり漫画だったり映画・小説などの、勉強以外の分野だったりします。

その興味を剥奪し、親がやるべき事を選んで押し付けるというのは、結果として子供の未来を奪う事につながってしまうのではないでしょうか。