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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

黒田バズーカ 第三弾? マイナス金利について考える

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今年は、新年始まってからというもの、特大ニュースが飛び込んできましたね。
そうそう。
誰もが話題に取り上げている、あのニュース。
日銀によるマイナス金利の導入ですね。

SMAP? ベッキー? 何ですか?それは。
それが私達の生活に、直接、盈虚があるのですか?
マイナス金利よりも重要なニュースなんですか?
今年の今現在のTOPトップニュースを挙げろといわれれば、文句無しでマイナス金利でしょう。

ではまずマイナス金利とは何なのか。
インフレを前提とした資本主義の世界では、お金を他人に預けた際に、金利・利息が貰えます。
金利が1%の状態で100万円預けると、一年後には101万円になるわけです。

余談になりますが、金利の○%というのは、年間利息での表示に統一されています。
たまに銀行のキャンペーン等で、『最初の1ヶ月に限り、金利12%!』なんて広告をしていたりしますが、これも年間表示なので、12%は貰えません。
年間で12%という事は、1年は12ヶ月有るので12で割らなければなりません。
ということは一月換算で1%、『最初の1ヶ月に限り、金利12%』という事は、実際に手にできる金利は1%なのでご注意を。

そんな金利が、マイナスになるということ。
-1%の金利の場合は、100万円預けると1万円の金を銀行に渡して、口座残高が99万円になるのがマイナス金利です。
逆に、お金を借りれば利息が貰える事になります。

日銀は、そんなマイナス金利を先日導入しました。
だからといって、今すぐに銀行預金に対して金利をとられるわけでもなければ、住宅ローンで金利が貰えるわけでは有りません。

日銀は銀行からお金を預かっているわけですが、今現在、既に預かっている分に対しては、マイナス金利は適用されません。
また、日銀が担保として、金融機関から預義務的に徴収している準備預金も、マイナス金利の枠からは除外されます。
ではマイナス金利がどの部分にかかるのかというと、金融機関が新たに預け入れる分に対して適用されるわけですが、それにも控除枠の様なものが存在するので、実際に適用されるのは全体から見れば、かなりの少額という事になります。

今現在、さほど影響がないのであれば、何が重要なんだという疑問をお持ちの方も多いと思います。
簡単にいえば、マイナス金利を導入したことが重要なんです。

今までの日銀のスタンスは、マイナス金利は導入したいというもので、実際に公言もしていました。
導入しないとなると、マイナス金利以外の金融政策を考える必要がありますし、市場動向に敏感な人達は、マイナス金利以外の金融緩和策の可能性を相場に織り込んできました。
そんな思惑に反し、日銀はマイナス金利を導入。

導入していなければ、導入する・別の案を考えるという選択肢が有ったわけですが、マイナス金利を採用したことで、次の関心は『どこまで、マイナス金利の利幅を拡大するのか』というものに移ってしまった感じなんですよね。

このお陰で、銀行をはじめとする金融株は、大幅に売られることになってしまいました。
今回の決断は、『黒田バズーカ 第三弾』なんて表現をされていますが、その効果は一瞬で終わり、早くもマイナス思考へと向かってしまいました。

何故、銀行などの金融株が売られたのか。
簡単に説明すると、銀行の主な収益源が立たれる可能性が出てきたからです。

皆さんも御存知の通り、銀行というのは現金の又貸しで利益を得ています。
預金者から金を借りて、それに利子を付けて他の人に貸すわけです。

しかし、デフレと長期的な不景気により、借りてくれる人が居ないという大きな問題に直面してしまいました。
『借りたいと言っている中小零細企業なんて山のようにあるだろう?』と思われるかもしれませんが、銀行は貸した金が確実に返ってくる会社に貸したいのであって、金が返ってくるかどうかも分からない、資金繰りが苦しい企業には貸したくないんです。
確実にお金を返してくれる企業は、どんな企業なのかというと、利益を物凄く得ていて、更なる事業拡大のために資金が欲しいと思っている企業のことです。
その様な企業だと確実にお金は返ってくるのですが、そんな企業はそもそも、お金を必要としていない。
企業も投資先自体がないので、企業の余剰金である内部留保は過去最大レベルまで膨れ上がっています。

借りる人が居ない場合どうするのかというと、少し前までは国債を購入していました。
しかしその国債も、黒田バズーカ 第一弾によって日銀が買い取ってしまった為、銀行は預金者から預かった金を又貸しする先が無くなってしまいました。
そして最期の手段である、日銀に預けるという手段をとっていたわけですが…
その預金枠に、マイナス金利を適用されてしまう可能性が出てきたわけです。

こうなると、銀行は本格的に運用先が無くなってしまいます。
既にマイナス金利を導入している国の銀行株を見ても、業績自体は右肩下がりのようです。
金融機関的には八方塞がりの状態で、利益を上げる見通しが全く立たない状態になってしまいました。

日銀側としては、『運用先がないなら、貸出のハードルを下げて民間に貸し出せ』と言いたいのでしょう。
しかし、ハードルを下げると、今度は貸した金が戻ってこない可能性が上昇するわけで、そう簡単に行えるものでもない。

『銀行は、預金を日銀に預けるという簡単な仕事しかしてないんだから、もっとまじめに仕事をしろ。他の民間会社はもっと頑張っている』という意見もあるが、この意見もどうかと思います。
私は昔、苦しい時に銀行に貸し剥がしを受けた身なので、銀行の味方では無いのですが、銀行というのは他の民間会社とは全く違った性質を持っています。

資本主義社会では無くてはならないもので、インフラの一つと言っても過言では有りません。
その為、金融危機が起こった際には、公的資金が注ぎ込まれて助けられるわけです。
つまり、絶対に破綻は出来ない業種で、仮に破綻した際のショックは計り知れないんですよね。
その為、冒険は行えない。

銀行からしてみれば、正に八方塞がりの状態で、この状態が長期間続くと、結構厳しい状態になってしまうんですよね。

日銀としては、この状態が長期化する前に事態が好転して欲しいのでしょうけども…
普通に考えて、今まで借金をしての設備投資や住宅ローンを組むのを渋っていた人が、0.1%にも満たない銀行側の利下げに飛びつくのかといえば、そんなわけがないんですよね。

ここまでの金融政策を導入したのにも関わらず、市場に好印象を与えられないとなると…
資本主義の終わりが近づいてきている様な気がして、仕方有りません。